ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 48

最高峰を正面に稜線散歩、東チロル(リエンツ,マトライ) / グロスグロックナー(オーストリア)

2007年7月21-22日(土,日)

オーストリア地図
周辺地図

[反対側からこんにちは]
今週は本来は西チロルのハイキングを考えていたのだが, 生憎アルプス主稜線の北側は雲が多く早い時間から雷雨の可能性大だったので急遽予定変更. 主稜線南側といえば東チロルかドロミテか先週のVinschgau谷だが, さすがにイタリアへ続けていくのもどうかと思い, 東チロルに決めた. ただ, 仕事が金曜の夜行の時間までに片付かなかったことがあり, 当日土曜の朝の出発, 到着は昼過ぎとなり, また日曜の夜のうちに帰ってくるということになった.
朝発の場合谷奥へのバスの接続がとても悪いこともあり, 初日はかつて一度泊まったことがあるものの(旅行記No.3参照)ハイキングはまったく出来なかった谷の入口, Lienz in Osttirolの裏山を少し散歩し, 夕方に谷奥へ入って宿泊, 翌日朝から歩いて帰ってくるということにした.
昼の国内列車のみということもあり, 列車の予約はなし. 宿は前日にhotel.atから, これも前回2003年に通過だけして印象に残っていたMatreiに確保.

7月21日(土)

[Lienz : もこもこ…]
一日一本の直通Lienz行EC(何故か一部ハンガリー国鉄MAVの客車)は昼過ぎにほぼ定刻の到着. Villachを出たあたりからもう雲がだいぶ増え始めていたが, まあまだなんとか日差しは残ったという感じ.
まずLienz(リエンツ)の駅から歩いてZettersfeldのロープウェイ乗り場へ向かう. もっともこれがやや遠い. ともかく市街を抜けて, 真昼の暑い最中, すたすたとゆるい坂道を上ってゆく. ちょっと記憶が微妙だったが, 前回泊まった宿まで無事たどり着き, その脇からハイキング路っぽい小道を抜けてロープウェイ乗り場へ. とりあえず向かい側のLienzer Dolomitenの岩稜も含め, 山はまだちゃんと見える.
[Zettersfeld : アルム兼高原リゾート?]
ロープウェイだと勝手に思っていたここのSeilbahnは実はテレキャビン(Gondelbahn)だった. これだと乗るまでに15分待ちとか30分待ちのような時間のロスはないけれど, 代わりにノロいので, 頂上まで10分超. 即テレキャビンのチケットを購入しさくさく乗り込む. 売り場には2グループほどいたものの, 昼過ぎということでこれから上がる人はあまり多くないのか空いていた. むしろすれ違う下りの乗客の方がちらちら見られる. テレキャビンは暑い日差しの中, 多少の窓はあるものの, 熱が篭ってこれまた暑い. 汗を拭き吹き振り返るはLienzer Dolomiten. カッコいい…のだが, あいにく真昼間はちょうど逆光で, 岩壁も日陰になり, ややぱっとしないのが残念だ. まあ朝か夕方しかいい眺めにはならないといっても, 今回のスケジュールでは昼しかLienzにいないのだからやむを得ない. のんびりと高度を上げていくとようやく徐々に外の空気も涼しくなってきて, まもなくテレキャビンの終点, Zettersfeldへ到着.
ここは標高1820m, まだ森林限界を完全には越えていない. 半分林, 半分牧場で牛がのんびり草を食む. ここまでは車道もあり, ぱらぱらと建っているホテルや貸し別荘へ車でも入ることが出来るので, 結構ラフな人もその辺を歩いていたり, テラスでのんびり食事をしていたり. 確かに昼食の時間ではあるのだが, もちろんこちらはハイキング目的, 更に上を目指す.
[Zettersfeld → Steinermandl : 牧場の中。]
ここからは更に上のSteinermandlまで4人乗りリフトがあるが, ここまで来れば概ね開けて景色はいいし, それにそこまで他力で上がってしまうと高低差が小さすぎてあまり山に登った気分がなくなりそうだったので, 歩くことにした. しかしほとんどの人はそのままリフトへ乗り継ぎであまり歩かれていない道らしく, 登山道の標識は出ているのだが踏み跡がよく分からず, 入口が分からずにしばしうろうろ. …どうやら牧場のまんなかを突っ込むらしい. しかも入口にナントカ注意の張り紙が. しかしその肝心のナントカが分からない. あまりメジャーでない生物の名前は辞書には無いらしい…. …ま, 虫だか蛇だか知らんが, ま, 一応下を注意しながら上りましょう….
しばらく上っていくと, 今度は「私有地. 取り消しがあるまで立ち入り禁止」 は? よく分からんがちょっと回り道. いたた.
更にいくと, 微妙に斜め向きに立てられた看板とともに, 斜面を直登する細い踏み跡が. こちらかなあと思いながら上っていったが, どうも違う感じが(汗). 随分斜面を登ってから, ようやく明らかに違う感じになってきたので, しばらく牛さんたちの間の斜面をトラバースしてぐねっと曲がりながら緩やかに上ってきた作業道兼用歩道らしい幅の道へ戻る. やれやれ.
もう大丈夫かと思いきや, 今度は牛の囲い用ロープが道を封鎖している. 普通こういうところは人間が部分的に外せたり, 跨いだりできるように出来ているのだが, ないということは道は別? でもここはうっすら踏み跡があるしなあ. この道でいいはず…. まあいいやと思ってそのまま越えていくと, ようやくリフトの終点が見えてきた. 今度はあっていたらしい. ほっ. いかにこのルート, 人が歩いてないかってことか, だね. 途中数グループくらいは歩いていた人は見かけたのだけど….
[→ Goiselemandl : 端正な山]
さて, Steinermandlのリフト終点(約2200m)直前からはまたしっかりしたハイキング路に戻る. もちろんリフトで上がってきた人が結構歩いているからであろう. この辺りは比較的平らな高原大地になっていてお気楽散歩にも十分である. ここからは幾つか目標になる山や湖や池があり, 着いてから残り時間と天気とコースの難易度を見ながら決めようと考えていた. 天気の方は雲が多いもののもう降ることはなさそうという雰囲気になってきたが, 時間の方はここにたどり着くまでに余計に手間取ったりしていたこともあって, Zettersfeldに戻るまで残り2時間. 出来れば綺麗そうな高原湖, Neualplseenまでいければ…とも思っていたが, 少々厳しそうなので, その一つ手前のピーク, Goiselemandlを目指すことにした. 手元の地図とぱっと比較して, 右手奥にやけに端正な三角形をした山が見えていたのでそれかなあと思ったらやはりそれだった.
リフト駅周辺のほぼ平らな広い高原大地は, ぱらぱら歩く親子連れなどの姿が見られたが, 10分も歩かないうちにもう誰もいない状況に変わる. もちろん午後2時過ぎにこれから上りに行くという人の方が少ないのかもしれないけど. 左手には相変わらずLienzer Dolomitenの岩壁が逆光の中聳えており, Oberdrautalの谷下はLienzの町. 静かでいいね…時々谷底から聞こえるバイクの音とか気になるけど(苦笑). 正面奥に聳えるSchleinitzの岩壁も綺麗だ. やがて右手の展望が開けると, (谷)の向かいや谷奥の山々も良く見えるようになる. といっても確かに北側の奥の山々はやはりだいぶ雲が多い. 今回主稜線南側東チロルに来たのはやはり正解だったかな.
しばらく小石のごろごろする道を登ったり水平に歩いたりし, 最後一気にその端正な三角形の稜線を上り詰める. 飛ばして息が切れそうなあたりで斜面が終わり, 頂上へ到着. もちろん眺めは360度, 辺りに人影はゼロ, 少し出てきた風がそよぐ音だけ. いいぞ, 趣全開お手軽超軽登山(苦笑).
[Zettersfeld : アイス一個]
残念ながら思ったより行きに時間がかかりかなり時間が厳しそうだったので, 独り占めの頂上は僅か7分でおしまい, 下りへと入る. Zettersfeldへの道は行きとは違う道, ショートカット道を通って作業道へ. 今にも消えそうだった上り道と違い, アルムの中にはっきりつけられた作業車用ダート道路をくねくね正直に降りていくと, まもなくZetterfeldへの林道ちょっと手前へ出る. ここからZettersfeldへ数分戻って本日のハイキングは終了だ. これくらいならほとんど疲れることもないね. 少しだけ時間に余裕があったので, テラスでアイスを一個購入. まあこちらだとGespritzter(ジュースの炭酸割)やRadler(ビールとスプライトのミックス?)と並んでハイキング後の主力選択肢だね(苦笑).
もちろんもっとのんびりできるものならしていたいところだが, バスの時間もあるので下りテレキャビンへ乗り込む. 途中えらく横風を受けて, 随分揺れたがまあ特に止まる事も無く無事下山した. 後はまた20分てくてく歩いて駅前へ戻る. 標識を見ると行きに通ったホテル脇を通らず, その下で合流するもうちょっと短い道があった. 帰りは下りだから少し楽. 17時までのスーパーに間に合えばちょっとペットボトルの買い物も…とも思わなくも無かったが, スーパー前に出たのは16:55. まあいいや. どうせこちらの水道水は飲めるのだから, 手持ちの空になったペットボトルにホテルの水道で水を詰めればいいだけの話だ.
[Lienz → Matrei : いざ, 谷奥へ]
Lienzの駅から東チロルの谷へ入るバスはちょっと変わっていて, 途中Hubenまでは一本のバスで, ここから3つへ分かれる谷へ入るそれぞれのバスへ乗り換える. 乗客は結構多く, 町へ遊びに来たらしい子供達と, いかにもハイキング帰りという感じの観光客が多い. Matreiまで行くというと, 今回もまた2Euro格安チケットを出してくれた. 車内を見渡すと目の前に張り紙があり, 夏休み中の土曜の15時以降と日曜に有効なチケットだそうだ. ただ乗換え不可で, 昨年のÖtztalみたいに長く乗るとありがたみ大だが, 今回のような場合はHubenで買い直さないといけない為ちょいちょい乗換えだとそれ程でもないね.
車内ではHubenの乗換え具合が良く分からなかったので, 地図とにらめっこしながら通過しないように良くチェックしていたのだが, 実際はもちろんチェックするまでもなくバスは車道から村の中心へ入り, バスがたくさん止まっている教会裏へ停車. 乗客もみんなぞろぞろ下車して乗換え. 他の谷からのバスから乗り換える客も多く, 結構賑わっていた.
ここからはMatrei経由Virgentalへ入るバスに乗る. HubenからMatreiはすぐ. ホテルの場所の関係で, Matreiの中心まで行くとちょっと行きすぎということで, 一つ手前で降りようと思ったのだが, 間違えて二つ手前, 村の南外れのロープウェイ乗り場で降りてしまったので, むしろ歩く距離が長く…. やれやれ.
[Matrei : やはりスキーリゾート]
Matrei(マトライ)ではともかくまずは谷の端, 斜面沿いにあるホテルにチェックイン. レセプションでゲストカードと鍵を貰い, 表示に従って階段を上る, 廊下を歩く, 再び階段を上る, また廊下を歩く, 更にもう一丁階段を! 遠かった(苦笑). 横に長〜いホテルの本当に一番端っこの部屋だったみたい. まあ5分くらい歩こうとたいしたことはないし, 部屋は十分綺麗で広く, もちろん静か. 十分でしょう.
さて, 例によって難関は夕食だ. どうやらこのホテルはHalbpension(二食付)でない場合, 前日だか昼だかまでに予約をしないと晩御飯は食べられないらしいので, 村の中心へ出る. …って, 中心って, 役場と郵便局と銀行とホテルの四つ角のことらしい…. 後はスポーツショップと土産物屋があり, その周囲はHalbpensionベースの宿や貸し部屋. えーと, 食事をする場所は…? 標識にあった4箇所ほどのレストランを回るが, それぞれ離れており, しかもどうも閉まっていたり…. ぐるぐる回った挙句, 結局ホテル併設のレストランの一つに入った. そこだけやけに空いていたのが気になるのだが, 何でだろう. 特に不味くも愛想悪くもなかったけど…. ま, いいや. 後は帰って寝ましょう.

7月22日(日)

[ホテルの朝食 : 端から端まで]
6時過ぎに起きて外を見るとまだ良く晴れている. 良かった! でも昼からは崩れるみたいなのでいつまで持つかな…. 7時からのORF2のパノラマカメラでは, 北部の山々はもう既に雨&ガスの中. やはりあちらはダメだったね.
シャワーを浴びてそれから朝食へ. 朝食部屋を聞かなかったのでともかく受付へ戻る. 場所を聞くと更に奥らしい. もうちょいてくてく歩き, まさに反対側の端っこのレストランが朝食ルームだった. いやはや, ほんとに遠いわ(苦笑). 夏の山岳リゾート宿泊客ということで, 朝食時間はばらばら. 既に来ている人もいるしまだ寝ている人もいるのだろう. 例によって座席は指定で, 従業員さんに案内してもらっての朝食. 例によってバイキング形式で好きなだけ取れるので, たんまり頂きました.
[Matreier Goldried Bergbahn : 天気のいいうちにゴー]
再びてくてく部屋に戻り, さっさと荷物を詰め直してこれから使うロープウェイのスタート時間に合わせてチェックアウト…のつもりが10分くらい遅れた(苦笑). まだこの辺りは天気がいいとはいえ, やはり天気がいいうちに歩かないと意味がない.
ホテルから昨日バスを降りた村の南のロープウェイ乗り場へ歩く. 昨日はちょっと遠回りをしたらしいので今日は近道を…のハズが, 結局ちょっと違う遠回り道を歩いていたりする. まあいいけど. 教会の脇の坂道を歩くいくと中でミサをやっているのが見える…って, いいのかこんな外から礼拝を見下ろすような感じになって?
さて, ここのロープウェイは稜線の反対側のKalser Bergbahnenと共通利用可能でゲストカード保持者はほんのちょっとだけ割引. ところが上り下りのチケットを購入すると, 返ってくるはずのおつりが少ない. えっ!?と思ったところに係員の説明. どうやら渡されたのはICカードらしく, 下山時に返却すると5Euroが帰ってくるのだとか. 普通一往復しかしない夏だけならこんなことするメリットはほとんどないと思うので, いかにもスキー場らしいシステムと言っていいのだろう. 乗り込むのは昨日のLienzのよりもう一回り大きい6人乗りのテレキャビン. まあこのクラスなら大抵別グループは別のゴンドラに乗るのだが, 今回はやはり一人歩きらしいおねえさんがふっと同じゴンドラに乗り込んできた. いやまあいいんだけど…結局一言も喋らなかった…. 頂上駅へは14分で到着.
[Europa-Panorama Weg : 工事中…]
ここは既に2000m超で森林限界の上. 後ろに見えるVirgentalの奥の山々の他, Groß Venedigerの白い斜面もよく見える. そして, ここからもう見えるんだ, Groß Glockner(グロスグロックナー). オーストリア最高峰とは4年ぶりのご対面.
Kals-Matreier Toerl
もっとも前回は東側から, すらっと切り立った峰だったが, 今回南側からはどちらかというとずんぐりとしたシルエット. とはいえ, 正面の岩壁そのものはやはり厳しいし, 主峰の周囲に抱える氷河はむしろこちらの方がよく見える. これからこの山を目指すような形で歩いていきます. 標高差のほとんどない水平道で幅もあり, 危険の少ないいい道だね. コースを見ると, 結構ぱらぱら家族連れとかも歩いている. 実はこのハイキング路, Europa-Panorama Weg(ヨーロッパパノラマ道)なるご大層な名前付.
さて, 前半は右手, 東側にGurnerの岩壁を見ながらのコース. しかしスタート直後にショベルカーと遭遇. どうやら下からの林道を延長しているらしいのだが…埃っぽいし邪魔…. スキーのオフシーズンこそ作業の季節であることは分かるが…. 少し歩くと中間点, Kals-Matreier Törlの山小屋が見えてくる. 徐々に雲が増えていく天気は心配だが, 本気で歩けば短いコース, まあ急いでも仕方ない. 慌てずに行きましょ.
[Kalser Höhenweg : 爽快, 稜線歩き]
Kals-Matreier TörlはEuropa Panoramawegだけをいくお気軽ハイカーにはいい中間点なのだろうが, まだ朝ということで客は無し. 私も通過. ちょうど稜線のコルにあるこの山小屋から北側は, Europa Panoramawegは今度は稜線の東側斜面に道が伸びる. しかしここからは稜線も緑の楽な稜線ということで, 天気もまだ大丈夫そうだし, 私はそちら, Kalser Höhenwegへ入る. 稜線上にもちらちら人の姿が見えるし, 使われているのだろう. まずはしばらく150m程の上り坂. やや滑る斜面なので, 濡れていたりスニーカーなどではちょっと嫌だなあという感じだが, 今は問題ない. 汗をかきかき上って行き, 最初のピーク, というか肩(?)で前を歩いていた老夫婦に追いつく. 写真を撮っていただく. かたじけない. もちろん私の方が圧倒的に速いのでここでそのまま追い抜いて先に進む. もうちょっと上るとKalser Höheの東側直下に出て, あとは緩やかな稜線. この頂上も上れるものだと思っていたらそのまま東を巻いてしまった…. あとで帰ってから調べると, どうやら一度行き過ぎて北側の避難小屋の裏から戻る形で登ればよかったらしい…. まあいいや. 稜線歩きなのだから当然眺めは前後両側に広がる. 雲は多いがとても気分が良い. 斜面を歩くEuropa Panoramawegではもちろん西側は見えないものね. 羊たちが草を食む西側斜面の谷下にはMatreiの村と, 奥に伸びるVirgentalが良く見える. もちろんGroß Venedigerをはじめとする主稜線の山々や, イタリア国境からドロミテ方面もかすかに望める. そして正面はGroöglockner. しかしこの辺りから頂上が時々ガスの中に…. あーもうちょっと待って欲しいなあ…. Kals-Matreier Törlから約30分でKalser Bergbahnのロープウェイ駅への分岐へ到着.
[ → Blauspitze : ちょっぴりアルペン]
ここからロープウェイ駅に降りないで更に進むと先は少しアルペンなルートになる. 地図だけではちょっと私の力量相応か判別しづらいが, まあ回りもパラパラ歩いてるし…というお気楽な理由でそのまま進むことに. 少し狭くなった斜面の路を更に100m程ジグザグに登る. 途中で左に巻き道を分けて小さな電波送信塔と思われるところへ登る. そこから小さくアップダウンしてHohen Torへ到着. 地図によってはHochtorとも書いてある, とても小さい岩の出っ張りピークだが, なんか登れそうだったので無理やり頂上へ. 風が吹くとちょっと怖そう(苦笑). 正面に見えるBlauspitzeの釣尾根の後ろにGroßglockner…はガスの中だなあ…. しばらく佇んでいたらまもなく後ろから3人組の若い人々が追いついてきて, 再び互いに写真撮影. 今回は自分の写真が2枚もあるぞ(苦笑).
Blau Spitze
ここから一度コルへ少し下り, いよいよBlau Spitzeへ. 稜線の右端に十字架が見えている. うん. しかしあの稜線を歩くんだよね. さすがにちょっと怖そう…. あ, 一瞬Großglocknerのガスが飛んだ! いい眺めだ, 慌てて写真撮影(笑).
さて, Blauspitzeの西側の岩峰にハシゴを挟んで一気に上り, そこから細い稜線に出る. もちろん横から見る程は狭い道ではないし, 案外一般登山客が来るのかしっかり踏まれている. そしてしばしば鉄パイプガイドや鎖が張ってあり, 概ね安全は確保されている. …とはいってもいつも通り下り部分はスピードが出せず, のろのろ慎重に…無事抜けました. 平坦部分なんかはむしろ快感よね(笑). 最後軽く登りきるとBlauspitze. その北側稜線の先端に十字架が立っていて展望台になっている. ここまで来るともう正面にGroßglocknerがでーんと. いままで手前の稜線で隠れていた氷河も西側Eiskögeleの三連氷河(?)も含めてほとんど顔を覗かせて勢ぞろい. いやあいい眺めだね. ここまで来た甲斐があったと思わせてくれる. …が, 再びGroßglockner主峰とGlocknerwandはガスの中. 30分粘ったんだがなあ. 無念じゃ….
[→ Restaurant Blauspitze : 雨と競争…出来ません]
結局諦めて下山. 細い稜線の手前まで少し戻り, ここから北側斜面に付けられた道を下る. 稜線を歩いていた人数の割に頂上にたくさん人がいたところを見ると, どうやら一般登山者はこの道を往復するみたいね. やや急な道ではあるが, 危ないところは無い. ただ前を歩いていたファミリーは結構危なっかしかったが….
斜面を下り切り, ぐるっとBlauspitze東側岩壁下をトラバースする辺りから一気に風が強くなり, 天気が怪しくなり始める. 更に余裕があればSchaubergwerk(鉱山跡)も覗いていこうかとも思ったが, 断念, 少し急いでリフト頂上駅のレストランへ向かう. しかし最後数十メートルの登り返しの途中でついにぽつぽつと雨が. もう一息なんだが, しかしここまで来て駆け上るのは無理っす. 2分ほど濡れかけながら, なんとかレストランへ到着. でもまあなんとかほぼいいタイミングで(苦笑). 俄か雨の間はしばらく室内のレストランで昼食. もうハイキング終わりだもん. ゆっくりビール飲みながら, ね(笑). 室内に入ってしまえば雨の山並も乙なもんです.
[→ Restaurant Blauspitze : 壮観ではあるが]
幸い食事中1時間ほどの間に雨は一度止んだので外へ. さすがにだいぶ気温が下がったので, 慌ててウィンブレを引っ張り出す. 下の村, Kalsからのバスは日曜は僅か3本のため, 夕方の便まではまだ時間があるので, Europa Panoramawegを5分ほど戻って午前中歩いた稜線が見渡せるところまで行ってしばし風景を堪能. 何組か, これから私と逆向きにKalser HöhenwegやEuropa Panoramawegに入っていく人がいる. さすがに大丈夫かな…と思っていると急に南から真っ黒な雲が! さすがにまずいと思い, 慌ててリフト乗り場へ戻る. もちろんここでリフトへ乗ったら自爆するようなもの. 何組か知らずに(?)リフトで降りていったのを見送りながら待っていると, 5分で降りだしすぐに今度はホントの土砂降り雷雨, 挙句は激しい雹まで降ってきて瞬く間に周囲が氷で真っ白! すごい…. いやはや, ホントにリフトに乗らなくて良かった…. 土砂降りの中その後10分近くリフトが動いていたことを見ると, 最後に降りていった人は10分近く雹の中をリフトに乗っていたのだろう. ご愁傷さま. ちなみにハイキングに出ていった数組の方は, 最後の一人だけ雹の中リフト乗り場に戻ってきた. 他の人たちは特攻したのだろうか. こちらもご愁傷さま. Europa Panowamawegの方は平らで幅もあるからKals-Matreier Törlまで走って逃げるのもありだろうが, Kalser Höhenwegの稜線歩き組はなにせあまり激しくは無かったとはいえ雷も来ていたから稜線歩きは怖いだろうに…大丈夫だったのかな.
[→ Kals : 最後のお土産]
50分ほどでようやくほぼ止み, 運行再開. 残っていた人々は次々にリフトに乗って下山. 4人乗りリフトにまとめて乗せたので, なんかオーストリア人グループ3人に挟まれてしまった. まあそれはともかく, 寒い! さすがに気温が下がるなあ. そしてこのリフト, 上部の第2セクション18分, 第1セクションとあわせて30分. こりゃ長いわ. しかし景色が素晴らしかった. ちょうどタイミングよく雲が飛んで, 数分の間グロスグロックナーの姿がくっきり. 雨上がりの雲の間から覗く姿がとても印象的. 寒さを忘れて見とれてしまうような. 最後にどうもありがとう. ちょっと風で揺られながら無事麓のKalsの村に到着. もちろんIC乗車券の預かり賃5Euroを忘れずに回収.
[Kals : 素朴な谷間の村…のハズ]
Kals(カルス) am Großglocknerの村は, ガイドブックでも紹介される素朴な雰囲気の東チロルの村の一つである. バスまでまだ45分ほどあったので少しぶらつこうかと思ったのだが, 10分ほどで再び雨が降り出したので早々に断念. それにKals自体, 幾つかの点在する集落の集まりなので, ちょっとの時間では全部回れる訳ではない. ただ表のチロルスキーリゾートのような小洒落た雰囲気とは一線を画す落ち着いた佇まいなのは確か. 侘び寂び好きの日本人にもいいかも. …バス停脇の子供ホテル(?)の中で騒ぐ子供の声だけよく響いていたが.
バスの時間直前にロープウェイの運行が終わりということで, 最後に頂上駅の係員のおじさんも降りてきた. バス停付近で雨宿りをしていた私を見て軽く挨拶していったところを見ると, もしかしたら土砂降りになる前から乗り場脇で「避難」していたのに気付いていたのかもね. バスはロープウェイ脇から乗ったのは10人弱だったが, Kalser Glocknerstraßeを降りてきたバスには既に結構な乗客が乗っていた. 行き帰りなどは結構マイカー利用率が高いチロルバカンスだが, ハイキングに関しては結構バスで出入りする人も多いのかもね.
バスは雨の中, 谷間をぐんぐん下って行きHubenへ. 私はここでLienz行きへ乗換え, そのまま帰路へ. Lienzへ向かう途中で再びものすごい土砂降りになったがまあ車内だから関係ない. 更にLienzからSpittal-Milstätterseeへ向かう列車の中でも再びものすごい土砂降り. 今日の午後は随分降られたが, 幸い外にいる時はほとんどなかったので良かった. 最後の最後, 地元への列車が遅れて終バスに間に合わず, タクシー代をケチって部屋まで45分近く歩く羽目になったのだけは余計だったが, まあ夜中に一人で歩ける程度の治安で助かる.

東チロルは特にDefereggentalやVirgentalなど, 一度訪れたいと思っていたところだが, 日程の関係で代わりに訪れたEuropa-Panoramaweg方面の思わぬ素敵な景色を堪能することが出来たのは幸運だった. これで昼前の天気が良ければもっと素敵だっただろうが, これはこれで印象深い行程になったと思う. いわゆる(オーストリア側)Tirolというよりは, 山並も家々もHohe Tauernの雰囲気の強い感じだが, これも印象を深めた一因であろう.


現地の行程

7/21
(Sat)
Lienz in Osttirol Bhf arr 12:57 EC531 --
dep 13:03 徒歩 ---
Bergbahn Talstation arr 13:25
dep 13:27 Lienzer Bergbahnen
Zetterfeld
10Euro
往復
Zettersfeld Bergstation arr 13:40
dep 13:50 徒歩 --
Steinermandl via 14:45
Neualplseen方面分岐 via 15:02
Goiselemandl(2433m) arr 15:11
dep 15:18
Neualplseen方面分岐 via 15:22
ルート9a分岐 via 15:30
Zettersfeld arr 16:12
dep 16:27 Lienzer Bergbahnen
Zettersfeld
(10Euro
往復)
Bergbahn Talstation arr 16:40
dep 16:40 徒歩 --
Lienz in Osttirol Bahnhof arr 17:03
dep 17:15 Bus4410 2.0Euro
Huben arr 17:44
dep 17:45 Bus4412 2.0Euro
Matrei Goldriedbahn arr 17:52
dep 17:52 徒歩 --
Hotel arr 18:10
Matrei散策, 夕食, 宿泊
7/22
(Sun)
Hotel (Matrei) 朝食, チェックアウト dep 09:05 徒歩 --
Bergbahn Talstation arr 09:20
dep 09:24 Matreier Goldried
Bergbahn
17.5Euro(往復)
Bergstation arr 09:38
dep 09:40 徒歩 --
Kals-Matreier Törl(2207m) arr 10:02
dep 10:08
最初のピーク arr 10:14
dep 10:16
Kalser Höhe下 via 10:30
Hohentor/Bergstation分岐 via 10:40
Hohen Tor(Hochtor)(2477m) arr 11:00
dep 11:15
Kendelspitze分岐 via 11:28
Blauspitze(2575m) arr 11:47
dep 12:20
Hohen Tor分岐(裏) via 12:42
Schaubergwerk分岐 via 12:58
Berg Restaurant Blauspitz arr 13:14
昼食
Berg Restaurant Blauspitz dep 14:15 徒歩 --
Europa-Panorama weg / 頂上ルート分岐 arr 14:20
dep 14:50
Berg Restaurant Blauspitz arr 14:54
dep 15:46 Kalser Bergbahnen (往復17.5Euro)
Mittelstation arr 16:04
dep 16:06
Talstation Kals arr 16:18
Kals散策
Kals P.A. dep 17:05 Bus4408 2.0Euro
Huben Ort arr 17:39
dep 17:41 Bus4410 2.0Euro
Lienz in Osttirol Bahnhof arr 18:05
dep 18:18 R4635 ---

参考


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