ばーくらいとさんちのクリスマス   半蔵さん


この物語は、二人の女性の狭間に揺れる一人の男の物語です。(大嘘)

この物語は、弓の名手チェスターさんと彼の可愛らしい妹アミィ。そしてちょっとおきゃん(死語)なハーフエルフ、アーチェさんの3人がおりなすハートフルストーリー(嘘)

この物語はアミィちゃんが怖いです・・・(本当)



>12月某日
アミィ「ジングルベル♪ジングルベール♪クリスマス!イエィ!!」
チェスター「お、アミィ、ご機嫌だな。」
アミィ「うん♪だって、もうすぐクリスマスだもん、私、クリスマスって大好き♪」
チェスター「ハハ、そうか、そうか。」
チェスター、アミィの頭なでなで
チェスター「あ、ところで突然だが・・・アミィは・・・その、だな、何か欲しいモノとかあるか?」
アミィ「欲しい・・・もの?んー・・・壊れたお鍋はこの前買ったし・・特にないかなぁ。」
チェスター「いや、そういうんじゃなくてだな。アミィ的に『キャー!私、前からこいう服が欲しかったのー!』とか、『素敵ー!この指輪ー!!』とかそんな感じのもので・・・」
アミィ「・・・もしかしてクリスマスのプレゼントのこと?」
チェスター「ギクゥ・・・そ、そ、そんなんじゃないぞ。決してサンタさんとは関係ない!!」
アミィ「フフ、お兄ちゃん、嘘が下手〜。気にしないで、ウチにはそんなに余裕ないんだから。」
チェスター「アミィ・・・」
アミィ「・・・それに、ただでさえ無駄飯食らいの居候が一人いるからね。」
アミィの目が怪しく光る・・・
チェスター「あ、アミィ・・・?」

アーチェ「ひあ〜、今日も疲れちゃった;;さーて今日の夕飯はなっにかな〜?」
キッチンに現れた居候!
アミィ「出たわね、ごくつぶし。」
アーチェ「え?ごく・・?何か言った?」
アミィ「ごくろうさまって言ったですよ〜、アーチェさ〜ん(にっこり)」
アーチェ「いやいや、それほどでも〜。ところでさ、今日の夕飯ってなに?」
アミィ「アミィ風海鮮シチューです。って言ってもアーチェさんはお腹に入るものだったら味なんて関係ないですよね?」
アーチェ「む・・・」
チェスター「ア、アミィ・・・?」
アミィ「じゃ、お兄ちゃん。私、お夕飯の準備あるから戻るね。あ!さっきのお話のこと、一応考えておくね。」
トコトコ、キッチンへ向かうアミィ
チェスター「ふはぅ・・・(ため息)」


>夕飯
アーチェ「ねえねえ、今年のクリスマスは何かするのー?」
アミィ「バークライト家クリスマス大会です。」
チェスター「アミィのクリスマス料理が今から楽しみだぜ!」
アーチェ「へ〜♪」
アーチェ「ちなみに参加資格は名字がバークライトであること。」

しーん・・・

アミィ「もぐもぐ・・・」
チェスター「ア、アミィ・・・そ、そんな資格あったっけ?」
アミィ「お兄ちゃんは知らなかったかもしれないけど、毎年そうなのよ♪」
チェスター「は、は、ははは・・・そ、そうなの?」
アミィ「うん♪」
アーチェ「で、でもさー、アタシもここに住んでる訳だし、すこーしくらいは参加の資格があっても・・・」
アミィ「全くありません。」

しーん・・・

アミィ「ごちそうさまでした。」
手際よく茶碗を重ね運び出すアミィ
アミィ「食べ終わったら、キッチンへ持って来てね♪」

しーん・・・

チェスター「ア、アミィ・・・?」



>準備〜
アミィ「真っ赤なお鼻の〜トナカイさんは〜♪」
アーチェ「おっはよー!アミィちゃん♪」
アミィ「アーチェさん・・今日は出かけなくていいんですか?」
アーチェ「あ、・・・うん、今日はお休みだからねー・・・」
アミィ「アーチェさんが遊び歩くのは年中無休だと思ってました。」
アーチェ「ま、たまには休息ってやつよ。って話、聞いてないし。ねえねえ、どこ行くのさ〜」
アミィ「クリスマスの準備です。お兄ちゃんが昨日持って来てくれたモミの木に飾り付けをするんです。」
アーチェ「へ〜・・・ね、アタシも手伝ってあげよっか?」
アミィ「断固拒否します。」
アーチェ「ん〜、そんないけずなこと言わないでさ、ね、お願い〜」
とかやりとりしてると、モミの木が置かれたリビングに・・・
アーチェ「何度見てもでっかいね〜♪」
アミィ「お兄ちゃんが持ってきたんだもん♪これくらい当然!」
さっきまでムスッとしていたアミィも、モミの木を前に顔がほころんでいる。
アーチェ「ねえ、お手伝い・・・」
アミィ「・・・わかりました。でも、ちゃんと私の指示に従って下さい!」
アーチェ「は〜い♪」


>飾り付け
アーチェ「ねえねえ、これはー?」
アミィ「それは・・・えっと・・そっち!」
アーチェ「ほーい、了解!んじゃ、こっちはー?」
アミィ「それは、そこでいいです。」
アーチェ「あいよっ!」
てきぱきとアミィの指示のもと、クリスマスツリーが飾り付けられていく。
アーチェ「さーてと、あとはてっぺんにつけるお星様だね♪」
アミィ「うん!」
アミィは大きな金色の星の飾りを手に持つと脚立に登る。
アミィ「うーん・・・もう・・ちょっと・・」
小さいアミィの背丈では大きなツリーのてっぺんまで届かない。
アーチェ「がんばれーアミィちゃーん!!」
アミィ「わかってます!あと・・少しで・・」
グラッ
アミィ「キャッ!?」
アーチェ「危ない!!」
脚立が倒れアミィは下へと真っ逆さま!!
ガタターーン!!!
アミィ「痛い〜・・・あ、あれ?」
アーチェ「大丈夫〜?」
アミィ「ア!アーチェさん!!?」
見るとアミィの下敷きになってアーチェが・・・
アミィ「あたたたた・・・怪我ない?アミィちゃん?」
アミィ「私は別に・・・それよりもアーチェさんの方こそ!!」
アーチェ「あはは〜、明るさと可愛さと丈夫さだけが取り柄だからね!こんなの平気平気。」
アミィ「でも・・・血・・・」
アーチェの腕から血が出ている。どこか切ったようだ
アーチェ「こんなの後でミントに法術かけてもらえば楽勝よん♪それよりツリー直そ。」
脚立が倒れた拍子にツリーの飾りもいくつか落ちてしまったようだ。
アミィ「うん・・・」
アーチェ「ほらほら、めそめそしてても飾り付けは進まないぞ。」
アミィ「べ、別にめそめそなんかしてないもん!!」
アミィは目をごしごしこすると再び飾り付けを始めた。

そして・・・
アミィ「も、もうちょっと・・・前です・・・」
アーチェ「こ、こんなもん?」
アミィ「もう・・少しです・・」
アーチェ「もう・・・少しね・・。はい、どう?」
アミィ「これならいけそう・・・えい!」
ほうきに乗ったアーチェ。そしてそのアーチェの後ろに乗ったアミィの手によってツリーのてっぺんに星の飾りが乗せられる。
脚立では届きそうにもないので、こういう方法をとったのであった。

ポンッ
煙をかき消したように箒が消える
アーチェ「やーっと、できたねー♪」
アミィ「・・・ありがと・・です。」
アーチェ「ん?何か言った?」
アミィ「何でもないです!それよりもこれ!!」
手渡されたのはばんそうこう。
アミィ「ミントさんの法術のようにはすぐには治らないけど。」
アーチェはそれを受け取るとにっこり笑って
アーチェ「法術よりも効き目がありそうだよ!」


>12月23日
トントン・・・
アミィ「はーい、誰ー?」
チェスター「アミィ、俺だー。」
アミィ「お兄ちゃん、どうぞ、開いてるよー。」
チェスター「おぅ!」
ガチャ・・・
ドアが開いてチェスターがやってきた。
アミィ「何か用なの?お兄ちゃん。」
チェスター「あ、ああ・・・その、なんだ、明日のクリスマスパーティーなんだけどよ・・・」
アミィ「ん?どうかしたの?」
チェスター「ん・・・。アーチェも参加させてやらないか?」
アミィ「やだ。(きっぱり)」
チェスター「そ、そんな即答しなくても・・・」
アミィ「だって、最近ずーーーーっとお兄ちゃんと兄妹水入らずってことなかったじゃない。
クリスマスくらい、お兄ちゃんと二人でお祝いしたい。」
チェスター「アミィ・・・」

アミィの部屋の前の廊下・・・
アーチェ「フー・・・」
アーチェは小さくため息をつくと、その場を離れた。

チェスター「ありがとな。」
チェスターはアミィの頭をポンと叩いた。
チェスター「でもな・・・アミィ・・・。もし、俺がさ、今いなくなって一人ぼっちになったとして・・・」
アミィ「そんなのヤダ!!」
チェスター「例えばの話だって。そう、例えば一人になって、一人っきりでクリスマ スのお祝いするとしたら・・・
アミィ、どんな気持ちだ?」
アミィ「・・・・全然楽しくない・・・と思うよ・・。」
チェスター「でも、クリスマスって楽しいもんだろう?」
アミィ「それは、みんなと一緒にいるから楽しいんだよ。一人だったら・・・」
考え込むアミィ。
チェスター「俺が言いたいのはそれだけだ。じゃ、暖かくして寝ろよ、最近冷えるからな。」
チェスターはそう言うと、部屋を出て行った。


>クリスマスイブ
アミィ「だいたいパーティーの準備は整ったよね。次はケーキの飾りつけかな?」
振り返ると、焼きあがったケーキのスポンジが。
アーチェ「アミィちゃん、どう調子は?何かアタシに手伝うことある?」
アミィ「アーチェさんに手伝ってもらうくらいなら、ブッシュベイビーの手を借りた方が安全です。」
アーチェ「ぐ・・・。そ、そうだ・・・今日はパーティー何時くらいから始めるの?」
アミィ「え?ええと・・・。お兄ちゃんが帰ってきてからだから・・・6時くらいかな。」
アーチェ「ふーん・・・あと2時間くらいか。ま、じゃあ、今のウチに渡しておこっかな。アミィちゃんちょっといい?」
アミィ「はい?」
アーチェ「ちょっとおいで、おいで。」
アミィ「私、今、手が離せないんですけど。」
アーチェ「そんな堅いこと言わないでさ、はい来た、はい来た。」
アミィ「ちょ、ちょっと、アーチェさん!!」
手を引っ張られるアミィ

アーチェ「ちょーっと待っててね。」
そう言うと、アーチェは自分の部屋へと駆けていく。
そして、何やら抱えて戻ってきた。
アーチェ「はい、どうぞ。」
アミィ「・・・・何ですか?」
アーチェ「そりゃ、開けてみなくちゃわかんないわよ。」
アミィ「そうじゃなくて、何でこんなものくれるんですか・・・?」
アーチェ「そりゃ、クリスマスだからに決まってるっしょ。いつも美味しい料理を作ってくれるアミィちゃんに ささやかながら、アーチェさんからのクリスマスプレゼント、どうだぁ!」
アミィ「クリスマス・・・プレゼント・・・どうして・・・」
アーチェ「よくそんなお金があったもんだってこと?最近ちょっとこことユークリッド間でほうき便のアルバイトをしてたのよ。
これぞ本当の『魔女の宅配便』♪なんてね〜。さ、いいから開けてみそ。」
がさがさ・・・
アミィが包みを開けると、可愛らしい洋服が・・・
アーチェ「アミィちゃんも女の子だからさ、こんな洋服似合うかと思って。あとは、これ!」
アーチェが出したのは、不思議な色の玉がついた髪どめ。
アミィ「綺麗・・・」
アーチェ「やっぱ、アミィちゃんには髪どめということで。この玉は光の当たり方によって色が変わるんだってさ。
なかなかのもんでしょ?」
嬉しそうに見つめているアミィ、しかし不意にハッとなり
アミィ「あ!でも私、受け取れないです・・・」
アーチェ「へ?どうしてさ?」
アミィ「私・・・アーチェさんにプレゼント用意してない・・・」
アーチェ「な〜んだ、そんなこと。気にしなくてもいいってば。これはアタシからのちょっとした感謝の気持ちなんだからさ。
ほんじゃ、プレゼントも渡したことだし、そろそろいこっかな〜」
アーチェは振り返ると玄関口に向かって歩き出す。
アミィ「ちょ、アーチェさん、どこへ行くの!」
アーチェ「ん?ほら、今晩はアイツと二人でクリスマスパーティーなんでしょ。アタシは今晩はどっかの飲み屋で騒いでいるから。
明日の朝には帰るから、朝食はよろしくね〜」
手を振るアーチェを見て、アミィはプレゼントの包みをギュッと抱きしめた。そして!
アミィ「アーチェさん!!」
アーチェ「え?な、なんじゃ!?」
ビックリして振り返るアーチェ
アミィ「ど、どこへ行くつもりですか!アーチェさん!!パーティーの準備手伝ってください!!」
アーチェ「へ?だってさっきブッシュベイビーの方がとかなんとか・・・」
アミィ「そんなこと言った覚えないもん!さ、これからアーチェさんの分の料理も作らなくちゃいけないんですからね、
しっかりと手伝ってくれないと困ります!!」
アーチェ「え・・・それじゃ・・・」
アミィ「二人より三人の方が・・・きっと楽しいです・・」
照れた顔して回れ右をするアミィ
アミィ「さあ、手伝ってくれるんですか?アーチェさん」
アーチェ「もちろん!!」
アーチェはアミィに続いてキッチンへと向かった・・・


>今夜はパーティーナイト
三人『メリークリスマス!!』
パン☆パン☆パン☆
クラッカーが鳴り響く!!
テーブルの上にはたくさんのご馳走。部屋の後ろにはアーチェの魔法によってキラキ ラ光るようになった
クリスマスツリー。そしてみんなの笑顔が・・・
チェスター「ご馳走!ご馳走ー!!うおー!!!どれから食べるか迷うぜっ!!」
アミィ「大丈夫よ、お兄ちゃん、まだまだたくさんあるんだから。」
チェスター「わかってるって!ん?そういや、お前、そんな服持ってたっけ?」
よーく見れば可愛らしく着飾った妹の姿。
アミィ「ん・・・クリスマスプレゼントに貰ったの、アーチェさんに。」
チェスター「へぇ・・・そうか、良かったな。」
アミィ「・・・うん。」
アーチェ「そこ!何こそこそしゃべってんのよ!今夜はパーッと騒ぐのよ!!」
アーチェは女の子版サンタの格好ではしゃいでいる。本当に嬉しそうだ。
アミィ「アーチェさん、これはばーくらいと家クリスマスパーティーなんですからね!そこんとこを少しは考えて!」
アーチェ「わかってる、わかってるって!!そうだ!それなら来年からアタシもバークライトを名乗るっていうのは?」

シーン・・・・

アーチェ「あ、あれ?どしたの?」
チェスター「・・・・・。」
アミィ「ダ、ダ、ダメに決まってるじゃないですか!!!お兄ちゃんは私のものなの!!」
アーチェ「な!?べ、べ、べつにチェスターとどうこうなろうって言う意味じゃなくて!!改名とかなんとかという意味であって!!」
チェスター「あ、あ、ああ、そういうことね・・・ハハ」
アミィ「あーー!!お兄ちゃん、何か少しがっかりしてるー!もう、私怒った!今日は食べる!とことん食べる!!」
アーチェ「あー!!それアタシが狙ってたローストビーフ!!!」
アミィ「早いもん勝ちだもんー!!べー」
アーチェ「だー!!プレゼント貰った感謝の気持ちはないのー!!」
アミィ「『それはそれ、これはこれ』だもんねー。」
アーチェ「こうなりゃ負けない!アタシも食べるわよーー!!!」

チェスター「ふっ・・・」
二人の様子を見ながら、笑みを浮かべるチェスター。
そして、もう一度つぶやき
チェスター「メリークリスマス!」



あとがき
ここあにあさんとのやりとりで生まれた『ばーくらいとさんち』の第2弾!
ED後でアーチェと合流したし、しかもアミィちゃんも生きてるよー!っていうお話です。
お兄ちゃん取られるのが何となく悔しいアミィちゃんとチェスターに対してと同じようにはアミィちゃんには言い返せず、ぐっと我慢する(?)アーチェさん、そして二人の間で苦しむ(笑)チェスターさんの日常を描いています。
今回はクリスマス編。アミィちゃん怖いねー(笑)
ちょっといやみになりすぎちゃったかな?というところが反省点です。
次回もあるかどうかはわかりませんけど、機会がありましたら是非〜
それでは、最後までお読みいただきまして、まことにありがとうございました〜♪












おまけ。

>新年ばーくらいと家劇場
チェスター「年も明けたなー・・・」
アーチェ「そだね。」
チェスター「新しい年になったことだしよ、何か今年の目標みたいなものってあるか?」
アーチェ「う〜ん・・・毎年同じだけど『笑うかどには福来る』かな?
やっぱり悲しい顔してるより笑ってた方が人生楽しいよ!」
チェスター「なるほどな・・。まあ、俺も毎年同じなんだよな。『健康第一』!
みんなが病気や怪我せず元気でいられるのが一番だぜ。アミィは何かあるか?」
アミィ「『働かざるもの食うべからず』。」
アーチェ「グサッ☆」
チェスター「あ、アミィ・・・今年の目標だぞ?」
アミィ「じゃあ、『生活費黒字』。」

しーん・・・



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