CardWirthはGroupAskさんが製作した、Windows用のフリーソフトウェアのコンピュータRPGです。テーブルトークRPGを意識したシステムと、カードゲームを模した戦闘システムの融合、というのがこのRPGのキャッチフレーズになっています。
幾つものショートシナリオを冒険し、強力なカードを集めながら、宿屋の親父の元に舞い込む依頼の数々を解決していく……といった内容のRPGになっています。
タダもののソフトと言うと、世間一般ではあまり良いイメージがありませんが、カードワースの「これがフリーなのか!?」と思わせる完成度の高さは目を見張るものがあります。
操作系はグラフィカルかつ練りこまれていて、性格を細かく設定できるキャラメイクもハマります。そして特筆すべきは、自分でシナリオを作れるシナリオエディター部分。『自分でシナリオを作って、ネット上で自由に公開できる』のです。これは創作意欲を刺激されます。
カードワースは下記のページから無料でダウンロードできます。個人的には、大変お勧めのソフトです。
実際に現在、ユーザーさんたちが製作したシナリオが毎日のようにアップされていて、ユーザーシナリオを公的に公開しているAdventurer's GUILDには、数百本ものシナリオが発表されています。その大半はショートシナリオで、気軽にシナリオが作れて気軽に遊べる内容です。
自分でシナリオを作成できるRPGは従来もありましたが、短編作品に向いたシステムと、フリーウェアならではの自由性に裏打ちされた、インターネットと言うシナリオ交換の場を味方につけているのが大きな特徴であると言えます。
冒険者は、何人もの別々の作家さんの作ったシナリオを渡り歩く事になり、中には他のシナリオ作者さんとのリンクしている作品もあります。そういう部分でニヤリとさせられる楽しみ方は、ちょっとPBMと通じるものがあります。
ここを読んでいるのは大抵、PBM関係のビジターさんだと思うのですが(苦笑)、幾つもの優れた作品を発表されている人気作家さんがいたり、キャラロールのあり方やNPC主導の是非について掲示板で議論が交わされたり、同じシナリオをプレイした者同士での話題が花開いたりといったりと、ユーザーのあり方もまたPBMと似ているように思えます。
まあ、百聞は一見にしかず。まだ未プレイの方は、一度プレイしてみては如何でしょうか。何しろタダものですからね!!
カードワースを最初に起動したら、まずは冒険者たちが所属する宿屋の名前を決め、それから冒険者キャラクターを作成します。
キャラクターは性別や年令、性格の設定や特徴を決めることができ、選択した項目によって自動的にキャラクターの能力と、最初の所持金か決定されます。
頑健で無骨というような特徴を選んだキャラクターはHPが高いとか、卑劣でささくれた性格のキャラクターはトリッキーな魔法が得意とか、陽気で優しく誠実な性格のキャラクターは交渉が得意だとか、この段階でいろいろなことが決定されます。
(選んだ特長の有無によってセリフの語尾が変化したり、シナリオの展開が変化したりする場合もあります)
なお、このゲームでの能力値は、全て隠しパラメータになっています。技能カードの適性を見たりと、見当をつける方法は幾つかあるのですけれどね。
さて、キャラクターが一人完成しました。さあ冒険だ……と言って冒険に出発したりすると、ほぼ確実に全滅します。ちゃんとパーティを組んで、装備を整えてから冒険に出発しましょう。
キャラクターは最初に6人作ってパーティを組ませるのがベターです。まあ1人でも冒険には出発できますが、作成されたばかりの冒険者はとても弱いので、最初の冒険でゴブリンに袋叩きにされてゲームオーバー間違いなしです。
「パーティの人数が少ない方が経験値を多く貰える」というようなルールはありませんから、最初は素直に6人のパーティを用意しましょう。
さて冒険者たちの顔ぶれが揃ったら、次は装備を整えます。最初から付属している買い物シナリオ「交易都市リューン」をプレイすれば、所持金を払って低レベルの技能(スキルカード)や傷薬を購入することができます。
最初には「眠りの雲」「魔法の矢」「癒身の法」などの魔法系スキルがお勧めでしょうか。余裕があれば、加えて「盗賊の目」あたりの盗賊系スキルも欲しいところです(宝箱の鍵や罠を解除するときに有利になります)。カードの効果については、カードを右クリックすることで確認できます。
冒険者たちの適性は、スキルカードを装備した時に、カードの右下に現われる緑の「●」マークを見て判別する事ができます。このマークが明るく輝いているほどスキルを使ったときの効果も大きくなります。
(なお、その上の赤い「●」は、カードの残り使用回数を示します)
さて、CardWirthは戦闘にカードバトル方式を採用しているため、買ったスキルカードを使用するためには、山札からカードを引き当てねばなりません。パーティの仲間が死にかけているのに、回復係がなかなか「癒身の法」を引き当ててくれない……という事態もあり得ます。
念のために「傷薬」のようなアイテムカードを買っておくのも良いでしょう。アイテムカードは、スキルカードとは異なり使い捨てですが、いつでも好きな時に使用することができます。
ただし、リューンで売られている「傷薬」は300spと高価なので、買うかどうか迷うところです。傷薬より安価な回復アイテムに「コカの葉」というアイテムがありますが、戦闘中に使うとペナルティを受けるといデメリットがあって、使いこなしの難しいアイテムです。
蛇足ながら。一応宿屋でも、冒険から帰還した冒険者が不要な装備を売り払ったり、買い戻したりすることができますが、最初の段階では何も売っていないし売り払うものもありません。
買い物を終え、リューンから宿屋へと帰還し、購入したスキルカードを装備したらあとはもう、冒険に出発するだけです。
まずは「ゴブリンの洞窟」などが定番でしょう。冒険者パーティのバランスを見るのにちょうどいいシナリオです。とりあえず、戦闘をオートに任せて様子を見守ってみてはどうでしょうか。何も指示を出さなければ、冒険者たちはキャラクター性格に合わせて思い思いの行動を取ります。
……。
屈強でパワーのある勇猛な戦士だと思っていたのが、戦闘で防御してばかりの弱虫だと判明して驚愕したり、お荷物だと思っていた盗賊の女の子が「改心の一撃」をバシバシ決めて大活躍だったりと、色々ままならない結果であった事も多いと思います。まあ、この最初の一戦の結果を踏まえて、新たなスキルカードを購入したりと、パーティの弱点を補う為のカードの編成を考える(デッキを組む?)のが、これまた醍醐味であったりします。
さて、ゴブリンとの激戦を戦い抜き、無事宿屋に帰還した後も、まだ幾百ものユーザー登録シナリオがアドベンチャラーズギルドに置いてあり、あなたのキャラクターたちの活躍を待っています。
冒険の扉はいま開かれたばかり。
Let's adventure!