ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 44

憧れの岩峰群をもう一度、ドロミテ セッラ山群(イタリア)

2006年8月26日(土)

中欧全体地図
行程マップ

[今度は西側 : ドロミテ西部]
昨年訪れたDrei Zinnenをはじめとするドロミテ東部の山々の印象が非常に素晴らしく, 今年も8月中になんとかドロミテへと思っていたのだが, あいにくの悪天候と諸般の事情で時間が取れず, どうしても一日のみということになり, それでも行けないよりはマシということで, これまた苦肉の突撃! ザ・チロル第4弾, 行き帰り夜行の日帰り強行軍での訪問となった. 出来る限り朝早く現地にたどり着け, 風景も楽しめそうなルートを時刻表とにらめっこしながらいろいろ調べた結果, Bozen(Bolzano), Brixen(Bressanone)からアクセスするGrödnertal及びSella山群をぐるっと取り囲む西部の峠越えの道はオーストリア側からのアクセスがよく, バスの本数も多いということが分かったため, ここを回ることにした.
入口となるGrödnertalへはBozen, Brixenいずれからもバスがあるが, オーストリア, ブレンナー峠側からのアクセスは当然北側のBrixenの方が便利で時間の短縮になるのでこちらを利用. 帰りは同じルートを戻っても時間的には変わらないが, せっかくなのでCorvaraからそのまま北上し, Pustertal線のInnsbruck直通列車にあわせてBruneck(Brunico)へ出て, オーストリアへ戻ることにした.
今回も往復夜行の座席車利用で, 予約はなし.


[Brennero : 金返せ!]
前回同様Brenneroまでは国内線の切符で乗車し, ここでイタリアの切符を購入. しかし今回は乗換え時間が短い. 急いで切符の自販機へ吹っ飛んでゆくと, 前回使った南チロル統合料金システムのカード自販機の脇にイタリア国鉄の自販機が新設されていた. これ幸いとこちらで買おうとすると…硬貨が入口で引っかかって認識されない! ぐわっ! これが悪名高いイタリア国鉄の現金飲み込み自販機かっ! しかしこの列車に乗り遅れる訳にはいかないので投入した4Euroは泣く泣く諦めて放置, 結局前回同様南チロル統合料金システムのカードで刻印を打ち乗車. ああ, 金返して欲しい….
[Brixen→Ortisei : 再会の岩峰]
Brixenでバスを待つ. 駅前のロータリーと道路の反対側と三箇所ぐらいバス停があったので, 道路の真ん中に出たりしながら左右からやってくるバスを逐次確認. バスゆえ, 誰もいないと思われて通過されては敵わない(苦笑). 数台目のバスにSt. Ulrich, Wolkenstein行きの表示があり, ちゃんと駅前のバス停に止まった(笑). ここもドイツ語圏ということで普通にドイツ語で乗車. うん, やっぱりイタリアのバスは安い!
さて, BozenからGrödnertalへのバスはGrödnertalの谷底をじりじり上って行くのに対し, Brixenからのバスは谷に入る前に一気に斜面を登ってしまい, 上にある村をいくつか回ってゆく. 斜面を登っていくと奥に聳える岩峰の景色がどんどん開けていく. そして間もなく奥には朝日とSella山群の岩壁を背にしたLangkofelの北面大岩壁! これが見たかったのよねー. 駅を出た時はガラガラだったバスだが, 途中で地元民と思しき人が何人か乗り降りし, 斜面を登った上にあった村では, ハイキングスタイルの明らかにバカンス客が何組か乗り込む. 気分はすっかりハイキングモード…だが, 今回も早くも雲がもくもく. 早過ぎるよ!(半泣) バスは少しずつ斜面を降りて, 逆に谷底を上って来たBozenからの道路と合流, まもなく到着した村がGrödnertalのリゾート村の一つ, St. Ulrich/Ortisei(サンクト・ウルリッヒ/オルティセイ). ハイキング地図を見ながら, 降りるバス停は多分車道から村中に入ったところかなーと見ていると, やはり街中に入って行き, 広場で停車. みなここで降りるらしい. バスはもう少し先まで行くが, 乗り換えバスがここ始発なので私もここで下車.
[Ortisei→Sellajochhaus : 渋滞の上り坂]
ここからは観光客用に走っているSella山群を一周するバスに乗換え. といっても少々時間があるので村をぶらぶらする. さすがチロルのリゾート村, イタリアとはいえやはりチロル風建築の建物のバルコニーにはゼラニウムなどの花が飾られ, とてもお洒落. 少し距離のある谷底のため先ほどまで見えていたLangkofelの岩壁などは見えないが, セッラ山群の棚状岩壁が良く見える. ただまだ少し朝が早いため店はぱらぱらとしか開いていない. また店の並ぶこの中心部側に比して, 宿は全体的に車道の反対側, つまり谷の南側に多く並んでいるみたいな感じだ. まあ中心部自体は小さいのでするっと一周して戻ってきてもたいした時間はかからない.
10分くらい回ってバス停に戻ってくると, 数人バスを待っていると思しきハイキングスタイルの人々の姿. そうこうしていると, 止まっていたバス一台に運転手が乗り込んで表示変更. Sellajochhaus行. おや? 次のバスはCanazei, Arabba方面へぐるっと回るバスだったような. でも私の行き先はSellajochhaus, こちらが先に出そうなので他のハイキング客に続いて乗り込む. 何人か話を聞いていたらその後にちゃんとCanazeiやPordoijochへ行くバスも出るらしく, そちらへ回る人もチラホラ. まあ10分早く着くんだからいいっしょ.
St. Ulrich/Ortiseiを出発したバスは車道に出てしばらく谷底を走る. 谷最奥のリゾート村 Wolkenstein/Selva辺りへ来ると再び真横にLangkofelの岩壁がでーん! なにせ谷底から一気に1500m近く上を見上げるのだからこれは壮観! …のハズだったのだがやはり上部はかなり雲が多い…. もう9時過ぎということで街の通りは朝食を済ませてハイキングや散歩, レクリエーション等のために出てきた人々でぎっしり. 通りが狭いため車は軒並み徐行. Wolkensteinの最奥集落Planで谷は終わり, いざ上り坂! しかしこれが大混雑. この時間にたくさん車が下りてくるということは, おそらくCanazeiやCorbaraなど上の村に泊って今日一日かけて帰宅する人たちなのだろう. さすがアクセスの良い土地柄だけあって, マイカーで訪れる人が本当に多い. そしてヘアピンカーブではバスが対向車とすれ違えないため, いちいち対向車にカーブの手前で止まってもらわねばならず, 譲ってくれない限りは延々と足止めという. その辺り路線バスは慣れていて比較的すいすい突っ込んでいくのだが, 前を走る観光バスなどは運転手が慣れないのかそうもいかないらしく, そこから渋滞になっていたのだった. 結局そのバスはヘアピンカーブの少し先の道の広いところで退避, 後ろで待たされていたバスも含め追い抜いてからは概ねすいすい. ん, いい感じ. 左へGrödner峠経由Corvara方面への道を分けると, もうほとんど森林限界の上となり, その先Sellajochへ向かう道は牧草地とガレ地の間の概ね緩い上りとなる. 左にSella山群の岩壁が, 右にはLangkofelの尖塔が聳える…のだが, この時間には既に頂上付近は雲の中. 残念…. 夏は営業していないスキーリフトを幾つか見送ると間もなく終点Sellajochhausへ到着. ちなみにSella峠2240mはもう1km程先に見えているが, 今回は通らない.
[Sellajochhaus→Langkofelscharte : 立ち乗りです]
ここからは西側に聳えるLangkofel/Sassa Lungo(ラングコーフェル/サッサルンゴ)とPlattkofel/Sassa Piatto(プラットコーフェル/サッサピアット)の間のコル, Langkofel Scharteへゴンドラリフトで上がる. 時間によっては歩いて登ろうかとも思っていたが, 天気が微妙なのと, やはりリフトの下を歩いて登るのはマヌケということで止めた. 結構乗客がおり, 少し行列を作った.
さて, このリフト. 二人立ち乗りである. 当然ゴンドラも縦長. なんでだろう? 冬場にスキー板ごと乗れるからとかだろうか? 私は一人なので一人乗り, カップルなどでなければ無理に押し込まないようだ. ちなみにゴンドラはろくに減速しないので, 二人は前と後ろに分かれて順々に来たゴンドラの手すりを掴んで飛び乗る形になる. 豪快!(笑)
ゴンドラ内では既に目の前のLangkofelとPlattkofel上部は雲の中なので, 主に後ろ側の風景を眺めながら. こちらもだいぶ雲は湧いているのだが, まだPiz Boe, Marmolada等の主峰と遥か下の谷底の村が見える. ゴンドラの窓が傷だらけで鑑賞の邪魔なのが難点だが, やはりこの景色だよねえ, 見たかったのは. 最後は結構急な斜面を一気に登ってゆき, 到着したLangkofel Scharteでもまた飛び降りてゴンドラを降りる.
[Langkofel Scharte→Langkofelhütte : 岩峰に挟まれた雪道は別世界]
ゴンドラから降りてみると, 頂上だけでなくこの谷間にも雪がうっすらと積もっていた. まあ確かに2681mの世界で両側の岩峰に雪が降ればここだって降るよねえ. しかしこれからのハイキングコースが少し怖い….
ここはRif. Tony Demetzという山小屋があり, 早速のんびりお茶している人もいるし, 両側を見上げるとせっせと岩壁にチャレンジしているグループもある. しかしさすがに寒い. 先日のエッツタール同様, 夏でもチロルは場合によってはちゃんと防寒が要りますね. ともかく私は先へ, 普通の下りハイキングコースへ入る. 大多数の人もそんな感じ. 道そのものはよく整備されていて普段なら何も問題無さそうな道だが, なにせ苦手な雪道ということでいたって慎重に下る. 前回のTauplitzで痛めた膝の裏の筋がまだちょっと気になるので滑ってまた伸ばさない様にしないと. まわりの人々も慣れていてさくさく降りていく人と, ゆっくりのんびり降りていく人が混在. この辺りはほとんど緑もなく, 両側は聳え立つ岩壁, 道は岩がゴロゴロのガレ道. 人が多い分時々騒いでいる若いのもいなくはないが, 基本的に静かな山道歩きが楽しめる. 滑らないように注意しつつもやはり視線は両側の岩壁へ. カッコいいんだもん….
20分くらい歩くとようやく積雪はなくなり, 後は砂利道. 眼下に次の山小屋, Langkofelhütteが見え始め, その先, 谷間の出口の下には再び緑の野原が覗き始める. もう後は大丈夫. さくさく行きましょ!
Langkofelhutte
[Langkofelhütte→Piz da Uridl : 岩と緑と]
Langkofelhütteからは道が分かれる. まず左手にPlattkofelの頂上方面へ向かう道. 北側の一本尖塔Langkofelと対照的にボリュームのある山容のPlattkofelは経験者向き岩登りコースではあるがきちんとコースが整備されていて, 結構入っていく人の姿が見られる. この少し先で今度は右手に北側のLangkofelを一周するコース. このFr-Stradal-Wegという道が一番メジャーなコースで, ゴンドラリフト乗り場で貰った地図にもこのコースが真っ先に紹介されている. 実際ここで右手へ進んでいくハイカーが一番多い. 私はここでそのまま左へ回り, 527番と書かれた南側のPlattkofelを一周するコースへ入る. もうしばらく道を下ったところがこのコースの最低標高地点で2000mをちょっと切った辺り. あっという間に700mも降りてきてしまったのだな(苦笑). この辺りはしばし断続的に林の中を出たり入ったりになる. ここはもうPlattkofelの裏側, 人がぐんと減ってSella山群方面の観光客の喧騒とは無縁の静かなハイキングだ. ここからは再び登り直しとなる. この辺りで振り向くと, 先ほどまで雲の中だったLangkofelの頂上付近がちらちらと覗いている. ラッキー! このまま天候悪化するばかりだったら悲しかったものね.
えっちらおっちら斜面を登り返すと, 間もなくPiz Uridlの脇に到着. 頂上はハイキングコースから50m位右脇で, 牛用の柵沿いに牛の糞と水溜りを避けながら踏み跡を辿ると頂上. ここで一気に南側の展望が開ける. 幸い南の空はマズマズ. なだらかに続く緑の草原&林の向こうに, Larsecの岩棚が望め, 一番右に「生えて」いるのがRoßzähneだろうか?(Zähneは歯の複数形) この辺りは人もおらず, 景色独り占めっ! しばし休憩がてら頂上で景色を堪能する.
[Piz Uridl→Plattkofelhütte : 結構長い上り坂]
ここから道はPlattkofelの形に添って南に折れる. Piz Uridlから始まった景色を見ながらの斜面の途中に付けられた道をじりじりとPlattkofelまでもう200m程登る. 高々30分なのだが, これが結構長かったりして. まだ今日は1時間半しか歩いていないのだが, ちょっと連日の睡眠不足の中で夜行列車でやってきた訳だからちょっと体力的に足りなかったかも…. でも変わらず右手に見える景色は素敵. 左のPlattkofelの岩も素敵. 最後えいやと急坂を登りきるとPlattkofelhütteに到着. ここまで来ると一気に人が増える. スタート地点のSellajochhausやCol Rodella辺りからこちら側へハイキングしてきてここで折り返す人が結構いるみたい. ちょうどお昼時間だったが, みなここで休憩してしまうせいかぎっしりといった感じで, ここで止まらず先まで行くことにした. 左手のPlattkofelを見上げると, てっぺんにかすかに小さく十字架が見えている. おお, ちゃんと頂上が見えるではないか! そしてその脇には小さく人の姿も…. 先のLangkofelhütteから登っていった人々であろう. 下から見えるということは上からも眺めが利くという事か. ああ見たいぞ(笑). でもそれは登った人の特権だ.
[Plattkofelhütte→Col Rodella : 現れる主峰群]
PlattkofelからはPlattkofelの南を東西に走るほぼ水平道のFriedrich-August-Wegを行く. お昼とはいえ, これからPlattkofelへ向かう人もまだ結構いる. 天気さえ良ければ夏だから日はまだ十分長いが…. この辺りからは南側のFassatalの対岸の山々が良く見え始める. そして一つずつ尾根筋を越えていくと, やがて見えてくるのはSella山群の主峰Piz Boe, そしてこれから向かう, 電波送信塔を生やしたCol Rodella, その先に氷河を抱えた西ドロミテの女王Marmolada. Col Rodellaが近づいてくるとやがて左手にPlattkofelの裏に隠れていたLangkofelも再び姿を現すが, ふと気づくと先ほどまで雲の中だった頂上が, 時々ちらちら覗いているではないか! うわあ, さすがに改めて見ると素晴らしい迫力! これぞドロミテ! これぞアルプス! だいぶ気分が良くなって, まもなくCol Rodellaのコルにある山小屋, Rif. des Alpesに到着. 100m先にあるロープウェイ頂上駅が今回のハイキングの終点だ. この山小屋からは眼下にCanazeiを中心とする谷下のリゾートが広がり, 正面にPiz Boe, 右奥にMarmoladaが見える. ああ, パンフレットなどでおなじみのアングルだ. でもやっぱり実物はスケール感と空気が違うんだよね.
Marmolada
谷を挟んで反対側にはCanazeiまたはPordoijochから上がれる西ドロミテ屈指のハイキングコースBindelweg方面も望める. そりゃ確かに南北にPiz BoeとMarmolada, 後ろにLangkofel&Plattkofelが控えているんだから, 歩いた時の充実感は素晴らしいだろうな. また機会があれば是非….
さて, 幸いこちらの山小屋は空いていたのでここで昼飯にする. …メニューがイタリア語(汗). そう, ドロミテ北部は南チロルなので概ねドイツ語が通じるのだが, Sellajochを越えてしまうとイタリア語圏なのであった. まあよく見るとちゃんと英語も書いてあったので英語でパスタを注文. 向かいのテーブルではいかにもロープウェイで下から上がってきただけという雰囲気の若いお姉ちゃんたちが遊んでいたのでぼーっと眺める. いい身分だなー. もっともこんなとこに住んでいたら普段はハイキングとスキー以外娯楽がなくてつまらないかもしれないが.
食後, 外へ出てみるともうあまり時間がなかった. 余裕があればCol Rodellaの頂上へと思っていたが, 無理そう. ああ, これでは真っ当な頂上は全然踏んでないではないか. ちょっと惜しいな…. ともかくロープウェイ乗り場へ向かい, なにやらがやがや乗り込んできた学生の団体さんと押し合いへしあいしながら谷底へと戻っていった….
[Campitello→Canazei : 谷底はまだ夏]
さて, 標高1400mの谷底, Campitelloの村へ戻ってくると, さすがにだいぶ暖かい. 暖かいといってももちろん十分涼しいのだけれど, ともかく快適. ただしCampitelloの村には特に何もないのと, Canazeiからのバスの出発まで45分しかないので, ここからはまっすぐCanazeiの村へ戻る. もちろん車道でなく谷沿いにハイキング路があるのでこれを行く. ざっと2kmということで30分くらい. 振り向くと目に入るのは日差しを浴びた緑豊かなFassatalの奥, 両側に岩山が連なる典型的なチロルの谷間の風景. 途中では子供乗馬教室に遭遇. 馬にまたがった子供の写真を撮る親がぞろぞろ(苦笑). こういうところで一週間バカンスすればそりゃだいぶリラックスはするだろうなあ. こちとら僅か30分の歩きながらの通過だが….
予定通り到着したCanazei(カナツェイ)だが, ここは西側屈指のリゾート村ということでやや大きい. しかもなにやら道が入り組んでいてバス停がよく分からない. ともかく太い道に出て, 適当に進行方向へ進んでいったら無事バス停発見. 反対向きに歩かなくて良かった(笑).
[Canazei→Corvara : これぞドロミテ峠越え]
CanazeiからはバスでCorvaraへ向かう. 到着したバスは, 乗客ゼロ. 乗車も一人だけ. つまり貸しきり(苦笑). 結局途中で一部乗車してきた家族などがいたため全路線貸し切りとはさすがにならなかったが, まあそんなのはどうでもいい. まずはSellajochへ向かう途中にあるPordoijochへの分岐へ向けてバスはくねくねと上がっていく. 途中ちらちらと望めるLangkofelとPlattkofelは, いまやすっかり晴れ上がり, 神々しい姿を現している. なんとか写真をと思ったが, 道路沿いの木立が邪魔で上手く撮れなかった…. やがて分岐路を右に折れて, 更にPordoijochへ向かう. このポルドイ峠は2242m, セッラ峠の2240mを越えて, ドロミテで車の通行できる峠としては最高地点である. くねくね峠道を登りきると, 目の前に広がるのは緑あふれる草原! いやあこんなに開けているところとは思わなかった. ここなら草原で家族で半日くらい遊べそう? さすがに最高地点の峠ゆえか, 通り沿いには山小屋数軒とともに土産物屋が並んでいたりする. ここはさすがに普通の居住集落ではないのだが. もちろん観光を楽しむ人の姿もそれなりに多い. いいなー, やっぱりこちらも来たかったなあ(苦笑).
Pordoi峠を越えると再び下り坂. くねくねと標高1600mの村Arabbaまで下りて行く. 小さな村だがここも宿が並び, リゾート村の一つらしい. 隣のバスの運ちゃんと話しこんで時間調整をした運転手は, 5分ほど遅れて出発. この辺り実に適当(苦笑). ここからバスは北へ折れ, 道は谷を登り始める. なお西へそのまま谷を下り, Bellunoなどの鉄道駅を経てVenezia方面のドロミテ入口へ繋がる道はバスのアクセスがあまりよくないみたいだが, マイカー観光の人には便利なのであろう. バスは今回はあまり激しく登らず, 緩やかに1875mのPasso di Campolongo(カンポロンゴ峠)を越える. 2000m以下ということもあり, この辺りは道の両側とも木々が多い. Sella山群を先ほどとは裏側の東側から眺めるが, 荒々しさと奥深さはこちらも引けは取らない. ほんと飽きないね, ドロミテの景色は. やがて前方にKreuzkofel山群の岩壁が延びるようになってくると道は再びくねくねの下りになり, スキーリフトのケーブルを潜ってCorvaraの村へ入るとすぐにバス停へ到着. 下車.
[Corvara : 正面に岩壁を拝みながら]
Corvara(コルヴァッラ)の村はSella山群の北東側に当たり, 南西のCanazeiからちょうど裏側になる. Langkofel以下ドロミテ西部の名だたる山々は当然見えないため若干地味なロケーションになるが, どうしてどうしてなかなか景色は素晴らしい. 村は坂沿いに500m位に渡って伸びており, あちこちにスキーリフトが伸びるいかにもスキーリゾートらしい村. そしてそのメインストリートの正面にはSassongherの岩壁がでんと聳えているという, ある意味カナディアンロッキーのBanffと似通った配置でもあるが, なにせこちらはチロルである. ドロミテである. 山はどちらもワイルドではあるけれど, 谷底の緑豊かな草原風景とチロル風の建物はとても可愛らしい. 結構評判もいいようで, もし今回泊れるなら是非ここでと思っていた期待を裏切らない雰囲気だった. さすがに村は観光客であふれ, バカンス気分全開の開放的な雰囲気だね. あいにく通過となると, 例によって少し大きいリュックを背負い, 登山用シューズで街歩きという, いささか雰囲気に合わないのりになってしまうのはやむをえないが. ここで夕飯でもとも考えなくもなかったのだが, 着いた時間はまださすがに夕飯には早く, かといって村をぶらついた後残り時間が一時間を切ってしまうとさすがに落ち着いて食べられないので, 結局逃してしまった. 強行軍だと食事をすっ飛ばすのはいつものこととはいえ, 夕飯ぐらいはねえ….
[Corvara→Bruneck : 谷を一気に下りましょう]
Corvaraからは再びバスでBruneckの駅へ向かう. 再び乗車したのは一人だけ. 途中で部分乗車が数名と, 最後Bruneck付近の村に入ってから近場利用者の若い子がぱらぱら. Corvaraから10分ほど走ると右からくる谷とSternで合流する. この右の谷はPasso di Folzaregoへ続くもので, 西部ドロミテと中部ドロミテの中心Cortina d'Ampezzoを結ぶ道だが, やはりあまりバスの便が良くない. マイカーレンタカーでないならあまり無理して東西を繋ごうと思わないほうがいいのかもしれないね. この先Abteiの村を過ぎると後は森の谷間を川に沿って降りていくのみという感じ. 後半の川沿いの道は軒並み出来たてほやほやといった感じのトンネル道となっており, おそらく川沿いのくねくね道をバイパス出来るようにしたのだろう. お陰でバスでも快適快適. さすがに景色が単調になってくると疲れが出てうとうとする. まもなくPustertalに入るとしばらく線路を潜ったり渡ったりしながらBruneckへ. 運転手さんが駅前できちんと知らせてくれた.
[Bruneck→Innsbruck : 直通列車]
BruneckからはInnsbruck行直通列車を捕まえる. 昨年Brennerから乗った旧回廊列車の反対向きである. 例によって引っ張るのはイタリア・オーストリアの両電圧対応1822系で, 客車はただの快速列車なのに特急客車. しかも今回は一両リフォーム済の車両がついてきて快適. さすがに8月の週末, 列車はそこそこの客があり, コンパートメントでは初老のおばあさんと一緒. この歳の割に(?)きちんと英語を話し, 少しだけ会話. ただやっぱり眠かったので, 結局途中から寝てしまったが….
列車はほぼ定刻にInnsbruckに到着. これで今回のハイキングは終了, 後は夜行列車で帰ります. ともかく厳しい日程ながら敢えて訪れて, その期待に応えてくれた西ドロミテは見事. 嬉しかった. 惜しむらくは前回に続きまた雲が多かったため, あまりスカッとした写真が撮れなかった事. そして心残りはもちろん泊れなかったこと. もし機会があるなら是非また来たい. そして是非もう少しのんびり.


現地の行程

(今回バス, 列車料金をチェックし忘れました. カードを回収されてしまったので確認できませんが, Brenner-Brennerの一周トータルで約20Euroです)
8/26(土) Innsbruck Hbf dep 05:44 R5201 --
Brenner
/Brennero
arr 06:24
dep 06:36 FS-R10909 ==Euro
Brixen
/Bressanore
arr 07:19
dep 07:33 SADバス ==Euro
St.Ulrich
/Ortisei
arr 08:32
dep 08:50 SADバス ==Euro
Sellajochhaus arr 09:30
dep 09:40 ゴンドラ 10.00Euro
Langkofelscharte arr 09:55
dep 09:55 徒歩
Langkofel Hütte arr 10:35
dep 10:40
537分岐 via 10:50
Piz Uridl arr 11:30
dep 11:35
Plattkofel Hütte arr 12:10
dep 12:20
Friedr.-August Hütte via 13:00
Rif. des Alpes arr 13:30
昼食休憩
Col Rodella頂上駅 dep 14:45 ロープウェイ 5.70 Euro
Campitello arr 14:55
dep 14:55 徒歩 ---
Canazei arr 15:30
dep 15:40 SADバス ==Euro
Corvara arr 16:55
Corvara散策
Corvara dep 18:45 SADバス ==Euro
Bruneck
/Bruneco
arr 19:50
dep 20:14 R1874 --
Innsbruck Hbf arr 21:57

参考


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