結果発表 その３ --- トータル好感度

トータル好感度

昨年一度首位を陥落した楽園の魔女たちが、評価としては落したものの巻き返して返咲き首位です。 読者数がぐっと増えて、同時に低評価も少々見られるようになって来ましたが、 相変わらず半数以上が最高評価と、安定した人気を誇っています。
昨年評価3以上6作のうち4作は昨年の3以上を継続しました。また全体的に下落気味の中で、 昨年の2点台から唯一3点台にあげたのがスクラップド・プリンセス(榊一郎)。 新作ストレイトジャケットも3点には届かなかったものの好評価発進で、要注目です。

作家ではなんといっても2.9〜3.1の間に4作並べた茅田砂胡でしょう。 あまりに評価が揃いすぎていて組織票の疑いというのもなくはないですが、 例年のデルフィニア戦記や昨年のスカーレット・ウィザードの評価からすると、 これくらいとってもまったくおかしくない作家さんではあります。
ついで榊一郎。ハートフルな作風で上位に2作並べました。 ファミ通文庫で新シリーズストラグルフィールドも始まっており、こちらも注目です。
そして田中芳樹。 7年半振りのアルスラーン戦記、講談社から光文社へ薬師寺涼子、徳間から講談社へ夏の魔術。 なにやらお騒がせではありますが、 評価も大きく落さず多くの読者を掴み続けるのはやはり並大抵ではありません。

今年の新作ではまずDADDY FACE(伊達将範)。昨年に続き電撃文庫からのブレイクです。 何しろ勢いのある作品。これこそ「だまされたと思って」読んでみるのがいいかもしれません。
三千世界の鴉を殺し(津守時生)は舞台的にはスニーカー文庫の喪神の碑、 カラワンギサーガラあたりと重なるものがありますが、 女性陣の高い支持を受けて好評価です。
昨年のオーフェンに続き、今年も知名度アップと引き替えにブギーポップが評価を落しました。 読者増の割に高評価の人数自体も微減で、 シリーズが続くとともに少々勢いが衰えてきたことは否めません。 もちろん平均的には、アニメなどの展開に伴う読者が増えればそれだけあわない人も出てくるだろう、 という意味あいもあるでしょうが。

例年に比べると冴木忍の評価があまり伸びていないのが気になります。 スニーカーの1年ぶりの2作はいずれもやや大きめの下落、 富士見の天海飛行船ルゲイラングに至ってはほとんどの評価がまずまず以下と、 どうもあまり芳しくありませんでした。もともとは人気のある作家さんだけに、 今後が気になります。

例年読者獲得にも評価にも苦戦する特にコバルトホワイトハート系の新人賞受賞作ですが、 今年は犬が来ました(松井千尋)、法廷士グラウベン(彩穂ひかる)、ウォータソング(竹岡葉月)、 とまずまずの評価を集めています。いずれも評価が割れてのものではなく、 コンスタントにまずまず、良い、といった評価を集めており、 比較的読者に受け入れられやすい作品であったことが伺われます。
逆に男子系文庫の方は電撃文庫の一人勝ち。 それ以外は軒並2を切る評価で今年も苦戦でした。
アーバンヘラクレス(久保田弥代)が、平均的にはその辺の苦戦組と変わらないのですが、 良い評価が半分、最低評価が3割とかなり極端な評価のつき方をしているので、 一応あげておきます。うまくフィットすれば楽しめるかもしれません。