ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 38

今度は万全アルプス雪景色(スロヴェニア)

2006年2月12日(日)

中欧全体地図
スロヴェニア西部略図

[鉄板, 晴れ予報]
スロヴェニア観光に行ったのは2004年3月, 約2年前だが, 心残りはBled湖の天気がイマイチで, その「スロヴェニアの誇る美景」を堪能し切れなかったことだった. 以来ずっとここは絶対もう一度訪れようとは思っていたのだが, 一度行ったところの優先順位はどうしてもあまり高くないことと, 必ず快晴でないと意味がない, ということで, ずっと延び延びになっていた. しかしこの週末はアルプス南側が晴れということで, ようやくいくことに決定. 一泊してのんびりしてこようとも思っていたのだが, 天気をぎりぎりまで見ていたために, Bled湖周辺などで手頃な値段の宿がなくなってしまい(冬場のSOBEってどうなのだろうか?), 強行軍だが夜行日帰りということにした. ついでなので, 今までに乗っていない鉄道路線は出来るだけ網羅できるように行程を組み, 帰りはスロヴェニアのICSに乗ろうということで, 帰りのチケット手配と席予約だけ, 土曜日の朝行い, 土曜の夜に出発.

一回目のスロヴェニア旅行記はこちらから. 訪問先はLjubljana, Bled湖とBohinj湖, Škocjan洞窟群.


[Villach→Jesenice : 既にへろへろ…]
夜行列車を乗り継いで, 早朝にVillachから今日3本目の夜行列車で国境を越え, 最初の駅Jeseniceへ. オーストリア側はVillachを出てすぐに, スロヴェニア側はJeseniceに到着後車内で, それぞれパスコントロールがあったが至って簡単. 降り立ったJeseniceの駅は予報通り朝の冷え込みがやや厳しいが, 国境のKarawankenの稜線は, 雲ひとつなく, 日を浴びて輝いている. うん, いい感じ. しかし…眠い….
[Jesenice→Bohinjska Bistrica : 一度は乗ろう, ローカル線]
JeseniceからはLjubljanaへ向かう本線とは別に, Nova Gorica経由でイタリア国境沿いのSoča川の谷を走り, Sežanaへ至るローカル線がある. しかしスロヴェニアのローカル線は, 週末は本数が極端に少なく, 特に昼間は皆無に等しい. という訳で, 早朝到着の出来る今回にちょっとでも乗車しておこうと(笑).
Ljubljanaから到着した列車に乗っていた乗客はほとんど全部降り, 入れ替わりでぱらぱらと乗車. 5分遅れて出発した列車は, 出発後まもなく停車してしまい, ばたばた運転手が鍵を持って最後部へ. 方向転換の際に今までの運転台でなにかし忘れたのだろうか? 5分ほど止まり, その後は無事動き出した. ほっ. いい加減なのかのどかなのか.
線路はしばらくSava Dolinkaの川の対岸をLjubljanaへ向かう本線と並行して走り, やがて西側の山並の端に沿って徐々に高度を上げながら西へと離れていく. ちなみにこのSava川はLjubljana, Zagrebを通り, BeogradでDonauに合流する旧ユーゴスラヴィア有数の川である.
トンネルを幾つか抜けるとやがて東側にBled湖が現れる. おお! 凍ってる! 後で戻ってきますのでそれまで融けないでね(笑). この先は再び狭い谷間へ入り, やがて2年前にバスで走った道と併走. Bohinj湖からのもう一方のSava川源流(Sava Bohinjska)の流れ沿いを, 道路と線路が抜けていくが, すっ飛ばすバスと比べると, 鉄道はトコトコと, いたってのどかに走る. だからローカル線は好き(笑). やがてNomenjを過ぎて谷間が開けてくるとまもなくBohinjska Bistricaへ到着. スキー客と思しき荷物を持ったグループが3,4程下車.
[東側の玄関口 : Bohinjska Bistrica]
Bohinjska Bistrica(ボーヒンイスカ ビストリツァ)からは西へ6kmで前回訪れたBohinj jezeroへたどり着く. 一般的にはJulijske Alpe(ユリアンアルプス)東側からのアクセスの玄関にあたり, Triglavをはじめとする主稜線方面への登山の他, 周辺はスキー場もちらちらある. そして町の南側に東西に伸びる稜線をぶち抜いてトンネルがあり, この先鉄道はこのトンネルを抜けてJulijske Alpe南側へ出る. またカートレインも走っており, 日に6往復ほどしているらしい. …それって下手すると3時間開くってことか….
さてと, 基本的に列車に乗ってぱらっと風景が見られればいいという理由だけでここまで来たので, 特に町に用がある訳ではないし, 実際さしたる見所のある町でもないのだが, 1時間だけ余裕があるのでぶらりと一周. 駅は町より一段高いところにあり, 駅への車のアクセス道路を下って町へ. 谷間といってもユリアンアルプスの奥へ食い込むように延びているので周囲は山, 山. そのせいか案外積雪は多く, 家々の屋根にも積もっている. スキー客もよく泊まる町ということで客相手の商売もそれなりにあるはずだが, そこはスロヴェニア, チロルやスイスのように小洒落た印象はしない. そして, 今は日曜の朝, スキー客は土曜から一週間などの長期滞在が多いから, 雰囲気も至ってのんびり. 北西方向に雪面が輝く一際標高の高そうな稜線が見えたが, おそらくTriglavの手前の稜線であろう.
さて, ここからBledへの折り返しはバスだ. Bohinj湖から来るバスのバス停が見つからず, ぐるっと歩き回ってしまったが, 無事3分前にバス停に到着. 少し遅れておなじみのAlpetourのバスがやってきた. Bledのバスターミナルの少し手前, 湖岸へ出る最初の集落で下りようと思ったのだが, どうも通じず, 結局Bledまで行くことに…. まあいいけど.
冬の日曜の午前中からあまり車で動き回る人も多くないのか, 道はがらがらで, 運転手は地元の乗客と駄弁りながら快調に先ほど来た線路沿いの道路を走ってゆく. 4分早くBledへ到着. 湖東岸一段上を走る道路からは, 今回はきれいにTriglavも望める. おおいい感じ.
[氷上ハイキング : Bled]
BledのバスターミナルはBled湖の北東側一段上にある. ターミナルといっても平日だけ開く切符売り場(来たのは前回も今回も日曜なので使ったことが無い)とバスが2-3台止まれるスペースだけだが. 前回の訪問で, もう地理感覚は大丈夫なので, 下車するとそのまますたすた湖岸へ.
相変わらず雲ひとつ無い素晴らしいお天気で, 日差しもぼちぼち暖かくなってきたせいか, 昼近くなるとどこからともなく人がぞろぞろ. 湖岸や湖上は人で一杯だ. スケートをしに来る人が多いようで, 湖上にいる人の9割はスケートだが, 小さい子供連れなんかは 子供を木製橇に乗せて引っ張っている親なんてのも. 犬のお散歩姿もちらほら. うれしそうに駆け回ってるよ. でもほかほかの糞を氷の上に残していくのはちょっと勘弁…. よく見るとちらちらと靴のまま歩いている人もいるようなので, えいやと私も靴のまま氷上へ. アルプス南部の平野部はここしばらく雪が少なかったせいか, 湖上に雪は無く, 完全な氷むき出し, さすがにちょっと滑る. スニーカーなどでは無謀かもしれないが, もちろん冬用ハイキングシューズね.
それにしてもやはり氷むき出しというのは, ぱっと見て氷の厚さが分かるということで, 15cm位だと微妙に怖い(苦笑). これだけみんな平気で滑っているのだから大丈夫と言い聞かせて, いざ出発! 目指すは湖上に浮かぶブレッド島. 前回はここは来なかったから. 横にブレッド城の岩壁を見ながら歩くのは楽しいのだが, しかしよく見ると, スケートで氷を派手に削ったところなどはところどころ氷内に白い線が一番下まで…. まさかこの線に沿って割れないだろうな…(やっぱり心配性). しかも歩いていくと氷がだんだん薄くなっていくのが分かる! 10cm位に見えるんですけど…. スケートコースが湖の真ん中を横切る形ではなく, 南岸付近に寄っているのは, 湖の真ん中が完全凍結していないからであった. よく見ると水鳥が真ん中の水面に浮いてるし(苦笑). 水面を大きく迂回して西岸寄りの島へ近づいていくと再び氷が厚くなり始め, ほっと一安心. 後は気を抜いて滑って転ばないように(笑).
Insel Bled
しかし氷上から見るブレッド島と聖マリア教会はまた格別. もちろん奥にはBled城と, Karawankenの稜線. 前回雲でよく見えなかったオーストリア国境の山並は今回はばっちり. 雪化粧した中腹から頂上の白さは, 青空によく映える. 夏の緑と岩の稜線をバックにした写真はよくパンフレットに使われるスロヴェニア一の風景だが, むしろそれより印象深いのではないか. さすがにこの快晴の冬の日をもう一度見る機会があるとは思えないので, じっくりと目に焼き付けておこう.
[スロヴェニア唯一 : Bled島]
さて, このブレッド島は前回書いた通り, 現在スロヴェニア唯一の島である. 島にはSv. Maria(聖マリア)教会が建っており, 船着場から階段で上がることができる. もちろん今はボートではなく, 氷上を歩いてそのまま上陸. おし, これでスロヴェニアの全島制覇だ! なんちゃって. 教会そのものはまあ普通であろうが, やはり中央が高い島だけに, のぼった上からの眺めが秀逸. 親子連れの写真撮影のお手伝いまで(笑). 再び湖上に戻ると, 後は西岸まではすぐ. スタート時よりむしろ人が増えた湖面を歩いて, ようやく岸辺へ到着. ふう, ぷち達成感(笑).
さすがに氷上を往復する元気は無いので, 帰りは湖岸のハイキングコースを歩いてくる. 前回の歩きで南岸の方が北岸より眺めがいいのは分かっているので迷わず南岸ね. オフロードはさすがに完全に除雪はされておらず, 踏まれて固まったでこぼこのアイスバーンが滑って氷上よりむしろ怖かったりしなくも無かったが, 十分に歩ける. それだけ冬場でも訪れる人が多いということなのだろう. お昼ちょい過ぎにBledまで戻る.
[金が… : Bled]
さて, お昼ごはんの時間だが, まず金を下ろさねば. 前回両替したスロヴェニア通貨(SIT)がまだ少し残っていたので当座のバス代などは問題なかったが, 食事となるとちょっと足りない. ところが, 一つ目の銀行のATMは手持ちのカードが使えず…. あらま, もう一つの方は, 標識はあれども, 肝心のATMが見つからず. 道を間違えてぐるりと超大回りをした挙句, 30分近くかけて19/20周くらいし, ようやく発見…. この時点でもう13時, バスが13時半なんですが…. 泣く泣くここでの飯は断念. 朝飯も食ってないので, 腹減った….
[北側の眺め : →Kranjska Gora]
さて, 今日のもう一つの目的地はKranjska Gora. まずBledからLesceの駅までLjubljana行のバスで移動. Dober Dan! Lesce Železniška postaja, Prosim!(こんにちは. Lesce鉄道駅へプリーズ) のスロヴェニア語が予想外にうまく言えてしまったせいか(ウヌボレ), 運転手から帰ってきた値段もスロヴェニア語. う, そこまで分かりません(汗). 運転手さんもちょっと苦笑い.
駅まではバスで10分, ここで1分乗換えで, 今度はLjubljanaから来たKranjska Gora方面行のバスへ乗り継ぐ. スロヴェニアのバスは正確だから出来る. 最初の出発点, Jesenice経由のバス道路はBled湖付近の前山稜線から離れて, Triglavの主稜線がむしろよく見えるんだ. Jeseniceでいくらか乗客が増え, ここからはオーストリア国境稜線南側の谷間を西へ向かう. 緩やかな北側斜面と対照的に, 南側にはJulijske Alpeの岩山のダイナミックな眺めが断続的に展開される. 逆光なのが少々厳しいが, なかなか素敵な谷間ではないか. そしてMojstranaの集落のある, 一瞬開けた谷間の奥に, Triglavの北壁がでんと現れる. ちょっと遠いが迫力は十分. うわ, 一度途中下車して, しばらく見ていたいよ(苦笑). しばらくして再び沿道の家の数が増え, メイン道路から折れるとまもなくKranjska Goraへ到着.
[スキーリゾート : Kranjska Gora]
Kranjska Gora(クランイスカ ゴラ)はスロヴェニア有数のスキーリゾートだ. 毎年スキーのワールドカップも開かれる. Ljubljanaから直通バスもあり, アクセスも悪くない. 夏場はハイキングコースも多く, そしてここからTriglavの裏側(西側), Vršič峠へと上ってゆく峠道は, 両側に聳える岩壁の間を抜けて南側のSoča谷へ抜ける, スロヴェニア有数の観光ルートでもある. しかし日本の観光ガイドブックには書いてないね(苦笑).
Kranjska Gora
いざやってきたKranjska Goraは期待に違わず, 谷間の奥と両側に聳える岩壁はなかなかダイナミック. なにせ冬場のわずか2時間の滞在ということで, ほんとに今回は一目見に来ただけなのだが, その甲斐はあった. これはまた来ねば. 来たいなあ. 来られるといいなあ….
で, スキーリゾートということでもちろんスキー客がわんさか. 日曜ということで店は開いていないけれど, レストランなども結構賑わっている. 昼から気温も上がったせいか, あちこち表のテラス席でビールを飲むグループの姿も. 昼飯にはちょっと遅い時間だが, ガイドブックに乗っていたレストランへ入って, ようやく軽く食事にありつく. ふう. 落ち着いて見回してみると, どうやら客はほとんどスロヴェニア人らしい. 町中をぶらついた時も止まっている車はほとんどスロヴェニアナンバーだった. 車があればオーストリア国境もイタリア国境もわずか20分, というロケーションなのだが, オーストリアもイタリアもそれぞれ国内にいいスキー場を抱えているから, わざわざスロヴェニアにやってくることもないのかもね. 2時間後のバスで, Jeseniceまで戻る.
[ペンドリノに乗りましょう : Jesenice → Ljubljana → Maribor]
帰りのバスもLjubljana直通だったのだが, わざわざ一時間待つのにJeseniceで下りたのは, 単純明快, Jesenice-Ljubljana間の列車に乗るため. 実際にはもう日没で風景なんて見えはしないのだが…. で, 乗った普通列車は, 学生さんで大賑わい! いやはや, 日曜の夕方とはいえ, こんな混むとは. オーストリアと変わらないね. 1時間ちょい列車に揺られ, さすがにばててうとうとしながらLjubljanaに到着. ローカル線の到着は, なぜか駅舎から妙に離れたメインホームの方ではなく, 駅舎正面のローカル田舎駅風ホーム.
今回帰路をVillach回りではなくわざわざMaribor回りにしたのは今回最後の目的, スロヴェニアを走る振り子特急ペンドリノに乗るため. VeneziaからTrieste経由, スロヴェニアを横断してMariborまで行く快速列車は, スロヴェニア国鉄のおんぼろEC客車の後継だが, 電車型快速列車のため, 残念ながら電圧の違うオーストリアには乗り入れない. という訳で, この機会に乗っておこうと. 別にそう珍しい車両ではないのだが(苦笑). しかし5分近く遅れて出発した列車は接続待ちなども無いだろうに, 更に遅れて10分遅延. なんだかな.
さて, この列車はボックス&クロスシートのオープンサロン型車両で全席予約だ. 最初乗った時点では1/3程度の埋まり具合の車両で, 静かに本でも読みながらいこうと思ったのだが, 前の方からいかにも席指定を持っていなさそうな10人ほどの団体さんがぞろぞろ移動してきて状況は一変. ちょうど私の周りの席がまとまって空いていた事もあり, すっかり囲まれてしまって, 以降回り中わいわいがやがや. 別に羽目を外す訳ではなく, 通常のレベルではうるさいではなくて, あくまで賑やか, なのだが, さすがに落ち着かない. スロヴェニアのビジネスマンでも乗りそうな, もう少し落ち着いた雰囲気は, 跡形も無く消え去ったのであった…. あはは.

ともかく今回はかなりの強行軍で厳しかったが, 快晴の冬空の下, 素晴らしい景色は, そこまでして見にいった価値はあったかと思う. すっきりした.


現地の行程

2/12
(Sun)
Villach Hbf dep 06:23 D-415 8.0Euro
Jesenice (SL) arr 07:07
dep 08:08 SŽ LP-2242
Bohinjska Bistrica arr 08:55
Bohinjska Bistrica 散策
Bohinjska Bistrica dep 09:56 Alpetour Avtobus 710SIT
Bled arr 10:28
Bled湖上, 湖畔散策
Bled dep 13:30 Alpetour Avtobus 310SIT
Lesce Železniška postaja arr 13:39
dep 13:40 Alpetour Avtobus 1090SIT
Kranjska Gora arr 14:22
Kranjska Gora散策, 昼食
Kranjska Gora dep 16:20 Alpetour Avtobus 710SIT
Jesenice Železniška postaja arr 16:48
dep 17:50 SŽ LP22145 1040SIT
Ljubljana arr 19:11
dep 19:45 SŽ ICS-26 --
Maribor arr 21:33
dep 21:40 IC-152

参考


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