あいかわけいのおすすめ1高坂一潮

だびよんの鳥 1st 青森が誇るライブハウス「だびよん劇場」の秘蔵っ子、高坂一潮の1stアルバム。どの曲もスタジオミュージシャンを召集して製作しただけあって落ち度のない演奏の上に暖かみのあるフォーキーなアルバムだ。ビートルズが流行っていた頃、一人でウディガスリーや高田渡のフォークを聴きまくっていたという高坂の性癖が現れた佳作だろう。
1.「急行八甲田」
今は無き東北本線の急行八甲田号を女に対する愛情と織りまぜながら歌い上げた。
2.「桜の花が咲いた」
男の哀愁をおやじが唄う。
3.「嵐の夜」
俺は納得いかないが雷様を唄った。
4.「ビンボーソング」
ビンボー三部作の中の一曲。
5.「だびよんの鳥」
これも又今は無きだびよん劇場を暖かみのある歌声でつづる表題作。
6.「創造者よ」
収録曲中いや、高坂一潮全レパートリー中でも最高作であろう。
7.「あの娘にふられた夜」
この唄を聞くとライブもこれで終わりなんだなあとしみじみくる。
8.「ホッピーブルース」
アル中の高坂一潮丸だし。

祭りの夜 2nd 全体的に1stに比べてカントリーテイストがUPした。ロックテイストもUP。歌と演奏の比重がより演奏寄りになった。私は、ここまで音数を入れる必要があるのかどうかということを、高坂一潮ファンの皆さんに問題提起したい。このCDは実力を出し切ったパーフェクトなCDなのだろうか?もっと上が可能なはず。しかしジャケットは最高。1stの100倍好き。
1.「遠い町から来た娘」
これは盛岡のふっちゃんの事を歌っているのでは無いのかと思いました。
2.「メロン畑の夜」
「東京のキャバレー〜」の所で花火を打ち上げる演出が憎い。聴く人に「あれっ?」と思わせる高坂流のペーソスが効いた一曲。
3.「月の夜」
酒好きの一潮らしい曲。途中かたホッピーブルースか嵐の夜ふうになっていく。
4.「回れ糸車」
私がはじめて聴いた曲。1990年夏祭りのカセットテープの収録曲の一曲だった。これも名曲のはず。しかしあまりにも印象が違う。アレンジでここまでかわるのか?高坂一人での演奏はもっと暗い曲になるはずなのだが。いいのだろうか?こんなアレンジで。マンドリンとバンジョーが何とも言えない味。うーん。しかし何度も聴くと良くなってしまうのだが。
Em−Am−D−G展開の曲は、最高に私の快楽ツボにはまるのだが、これもそんな一曲。(ほかにポールマッカトニーのヴィーナス&マース、奥田民夫のこれが私の生きる道、知久寿焼の鐘の歌が判明中。どなたかこの展開のコード進行の曲を他にもご存じの方がおられたら教えて下さい。)
5.「風の帰り道」
この曲は高坂の曲の中でも屈指の名曲のはず。だが、回れ糸車に続き演奏の妙でイメージが変わった。「上を見上げりゃ〜」の部分はいつも輪唱するところなのだが今回は独唱。輪唱で録音してっ!。1回目この部分の曲は唐突な始まりでリズムをわざとずらしているがいいのかなあ。1st収録の「あのこにふられた夜」を意識した作りになっている。
6.「岩魚つり」
初聴き。しらなかった曲。梶田イフと逆に、オブラートにくるみまくった表現。どちらがいいか?梶田流に歌詞を書き換えてみよう。
何と言う事だ。こっちから向こう岸までこんな川跳ぶ事ができない
開発反対!政府の建設省の役人が
開発反対!今日も自然を破壊しながら裏の川に潜んでいる
役人の潜んだその川は よどんだどす黒い川になっていく
岩魚がこう言った 「もうこれ以上開発しないで」って (作詞あいかわけい)
カントリー好きな高坂一潮なので、こんな曲調になっても仕方がない。これは高坂の意向なのだろう。バンジョーがたまらん。曲は私の趣味ではない。
7.「貧乏神」
貧乏3部作の1曲。ロックな曲。エレキが唸る。これも輪唱を中止している。1stでは盛んにみんなで歌っていたのに一体どうしたのだろう。
8.「仕事の途中」
はじめは思うのです。「よくもこんなに長い詩を歌詞も観ずに歌えるな」と関心していたのですが、ライブではしっかり歌詞を観ながら歌っていました。この歌は心にしみます。聴くほどに。ご年配の方。シンデレラ中年の歌。
9.「バイバイ」
はじめて聴く曲。1stの「急行八甲田」に対応したメロディーと詩が付いているようだ。いい感じ。ちょいと大滝詠一風で。コード進行のG−Am部分「バイバイさ」の所が特にいい。これも高坂流ペーソスの楽曲版と考えてよいだろう。徳武弘文のアレンジが効いているのか。エレキが4台も導入されている。高坂一潮っぽくないと言えばそう。8曲目からの流れが素晴らしい。イントロのドラムが、杉真理の12インチシングル「I don't like pops」のメドレーと同じという、まさに私のために作ってくれたような曲。私も早くこんな曲を作りたい。

川に住む魚達よ 3rd 静岡県下田市の私設スタジオでの録音が1998年冬に行われた。元ボガンボスの「どんと」が高坂ファンという思わぬ展開から、タイトル曲のレコーディングに「どんと」が参加。「どんと」はこの曲が大のお気に入りらしく、各地でのバージョン違いの演奏カセットテープをどこからか入手してコレクションしているという。高坂自身でさえも忘れているようなライブでの演奏テープを収集してくる「どんと」のオタクぶりには、目を見張るものがある。ジャケットは妻の絵理子画伯によるもの。

日頃の高坂一潮
高坂一潮はラジオの仕事などで時々収入があるようですが、完全にプロのミュージシャンとして独立したために、とてもじゃないけれど家族5人を養ってはいけず、貧乏暮らしを苦汁を噛みしめながら送っています。どなたかそんな高坂一潮を哀れに思ったらCDを買ってあげて下さい。今度一家の稼ぎがしら、奥さんの保母のパートも契約終了し、ますます生活難になってきている様子です。育ち盛りの子供3人が家で待っています。CD購入方法は最下段参照。

1st&2ndのジャッケトデザインは、1970年代にガロで漫画家デビューして以来、最近では作品「アフリカの太鼓」等で児童絵本画家としての才能をいかんなく発揮している「沢田としき」が担当している。「沢田としき」とベトナム戦争で殉職した写真家「沢田教一」との関係は不明だが、彼らは同じ青森出身である。としきはだびよん劇場にも出入りしていたようだし、高坂のジャケットを描くのには最もふさわしい人物と言えるのではないか。彼のその他の音楽関係作品としては、「西岡恭蔵」「大塚まさじ」のディランセカンド組や、私が偶然購入したブラジルコーラスグループの最高峰「Quarteto Em Cy」のジャケットがある。これは西岡、大塚がMIDIからアルバムを出しているために実現したものと考える。参考までに下にそのジャケットを掲載する。このCDはMIDIから発売されたが現在廃盤。

西岡恭蔵のライブでは、毎年としきの描いた絵をバックに歌ってくれた。東京の小田急沿線の町下北沢には、店内の内装をすべて沢田としきが手がけた店「ラカーニャ」がある。
としきの展覧会で絵の額縁制作を担当しているのが小岩井牧場近くに在住の木工師「山本さとる」である。彼は元サンシャインバンドのギタリストである。このバンドの実質的リーダーが、おすすめ2で紹介する「梶田イフ」である。
(西岡恭蔵は、大槻ケンヂもカバーした「プカプカ」の作詩作曲者である。1999年4月3日埼玉自宅にて首吊り自殺により死亡)

高坂一潮作品の具体的購入方法
キノコレコード迄郵便為替にて送金して下さい。
数日で郵送されます。裏の通信欄に「あいかわHP」と記入して。
送料 1枚260円 2枚340円
口座番号 02200-5-53543 口座名 キノコレコード

タイトル

お値段

だびよんの鳥

3000円

祭りの夜

3000円

川に住む魚達よ

3000円

最後に一言
最近やっとわかった事がある。どうして高坂一潮の音楽を無条件に肯定できないのかといういつもの問いから答えは出た。話は高坂一潮に限らない。ライブやCD鑑賞でいつも思うことは「この人達のやっている音楽の素晴らしさの基準というのはどこにあるのだろうか?」だ。つまるところ、様式美の世界なのではないのでしょうか?高坂一潮はそう考えるとフォーク&カントリーの様式美に則っているわけだ。聴く方もそう思って聴けばなんら不安感をかき立てられる事もなくすんなり入れるわけでしょう。音楽に安らぎを求める人は多く、音楽を聴いて不安感や不快感、恐怖感を味わいたい人の方が少ないのではないのでしょうか。様式がわかればあとは好きか嫌いかです。たまに誰もやっていないような実験的な音楽をやっている人もいるかも知れませんが、それを聴いてる方は「おや?」と思うわけです。よっぽどその試みが良くてチャンスがある人は世界史に名を残すことになるかも知れませんが、そうでない場合、大概は埋もれてしまうわけです。個人的に話したときの印象から、高坂一潮はかなり恣意的にその辺のことを考えて作詞作曲しています。私が嫌いな所はそういう様式美の世界とそれを無自覚に聴く聴衆です。
で、何がいいたいのかというと私のやっている音楽なのですが、歌詞の方で自己流の他に類のない様式美が確立できつつあっても音の方では様式美の世界に未だ到達せず。さらにその様式は分類できない所にわざと行こうとしている(生来のひねくれ者なので)。最近そういうジャンルを越えた混ざった音楽をミクスチャーって言うんですか?私の音楽はミックスチャーなんでしょうか?誰かに私のやろうとしている音楽なり行動を厳格に定義して欲しいものです。自己分析でもいいんですが。で、素晴らしければいつか日の目があたるのだろうと僅かな期待をもって、私は部屋に隠って1stCD制作中です。

メールはここまで
aikei@mail.interq.or.jp

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