ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part8

山と水と石灰岩の小国スロヴェニア その1

2004年3月26日〜3月28日

[行程プラン : ご近所さん]
オーストリアの東半分で南に国境を接するスロヴェニアはGrazやVillachからはほんの数十kmで入ることが出来る. WienまたはGraz発のLjubljana行直通IC/ECも走っていてアクセスは便利. 今回は職場定例の金曜グループミーティングがない週に合わせて一日休暇を取り, 週末にかけて2泊3日で訪れることにした.
今後拡大EUとEuro通貨圏への統合も予定されているが, 現在はまだ国境のパスコントロールと通貨の両替が必要だ. なお当日の為替レートは1Euro=238SIT(スロヴェニアトラール). ここ数年は毎年数SITずつのペースでじりじりとSIT安が進行している. あちこちにLjubljana BankaのATMがあり, VISA等でのクイックキャッシングも可能なうえ, オーストリア国内のキャッシュシステムMaestroも使えるとかでかなり便利.
IC/EC列車はBitte Reservierenと書いてあったので一応予約したが義務ではない. 実際はシーズンオフということもありLjubljana近郊まではがらがらだった. 往復の使用列車を事前に指定しておくとオーストリア発着国際線の割引システムCITYSTAR TICKETの対象となり(1人ではほとんど効果ないが), スロヴェニア内のIC/EC追加料金はチケット代に含まれる.
シーズンオフでもあり混雑の心配はないのでホテルの予約はせずに行った. LjubljanaのInformationでHotelリストは貰える.

中欧全体地図
行程マップ

1日目(3/26) --- 入国,リュブリアーナ

[Graz→Ljubljana : ぷち峡谷路線]
Grazから乗ったICはなんと4両編成+食堂車. そしてガラガラ. さすがシーズンオフか? Spielfeld Straßで出国審査官, EUの税関, 入国審査官, スロヴェニア側の車掌の検札が続けてくる. 今回の入国審査官はパスポートを見て"Japan! コンニーチワ!" とカタコト挨拶が来て苦笑い. スロヴェニアに入るととたんに家屋が古めかしくなる. スロヴェニアは旧ユーゴ圏では圧倒的に経済状況のいい国であるが, さすがに西側諸国並みにこじゃれた家並みを維持, という訳にはいかないか.
Mariborからいきなり車内放送で音楽が流れ出してびっくりしたが, こちらのICはラジオスロヴェニアを流すらしい. ふうん.
Sloveniaは全体的に山がちの国で, 列車は丘の間を抜けていく. その分あまりスピードは出ないが…. LjubljanaからZagreb線とGraz線が分岐するZidani MostからLjubljana手前のLitijaまでは特に山間路線で狭くなり, おそらく緑になるときれいだろうなという感じ. 天気は回復が遅れていて心配だったが, 結局この辺りから小雨が降り出してしまった. Litijaで地元民がどっと乗ってきてSlovenia語の会話を聞きながらLjubljanaに到着.
[Ljubljana : 小雨の街]
Zelezniška postaja Ljubljana(=Ljubljana鉄道駅)はLjuljanaの街のほぼまんなかにあるといっていいが, 観光で回る旧市街は駅の南側. 駅東側の南へ向かう道路を500m程歩いていくとまもなくLjubljanaの象徴である竜の像が橋の欄干に飾られた竜の橋(Zmajski most)に出て, その向こうに小山の上のLjubljana城が見える. …冬以外は手前の木で結構隠れるのかも(苦笑). この小山を捲くようにLjubljanica川が流れていて, この周囲が旧市街. 川を渡ってから川沿いに右に折れ, 西のTromostovje(三本橋)へ向かっていくと, 川沿いのプロムナードの店と, 市場になっているVodnikov trg(ヴォードニク広場)一帯は小雨の中結構賑わっていた.
三本橋の手前にInformationがあり, ここでLjubljanaの地図とホテルリストを貰う. 郊外のペンションやSOBE(プライベートルーム)を狙えば安くなるのだろうが, どうも市街のホテルだとあまり安くないようだ….
[Tromostovje : 三本橋周辺]
三本橋とその北側のPrešernov trg(プレシェーレン広場)が観光の中心. 三本橋は文字通り橋が3本並んでいる. 真ん中が車用, 両側が歩行者用. 別に3本並んでいるだけでは特に珍しいものでもないと思うが, この橋は川のカーブに合わせて放射状に広がっているのがちょっと独特. もっとも上から見ないとあまり気にならないけど…. プレシェーレン広場の北側にはCerkev Marijinega Oznanenja(FranCiškanska)=フランシスコ教会がある. 教会そのものは1660年建立の特別重要とも思えないものだが, 外観がピンク色のおしゃれなデザインだ. イタリアの影響を受けたとかいうものだが, 旧市街では一際浮いて…というか際立って華やかに見える(苦笑).
[Ljubljanski Bled : リュブリアーナ城から街を眺め渡す]
Vodnikov trgに戻り, 裏の細い道を入っていくとすぐ上り坂になりリュブリアーナ城の山へ登っていく. 下からは高低差80m位で, さして苦労なくリュブリアーナ城横に出る. このLjubljana城はこじんまりした造りで, 古い石積みとレンガ積みとコンクリ部分とがごちゃごちゃ混ざったある意味時代を感じるものだ. 門を入っていくとこざっぱりした中庭があり, 左手(東側)2階のカフェはちょっとおしゃれかも. 南側に一際きれいなつくりの塔があり, ここは有料で上れ, 降りてくると20分置きにあるLjubljanaの歴史3D映像上映会がもれなくおまけで付いてくる. 受付で英語等の通訳と3D映像用眼鏡を貰って入ると, 客は2人(苦笑). まあ…ね. 3D映像はまあちゃちいなりには見られると思うが, なにせ多言語対応で字幕は一切入らないから, 話されている対象が写っている映像のどれだか時々分からなかったりして….
塔からの眺めは(一応抱き合わせにしても)金を取るなりの360度の眺めが広がり, やはりLjubljanaを見渡すには最適といえよう. 特に川沿いに広がる赤レンガの屋根の旧市街の家並みは, ヨーロッパらしい雰囲気が色濃く出ていてグッド.
ljubljana city
ただしこの範囲はだいぶ狭く, その外側はすぐ近代的なビルの並ぶ市街中心だったり, 更に市街の少し外側に目をやると, マンションがあっちにもこっちにもにょきにょき. 微妙にサイケなデザインなのからモノトーンな共産主義時代の名残みたいなのまでさまざまだが, 一面ヨーロッパの古都の整った街並みを期待しすぎるとちょっと興ざめかも(苦笑).
[旧市街→ティヴォリ公園 : みぞれと春の気配 ]
Ljubljana城から今度は南側へ回り, 小山を西側から降りる. 川を渡ると大学の区画となり, 学生の姿がどっと増えた. Kongresni trg(コングレス広場)から西側一帯は市街中心部で, 商店街(?)や会社が並んでいる. これを抜けてさらに西へ行くと, 博物館や美術館, オペラハウスなどが並んでいる. 西端の自動車道路をくぐって行くと, その西がTivolski park(ティヴォリ公園). 公園自体も一番東の南北1km, 東西200m位と結構広々しているが, 更に背後により広い緑の丘を従えて広大な緑地帯を作っている. さすがに雨で人出はかなり少なかった. 正面ちょっと丘に上りかけたところでTivolski grad(ティヴォリ城)が端正な姿を見せているが, 現在は版画造形センターだとかで見学はパス. 公園内ではリスが遊んでいた. 目の前をふっと横切っていくと路脇の木にひょいひょいっと上ってゆき, 途中でこちらに向かって尻尾を振った後裏側へ回り上へと消えていった. …遊ばれてたりして(苦笑). 良く見ると草木の芽があちこち覗いていて, この辺は春までもうあと一歩かな, という感じ. 雨というか霙交じりの天気がいかにも寒々しかったけど….
[それでも本屋 : 商店街]
市街へ戻りホテルの部屋の確保をした後, 市街中心部へ戻り, ふらふら店を覗いて回る. 飲食店でスロヴェニア語を見てもさっぱりなにがなんだか分からなかったので, さすがにまずいと思い, 本屋を見つけて寄り道. 東ヨーロッパ旅行フレーズ集なるものを明日明後日に遊びに行く地方の地図と一緒にゲット. スロヴェニアの他ポーランドからハンガリー辺りまでの東欧諸国の用語の英語対照本. 基本的挨拶(Dobro Dan=こんにちは, Hvala=ありがとう, Prosim=ぷりーず)はさすがに覚えていったけど, 実際のところそれ以上の自己紹介なんかする訳ないのでどうでもよくて, なにより必要な単語はまずビール(Pivo)にコーヒー(Kava)に魚(Ribe)でしょ(笑).
しかしスロヴェニアという小国のせいかは良く分からないが, 随分と英語の本も平気な顔してスロヴェニア語書籍の隣に並んでいる. さすがに英語が通じる率が高いのもうなずけるね.
[夕飯 : 英語で十分]
旧市街をぶらぶらしていると英語でメニューの書かれたお店があったのでどうしようかと前をウロウロしていたら, 後から英語を話す観光客らしいカップルがやってきて, 「ここ, ここ!」と彼氏が言って入っていった. ということは, おそらく彼氏の持っていたガイドブックかなんかに紹介してある店なのだろう. それなら英語も間違いなく通じるし食事も外れの心配は少ないないだろうということで, 追いかけて入る.
地元のビールをくれといったらUnion(うにおん) Pivoというのが中瓶でぽんと出てきた. シーフードのサラダ付で食事. まずまずのお味. 少々足りなかったが, まあいいや. 1900SITは1000円弱. ヨーロッパのビール付夕食としてはまあ安いほうか.
食事を終わり20時前に出てくると街の人通りはぱらぱらという感じ. 喫茶店も21時くらいまでが多いようだ. そのままホテルに戻る. 宿泊はHotel Park. ホテルの一人部屋を使いたい一人旅旅行者には定番の安めホテルらしい. シャワーは文字通り水受けにカーテンだけなので, カーテンが翻って外に水が跳ねないように注意しないといけない. 夜寝ようと思うとやけに部屋が冷えてきて外もうるさいなあと思っていたのだが, どうも窓をちゃんと閉めたつもりでもちょっと隙間があるらしい. 夏はいいだろうが, 冬はちょっと寒いかも….

2日目(Bled湖,Bohinj湖)へ
3日目(Škocjan鍾乳洞)へ
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