旅行記 Part:3

夏の終わりのGrossglockner(オーストリア)

2003年9月20日(土)-21(日)

[行程プランニングについて ]
今回の旅行はかなり前から考えていた. それが今頃になったのは, このコースは春から初秋の間しかバスが走らないが, 夏は非常に混雑する…らしい, ということで, 夏休み後の9月の方がすいているであろうという予測からである.
ただし考える時間がたくさんあった分, 予定コースの決定は迷走した.
当初はインスブルックからブレンナー峠越えをしてリエンツへ入り, グロスグロックナー山岳道路を抜けてツェルルアムゼーへというのを考えていたが, クリムルの滝もやはり10月上旬までしかバスでチロル側と行き来が出来ないことが判明, これも一緒に組み込むことにした. しかしケーニヒスライテン-クリムル間のバスは朝夕2往復しかなく, いろいろ接続を考えてみたが, 宿泊場所の関係で朝の夜行着からそのままツェルアムツィラーへ入り, マイヤーホーフェンを散歩する暇もなくそのままクリムルの滝へというのしか残らなかった.
グロスグロックナー山岳道路はツェルアムゼー側とリエンツ側いずれからも入れるが, リエンツ側の方が朝が早く, フランツヨーゼフスヘーエを昼に出ればハイリゲンブルートかツェルアムゼーのいずれかを午後に散策できる. また9月以降は山岳道路は凍結封鎖の可能性があり, 朝昼2往復しかないツェルアムゼー側で足止めされるとまったく入れずに終わってしまう可能性もあるので, 最低限ハイリゲンブルートまで入って封鎖解除時に即入れるようにという意味も込めて, リエンツ側に回り, ツェルアムゼーに抜けて午後こちらを散策と決定.
リエンツの他, 南側の入り口にはシュピッタルアンデアドラウ(Spittal an der Drau)がある. ただしSpittal an der Drauからだと朝一のバスは日曜運休のため, 前日のうちにリエンツ-ハイリゲンブルート間途中のヴィンクラーン(Winklern)までは入らないといけない(ここから先は毎日運行). こちらへ行くにはクリムルからツェルアムゼーへ出, シュヴァルツァッハ・サンクトファイト(Schwarzach-St. Veit)乗換えでマルニッツ・オーバーフェルラッハ(Mallnitz-Obervellach)まで列車, そこからバスでObervellachで一度乗り換えWinklernへと,かなり強行軍な上に到着が19時近くなる. 一方リエンツはクリムルからツェルアムゼーへ抜ける途中のミッタージルからリエンツ直通バスが, 土曜限定で夕方も走っていて余裕を持って17時過ぎに着ける. ただし21日はリエンツでマラソン大会があるとかで, もしや混雑するのではとちょっと心配で, どちらにするか迷ったのだが, 結局安全(?)接続と, Winklernの宿が予約出来なかったのでリエンツ宿泊に決定となった.

オーストリア地図
行程マップ

9月19-20日(1日目)

[ (Wien Westbahnhof → Jenbach) : 座席車夜行でおやすみなさい ]
今回は2日間目一杯に使うため, 夜行で現地入り. ただしオーストリア中部というのは東西行/南北行とも夜行はほとんど夜半に通過してしまうため, ウィーン(西)発のミュンヘン/インスブルック行の「短距離夜行」に必然的に限られる. これはザルツブルクで1時間以上停車するんだよね. これは逃せんと, 先週ウィーンで座席を取ってきたのだが…. オレの乗った車両, 予約者はあと一人のみ. ほとんど一組一コンパートメントという感じで, オレはしっかり一部屋独占. いやあ, さすがに一人だと気を使わないで済むし, 片側3列座席全部使って脚伸ばして寝られるから, かなり楽だ. まだ暗い中, Jenbachではくしくも隣のコンパートメントのおじさんと2人で下りた.
ちなみにウィーンでホーム周りで見た時は結構アジア人が目について, やっぱりこういう寸暇と一泊代を惜しんで短距離夜行使うのはアジア人の性か, とかも思ったけど, それが本当かどうかは分からない….
[(Jenbach-Zell am Ziller) : ご愁傷様 ]
イェンバッハでは55分の待ち合わせ. 東の方からじりじりと明るくなってゆく空を見ながら, なんとなくチロルに来たんだよなあと感慨に…ふけってたのかなあ?
Zillertal鉄道は一応私鉄らしいが, ÖBBの売り場で一緒に切符を買えたしÖBBの割引も効いた. 列車は06:55発だったが, 06:49発のVenezia発夜行が10分遅れで間に合わず, 置いていってしまった. Wien発でも乗り継いだのは二人だけだし, そんなにいたかは知らないけどね. 列車は狭軌鉄道で3両編成, 車両間は幌はなく一般客は通行禁止と書いてあったが, 検札の車掌は平気で抜けてきた. 乗客はその他観光客風が数人と地元の人がぱらぱら. 広い谷間は農地から地霧が立ち上って, これでもうちょっと自動車とか建物とか少なければ幻想的な風景になったのにって感じ(苦笑). 前方谷の一番奥でTuxerの白い山並が顔を覗かせ, てっぺんから徐々に日が差していくのがなかなかきれい. 途中から後ろのボックスに入ったおばちゃん達の話し声を聞きながらZell am Zillerに到着. 下りたのは3人で, さすがにほとんどの人はMayrhofenまで行くらしい.
[ (Zell am Ziller散策) : のどかな朝の風景は ]
Zell am Ziller(ツェルアムツィラー)では乗り換え時間が1時間半あるので, 適当にぶらぶら. 8時くらいからぼちぼちお土産屋さんは開き始めているが, まだ人出は少ない. 昨晩の宿泊客らしい人の朝の散歩にちらちらと出くわす程度. とりあえず川沿いに出るとしばらく遊歩道があるらしいので, ぶらぶら回ってくることにする. 犬の散歩に出会う. ナメクジに出会う. …. Ziller Talではもっとも歴史のある街らしいのだが, 結局そういうことは全然気にせずにぷらぷらとりあえずチロルを歩きましたって感じか(苦笑). 開けた谷の一番奥で, すぐハイキングやロープウェイに繋がるMayrhofenと違ってやっぱりマイナーなのかも. こういうところは適当に街外れを歩いてのどかな田舎風景を楽しむのが一番いいのかなって感じ.
View in Ziller Tal
ただの田舎でもきれいなのがさすがヨーロッパで, しかも下地はチロルだもんね.
[ (Zell am Ziller→Krimml Wasserfälle) : 牛だ羊だ徐行だ ]
Zell am Zillerから早々Ziller Talに別れを告げ, 東へと入り込むゲルロス峠方面へ向かう. 4組乗り込んだが1組は自転車持ち込み. へえ, 混んでなければバスでも自転車載せてくれるんだ. 谷から一気に斜面をジグザグに登っていくといきなり渋滞! 何かと思うと, 牛の行列であった. 牛はお行儀よく2列で片側通行しているので, 対向車線が切れるとぞろぞろ反対車線を通過. ところが最後に出会った羊の群れはもうそれどころではない. 車道一杯にどかどかっと広がり, 一応後ろで人間と犬が追い立てているのだが, もう右にふらふら左にふらふら. 対向車は通過するまで止まって待つしかなく, 同方向の我々は100m先で車道から林道へと群れが入っていくまでのろのろついていくだけであった….
Gerlos Paßの辺りからダム湖越しに南側の雪の嶺が見えるようになり, こうなると本当にアルプスだなあと実感. 3000m級の山がイタリア国境まで続いている. 峠を越えてスキー場でバスを乗り換えると, 今度はぐいぐいと九十九折の道路を下りていく. 途中でパッと見えたのがKrimmlの滝の全景. おおっと思ったのはわずかな機会のみ. ちょっと惜しかった. 羊のおかげで15分遅れてKrimmlの滝に到着. …当然全員降りた(笑).
[ (Krimml Wasserfälle 見学) : 高いぞ暑いぞ涼しいぞ ]
クリムルの滝というのは実は日本の観光ガイドにはさっぱり書いてないらしいのだが, 一応ヨーロッパ最大落差を誇る滝と言われている3段380mの滝である. マイナーであろうと,滝好きの(?)私が放っておくわけがない.
バス停横から車道下をくぐって伸びる路をしばらくてくてく歩いていくと料金所があり, 1.5 Euro取られる. 事前に知っていたので驚きはしなかったが, 滝を見るだけでも金を取られるんだなあと. すぐに路が分岐し, 左へ下りていくとすぐに最下段の滝壺へ到着. ここはかなり水量が多く, ごうごういいながら水しぶきが飛んでくる. 涼しい! ただしここからは下段の滝しか見えない. とりあえず少し涼んでから分岐に戻り, 今度は中上段の滝へと上ってゆく. ここは滝の左岸にずっとハイキングコースがついており, 所々で滝のすぐ横などに出られ, 間近で水しぶきなど浴びながら見ることが出来る. しかしハイキングコースといっても当然滝の横, 結構な上り坂で当然てっぺんまでは380m! 最初は観光客もみんな上っていくのだが, どうも上へ行くと段々人が少なくなっていくような…. やはり途中で疲れたり飽きたり時間がなくなったりして帰っていくのであろう. 一人汗をかきかき上っていくと, 他の人とはとくに何もなくすれ違ったり追い抜いたりするのだが, 一組の老夫婦だけ抜きかけたところで"Guten Morgen"と挨拶が来て, 慌てて微笑みながら返す. 一足先に頂上に着いて10分ほどたち, さて引き返そうという時に入れ替わりで上ってきて, お〜, 頑張ったなあ, お疲れ様, といいたいところだが, 言葉を知らない(爆). 結局おじいさんから"Beschäftigt!"(忙しいね), おばあさんからは"Starke Weg"(大変な道だね)とかいわれて, Dankeとかauch IhnenとかJaとか口走ったような気も. 意味不明.
上りに比べ下っていく人が特に少なく思えたのは事実らしい. 滝の奥はそのまま谷沿いに登山コースになっていて, 一番上まで上ってくる人は大抵その奥まで行くようで, それなりの格好であった. なあんだ.
さすがに日本の観光ガイドに出ていないだけあって(?)道中誰一人東洋人らしき人を見かけなかった. 確かになかなか微妙な位置にあり, 時間の限られた観光旅行では来辛いかもしれない.
しかし, この滝, 中下段は間に滝つぼを挟んでいる程度でまあいいのだが, 上段と中段の間はしっかり100m位川になって流れている. これをまとめて最大落差の一つの滝とかいっていいものか? どう見ても「上クリムルの滝」と「下クリムルの滝」って感じだが…. まあいいけどさ.
[ (Krimml → Mittersill) : アルプスのふもとの村,の一つ ]
滝から列車の駅までは約4km, サイクリングコースがあるので40分くらい歩けば着くか, と思っていたのだが, どうもサイクリングコースの入り口を見落として通過してしまったらしく, 戻るに戻れずに結局車道をてくてく歩く. 30分待っていればバスも来たのだが, つい発揮してしまうけちけち魂(爆). 最初のうちはクリムルの街並…というか村並?の横を, 華やかに窓辺を飾った宿と緑の原っぱとのどかな山並を眺めながら歩いていればよかったのだが, 街から出てしまうともう何もない. 車が抜けていく田舎道をただあぢ〜とかいいながら歩くのみ. しかも運動の後にちょっと飲み物でも途中で…と思っていたアテがはずれ, 滝周辺から外れてしまうと道路沿いでは何も手に入らず, 持って来たぬるい水でしのぐ. 唯一の救いは, ふと振り返ると途中で3段の滝が一応半分くらい木々に隠されながらも一応いっぺんに見られたこと. やっぱりまとめて見えないとちょっと寂しいよね. 結局30分後のバスに駅50m前で追い抜かれて無事到着. …駅前も何もなかった. 昼食はここではお預け.
KrimmlとZell am Seeを結ぶPinzgau Bahnは夏はSLも走る田舎路線. のどかな沿線風景は悪くないが, 特に途中に何かある訳ではない. その途中のMittersill(ミッタージル)で途中下車してLienz行のバスに乗り換えるのだが, 下りたのは一人だった. 駅前の食事屋は土曜の午後はお休みらしい. 道なりにてくてく南に下りていくとすぐ商店街に入り, 中央広場と思しきところでアイスパフェ屋さんパン屋さん発見. とりあえず「街」を一周15分くらいでぐるっと回ってみたが, それこそ何もない. ただ南にHohetauernの3000m級の山並みを控えているので, 教会の塔と並べてみるとアルプスの麓の町ののどかな雰囲気が倍増(?)される. まあとりあえずしょうがないので昼ごはんはパフェとビール(あた).
さて, この町の道路はちょっと複雑で, 東西のMittersill-Zell am Seeの道路と南北のKitzbühel-Lienzの道路がくねっと曲がって絡まっている. 中央広場の横には一応全部ダイヤが張り出してあったが, ここってどうも地図を見るとLienz方面には道路が繋がっていないような…. ぞっとしながら時計を見ると後2分. 確実なバス停までダッシュすること約2分. そこへ到着する50m手前で既にバス停を通過したバスの姿が…. でも向かう方向はやはり先のバス停! なんだ行くのかよ…と呆然と見送るオレとバスの運転手の目が一瞬会い, ワンテンポ遅れて再びバスを追いかけて猛然とダッシュを始めると, 気づいた運転手さんが途中で止めて待ってくれた. ありがたい! よかった. 土曜日はこのバスでおしまい. 逃すともうLienzへはたどり着けないところであった. 感謝感謝. いや, 止まらなくても実はバス停で5分休憩してたので間に合ったのだけど(苦笑).
[ (Mittersill → Lienz) : HoheTauernの山並みを抜けて ]
バスは街中のえらい細い一方通行道を抜け, 本来のFelbertauern Strasseに戻ると一路Lienzへ. この道は隣のGrossglockner山岳道路と違い, 5kmのトンネルで両側の谷筋間をぶち抜き, 冬でも閉鎖されない. 乗客は約10人で例によって快適. ビールの後のダッシュでさすがに外を眺めながらうとうと. 数列前ではお子ちゃまが元気な声を上げていたような…. 途中Matreiで何人か乗り降りし, 走り出してしばらくすると…あれ?前のお子ちゃまがいない. でも母親の荷物は残ってるよな. そういえば寝ぼけた頭にはMatreiで下りていったような記憶も. そういえばMittersillでもなんか下りて休憩していたような. ってことはっ! きっとMatreiで勝手に下りている間に誰も気づかずに発車してしまったのでは. …ご愁傷様. 終バスでした….
ともかくこちらは無事1時間半でLienzの街に到着. 今日の終点です. 南のドロミテの山が迎えてくれました.
[ (Lienz 泊) : 景色も気分もいいが, ちと遠い ]
バス停で明日のバスの時間を確認後, まず観光案内所に向かい案内所前のホテルガイドで開き室表示を確認する. そこから無料電話ですぐ予約も出来るのだが, ちょっと自信ないしロケーションと値段がよく分からなかったので, 3軒ピックアップして地図を片手に実際に行ってみて, 眺めてみて気に入ったらそのままフロントで受付して入ろうかと考えた. 1軒目は広場沿い. やめ. 2軒目はちょっと奥の車道と川に挟まれた場所. 悪くはなさそうだが…. 3軒目は…. 地図を見るとそれほどではないような気がしたのだが, 北側の斜面を緩やかに登っていく. 20分かかった. ひい. また汗かいちったい. さすがに上ってきただけあって眺めは最高, 南にドロミテの岩山が聳えていてなんかかっこいい. 当然街からはもう外れていて静か. なによりまた荷物もって戻る気がしなかった. そのまま受付で確認すると, バルコニーのない部屋だけど朝食付42Euroとか. 一応50Euro以下を考えていたので文句もなく, そのままチェックイン. Ferienhotel Haidendorfという名前だった.
荷物を置くと, すぐに街へ戻り夕食. 明日がマラソン大会とかで, 混雑していないか危惧していたのだが, そんな心配をするほどのことではなかった. もっとも土曜の夜もやっている食事どころは少なく, 数件物色して結局チロル料理の店の今日の定食に決定. こちらもウェイトレスさんの言葉をなんとか聞き返さずに理解してほっ. 今回はちょっと危なかったし, 受け答えはややパッとしない返事だったが, これは日本語でも変わらんしな. 滝でも東洋人はいなかったが, こちらでもほとんど見かけず. なんか隣のテーブルのグループや, 向こうのテーブルのカップルや, そこのテーブルの夫婦や, あちこち視線がこちらに向いているような気がして落ち着かない. そんなLienzで日本人って珍しいか? まあいいけど.
宿へ戻る頃にはもうすっかり暗くなってしまい, 暗い夜道をてくてく. 安全上あまりやってはいけないんですけどねえ. まあ田舎町の郊外で付近の住民少々と, その宿と少し隣の宿の客位しか通らない道でスリや強盗狙いなんてまずいないだろうということで勘弁. 部屋に戻り, シャワーを浴びて今日の出費を確認し, 明日のルートのおさらいをしてそのまま23時にはおやすみなさい. 夜行で電気を消して横になれたとはいえ, やはりKrimmlの上り下りも駅までの歩きもMittersillでのダッシュもあるとさすがにきつかった.

9月21日(日曜) : 2日目

[ (Lienz) : 時間ぎりぎりの朝 ]
昨日確認したとおりバスは8:00発なのだが, チェックイン後朝食の時間を確認するとなんと7:00から. 宿からバス停まで20分とすると7:35にはチェックアウトしたい訳で, そうすると飯は7:00ドンピシャか. という訳で, いつも通り6時過ぎに起き, すべて準備をして6:50過ぎに下りてゆき, ちょっと外の空気を吸って教会で7時の鐘が鳴ったのを聞いて食堂へ向かう. …がらあん…. 誰もいない…. そのうち昨日の受付のそっくりの顔をしたもうちょっと歳のおじさん(多分父親であろう)が出てきて案内してくれた. やれやれ.
食堂はパノラマテラスで外の景色はリエンツの街を挟んでドロミテの山々がきれいなのだが, 窓側の席はみんな予約札付き. はいはい, 常連さんは優遇しないとね. どうせオレが食ってる間はまだみんな寝てるんだけど. ついに朝食中誰一人現れなかった. …しばらくビジネスホテル慣れしていたせいかもしれないけど, 普通こんな遅いのか? びっくり.
食後は歯磨きなどの身の回りの残りだけ急いでして即チェックアウト. とてもいい場所ですねえ, 次回はもっと長居したいです, などといって来たけど, 果たして次回はあるのかっ!?(苦笑) ドロミテ辺りでもうちょっと一般的な観光スポットがたくさんあれば休暇がてら3泊くらいというのもいいような気がするが, 果たしてどんなもんかな. まあとりあえずはまだ行きたいところがいろいろ残ってるしね.
[ (Lienz → Franz-Josefs Höhe) : オーストリアNo.1まではがらがら ]
無事5分前にバス停に到着, 8人が乗り込んでLienzを出たバスは一路Heiligenblutへ. 買った切符はFranz-Josefs-Höheまでだが, 通しではなく, しかもHeiligenblutまでは5.9EuroとVon Lienz Nach Heligenblutと明記されているのに, 後者の部分は単に2Euroと書いてあるだけ. 最初からもしかしてこれってもめないかなあとか思っていたのだが….
どうやら乗っていたのは地元の人ばかりだったらしく, 自転車付で乗り込んだ1人以外はみな途中で降りてしまった. Lienzからの道は南側のDolomiteとは対照的に緑の緩やかな谷道だ. 最初山並みを一列越えると一度下りてWinklern. 谷道を進み続けるとだんだん谷筋がところどころ岩っぽくなってきて, 教会の尖塔とよくわからない谷に渡した赤い??が見えるとHeiligenblut. で, あの「??」はなに? ちょうちん?(苦笑)
Heiligenblutでは町を眺める間すらなく, 即入れ替わりにFranz-Josefs Höhe行のバスが来たので乗り込む. 乗ったのは4人. 他にはHeiligenblutからの初老の女性2人と, 先のバスに途中から乗ってきた地元の人らしい人1人. で, オレが"Habe ich schon am letzten Bus bezahlt"といいながら乗ろうとすると…首を横に振られてしまった. しかしどうも理由を聞くと, これは"Nur nach Heiligenblut"とどうやら上半分, つまり先に乗った部分を指して, Heiligenblutまでしか乗れないと言っているらしい. そうではなくて, その下に書いてある"Hier 2 Euro bezahlt"で払ったんだよと言っても, なかなか首を縦に振らない. しかし話がいきなりone-way?とか英語に変わってネタも換わって, "Yes One-Way"と答えると, いったいどこで納得したのかよく分からんが乗っていいと手を振られた. …なんか通じたのか通じてないのか釈然としないが….
Heiligenblutからは先の谷沿いの道からうって変わって, 山の斜面をぐるぐる巻きながらぐんぐん上ってゆく. よっ, これぞ山岳道路という道路からはあっという間にHeiligenblutが下に小さくなり, 向こうにGrossglocknerに連なる山塊が顔を覗かせる. カーブが多いが車も少なく, カーブでインに車両が入っても大丈夫ということもあってか, あまり減速せずにほどなくFranz-Josefs Höheに到着. しかしまあそれほど涼しくはないかも….
[ (Karl Franz-Josefs Höhe) : 天高く聳える嶺は ]
Franz-Josefs Höheは名前の通り, いつぞや皇帝フランツヨーゼフが来たと言うことで名づけられた. 散策コースの途中には白い銅(?)像まで立っていたりする. バス停から自家用車終点まではもう少しあり, 夏のラッシュシーズン用には逆に手前にいくつかぽつぽつ駐車場が増設されている. まあ車道沿いを歩いてもなんなので, ちょっと上にあるハイキングコースを歩いて展望台まで移動. さすがに高山植物の解説版はもう見ても全部枯れてるから意味なし. 道路沿いにもぱらぱら残雪が残っているところをみると, やっぱり先週冷えた時に少し降ったのだろうな. ハイキングコースの一番てっぺんまで行くと, 無料の簡単なNatur Museumがあって, どうやら先のバスに乗った地元のおじさんはここの指導員らしい. 鍵を開けながら"now open!"と声をかけてくれたが, とりあえず先に展望台をひとまわりさせてもらうことにして退散.
ここ, Franz-Josefs Höheから正面のGrossglockner(グロスグロックナー)はオーストリア最高峰であり, 同時に下のパステルツェ氷河(Pasterze Gletecher)は東アルプス最大規模の氷河でもあるそうだ. 当然氷河なんて日本では見たことないので初めてだ. しかしながらさすがに秋だと上にtemporalに積もった雪は全部消えてるから結構汚い(苦笑). そういえば今年は猛暑で氷河の先端がだいぶ溶けて後退したなんて話も小耳に挟んだけどここはどうだったのであろうか. 氷河へ下りるケーブルもあるのだが, なんかあまりみんな乗る気配もないし, 存外斜面が急で自力で上り下りできる場所でもなさそうだったので断念した.
Grossglockner
この展望台はGrossglocknerの東側にあるので, 読みどおり朝日が当たる時の方が青空に日の当たった雪や岩の斜面が映えてぐっど. grossglocknerになるべく朝着たかった理由の一つでもある. 日が高くなると青空がフラットに白っぽくなってあまり映えないんだよね. 今日も雲ひとつない素晴らしい快晴でもう感激だった. あっちでパチリ, こっちでパチリ…. 気づいたらデジカメ写真取りすぎ. ちょっと枚数が足りなくなりそうなので, いつの間にかダブっていたような写真を何枚かその場で処分. なんだかな.
折り返し, 先のMUSEUMに戻ると例のおじさんは最上階の双眼鏡のところでお客と話し込んでいた. ぷらぷら眺めているとそのうち声をかけてくれて, 双眼鏡に鹿を入れてくれた. ラッキー. あちこち鹿の記号が出ていたので多分いるんだろうなあとは思っていたのだが, さすがに肉眼では見つからなかった. Grossglocknerと反対側の斜面の一番上のでかい岩の上だなんて.
10時半を過ぎると駐車場の車もだんだん増えていって, 展望台もだいぶ賑わいだした. 下から上がってくる自動車も渋滞はしていないけどだいぶ増えた感じ. まあ結局展望台外には出られるわけではないし, その辺で昼寝をするようなスペースがあるわけでもないので, 結局は2時間で十分だったのかな. バスの接続的に30分か2時間か5時間か, みたいなところがところがあったので, パッと見れば30分, マジメに見ると5時間くらいかかるのかなとかも思ったのだけど, さすがに30分では忙しそうだし5時間は長すぎるようだ.
[ (Karl Franz-Josefs Höhe → Zell am See) : アルペンの力 ]
11:35のはずのバスは20分遅れて到着. …なんと行きのあの運転手であった. え, もう帰るの? と言われたような気が(苦笑). 気のせいかも. とりあえずnach Zell am See, Zell am Seeへ「行く」んだという意味合いで言い返しといたが, 通じたのやら. なおZell am Seeまでの切符はくれたが, 今度は途中Ferleitenで乗り換え. しかも料金は通し. え?
乗ったのは3人. 2人は自転車持ち込み. どうやらてっぺん(Edelweiss Spitze)まで乗っけていって, 楽に下って帰ろうということらしい. Heiligenblutへの分岐点Guttalを過ぎると, 再び道路は斜面をぐいぐい登っていく. もうこの辺は荒涼とした岩場に雪がチラチラみえるだけ. 高山という雰囲気が非常に強い. 最後に峠を短いトンネルで抜けると, Grossglocknerの北に連なる山塊が白く輝いて鎮座しているのが目に入ってくる. わお! 実はこっちから入るとえらいダイナミックな眺めなんだな〜とか思いつつ最高点Edelweiss Spitzeへ. ここで自転車の二人は降りて, バスは貸切状態になる.
Edelweiss Spitzeからは今度は道路はぐいぐいと下り始める. しかし何より驚いたのは, この道路を自転車でひっきりなしに登ってくる人がいること! Ferleitenからだとこの坂を延々1500mとか上ってこないといけない訳だ. それってある意味尊敬に値するよな. 荷物を背負っている人, 水しかもっていない人, 立ちこぎしまくっている人,体力セーブでのろのろ上がってくる人, 早々下りて押している人などいろいろいるが, ともかく根性があれば自転車の最軽ギアだけで上れるところではあるまい. すごい…. しかも子供や女性も結構いる. せっかくのこの景色も疲れてあまり楽しめないんじゃあとも思うけど, やっぱりアルプスだからこそこんなところまで自転車で来るんだろうなあとは思う. しばらくいくとようやく谷筋が深く落ち込み, その底へめがけて更にどかどか下りていく. 下りきったところがFerleiten. ここでバスを乗り換えてZell am Seeへ向かう. 本当はここで30分近く間があったのだが, 上での出発が遅れたため10分程度の乗り継ぎになった. しかしもっと何もない中間点だと思っていたのだが, 結構賑わっているのだな. ここがHohertauernの北側Fuscher Ache沿いの最奥の住みかで, ここから山側が冬季通行止めになる.
乗り換えたバスは普通の路線バスの風情で, Zell am Seeへ向かう. こちらの運転手は, Habe ich schon von Franz-Josefs Höhe bezahltとなんとなく意味不明なドイツ語を言って券を見せたらすんなり通してくれた. ほっ. バスは途中Fuschの駅に寄り, Zell am Seeの駅への入り口を…通過してしまった! 一瞬びくっとしたのだが, 実は一通でこちらからは入れず, 一本先からぐるっと回って入っただけであった. 再びほっ.
[ (SchmittenHöhe) : 最後には総括を? ]
Zell am Seeの湖畔から少し奥に入ったところにSchmittenhöheという2000mの山があり, そこへロープウェイで上ると辺りの山がすべて見渡せるらしい, ということで, やはり最後は全部見たいかなと思い, 駅で帰りの切符を購入すると再びてくてく歩く…. Zell am Seeのバスのターミナルである郵便局前を過ぎて, ロープウェイへの道へ入るとすぐに, この先2kmの表示を発見. すぐ手前にはZeller bahnという, 標高1300m程度まで上がるロープウェイもあるのだが, こちらはあいにくと今年は改築で営業中止である. 2kmなら20分くらいかな, なんて軽く歩き始めたのだが, この道がまた意外に上る. 上りだと筋肉痛は大丈夫だけど, 何より暑い! もう何度目かの「長袖で後悔した」のフレーズを頭の中で思い浮かべながら, なんとか20分で到着. ちなみにバスだと5分だ. 普通は乗るだろう(苦笑). 窓口で往復券を買い, 乗り場に行くと…ちょうど出たところで15分待ち. がっくし. 15分後の便には犬ご一行様と老人ご一行様とぞろぞろ乗り込み6分の旅. ロープウェイはすぐ空の上(?)なだけにあっという間に眺めが良くなるのが快感だ. それでいて上っていけば更に遠くまで見えるようになるのだから好きである. ただしシーズンはここも行列を作るほど賑わうのか, 乗り場前にはくねくねとかなり長い誘導柵が伸びていた. 今はそんなに乗客はいないので誘導柵は全部すっ飛ばしてそのまま入り口へ向かえるが, 客が多いと輸送力が足りないのはロープウェイのネックだよね.
頂上からは南には先のGrossglockner方面に隣に際立つKitzsteinhorn. 北にはGarmisch-PartenkirchenからSalzburgの南に延びるドイツアルプスの山. 北東にはSalzkammergutからDachsteinへ. そして南東にはAnkogelなどBad GasteinからMallnitzの山々が一堂に見える…ハズだったのだが, さすがに私の神通力も足りず, 昼過ぎから雲がわいてしまい一部は雲がかかってちょっと厳しい眺めになってしまった. 昨日から1日半持ったのにな. 残念.
この辺りは一面スキー場になっていて, 夏は見通しのいい稜線をてくてくとお散歩が出来る. 2時間弱くらいは余裕があるので適当にぶらぶら. ここへいくぞ! っていうような気張ったのではなく, まあ頂上がその辺に見える範囲でぷらぷら歩くというのもまあそれはそれで悪くない. もう後は帰るだけですべて予定が終わっているという気楽さもまああるのかな.
Kitzsteinhornの東側に際立つ谷筋が見えるが, ここはKaprunというZell am See周囲では有名な観光地らしい. なんか峡谷がきれいだとかなんかいろいろパンフレットに書いてあった. そんなの最近初めて知ったくらいで, 日本的にはあまり有名じゃないんじゃないか, 日本の人はどれくらい知ってるのかな. Zell am Seeからバスでいけるらしい. 機会があったら来てみたいな.
なんて思っていたら後で知ったのだが, 昔Kaprunのケーブルで火災事故があって日本人スキー客も死んでたんだね. あらら.
さて, 予定より15分早く下りてきたので帰りも歩きでえっちらおっちら駅まで戻る. 下りは逆に, 昨日のKrimmlだかMittersillだかの労働(?)がたたって筋肉痛が堪え, 行きよりかえって時間がかかってしまった. それでも駅では列車の時刻前まだ後20分ほどあったので, ちょっと湖沿いへ出てみる. 駅のすぐ裏側はそのままZeller Seeで, 駅の端っこの先の踏切から湖沿いの小道とベンチに出られるのでちょいとそちらで休憩. はあ. 疲れたわ. ところで目の前, 湖の中に白鳥の形のでかい物体があって, 最初, そういう遊覧ボートなのかと思ったのだが, 良く見ると窓がない. そうすると置物か. だがふっと目を離して戻すと…, 回ってる? しかもいつの間にか逆回転になってるし. いったいどういう趣味で誰が作っておいたのであろうか. なんか不思議なモニュメント白鳥であった(苦笑).
ホームへ戻り, まもなく到着した列車はすんなり座れてほっ. さあ帰りましょう….

現地の行程

9/19(金)
0日目
Wien Westbahnhof dep 23:25 ÖBB-EN268/D768
(金土日運行)
25.60Euro
(45.50)
+3.40Euro
9/20(土)
1日目
Jenbach arr 06:00
dep 06:55 Zillertal鉄道 2.20Euro
(4.40Euro)
Zell am Ziller arr 07:36
Zell am Ziller 散策
Zell am Ziller dep 08:52 ÖBBバス 4.60Euro
Königsleiten arr 09:40
dep 09:50 Postバス
(10/5迄)
3.00Euro
Mautstelle Ost(Wasserfälle) arr 10:10
Krimml Wasserfälle ハイキング 1.5Euro
Mautstelle Ost(Wasserfälle) dep 12:25 徒歩 ---
Krimml Bahnhof arr 13:16
dep 13:33 Pinzgau Bahn 2.50Euro
(4.50Euro)
Mittersill arr 14:15
Mittersill 散策(昼食)
Mittersill Bushof dep 15:47 Postバス
(祝以外の土曜)
9.80Euro
Lienz arr 17:05
Lienz 散策(夕食,宿泊)
9/21(日)
2日目
Lienz dep 08:00 ÖBBバス 5.90Euro
Heiligenblut Winkl arr 09:00
dep 09:00 Postバス
(9/26迄)
2.00Euro
Kaiser Franz-Josefs Höhe arr 09:30
Kaiser Franz-Josefs Höhe 散策(昼食)
Kaiser Franz-Josefs Höhe dep 11:35(20分延発) Postバス
(9/26迄)
8.20Euro
Ferleiten arr 12:35(15分遅延)
dep 13:02 ÖBBバス
(9/26迄)
Zell am See Bahnhof arr 13:40
dep 13:50 徒歩 --
Schmittenhöhebahn Talstation arr 14:10
dep 14:30 Schmittenhöhebahn
ロープウェイ
18.80Euro
Schmittenhöhebahn Bergstation arr 14:36
Schmittenhöhe 散策
Schmittenhöhebahn Bergstation dep 16:15 Schmittenhöhebahn
Schmittenhöhebahn Talstation arr 16:22
dep 16:23 徒歩 ---
Zell am See Bahnhof arr 16:55
dep 17:28 ---

注 :
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