2025年6月
2025年6月の海外旅客船情報
首相官邸、駒形丸記念式典で、論争となっている民間伝承話を外す(カナダ)
Prime Minister's Office(=首相官邸)(PMO)は、1914年のKomagata Mar(=駒形丸)事件の今年の記念式典から、真贋論争となっているFirst Nations(=北米先住民族)の話を外し、Musqueam First Nation(=ムスキーム族)が、同船の飢えた南アジアの移民に食事を与えることを手伝ったとする主張を放棄した、とBlacklock’s Reporter紙が報じた。
金曜日の毎年恒例の行事は、同船の1914年5月29日のバンクーバー到着を記念するものだったが、PMO(=首相官邸)は、乗客の運命は「is a stark reminder of how in moments of our history Canada fell short of the values we hold dear(=我々が維持してきた価値に達しない、我がカナダの歴史の瞬間がどのようなものだったかを思い出させる、荒涼たるものだ)」と述べた。
「我々は、過去を書き換えることはできない」と、首相官邸は、金曜日の声明文の中で述べた。
376人のシーク教徒、ヒンズー教徒、そしてイスラム教徒を乗せていたこの汽船は、人種に基づく移民法の下、バンクーバーに上陸することが禁じられた。2人の歴代首相が、この封鎖措置を2015年と2016年に、公に謝罪していた。
今年の行事では、カヌーに乗ったムスキーム族が、港に2か月間投錨していたこの物船の飢えていた乗客に食べ物を届けたという、真贋論争となっている主張に対する全ての言及を省略した。この民間伝承話に触発されて、バンクーバーの連邦ビルの4,000平方フィートの壁画となっている。
Cabinet(=内閣)はこれまでに、この話を「the kindness of spirit demonstrated by the nearby indigenous peoples(=近隣の先住民族により実証された親切心)」を証明する話であるとして称賛した。CBC Newsは2019年、「the generosity of local indigenous peoples in providing food and water to the passengers(=乗客に食料や水を提供する地元先住民の寛容さ)」に関して報道していた。
この主張は、全ての歴史記録と矛盾していた。「歴史家によって検証されたならば、直ちにこの主張を受け入れたが、実際のところは、これを裏付ける調査はなく、検証もないのです。」とYork University(=ヨーク大学)のProfessor(=教授)Ali Kazimiは、これまでにインタビューの中で話していた。「私の深い懸念というのは、この主張を大急ぎで受け入れて、歴史記録の一部にしていることです。」
Professor Kazimiは、駒形丸の話を記録した2004年の映画、Continuous Journey(注、「連続航海」の意)などの業績で、Governor General's Lifetime Artistic Achievement Awardの2019年の受賞者となっている。「I am deeply troubled by this(=これによって、私は深い悩みを抱えています)」と語った。
「この害というのは、もしこれを事実として受け入れると、そして今や4階建ての建物の壁画になっているわけですが、記録の残りが信じがたいほどに欠陥のあるものとなることです。」とKazimiは話した。「私はGovernment of Canada(=カナダ政府)に検証を求めていました。相当な注意を払って行うべきだという奇妙なものです。公的な記録の一部とする前に、連邦政府の閣僚が検証すべきだったと思っています。」
駒形丸の逸話は、カナダ政府によって事実とされた唯一の民間伝承話ではない。Department of Heritage(=遺産省)は2020年に、400年遡ることができるヌナブト準州のBlack settlement(=ブラック・セツルメント、注、「黒人植民地」の意)の主張を認めていた。
この偽情報は、Culture Minister(=文化相)のSteven GuilbeaultによりParliament(=国会)で審議されたOperation of the Canadian Multiculturalism Act(=カナダ多文化運用法)に関する同省のAnnual Report(=年次報告書)の中に含まれている。「多くのイカルイト(注、ヌナブト準州の州都)の住民やカナダ人の大半には知られていないことだが、アフリカ系の祖先が、1600年代初期以来、このカナダ領に存在していた。」と同報告書にはあった。
同省は、1600年代初期以来、ヌナブト準州にブラック・セツルメントはなかったことを認めた。1931年末に、国勢調査員は、ノースウェスト準州で当時、黒人を、1人も見つけることができなかった。(Western Standard: 01 Jun 2025, 8:00 am)
イタリアでクルーズ船客、強風により船外に吹き飛ばされる(イタリア・米国)
イタリア、カタニア発。先週の金曜日、風は、イタリアで停泊していたクルーズ船の船外に乗客を吹き飛ばす程、十分に強かった。
この乗客は、Norwegian Cruise Lineがメディア支局数社に出した声明文によると、シチリア島のカタニアに停泊していたNorwegian Epic(=ノーウィージャン・エピック、注、「ノルウェーの叙事詩」の意)から海に転落したという。
乗客の1人であるBrian Koningは、現地時間の午後1時頃、強風の突風の最中に、この1,080フィートの休暇定期船は、係留索から外れたことをソーシャル・メディアに投稿した。
「全てのロープが、大きな音を立てていた。」と書いていた。
FOX Forecast Center(注、「FOX天気予報センター」の意)は、時速30マイル以上の突風が、当時、近隣のCatania-Fontanarossa Airport(=カタニア・フォンタナローサ空港)で報告されたと話した。
Norwegian Cruise LineのEpicは、2010年建造で、今年これまでに、最新の改装を行った。同社のウェブサイトによると、4,070人までの客を収容できるという。
FOX Weatherは、Norwegian Cruise Lineに声明文を求めて接触したが、今のところ、返答はない。(FOX Weather: Published June 3, 2025 12:46pm EDT)
Disney、費用削減で更に数百人解雇(米国)
Disneyは、世界中で更に数百人をレイオフ(注、解雇)する。同社の映画、テレビ、金融部門が影響を受けることになる。
この巨大娯楽会社は、ストリーミング・プラットフォーム(注、ネット上の動画サイト)を好んで、ケーブルTVの加入から視聴者が離れていることから、圧力を受けている。
「我が産業は急速に変容していることから、最先端の創造性と消費者価値の刷新、そしてDisneyに対する期待を高める一方で、弊社事業を効率的に運営する方法を評価し続けております。」と広報担当者はBBC(=英国放送協会)に話した。
この最新の雇用削減は、2023年に発表された大規模解雇に引き続くもの。2023年は、約7,000人の労働者が、chief executive(=最高責任者)のBob Igerが55億ドル(41億ポンド)を節約するために実施した活動の一環として、解雇された。
この削減は、映画やテレビ部門のマーケティング部門等、複数のチームに影響を与えることになる。Disneyの配役、開発の労働者や、企業金融部門も影響を受けることになる。
「影響を受ける従業員数を最小限にするため、外科的取り組みを行っております。」と広報担当者は話した。同社は、全体的に閉鎖となるチームはない、とも語った。
このカリフォルニア州に本拠置く会社は、233,000人の労働者を雇用しており、合衆国外には、60,000人ちょっとがいる。Disneyは、Marvel、Hulu、そしてESPNを含む娯楽産業全体に、多くの会社を保有している。
同社は、5月に予想よりも好調であったと報告しており、今年最初の3か月間の総収入は、236億ドルだった。これは、2024年の同時期から7%の増加だった。成長は、ここのDisney+というストリーミング・サービスへの新規加入者によって焚きつけられていると話していた。
同社は、Captain America: Brave New World(=キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド)やSnow White(=白雪姫)といった多くの新作映画を、今年公開していた。象徴的なSnow White(=白雪姫)というアニメ映画の再映画化実写版は、多くの否定的な批評に直面し、映画館の予想通り、振るわなかった。
しかしDisneyの最新公開作のLilo & Stitch(=リロ&スティッチ)は、Memorial Day(=戦没者追悼記念日)の祭日と重なる週末の合衆国で、興行成績の記録を塗り替えた。このアニメ映画は、業界資料会社のBox Office Mojoによると、5月に公開して以来、全世界の切符販売が6億1000万ドル以上だったという。(BBC News: 3 June 2025)
ロシアの水中翼船フェリー、Pavel Popovichが就航(ロシア)
Russia's State Transport Leasing Companyは、United Shipbuilding CorporationのVympel Shipyard(=ビーンペル造船所)で建造された新しい水中翼船フェリーの営業航海を開始した。
Kosmonaut Pavel Popovichは、2009年に死亡したウクライナ生まれの元戦闘機パイロットで、Soviet Air Force major general(=ソビエト空軍少将)の故Pavel Romanovich Popovichを称えるもの。
この新造船は、水中翼船フェリーのProject 23160シリーズの最新のもので、5人が乗務し、32ノット以上の速力で、120人までの乗客を輸送する能力がある。
乗客は、ビジネス・クラスとエコノミー座席の区画のある、空調設備のある船室に乗せられ、縦揺れ制御システムにより、より快適な航海をするため、出来る限り水平にフェリーが維持されることになる。
他のProject 23160水中翼船フェリーと共に、Kosmonaut Pavel Popovichは、沿岸航路経由で、都市間通勤便を提供することになる。
Project 23160フェリーの設計作業は、外海と内陸水路の双方での航行を網羅する、Russian Maritime Register of Shipping(=ロシア海事船名録)船級規則に準拠して、Alexeev's Hydrofoil Design Bureauにより行われた。(Baird Maritime: 04 Jun 2025, 3:05 pm)
ノルウェーの造船業者、Brodrene Aa、フェリー契約取消を受け、破産申請(ノルウェー)
ノルウェーの造船業者、Brodrene Aaは、地元の運送業者であるNorledによる3隻の新しいフェリーの契約取り消しに関連する財政難の結果、破産を申請した。
Brodrene Aaは、経営継続を確実にすることに向けて作業してきたと話した。しかし同社は、関係する両者間の広範に亘る議論が、実行可能な解決策を生み出せなかったとし、170人の従業員が解雇されることになることを認めた。担保権実行の通知は、既に地元裁判所に行われており、会社の管理と経営を行う管財人は、指名されている。
Norledが発注した3隻のフェリーは、元々はトロンヘイム・フィヨルドでの配船を予定していたもので、2024年に引き渡される予定だった。この3隻のフェリー中の1番船は、既に売りに出されており、他の2隻は未だ竣工させる必要がある。Norledのトロンヘイム・フィヨルド航路は、船舶代替が実行可能になるまで、一時的にディーゼル駆動フェリーによって運航されることになる。
Brodrene Aaは、破産申請前、今後数週間のうちに、2隻目と3隻目のフェリーの新たな買い手を見つけることに向けて作業していた。
Norledとの元々の契約では要求されていなかったが、Brodrene Aaは、交換可能な電池で、3隻のフェリーを用意する意向だった。しかしNorledのHead of Communications(=広報主任)のCathrine Gjertsenは、この取消は、業績に関連する問題の他、船舶の引渡しが遅延したことによるものであり、電池に関連した作業によるものではないことを明確にした。
Gjertsenは、これまでにノルウェーのメディアに対して、Norledは船の性能問題、とりわけ「achieve the necessary speed(=必要な速力を達成)」することができないという問題を解決するための努力が見られなかったと話していた。(Baird Maritime: 04 Jun 2025, 1:16 pm)
遺棄船の地獄、「1週間は燃えることに」(中国・米国)
太平洋で放棄された貨物船は、少なくとも1週間、制御不能で燃え続けることになる。当局は、この破壊された船を救うために苦闘している。
Morning Midas(=モーニング・ミダス、注、「ミダス」は、触れるものが全て金になるギリシャ神話の王)は、アラスカ州のアダック島の約450キロメートル南西で出火した時、約3000台の乗用車を乗せて、中国からメキシコに向かう途中だった。
この船は、3.048台の乗用車を乗せており、うち70台は完全電動車で、861台はハイブリッド車両。未確認情報によると、火災はEVs(=電気自動車)を運んでいた甲板の1層から出火したという。
US Coast Guard Alaska Division(=アラスカ管区合衆国沿岸警備隊)は、火曜日の午後3時15分頃(現地時間)に遭難信号によって災害現場に呼び出され、電気自動車が積み込まれていると言われる同船の甲板から、煙が出ているのを最初に目撃した。
Morning Midasの船員は、火災を制御することができず、US Coast Guard(=合衆国沿岸警備隊)と協議して、同船を放棄する判断をした。22人の船員全員は、無事に救助された。
同船が燃え続けていることから、同船の船主であるZodiac Marineにより指名されたサルベージ業者は、「approximately June 9(=おおよそ6月9日頃)」まで、同船に辿り着く見込みはないが、このことは、今後1週間、火災のままとなることを意味する。
「サルベージの専門家のチームと特殊装備を乗せた最初の曳船は、既に動員されており、凡そ6月9日頃に現場に到着する見込み。」とZodiac Marineは声明文において述べた。(news.com.au: June 6, 2025 - 1:33PM)
American Melody、アメリカの故郷の町に戻る(米国)
ハンニバル発。数年間に亘って、American Melodyというクルーズ船は、ハンニバルに寄港してきた。そして土曜日に戻って来た。
ミシシッピー川を下るクルーズ旅行は、道中で数多くの町に寄港する。
土曜日、150人の旅行者が、ハンニバルでその日を過ごし、午後10時頃に出発する。同市の観光局代表は、American Melodyが助けてくれるような観光名所で、ハンニバルは将来、第一の観光目的地となると考えている。
「この都市に多くの収益をもたらすもので、これは観光業ばかりではなく、この町の売店や観光名所に対してもです。全ての場所を周って、当地でその日を過ごすのです。午後10時まで当地にいるので、多くの収益、利益、そして興奮をハンニバル市にもたらし、それは我々が当地でやっているものに対してなのです。」とHannibal’s Tourism director(=ハンニバル観光局局長)のTrisha O’Cheltreeは語った。
O’Cheltreeは、American Melodyは、今後数か月間、この町に寄港する複数のクルーズ船のうちの1隻に過ぎない、と付け加えた。(WGEM: Jun. 8, 2025 at 1:56 AM JST)
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