*** 分類 ***

   1-1 ハタリス、ジリスってなに?
   1-2 ハタリスとジリスの違いは?
   1-3 ミニプレーリードッグとは?
   1-4 日本で入手できるプレーリードッグ・ハタリス・ジリスは?
   1-5 うちのハタリス・ジリスの正式な種名は?

1-1 ハタリス・ジリスってなに?
げっ歯目リス科の動物です。プレーリードッグはプレーリードッグ属、 ハタリス・ジリスはジリス属になります。


1-2ハタリス、ジリスの違いは?
ハタリスは漢字で「畑栗鼠」です。ジリスは英語でground(地面) squirrel(リス)なので 「地面のリス」=「地リス」であると思われます。とってもわかりやすい命名ですね。 でも見た目はとってもそっくりなのに、どうしてこのように分けてあるのでしょうか? 今のところ、有力な説はユーラシア大陸のものはハタリス、アメリカ(北米)、アフリカのものは ジリスという分け方です。また学名はともに「Spermophilus」、種の恋人という意味だそうです。 その名のとおり、種子類を好みます。プレーリードッグの学名は「Cynomys」は ギリシャ語でネズミ犬だそうです。


1-3ミニプレーリードッグとは?
ハタリス・ジリスたちはお店で「ミニプレーリー」と称して売られることが 多いようです。もしそういう風に売られていたら、購入時、お店の人に正式名称を 確認しておきましょう。ただし、お店の人に聞いても正式名称が分からない場合もあ ります。お店でわからなかったとき、すでに飼っている場合は以下の種類別の説明を 参考になさってください。


1-4日本で流通しているプレーリードッグ・ハタリス・ジリス

*体長は頭〜尾の長さです。()の中は英名と学名です。

オグロプレーリードッグ
(Black-tailed Prairie Dog:Cynomys ludovicianus)

Sさん宅のオグロプレーリードッグ「りく」

オジロプレーリードッグ、ガニソンプレーリードッグもまれに流通、ファイブスタープレーリードッグはアメリカでブリードされたオグロプレーリードッグだそうです。近頃はホワイトプレーリードッグと称して、アルビノも出回っています。

特徴:プレーリードッグの中でも大きい。背中はピンクがかった茶色で、おなかは白っぽい色または淡黄褐色がかった白。細くて毛が薄いしっぽは先が黒く、プレーリードッグの中でも ユニークなところ。短く丸い耳を持つ。他のプレはしっぽの先が黒くない。目は大きくて黒い。昼行性。
体長:355-415mm 尾長:75-115mm
後足の長さ:50-65mm 重さ:900-1390g

繁殖:2月−3月に交尾し、年に1回、普通は4−5匹産まれる。
妊娠期間は27日−33日くらい。出産直後の子供は長さ4−6cm、目は開いていない。 約1ケ月で目が開き、3週間くらいで手が生えて、9−10週間で乳離れする。

巣穴の入り口は土が硬く固められ円錐形に盛り上がっている。少なくとも高さ300mmで、幅が0.6m以上であることも少なくない。あたかもミニチュア噴火口のようである。足跡は、後脚が長さ31−33mmで指が5本、前脚はこれよりわずかに小さく、指が4本。オジロプレーリードッグや他のプレーリードッグも同様の足跡を持つ。歯は22本。自然下では夏、小麦、バッファローグラスを冬は、ウチワサボテン、アザミ、ヨトウムシ、バッタなどを食べている。

生息地:丈の短い草の大草原
モンタナ州東部、ノースダコタ州の南西部からアリゾナ州極南西部、ニューメキシコ州、テキサス州北西部


リチャードソンジリス
(Richardson's Ground squirrel:Spermophilus richardsonii)

Yさん宅のリチャードソンジリス「マロン」
リチャードソンにはニックネームがついてます。「PicketPin」(馬をつなぐ杭)、 「Wyoming Ground Squirrel」(ワイオミングジリス)、 「Flickertail」(ひらひらする尾)などです。かわいいですよね。
また海外のWEBでは「2分の1プレーリードッグ」などと表現されることもあるようです。
特徴:背中がグレーまたは黄色がかったグレーで、茶色味または淡黄褐色味を帯びていて、 ぼんやりとしたまだら模様になっている。おなかは白っぽい色かうすい淡黄褐色。しっぽは白または淡黄褐色で縁取られ、下面は薄茶がかった淡黄褐色。集団生活または単独生活の両方。初夏から3月くらいは冬眠。

類似種との見分け方:ベルディングジリスは、背中に茶色い筋があり、しっぽは下の方が赤みがかっている。タウンゼントジリスは、リチャードソンより小さく、しっぽは短く下の方が赤っぽい色または黄かっ色。ユインタ(Uinta)ジリスのしっぽは上側と下側が淡黄褐色と黒が混じっている。コロンビアジリスは、リチャードソンよりも背が高く、顔、前足とおなかは赤茶色っぽい。フランクリンジリスは、リチャードソンより大きく、しっぽも長く、おなかは黒っぽい。

*注釈
コロンビアジリス(Columbian ground squirrel:Spermophilus columbianus)
フランクリンジリス(Franklin's ground squirrel:Spermophilus Franklinii)
タウンゼントジリス(Townsend's ground squirrel:Spermophilus townsendii)
ベルディングジリス(Belding's ground squirrel:Spermophilus beldingi)
(10月から5月は冬眠。冬眠空けに交尾して7月に出産)
ユインタジリス(Uinta ground squirrel:Spermophilus Uintaensis)

体長:248-355mm 尾長:65-100mm
後足の長さ:40-49mm 重さ:369-469g

繁殖:年に1回で、5月に6−11匹産まれる(普通は7か8匹)。
妊娠期間は22-23日。

生息地:開けた大草原
アルベルタ州南東部(カナダ)、サスカチェワン州南部(カナダ)、 アニトバ州南部(カナダ)、モンタナ州北西部、サウスダコタ州北西部、ミネソタ州極西部。

*草原に住んでいるせいか、他のジリスよりも草食傾向が強いようです。


ジュウサンセンジリス
(Thirteen-lined Ground squirrel:Spermophius thidecemlineatus)
特徴:茶色で、13本の濃い茶色の線と薄い茶色の線が交互に背中、脇にある。(時々部分的に崩れて点になっている場合がある。)濃い線の中に白い斑点の列がある。

類似種との見分け方:ホシジリスの斑点は散らばっている。メキシカンジリスは四角っぽい斑点が9本の列に並んでいる。どちらも線(ライン)はもっていない。ただし、メキシカンジリスとの 区別は難しいかもしれない。2つの種は接触時に時々交雑する。

体長:170-297mm 尾長:60-132mm
後足の長さ:27-41mm 重さ:110-270g

繁殖:4月に交尾し、年に1回、5月に8−10匹産まれる。
妊娠期間は27-28日。

生息地:巣穴は地表に四方八方に通路が広がっている。入り口はやぶや林の中に隠れていることが多い。入り口は盛り上がってなく、余分な土は地面の上に平らに広げられている。 もともとは丈の短い草の大草原に、今では路傍、庭、墓地、ゴルフコース、草の積まれている場所にも住む。
北米、アルベルタ州南西部、マニトバ州南部、ニューメキシコ州南部〜西部、 テキサス州北部と南西部、ミネソタ州東部全体、ミズーリ州〜ミシガン州、 オハイオ州

*お店で売られているジュウサンセンジリスはメキシカンジリスである可能性が高いです。


メキシカンジリス
(Mexican Ground Squirrel:Spermophilus mexicanus)

Hさん宅のメキシカンジリス
特徴:茶色で背中に四角っぽい白い斑点が9本の線をなしており、お腹は白っぽい色または淡黄色。しっぽは長く毛が中位にふさふさしている。耳は丸くて小さい。メスよりオスのほうが大きい。

類似種との見分け方:ホシジリスの斑点は散らばっていて線にはなっていない。ジュウサンセンジリスは斑点にくわえて縞もある。

体長:280-380mm 尾長:110-166mm
後足の長さ:38-51mm 重さ:137-330g

繁殖:年に1回で1-10匹(普通は5匹くらい)、5月に産む。
妊娠期間は30日間。

生息地:低木の森や草原エリアでメスキート(米国西南部、メキシコ地方産飼料用マメ科の植物)やサボテンのある砂漠の砂地やジャリの多い土地
南ニューメキシコ州や南西テキサス州



ホシジリス
(Spotted Ground squirrel:Spermophilus Spilosoma)
特徴:背中はグレーっぽい色または茶色っぽい色、その上に小さくて四角っぽいぼんやりとうすい斑点が散らばっている。おなかは白。しっぽは背中同様に毛がやや薄めで、下面は淡黄褐色、 しっぽの先は黒い。耳は小さい。また住んでいる地域により色合いが少し異なるようです。

類似種との見分け方:メキシカンジリスは点がはっきりと列になっている。ジュウサンセンジリスは斑点にくわえて縞もある。

体長:185-253mm 尾長:55-92mm
後足の長さ:28-36mm 重さ:100-125g

繁殖:3月から4月にかけて5−7匹を産む。北米以外では4月末。2度目は7−8月か それより少し早い。

生息地:巣穴は幅50mm程度で、低木などの下や突き出た岩場に作る。かなり乾燥した場所で、砂地、草地、松林などに住む。
サウスダコタ州南西部、テキサス州西部、アリゾナ州、ニューメキシコ州



ホシハタリス
(Spotted Souslik:Spermophilus suslicus)

体長:180〜250mm 体重:224〜280g 


Kさん宅のホシハタリス「すし太郎」
草原や川沿いの草地、畑などに生息する。1Haに平均約168頭が、それぞれ単独の巣穴を持ちながら、大きな集団を形成する。食物は主に植物質であるが、昆虫なども食べる。10月〜4月の間は冬眠をする。
分布:ヨーロッパ中部、アジア南西部(ポーランド、ルーマニア東部、ウクライナ)



ヨーロッパハタリス
(europian souslik:Spermophilus citellus)

体長:190〜220mm 重さ:240〜340g

草原や川沿いの草地に見られ、標高2200mの山地にもすむ。大きな集団を形成するが、ほとんどの個体はそれぞれの巣穴を持っている。秋には体重が増加し、10〜11月から3月に冬眠する。南部では夏眠するとも言われている。目の周囲に白いふちどりがある。
分布:ヨーロッパ(ドイツ南東部、ポーランド南西部からトルコ、ルーマニア、ウクライナ)



中国(大連)ハタリス
(daurian ground squirrel:Spermophilus dauricus)

Sさん宅の中国ハタリス「ペペペ」
生息地:ソ連、モンゴル、中国北部

*資料がほとんどありません。なにか情報がありましたら、どうかご教授お願いいたします。


1-5 うちのハタリス・ジリスの正式な種名は?
値段でわかる産地?
リチャードソン、ジュウサンセンなどが2万円を超える相場であるにもかかわらず、 安く手に入る中国ハタリス。高いところで1万円程度、一番多い価格帯が7000円くらいです。 これは出身地の経済格差や輸送費によるものと思われます。値引きなどでないのに、 上記の値段だったなら、中国産である可能性が高いです。 ただし、他の種類でも大人になると値段が安くなることもあります。

ジュウサンセンジリス?
種類についてお店のほうで間違っている場合もあります。一般に流通しているジュウサンセンジリスの場合、メキシカンジリスである可能性がとても高いことがわかりました。この2種類は模様が似ていることからきっと間違われてしまったのでしょう・・・。 名前にもあるジュウサンセン=13線ですが、濃い色のラインと薄い色のラインが交互に並び、白い斑点が濃いラインの中に並んでいるのが、ジュウサンセンジリスです。それに比べて、濃いラインと薄い白斑点で 縞模様が形成されているのがメキシカンジリスです。どう間違ったものか、お店ではこちらをジュウサンセンとして扱っているようです。自然界ではこの2匹の交雑もあることから、血が混ざっている場合もあるのかもしれません。

ホシジリスとホシハタリス
とっても似ているこの2匹。実はその厳密な違いについてはなかなか見分けられないのが現状です。シッポの長さがジリスの方が長いとも言われていますが、定かではありません。 お店のほうでも混乱しているようです。購入時にお店で確認してください。特に繁殖を考えている場合には、気をつけてください。この2種類、もしかしたらユーラシア大陸とアメリカ大陸がつながっていたころは同じ種類だったのかもしれませんね。

フサオプレーリードッグ?
リチャードソン・ジリスを「フサオプレーリードッグ」といって売っているショップがあるようです。プレーリードッグにはそのような名称の種類はいません。