ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 24-2

トスカーナ丘陵の美しい古都、シエナ(イタリア)

2005年3月12日(土)

中欧全体地図

24-1.フィレンツェへ

[一日遠出]
トスカーナに来てフィレンツェに3日いるのももったいないので, 今日は一日シエナまで往復. サン・ジミニャーノにしようか迷ったのだが, フィレンツェからサン・ジミニャーノは乗換えが必要で, ポッジボンシでの接続バスの時間が分からなかった, という消極的な理由でシエナに決定.
[列車の旅]
行きはフィレンツェS.M.N.駅から列車での移動. 直通列車が走っている. イタリア国鉄特有の改札刻印機は, うまくインクが出ずろくに刻印されなかったが, 回ってきた車掌は黙ってボールペンを取り出して上書き. ありがとう(苦笑).
途中エンボリまではピサ行きの路線を走る. 川沿いの谷間は広くなったり細くなったり, まずまずの風景. ここからシエナ行きの非電化ローカル単線に入る. 美しい美しいといわれて楽しみにしていたのだが, うーん, まだ冬のせいかそれほどでもなかった. 緩やかに起伏する丘陵に点在する葡萄畑はきれいはきれいなのだが…. 約1時間40分で終点シエナに到着.
[丘の上の町]
駅から旧市街へは店がぼちぼち並ぶ坂道をしばらく登ってゆく. 荷物がある人は駅前からバスを使えるらしい. 門を潜ると途端に街並が古くなる. 途中から車の少ない道へ折れると正面更に上に旧市街の街並が. なかなかのものだが, うわ, まだ上るのか. かなり急な石畳の坂をえっちらおっちら上ると人のたくさんいる通りに出て, マッテオッティ広場へ到着. ここから伸びるメインストリートは人で溢れている. 土曜の昼ということもあり, 観光客も多いのか. 後で気づいたが, 丘の下の駐車場へ止め, ここへ買い物に来る近隣の人も結構いるらしい. 教会の裏からなにやら人が沸いてきては, 野菜などを詰めたビニール袋を抱えた人が消えていくので何かと思ったら, 地下駐車場へのエスカレーターがあったとか, そんな感じ.
[カンポ広場 : 美しくて賑やかな広場]
人々でごった返すメインストリートをしばらく歩いていくと, やがて左手がカンポ広場になる. 建物の間の階段を下りてゆくと正面にプッブリコ宮を仰ぐ, カンポ広場全体が見渡せる. 軽く傾斜した貝殻のような形の石畳の広場は美しく, これまた人々で賑わっていた. 外周部分の建物は土産物屋かレストラン, カフェで, 日当たりのよいカフェのテラスでのんびりする人, 広場の石畳の上に座ってのんびりする人, そして次々通過していく団体さん….
[ドゥオモ : 外は壮麗, 中はシックに豪華]
次いで細い路地を更に抜けていくと, 目の前にでーんと威容を誇るドゥオモが現れる.
Duomo in Siena
白系の外壁に彫刻が施され, 日の光を浴びてまぶしい. 金を払って中へ入ると, 今度は黒というか濃青系の横縞塗装で入射光も少なめなシックな作り. でももちろん多くの壁画などは豪華. かつてフィレンツェと覇を競い合っただけのことはある. 図書館は図書館というには拍子抜けな, 壮麗な絵画で飾られた部屋だったが.
ここの床には, 旧約聖書のいろいろな場面が描かれている. 私にはどれがどれだかさっぱり分からないが. しかし普段は全面公開されないらしく, あちこち上に板を敷いて見えない(代わりに上を歩ける)ようにされていた.
この建物の向かいに美術館, 裏側に洗礼堂があるが, それぞれ料金がかかるので(まとめチケットもあるが)省略.
[煙とナントカ : プッブリコ宮]
行きとは別の道を通ってカンポ広場へ戻ると続いてプッブリコ宮へ. この中は美術館になっているが, 追加料金で鐘楼へも登れる. 昨日フィレンツェで2度高いところへ上った後だが, こちらはこちら. やはり町や周囲を見渡すには高いところが一番. 途中鳩の鳴き声がする(巣を作っているらしい)階段をぐるぐる上ってゆくと, やがててっぺんに出る. ここのてっぺんの鐘は本当に野ざらしなんだ…. すれ違うのにも苦労する階段にたいして広くないてっぺんのせいか, 「滞在時間は15分以内にしてください」などという張り紙も. 10分近く眺めている間に一緒に上った人たちはほとんど降りていってしまったらしいので, 実際にはほとんどの人は15分もいないのかもしれないが.
その街並はなかなか趣がある. 真下にカンポ広場, 向こうにドゥオモの全景の他, 幾つかの堂々とした教会が見え, 赤レンガ屋根の建物に囲まれた細い石畳の道が四方に伸びている. 建物の裏側, 中庭側の窓には洗濯物がはためき, 通りには人が歩き, 生活臭も感じられる町が大好き. そしてその向こうはなだらかに上下する丘陵地帯で, あれはオリーブ畑かな? ドイツのRothenburg ob der Tauberもそうだが, こういう丘陵地帯の古い町並みは私の好みのツボなのか, しばらく見とれてしまう….
塔を下りると向かい側の入口から宮殿内の美術館へ. フィレンツェの美術館などと比べると小粒で, 規模も小さいが, 歴史を感じさせるフレスコ画などで彩られた各部屋はやはり時を重ねた重みを感じさせる. …ここでまで日本人の団体さんとかち合うとは思わなかったが….
[教会めぐり]
この町には3方にサンタゴスティーノ教会, サン・ドメニコ教会, サン・フランチェスコ教会と存在する. 昼食後のんびりぐるぐる回ることにする.
サンタゴスティーノ教会はドゥオモから更に坂を上ったところで, たどり着くとちょうどなにやら若い人々がぞろぞろ出てくる. どうやら坂の下側はシエナ大学らしい. 中国人らしき人も混じっていたりで, こういうところに留学してくる人もいるのかな?
サン・フランチェスコ教会は北東側の端. あいにく教会正面は工事中で, 横のドアから入る. やけに高い天井の割に, 中は壁面に宗教がが並ぶ他, 椅子もほとんどないがらんとした空間が広がる. 採光も暗めで, 街中の喧騒からも離れた場所柄, ある意味集中して修行できるのかも(苦笑).
最後に行ったサン・ドメニコ教会は西側端で, 横の道路は車両も走る. ここは尼僧のミイラが展示されている. 正面祭壇を中心に青が鮮やかなステンドグラスが幾つかあったが, これはかなり新しいものらしい. これまたかち合った日本人団体さんなどは, あちらは価値ありませんので…とかいって祭壇に近寄りすらせずに出ていった. またなんというかあけすけな….
[分からなかった…]
さて, 帰りはマッテオッティ広場から出るバス. こちらの方が列車より本数が多い上に, 山中を抜ける高速道路でまっすぐフィレンツェへ向かえるので, 時間も短い. さて, バスに乗り, 運転手からチケットを買おうとすると, 運転手が首を振りながら"No. On the ground." どうやら切符売り場で買って乗らないといけないらしい. On the groundというからにはすぐ回りに売り場があるはずだと思い, 通り沿いの建物をぐるりと見渡すのだが, いくら探しても見つからない. おかしいなあとウロウロしているうちに, 件のバスはそのまま出発していってしまった. あらら…. まあ1時間や2時間帰るのが遅くなっても別に全然問題ないし, いざとなればまた帰りも列車で帰ればいいので, そのままのんびり探していると, ようやく売り場の標識が. 「この下」バス停の真下, 地下だったらしい. …アンダーザグラウンド? 運転手に騙されたらしい. というか単に英語知らなかったのだろうが….
ようやく買ったチケットは6.5Euro. 列車は遠回りで5.5Euro. なんでこちらの方が高いのだ?
Siena Landschaft
まだ時間があるのでカンポ広場に座り込んでしばし休憩. それからサン・ドメニコ教会脇からもう一度景色を眺める. ここは谷間を挟んで反対側の斜面に旧市街の建物とドゥオモ, 鐘楼が並ぶのでとても絵になる風景だ. …したの道路脇に並ぶ車の列がイマイチだが….
結局日没直後発の1/4程埋まったバスで, フィレンツェへと戻った.

現地の行程

3/11 Firenze S.M.N. arr 06:17 EN235 --
午前 市街散策,ウフィッツィ美術館,ミケランジェロ広場
午後 ピッティ宮,ドゥオモとそのクーポラ
夕食,泊
3/12 Firenze S.M.N. dep 09:15 R111417 5.50Euro
Siena arr 10:57
dep 11:00 徒歩
Siena旧市街 arr 11:25
午前 旧市街散策,ドゥオモ,プッブリコ宮と鐘楼
午後 サン・フランチェスコ教会,サン・ドメニコ教会
Siena dep 18:20 SITAバス 6.50Euro
Firenze駅 arr 19:25
夕食,泊
3/13 午前 サン・マルコ美術館,フィエゾレ,アカデミア美術館
午後 サンタ・クローチェ教会,ミケランジェロ広場
Firenze S.M.N. dep 22:12 EN234 --

参考


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