旅行記 : Part4

宴の後、夢の跡。 ツークシュピッツェ/ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ)

2003年10月11-12日

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行程マップ

2日目 : 10月12日(日曜)

[爽やかな朝 : Schwangau]
朝明るくなってきて目が覚める. 時計を見ると7:10. 朝食は8:00からというので, 7:15にアラームをかけたのだった. ぐっどタイミング! 西向きの部屋だが南側に草原が広がっており, 窓を開けると朝日に輝くちょっと色づき始めた木々が鮮やかに光っている. すがすがしい朝だ. 今日はよい日かな?(笑)
8:10に朝食に降りていくと, 夫婦が一組朝食中であった. なんかいままでビュッフェ形式の朝飯は遠慮してたくさん食べ損ねていたので, 今日はきちんと食べるぞと部屋を出るとき誓った通り(笑), しっかり40分もかけて十分頂きました. 途中オーナーのおじさんがご挨拶に来て, にこやかに良く眠れましたか, なにか足りないものはありませんかと. 後から来た客にも同じように挨拶していたので必ず全員にやっているのかな. 感じいいね. いやいや, もう"sehr gut geschlaft"でございました. まあ昨日はめちゃめちゃ疲れてただけだけど. 部屋そのものは普通に近代的機能的な部屋で, 特に古いヨーロッパを感じさせるようなものではないけれど, まあオレは宿は快適に泊まれりゃそれでいいのでね.
予定を超過してのんびり朝飯を食ってしまったので急いで支度をし, チェックアウト. その時おじさんが地図のコピーを渡しながら, Neuschwanstein城へ行くのには, "Alle Menschen gehen diesen weg, aber dieser weg ist sehr sehr wunderbar!"(みんなこっちの道を行くけど, この道の方がずっとずっときれいだよ!) と裏道を教えてくれた.
[せっかくの朝が… : Schwangau]
さて, ちょっとハッピーな気分で宿からお城のチケットセンターへ向かう. 10月からの冬期は公開は10時から, チケット販売は8:30からのため, 9時くらいには城に着こうと思っていたのだが, チェックアウトが9:10では大遅刻, ちょっと早歩きで, 手に持つ地図を眺めながらすたすた…ぐにゅ! え! 嫌な感触, 予想通り足元には牛の糞…. せっかく爽やかな朝からなんてこったい! とりあえず道端の草に擦り付ける. 草地ってそれなりにでこぼこしてるし, 朝は結構水滴とかついてたりするから結構落ちるのだけど, さすがに全部というわけにはいかない. 牛の糞つきで城に入るのか, とか思うと思わず苦笑いだったが, まあ途中で水溜りにてきとーに足を突っ込んでおいたから, だいたいは落ちただろ(爆).
さて, ともかく約30分でチケットセンターに到着. この城はガイドツアーのみの見学である. ふもとのチケットセンターで指定された時間に入場する. 案内を見るとどうやら両方の城を見るコースでは間に2時間, トータルで2時間半以上かかるらしい. しかも城は山の上だから下りて来る時間も必要. 現在入れるツアーの時刻というのはディスプレーに表示されているのでそれを覗くと, Hohenschwangauは10:25とか. 最低13:35のバスに乗らないと今日中に帰れないので, 10:25にHohenschwangau, 12:25にNeuschwansteinで13:05に出てくると, 城からかけ降りてくるのに20分で13:25. 間に合わないことはないがこれは苦しいし昼飯も食えない. あっさりHohenschwangauは諦めた. ある意味完成していないNeuschwansteinよりHohenschwangauの方が中は見学のしがいがあるのでは, とも思わなくもなかったがまあいいでしょ.
Neuschwanstein城というのはLudwig IIが途中で死んでほとんどが未完成の, 彼の夢の跡の残骸であるため, 実際に見学できる部屋数は少なく, ガイドの薀蓄で時間を持たせてるのではないかという感じ(苦笑). それはともかくいくらなんでもドイツ語ツアーを理解できるとは思えないし, 例の電話機型パーソナルガイドを貰うのもシャクなので, 迷わず英語ツアー. 受付の行列はそれほど長くなかったが, 順番が来るまで6分. どうやらあちこちから来た人が言語や勝手が分からないのか, 窓口で引っかかるらしい. でもたいそうなことを聞かれている訳ではなく, どの城を見学して, 言語を確認して, 時間を確認して, 代金を払って券をもらうだけ. オレは1分もかかったかどうか. みんななにやってたんだろ(えへん). 11時か. オーナーさんに教えてもらった裏道だと城まで1時間かかるそうだから, 実質は待ち時間はほとんどないということか. よかった混んでなくて.
[Wunderbar(ワンダフル)な裏道 : Hohenschwangau → Neuschwanstein]
Neuschwanstein城へは坂道を約30〜40分, 約120m上る. 幾つかコースがあって, バスが入る奥のなだらかな道, 馬車が入る中くらいの道, 馬車道をショートカットするやや急な道の3本がメインらしい. みたところ馬車道を歩いて上がる人がほとんどで, バス道をバスで上がる人とショートカット道をあがる人がそれなりといった感じ. オレはそのどれでもなく, 一旦村方向へちょっと戻り, Pöllat wegという静かな道を折れる. 遥か前に一団体数人, 遥か後ろに1人, 確かにガラガラだ. 道も静かだし確かにいい感じだね, なんて思いながらしばらくてくてく歩いていくと, やがて城の北側をぐるっと回り裏側へ入る道へ分岐する. お, 沢の音がするな. おれ沢沿いの紅葉の季節大好きなんだよなあ, 実は結構いい道教えてくれたのかな, といざ入っていくと…いやいや…想像以上でしたよ! 一応Pöllat峡谷と名のついているこの谷は, 豊かな水量を滝状に落としながら岩の間を抜けてゆく. 道はその岩に貼り出してつけてあり, つまり足下は沢の上! 沢は南から流れ日差しが差し込んで紅葉が, 水しぶきが映えること! ありがとうオーナーさん大感激です!(ちょっと嬉しすぎて風景描写には誇張入ってる気もするが(笑)) そして入口から10分で目の前に現れたのは滝(Pöllat Fall)! その真上にかかるのがMarian Brückeか. この橋まではそれなりに来る人がいるらしいが, この滝を下から見られるんだよ. この道, 来ない手はないよ. まあ普段歩かない人にはしんどいかもしれないけど(苦笑). 他の道とは違い一応れっきとした未舗装ハイキングコースなので, 革靴とかは不可. 滑るし. 最後はそのMarian BrückeとNeuschwanstein城を結ぶ道の中間へと石段交じりの急坂を上り詰める.
1時間というのを信じてすたすた登ったら早く着きすぎたので, 先にMarian Brückeへと向かう. 途中Hohenschwangau城とAlpseeの展望台があり, 一緒に見えるが団体さんで大賑わいだった. 朝は良く晴れていた空だったが山には早くも雲がかかり始めちょっと惜しい. 更にもう少し登るとMarian Brücke.

Schloss Neuschwanstein

正面にNeuschwanstein城が朝日を浴びて白い壁を輝かせ, 後ろにはのどかにSchwangauの緑の草原に点々と家が散らばる. そしてその向こうにはForggensee. 素敵な眺めじゃないですか. …しかし一部城改修工事中の幕が無様だな(苦笑). ともかくこれくらいなら近いんだからみんな来なきゃ(笑). ここはタダなんだから見なきゃ損損. なお滝はまさに橋の真下. 欄干に寄りかかって覗き込まないと見えない. かなり高いので高所恐怖症の人は無理(苦笑).

[ちょっと待てえ! なぜ入れん! : Neuschwanstein城]
城に到着すると入場7分前. ちょうどよかった. 自動改札機上の番号表示が該当番号になったら磁気入場券を機械に差し込めばいいらしい. 辺りを見回すと随分いろいろな国の人がいること, あちこちでばらばらな言語が飛び交っている. 当然アジア人も結構多い. だいたい例によってカップルだと中国人で, 中高年の団体さんは日本人. 今回はあまり韓国人はいないみたい. 韓国人の休暇はやっぱり夏だけなのか?
さて, 順番のツアーナンバー424番が来たのでいそいそと入口へ向かう…先に3人ほどの家族が入ったのだが, あれ? 後についてくる人がいない…. 階段を登るとツアーの待合場所がもう一度あり, ドイツ語及び多言語の列と英語の列に分かれていて, ドイツ語の列にはぞろぞろ. どうやら一つ前の番号の人らしい. 前に入った家族はどうやら前のグループの遅刻寸前者で, ドイツ語の列へ入っていった. しかし英語の列には待てども誰も来ない…. え? オレだけ?(どかん) しばらくすると係員が来てドイツ語の列のゲートを開けて中へと案内され, ぽつんと一人取り残されるオレ. そしてしばらくすると次のドイツ語の列425の人々がぞろぞろ上がってくる. もしやオレって貸切案内?とか苦笑いしながら順番を待っていたのだが, やがてやってきた係員が開けたのはオレの側のゲートではなく, 再びドイツ語側のゲート. こらっ! オレのツアーは後回しかよ! ゲート越しに「いつまでまたされるんだ!」と抗議したらなだめるように手を振りつつ引っ込んでしまった. くそ〜. しばらく待つとやがて426番の英語のグループの人がぱらぱら上がってくる. どうやらおれのツアーはキャンセルされて10分後のグループに吸収されてしまったらしい! ――いやいや, 混んだ待たされたという話はたくさん聞いたことあるが, 人がいなくてツアーがキャンセルされたなんて聞いたことないぞ?! ある意味貴重な体験をしたんだろうか….
[ワーグナー尽くし : Neuschwanstein城内部]
さて, ツアー426の順番が来てようやく一緒に中に入れられる. ガイドさんの言葉はもちろん英語(当たり前). 解説は別にたいしたことないのだけど, 普段使わない材質とかの単語がほいほいと出てくると結構面食らう(苦笑). まあ全部聞き取らないと気がすまないとかでなければ普通に英語が使えれば十分だと思うが.
しかしニーベルングの指輪, パルジファル, トリスタンとイゾルデ, ローエングリン, タンホイザー, 後なんかあったっけ? いやあオペラのあらすじくらいおさらいしてくるんだったか(苦笑). せっかく絵を見ても解説を聞いて, ええとそうだったっけって感じ. 高い金払ってるのにもったいない(爆). 窓の外を覗くと時折例の滝が見えるんだね. そりゃそうだ. 橋から城が良く見えるんだから. テクニカルなことに関しては, この城はちゃんと更に高い山の上に貯水池を作って水圧で水を上げてるんだってね. でもまあさすがに19世紀の城だけに, それくらいはするか. あと, 照明は基本的にろうそくなんだろうけど, タンホイザーのヴィーナスの洞窟モドキは実は本当に電灯と色ガラスを使う予定だったとか. 未完成だったらしいが. これはへえって感じ. かくしてへえとかはあとかいいつつぐるぐる回っているうちにあっという間に回り終えてしまい, さっさと出口前の土産物屋へと追い出されたのであった(苦笑).
確かにワーグナーに傾倒したLudwig II世がものすごい勢いで金をつぎ込んで作ろうとしただけのことはあり, さすがに絵画も彫刻も非常に豪華. しかし端正すぎて生活臭や本来城が持つべき要塞拠点としての重厚さはもはやかけらもないよな. 城ではあるけど本来の城ではないという感じ. そういうところがおとぎの世界たる所以なのだろう. まあだからこそこんな田舎の山の上に立つにもかかわらずFestung(城塞)ではなくてSchloß(宮殿,城)なのだろうな. まあそういう歴史を踏まえた上で, 見ておく価値はあるのだろうね.
[遅いぞおんまさん(笑) : Neuschwanstein城 → Hohenschwangau ]
下りはまっとうに急坂ショートカット道を下りる. 途中までは馬車道と一緒だが, 馬よりオレの方が速い. まあ馬もお疲れさんだし. 途中で上りの馬車ともすれ違ったが, さすがに少々しんどそうだった. お疲れ様.
[ざけんなオラァ! : Hohenschwangau]
12:27に下りてバス停でバスの時間を見ると, 次は12:40, そして帰宅最終接続バスが13:35. これならFüssenに出てしまってから昼食にしようかと思い, バス停で待つことしばし. 12:40…来ないな. 12:45…来ないぃ. 12:50…来ないっ! 12:55…来ねえぞっ!! 13:00…うおりゃあ来ねえじゃんかっ!!! 11時に場内に入った辺りからもうすっかり曇ってしまい, 気温は降下中, 動かず待ってると寒いがいつ来るか分からないから動くに動けない. それに13時過ぎまで待ってしまうともう残り時間ではまっとうな食事は採れない. ぐえ. 他の待っていた乗客が反対方向のバスが来るたびに聞いては苦情を言っていたが, 首を振られ手を振られ軽くあしらわれていた.
13:10まで待って諦めてバス停横のインフォメーションのベンチへと引っ込む. ああ, 昼飯食べ損ねたわ…. ぽけーっと待っていると, 老夫婦がやってきて隣に腰掛ける. ああ日本語しゃべってるぅとか思っていると話しかけてきた. 「一人旅ですか?」 ええ, まあ. 「お嫁さんは?」 いえ, まだ. 「学生ですか?」いえ, こちらに勤めてて. 「ご両親心配してるでしょう」余計なお世話だ…とは言わなかったが, ええまあ, でももう下宿生活長いし. 「うちの息子と一つ違い? ああ, でもやっぱり心配ですよぉ」 はいはい. 心配してくれてないとは思ってないさ, そりゃ. とも言わなかった.
まあそれはともかく, なんだかんだいっても旅行先で日本人と喋ったのはこれが初めてなんだよな. さすがに当初の切実さはもう慣れてなくなったけど確かにずっと日本語には飢えてるので, まあこんな話でもしてくれりゃ一応嬉しいです, はい.
…結局12:40のバスは来ず, 13:35に定刻どおり次のバスが来た. 昼飯はFüssenの駅の売店で売っていたチョコバー2本…. さすがに足りずに後でMünchenの駅のImbissで食い足したけどさ.
[さあ帰りましょう]
帰りはBuchloe乗換で一度München(ミュンヘン)へ出て, それからSalzburgへ. 今回はコース未定の関係でやはり帰りの切符を事前に買うことが出来なかったが, Füssenからの場合は例のSchönes Wochenende Karteを使うとまっとうに片道券買うより多少安いので,再び使用.
MünchenでREに乗り, 発車を待っていると, 中国人の女の子がふらふらやってきて, Schönes Wochenende Karteの使用者ですか, Salzburgへ行くのですか, と聞いてくる. もういいたいことは分かった, ただ乗りさせてくれと. この券実は5人まで使えるので, 大人数だとめちゃめちゃお得なのだ. それに便乗したいらしい. 話によると元München住まいだが, 現在Salzburgに住んでいるので時々友人と会いに週末に往復するのだとか. こういうところちゃっかりしているのはやっぱり中国人なのか, 慣れれば学生皆やっているのかは知らんけど, さすがにただ乗りではオレにメリットがないし不快なので, 一応数Euroだけ頂く. einige(数)といってほんとにこれだけしか出てこない辺りがいかにも出さんぞって雰囲気やなあ. まあいいけどさ. 今度そういう機会があったらもうちょっと高めに吹っかけてみようか(笑). 後で今回の出費総額を計算したら1.8Euroだけ足が出ていたので, やっぱりもう少しもらえばよかったとちょっと後悔した(爆).
しかしまあ何が楽しゅうて中国人とヘタクソドイツ語会話せなあかんねん. まあ練習にはなるけど. 一応通じてはいたらしい.
その女の子とはSalzburgで別れ, こちらは更に乗り換えて地元へと向かう. 遠いなあ. その列車で検札に来た車掌, オレのVorteils Cardの写真を眺めながら"Ist das Sie?" とか言い出して, 思わず苦笑い. いや, 床屋へ行ってないからだいぶ髪形変わってるし, 現在飲んでいる薬の関係で顔も幾分丸いので, パッと見の雰囲気がだいぶ違うのは認めるけど. まあ"Ja, Sicher."で認めてくれたが. いざとなりゃパスポート身分証明でもいいし, なにより昨年の自転車転倒事故の傷がポイントになるので, 最後まで認めてもらえないことはないだろうけどさ. なんだかな.
いやいや結構ハードな旅だったかな, 今回は. だいぶ疲れました. ではまた来月.

現地の行程

10/11
(1日目)
Innsbruck Hbf dep 06:35 DB-R5404 --
Garmisch-Partenkirchen Bhf arr 07:59
Partenkirchen散策
Garmisch-Partenkirchen dep 09:15 Bayerische Zugspitzbahn
登山電車
24.50Euro
Grainau arr 09:30
dep 09:36
Zugspitzplatt arr 10:24
dep 10:45 Gletscherbahn
ロープウェイ
Zugspitzgipfel arr 10:49
Zugspitzgipfelから観望
Zugspitzgipfel dep 11:30 Tiroler Zugspitzbahn
ロープウェイ
20.00Euro
Zugspitzbahn Tal Station arr 11:37
dep 11:55 Tiroler Zugspitzbahn
バス
1.80Euro
Ehrwald Zugspitzbahn Bhf arr 12:00
dep 12:30 DB-RB5480 5.30Euro
Reutte in Tirol Bhf arr 13:00
dep 13:06 DB-RB5524
Ulrichsbrücke,Füssen Bhf arr 13:16
(5分遅延)
ハイキング:Ulrichsbrücke〜Unterpinswang〜Alpsee〜Schwangau
Hohenschwangau arr 15:20 -- --
Schwangau散策,夕食,宿泊
10/12
(2日目)
Schwangau観光, Neuschwanstein城 8.00Euro
Hohenschwangau dep 13:35 バス78 1.45Euro
Füssen Bhf arr 13:44
dep 14:05 DB-RE21453 28.00Euro
Schönes
Wochenende Karte
Buchloe arr 15:16
dep 15:20
(9分延発)
DB-RE21213
München Hbf arr 16:07
(5分遅延)
dep 16:48 DB-RE31027
Salzburg Hbf arr 18:44

参考資料


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