「迎えに来て、くれたんですか」
「ああ。これで二度め、かな? 君を迎えるのは」
「そうですね、あの時もやっぱりあなたが来てくれました」
「想いが残ったような目をしていたね。あの時も───それから今も」
「……わかってしまいますか」
「そりゃ───俺だって同じだもの。本当はね、傍にいたいし、一緒に笑いたいし、辛い顔はして欲しくないよ。あいつにはさ」
「そうですね……」
「だけど、俺たちはここから、あの天魁の星を見守ろう。あの星の一番近くにいた、そして星をわけあうことで運命を定めた俺たちだから」



 君が僕を想う間だけ、僕はここにいようと思っていたよ。
 でもそれは、僕の予想よりもずっとずっと長い間になってしまって───君の多くの悲しみ、そしてほんのすこしの喜びを、いつでも感じ取ることが出来るようになってしまった。あのふたつの紋章がひとつになったまま、君の右手に耀き続けているから。



「想い続けて。想い続ければ、奇蹟がきっと……って」


 俺はあまりにも、長い間紋章(ソウルイーター)の所有者だったからね。そう簡単には解放してくれないみたいだ。俺の肉体は消滅しても、心は次元を超えてちゃんと残っている。おまえの孤独を癒せはしないけど、理解はしてあげられる。おまえがそれを知ることが、永遠にないとしてもね。



「ここはとても寒いけれど、だけど、僕を想う君の気持ちだけが暖かいから、いつまでだって待つことが出来る───」





*epilogue*

16thNovember.2000