ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 24-1
メディチ家の隆盛とルネッサンス芸術の溢れる街、フィレンツェ(イタリア)
2005年3月11-13日(金-日)
- [行程プラン : 冬は芸術]
- 元来ハイキングの大好きな私ではあるが, 寒く長い冬はなかなかそうもいかない.
そこで昨年のヴェネチアに続いて今年も冬の間に南欧州イタリアの芸術鑑賞の旅に行こうと考えていた. 当初はやはり2月上旬の予定だったが出張が重なったために1ヶ月延期し,
一日休暇を取って週末にかけて3日の行程として, 中日に近場の町へ日帰りで出かけることにした.
ホテルの予約は前回同様Venere.com,
夜行列車の指定席予約は最寄り駅の窓口で, いずれも1週間前に行った.
オーストリアからイタリアのヴェネチア,ミラノ,フィレンツェ,ローマへの夜行列車には格安チケットで席数限定のSparschiene Ticketがあるが, この時点では既に売り切れで,
通常料金での購入となった.
中欧全体地図
1日目(3月11日)
- [とにもかくにもウフィツィ美術館]
- 夜行で早朝明るくなり始めたフィレンツェS.M.N.駅に到着. とりあえず街の様子を掴むため,
駅-アルノ川-ドゥオモ範囲内の道を適当に歩く. まだほとんど人のいない朝の町は静かで落ち着いている. やがて朝日が昇ってくると, レンガ造りの壁が輝いて素敵だ.
1時間ほどぶらついてから, まずはともかく, 真っ先に向かったのがこのウフィッツィ美術館.
フィレンツェ芸術の中心であり, ビーナスの誕生を代表とする名画の数々を展示するこの美術館の混雑振りは有名らしく, 是非予約をしていく方がよいという話だったが,
なにせ今回は夜行で早朝着であり, 朝から並んでいればたいして待たないかな,
と思って予約無しで行った. 結果, 8:15オープンのところに30分前から並び,
前に約30人で入場は9時頃. なにせこの時間は完全に日陰なので, さすがにちょっと寒い.
もう15分早く並べばもう30分早く入れた気がするが,
確かにこれ以上待つのは不毛な気がするので, 一般的には予約した方がよさそう.
入場側は制限があるが, 入ってしまえば自分のペースでのんびり…の筈だったのだが,
日本人団体さんと続けざまにかち合う. 群がる団体の人々に絵が隠されて見えないのはもちろん,
ガイドさんの薀蓄タダ聞きしても悪いので, 見る部屋の順番をずらして行ったり来たり.
まったくなんでこんなので気を遣わにゃならんのだ.
とはいえ, 実際中身はそれなりの見応えのある作品が並んでいた. もっとも宗教画はあんまり見てもねえ….
- [古い, 街並.]
- のんびり回ったせいか, ウフィッツィを出てきたのは昼前. この時間になると街を歩く人もぐっと増えていた. それにしてもこの日本人の数はなんだ? すご過ぎ.
一度駅前に戻り, 開いているInformationで地図を貰い, 更に宿にチェックインしてから,
街を見渡すために川の南にあるミケランジェロ広場へ向かう.
アルノ川沿いに出てしばらく20分くらいてくてく歩くと広場へ上がる階段に出,
車道を何回か横切りながら少し登ると広場へ出る.
…町外れだから少しは人が少ないかと思ったが, 街を望む北や西側の端はかなりぎっしり.
一番展望のいい北西角ではイギリス人の団体さんが順繰りに記念撮影をしていて,
景色を眺めるためにしばらく順番待ち. まあいいけど.
ハイシーズンではないせいか, 正面のサンタ・クローチェ教会の塔やドゥオモのクーポラのてっぺん付近などあちこち補修工事が行われていたが, それでも赤レンガの屋根の続く街並は美しい.
川を挟み広がる歴史的な街並に下流側を除く三方を緩やかな丘陵で囲まれた構図は少し京都を思い起こすところがあるが(さしずめ将軍塚辺りから見ている感覚か?),
やはり無節操に開発されていないのがいいね.
- [前も後ろも]
- 午後はまずピッティ宮から. フィレンツェにはメディチ家関連の宮殿が幾つかあるが, 商人ピッティが建て, メディチ家後にもロレーヌ家が使用し増築したここはかなり大きい.
また半分がパレティーナ美術館として絵画の展示に使われている. 更に宮殿裏には広大なボーボリ公園が広がるのだが, こちらは別料金で, 春前に庭園を見るのもイマイチなので,
今回は省略.
例によって「貴族の館」に圧倒されつつのんびり見回り終え, ポンテ・ヴェッキオを渡って川の北に戻って来たが, まだ時間もあるのでドゥオモへ回ることにする.
堂々たる外観の教会の中も, やはり人だらけ.
一度外へ出て側面へ回ると, クーポラの上の展望台へ上がる行列があり, 早速並ぶ. しかし良く見ると前も日本人, 後ろも日本人. …あ〜.
途中で抜かしたりすれ違ったりもちろん上の展望台にいた中にも日本人がぞろぞろ.
良くぞまあこんなに.
もっとも日本は卒業旅行シーズンたけなわ, こちらはイースター前であまり出かけるシーズンではないというタイミングで日本人率が一番高い季節だったのかもしれないけれど.
しかし展望は最高. こちらは隣のジオットの鐘楼より更に高く, しかも街のど真ん中.
上り下りの途中でクーポラの天井画を間近で見られるオマケ付. 時間を忘れそうな景色だった.
この高いところから見られる景色を味わえるなら煙とナントカでもいいや, と思える一瞬(笑).
- [やられた]
- 夕飯は久々にテラスで. まだ夜は冷えるけれど, 早めに食べればもう大丈夫なところはやはり中部イタリアか. で, ビールを飲みながらピザをちょろっと食べた訳だが,
支払ってから気づく. ビール代一杯分ボられていたことに. オノレ許すまじ.
さて, ホテルはトイレシャワー付シングルでは安い方の50Euroで駅近くの小さいところ.
これがまた見事にボロい. まあ私にとってはトイレとシャワーが自由に使えて朝飯が食べられて,
快適に寝られさえすればいいので, 必要条件は満たしているのだが, さすがに内装や居住性に気を使う人にはとても勧められないものだった.
2日目(3月12日)
(シエナ)
3日目(3月13日)
- [ここにも]
- ホテルで朝飯を食っていると, 日本人と遭遇. こんなホテルでねえ, と思ったら,
イタリア在住の方らしい. 時々用事で来るらしく, インフォメーションで安いところを紹介してもらってきたとか. オーストリアで働いているといったら,
「近いから簡単にこられるのだろうけど, 週末遊びにこられるなんて優雅な生活ね」
とか言われてしまった. まさにその通りだけにちょっとぐさりと.
- [ピンポイント]
- 今日はまずサン・マルコ美術館へ. 先にアカデミア美術館へ行こうかと思っていたのだが,
日曜の午前中で教会の類が入れないせいか, 金曜よりかなり行列が長く,
午後に改めてくることに変更した.
ここはフラ・アンジェリコが修道院の壁や僧坊内に描いた壁画が公開されている元修道院の建物.
当然のごとくひたすら宗教画なのだが, 案外これがいい雰囲気だったりする.
特に2階へ上がった正面の「受胎告知」の天使とマリアの優しい表情と, 他の受胎告知ではまずかかれない背景の緑のやわらかい描写が素晴らしい雰囲気を醸し出していてはっとさせられた.
却ってキリスト教徒でないだけに, こういう絵そのものの雰囲気が伝わったのかもしれないが,
今回みた数々の名画と呼ばれるものの中で一番印象に残った, いつまでも見ていたい雰囲気をもつ絵だった.
- [丘の上]
- ちらっと覗いたアカデミア美術館の行列は更に伸びていたので, あまり天気がよくなかったが, フィレンツェ郊外の丘の上の町, フィエゾレまでバスで上がることにする.
駅前から街中を抜けて北東側の斜面をしばらく上っていった上にあるこの町は,
古代ローマの遺跡が残っていたりする. で, …え? 有料なの? しかも工事中? そんな.
なんか金を払う気が失せ, 敷地をフェンス越しに眺めながら外を一周. 同じことを考えた人がいたらしく, おじさんと前後しながら(苦笑). さすがに大して見えはしないが,
浴場や劇場などの石組みの跡がチラチラ見える. ああ, 確かにローマっぽい.
バス停から更に少し上ったサン・フランチェスコ教会への坂の途中に展望台があり,
ここからフィレンツェの街が遠望できる. ちょっと霞み気味でイマイチだったが,
ミケランジェロ広場から更に離れたこの距離からは, 郊外の緑や木々, 特に地中海方面らしいオリーブ畑が点在する様子が同時に望め, トスカーナなんだなということを改めて認識.
バス停前にドゥオモがあるのだが, ちょうど昼の礼拝中だったのでこちらはパス.
- [霞んでる]
- バスでフィエゾレから正午過ぎに下りてくるとようやくアカデミア美術館へ.
15分ほど行列に並び, 入ったのだが…. いやなにせミケランジェロのダビデ像が中心で,
ここにばかり人だかりがある. いかんせんこれの迫力がありすぎというか,
後はこの彫刻にほとんどインパクト負けしている感じで, 逆にやや寂しい印象.
もうちょっと落ち着いて見た方が良かったのかもしれないけれど, これで8Euro? とかちょっと思ったり. しかも2階の一部は入場禁止になってるし.
…ってその前に2階を見学する客が異様に少ないのは何故だろう?
- [教会も金を取る]
- 建築物として最後に観光に回ったのがサンタ・クローチェ教会.
もちろんサンタ・クロースのこと, というのはまあどうでも良くて, ガリレオの墓があるところ.
しかしまあここは教会の癖に観光客からは4Euroを取るのだ(しかも目茶目茶受付の愛想が悪かった).
月曜に見たように塔はまるで羅漢か, というような足場を組まれて補修工事中だが,
せっかく入った教会の中も工事中. というか肝心のガリレオの墓の部分を工事中で幕の中ってどういうこと?(怒)
…という訳で教会はがっかりだったが, その裏の附設のチャペルや庭などの雰囲気がいい感じだった. チャペルのステンドグラスには, お馴染みサンタクロースの赤服白髭の絵が.
そして中庭は表の広場の喧騒とは大違いののんびり落ち着いた雰囲気が漂い,
そのまま長々と休憩している人も. それらを含めての入場料なんだろうね.
- [さよならフィレンツェ]
- まだ夕方までもう少し時間があったので, 西日のポンテ・ヴェッキオを眺めた後, 最後にもう一度ミケランジェロ広場へ向かい,
ベルヴェデーレ要塞へ沈む夕日とちらほら街燈のつき始めるフィレンツェの町を眺める.
相変わらず大混雑の広場は, やはりここから夜景を眺める人々だろうか. 昼とは太陽光線の向きや量が違うため, フィレンツェの見え方もちょっと違う. 赤レンガに赤い夕日,
そして並ぶ街燈, 素敵な街でした.
現地の行程
3/11 | Firenze S.M.N. | arr | 06:17 |
EN235 | -- |
午前 | 市街散策,ウフィッツィ美術館,ミケランジェロ広場 |
午後 | ピッティ宮,ドゥオモとそのクーポラ |
夕食,泊 |
3/12 | Firenze S.M.N. | dep | 09:15 |
R111417 | 5.50Euro |
Siena | arr | 10:57 |
dep | 11:00 |
徒歩 |
Siena旧市街 | arr | 11:25 |
午前 | 旧市街散策,ドゥオモ,プッブリコ宮と鐘楼 |
午後 | サン・フランチェスコ教会,サン・ドメニコ教会 |
Siena | dep | 18:20 |
SITAバス | 6.50Euro |
Firenze駅 | arr | 19:25 |
夕食,泊 |
3/13 | 午前 | サン・マルコ美術館,フィエゾレ,アカデミア美術館 |
午後 | サンタ・クローチェ教会,ミケランジェロ広場 |
Firenze S.M.N. | dep | 22:12 |
EN234 | -- |
参考
- ウフィッツィ美術館他, フィレンツェの美術館総合サイト. 他はともかくウフィッツィ美術館は予約した方がよいと思われる.
- イタリア国鉄トレンイタリア.
検索はまずまず使いやすい. ストが多い国なので予定が厳しい時は使うのが少々怖いが.
- ドイツ国鉄にはSparnight,
オーストリア国鉄にはSparschieneという格安夜行チケットがあり, 座席車29Euroでイタリアへ来られる. ただし席数限定なので, 直前だと取れないことが多い.
- Fiesoleへの7系統バスは駅前からの発車. 15分に一本程度有り, 気軽に上がれる.
1時間では戻ってこられないので, 駅の切符売り場で2枚チケットを購入.
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