あいかわけい の おすすめ2

心の地図 梶田イフ
CD NATTY−1016 ¥2427

岩手県盛岡市が誇るサンシャインバンド(太陽楽団)のリーダー梶田イフの1stソロアルバム。
後期?サンシャインバンドがほとんど彼のソロワーク的形態だったので、このアルバムに収録された音源もこの時期のサンシャインバンドの歌と演奏と変わり無いと考えてよいと思う。
サンシャインバンドの歴史を綴ることは即ち盛岡アンダーグラウンド界を語ることになるので別の機会に譲るとする。
さて内容であるが、梶田イフの超直球毒舌プロテストソングを数多く知っている私としては少々物足りない内容になっている。どう考えてもルーツジャパニーズフォークの梶田イフが、いつのまにかレゲエの虜になっていた姿が私には奇妙に見えていた。近所の床屋でラスタヘアーにしてわけわからない髪型になった梶田イフに象徴されるようにその楽曲もフォークなのにレゲエ、レゲエなのにフォークなのである。それがこのアルバム「心の地図」だ。
曲目紹介
01.心の地図をたよりに
言わずと知れた梶田イフ、サンシャインバンドの代表曲。その界隈の人なら必ず1度は聴いたことがあるであろう曲。昔は「風をかえなけりゃ」というタイトルだったような気もする。若かりしイフが、生きていく気力をふりしぼって完成させたこの曲は未収録曲「子供の頃に死にたかった」と対比して聴くことで、生きるということがイフにとってどういうことなのかより鮮明になるであろう。
02.二風谷最後の砦
アイヌの聖地二風谷川に日本国政府達によってダムは建設されてしまった。私が梶田イフに会った頃、アイヌモシリ一万年祭は北海道沙流郡平取町二風谷で山道康子らによって行われるようになった。その頃私はまだ北海道に行ったことが無く、「北海道=侵略者の土地」というイメージはこの歌によって否応にも増幅された。あっぱれ梶田イフ、あんたの影響力は絶大だよ。超直球楽曲「原子力発電所はいらないのに」、「戦争反対」等がこのアルバムからは、はずされているが「二風谷最後の砦」ではしっかり梶田イフ節が発揮されており、彼の自虐的スタンスが私の快感にかわるまでにそう多くの時間はかからなかった。
03.陽のあたる場所
出だしがいい。とにかくこのwowowo〜の所が快感だ。この曲も昔からのレパートリーで耳になじんでいるのだが、梶田イフの曲にしては全く押しつけがましくなく、何度聴いても印象の薄い、実はこの曲こそ彼の最大の名曲なのではないのかと考えてみたりする。
04.イルカがこう言ったよ
いくらイルカの知能が高くても、いくらイルカが言葉を話しても、ここまで言うか?と、疑問をもたざるを得ない曲。梶田イフは環境問題を人間ではなく、イルカに語らせることによって歌による啓蒙活動を行っている。歌のソフトさに反して実は相当に野心的挑戦的楽曲である。この曲の始めの部分を聴いていたら、梶田イフはとうとう彼の一番良いところを捨ててしまったのではないかと思った。つまり直接すぎる歌詞をあえてオブラートにくるんで歌うような、一般人がやりそうな手法を用いたのではないのか?という懸念が生じたのだ。がしかし、旧来の習癖がそう簡単には抜けきらなかった。歌詞の中の「南の島の核実験」は恐らくこの時期しきりに行われていたフランスの海上核実験のことだし、なんにもソフトじゃねえ。チョーヘビーだ。出だしで期待裏切らせといて、でもやっぱり途中からイフの歌は超直接的だったのだ。最高!
05.JAH JAH LOVE
これはレゲエだ。最近梶田イフの曲がレゲエになっってきたが、彼は昔からボブマーレーが好きだったようだ。ちなみに他にはジョンレノンが好きと言っていた。何度か歌っている姿を見たことがある。題名の意味はわからない。
06.海岸通りを歩いていたら
全く印象が薄い曲。私はこの歌を歌っているイフは見たことがない。
07.銀色の月
痩せこけた梶田イフ。昔、中毒だったらしい本人との関連性が気になる大人な曲。
08.新しい始まりの日になるかもしれない
名曲がここに。若いときに世界中を旅して回った梶田イフ。歳をとったおじいさんはどこの国の人だろう?「何にもしなけりゃ何にも変わらない」とはわかっていてもなかなか出来ないでいる自分にとってこの歌は行動の機動力になることが多い。私にとって大切なこの1曲は間違いなく名曲。
09.たどりつこうぜ!
1996年のアイヌモシリ一万年祭で私はイフの娘、陽子達といた。この歌が始まると陽子をはじめとしてアイヌ語学校の生徒達がみんなでたどりつこうぜ!を合唱しだした。メロディー自体は「あいかわらずですよ」に似ているのだが、ジョンレノンのイマジンを彷彿させる歌詞の内容に、みんなの合唱を聴いて私もしみじみするのであった。そうそう陽子も今年1998年4月から高校生なんだよな。一説によるとイフは毎日陽子の送り迎えをしているらしい。いいお父さんです。

最後に
アルバムを通して聴いてみて、これでも初めて聴く人間にとっては相当聴きあたりが悪く、きついものがあるかも知れないと思う。しかし、梶田イフの本領がこのアルバムで発揮されているのかと言えば答えはNOだ!本当の梶田イフ(そんなものは私の幻想にすぎないのかも知れないのだが)はこんなもんじゃない。もっとすげえのである。最近のレゲエかぶれの彼はちょっと待っただ。そこで、あいかわけいが独断と偏見で梶田イフのスーパーベストアルバムを作るとして、ここに書き出してみる事にした。これこそ反体制ロックの金字塔だ!(現体制の矛盾を素敵に歌っていると言う意味です。)
1.あいかわらずですよ
2.子供の頃に死にたかった
3.戦争反対
4.新しい始まりの日になるかもしれない
5.原子力発電所はいらないのに
6.そばにいて(Stand By Me)
7.二風谷最後の砦
8.陽のあたる場所
9.心の地図をたよりに

特に6曲目の「そばにいて」は、何度聞いても違和感のあるBen E Kingの楽曲の完全日本語バージョン。これをマジで歌い切る、おそるべし梶田イフ。真剣そのもの。


左から二人目が梶田イフだ!(1996年ライブin原っぱ祭り)
原っぱ祭りとは・・・東京で毎年行われているデッドキッズ中心のイベント

ところが、1999年9月、西新宿の自主制作盤専門店に行くと梶田イフの2ndアルバムが販売されていた。その収録曲はまさしく「あいかわらずですよ」「戦争反対」「そばにいて」「原子力発電所????・・・」云々である。流石に「子供の頃に死にたかった」は入っていない。プロデューサーの下村誠さんとこから1stと同様に出ているのだが、一体いつこのアルバムは発売されたのか?9月26日には彼らのライブも東京であるようだし発売は最近かな。このアルバム売れるの???? 誰が買うの? 誰が聴くの? 怖ー

作品の具体的購入方法は、あいかわけい迄御連絡下さい。

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