白い世界。
全てが光に包まれている。
その中心に自分がいる。
眠っているのだろうか?
それともここは死後の世界なのだろうか?
どちらも実感は無い。
かすかに残る記憶。使徒との戦い。
あのままやられてしまったのか。倒した記憶は無い。
ならば自分は死んだのかもしれない。だからここにいるのか。
頭の中には霧がかかっているように意識は朦朧としている。
強い光の中で、心の焦点がぼやけていく。
無に帰ろうというのか、それとも目覚めようとしているのか。
何もわからなかった。
SR −the destiny−
〔第7話 笑ってよエンジェル〕
Written by かつ丸
「S2機関を自ら取り込んだエヴァンゲリオン初号機、その力は神にも匹敵する」
「われらのシナリオとは大きく違ってしまった。この修正は容易ではないぞ」
いずことも知れない場所。暗い部屋。
中心には数人の男たちのホロスコープ、バイザーで顔を隠し表情が窺えない者が一人だけいたが、他の者はみな一様に深刻な表情をしている。
部屋の壁には七つの目の顔が不気味に浮かび上がっていた。
「参号機と四号機を損失し、零号機、弐号機は大破。使える機体は初号機ただ一つ。しかもそれは無限の稼働時間を持っている」
「碇ゲンドウ、あの男は今最強の力を得た。信用に足る人物かね、彼は」
「左様、危険すぎる。そもそも奴にネルフを預けたのが間違いだったのではないのか」
口々にざわめく男たちに、それまで一言も喋らなかったバイザーの男が口を開いた。
「だが、あの男でなければ全ての計画は遂行できなかった」
その言葉にみなが黙り込む。男は言葉を続ける。
「奴には鈴がつけてある。見極めねばなるまい、あの男が何を考えているのか」
「それでゼーレの方にはどう説明するつもりです?」
司令室。ネルフ総司令席の大仰な机にもたれながら、加持はイスに座るゲンドウに尋ねた。
傍らに立つ冬月がかわって答える。
「あれは我々の制御下ではなかった。不慮の事故だよ」
「よって初号機は凍結する。委員会の別命あるまではな」
ゲンドウが言葉を継いで言った。そこには少しの迷いもない。
「賢明な処置です。・・・・・・ですが、ご子息を取り込んだままですか?」
その加持の問いかけに、ゲンドウは口許を歪ませただけだった。
暴走した初号機を第7ケイジに拘束してから、すでに十数時間が経っていた。
「何よこれ!?」
モニターの画像に、ミサトが驚きの声を上げる。写っているのはエントリープラグの中、そこには誰もいない。
「シンジくんは、シンジくんはどこにいったのよ?」
そう、そこにいるはずのシンジ、ミサトたちを助けるために初号機に乗り込み使徒と戦った彼の姿が無いのだ。
暴走の後、すべての信号を拒絶し閉ざされたエントリープラグ。初号機が使徒と戦っていたあの時、その中でいったい何がおこっていたのだろうか。
「・・・・これがシンクロ率400%の正体ね」
リツコが呟く。その顔色は蒼い。
「シンジくんは取り込まれたんだわ。エヴァに・・・・」
「ちょっと、いったいどういうことよ。エヴァって何なのよ」
リツコの肩口を掴み、ミサトは揺さぶった。肩に食い込む爪の痛みに耐えながら、目を伏せてリツコが答える。
「人の造りだした、人に近い物体・・・・・そこには人の意思が込められているわ」
「これも・・・・これも誰かの意思だというの?」
「あるいは、エヴァ自身の」
実験結果について話すような冷静な口調、怒りに震えたミサトの手が激しくリツコの頬を打った。
赤くなった顔を抑えることもせず俯くリツコをミサトが詰る。
「あんたが、あんたが作ったんでしょう!? 最後まで責任取りなさいよ!!」
理不尽ともいえるその言葉にも、リツコは何も言い返す事は無かった。
仁王立ちになったミサトは燃えるような目でリツコを睨みつけている。
そして彼女たちのすぐ横ではマヤが顔を背けるようにして座っていた。リツコを責めるミサトの言葉に、軽蔑の色を浮かべながら。
「意外と冷静なのね」
加持と入れ替わるようにして入ってきた蒼い髪の少女がゲンドウに言う。まるで揶揄するような口調。
「ユイさんの覚醒はともかく、シンジくんのことは予想外だったんじゃないの?」
それに答えることも無く、ゲンドウはただ黙っていた。その顔を冬月が見ている。
「あの状況、10年前と同じように見えるけど・・・・」
「サルベージ、やはり困難なのかね?」
「あの時はまだマギは無かったですわ。ユイさんの時のデータとマギのサポートがあれば、可能性は低くはないと思うけど」
レヰの呟きに深刻さが増す。彼女とて別にシンジがこのまま消えることを望んでいるわけではない。
「・・・・そうね、シンジくんにこちらに帰ってくるという強い意思さえあれば・・・・また、再構成することができるかもしれない・・・」
「それがユイくんの時との違いかもしれんな・・・・」
冬月が何かを思いだすように呟いた。ゲンドウの眉が僅かに動く。
「・・・・・シンジは戻ろうとするだろう。あそこにとどまりはしまい」
「こっちにはレイがいるから? そうね・・・・」
ではユイがゲンドウのところに戻ろうとしなかったのは何故か、そう問いかけて思いとどめ、代りにレヰは訊いた。
「でも、覚醒したユイさんがそれを許すかしら? 子供が可愛いのは彼女も同じでしょう?」
目を開けると、見たことのある天井があった。
病院のベッド。
「・・・・・まだ、生きてる」
確かめるように呟く。では、あの使徒は倒されたのだ。方法はわからないが。
それだけを思い、顔を動かさず目だけで周りを見ると、レイは再びその目を閉じた。
黒い髪の少年がそこにいなかったことに、少し落胆しながら。
「レイが目を覚ましたそうね」
実験室。端末を覗き込みキーボードを叩きながらリツコがマヤに言った。彼女もリツコの後ろで同じ様に作業を進めている。
「はい、葛城さんから連絡がありました」
「マヤ、ここは少し休憩していいから、見舞いに行ってあげたらどう?」
「・・・・・いえ、仕事がありますから」
少し強張った声で返事し画面から目を離そうとしないマヤに、リツコが手を止めて言った。
「・・・あまり無理して身体でも壊したらどうするの? あなた自身もちゃんと検査してもらったほうがいいのよ。どんな影響があるかわからないんだから」
稼働しなくなった弐号機のエントリープラグから救出された時、マヤは頭を抱えた姿勢のまま気絶していた。
目覚めた後、医師たちの制止を振り切ってリツコの所に来た彼女は、有無を言わせず現場に復帰した。確かに普段から真面目で働き者の彼女ではあるが、やはり尋常ではない。
「・・・いいんです。今の私に出来ることは、これしかありませんから・・・・」
ひとりごちるように答えたマヤは、虚ろな眼をしていた。彼女の思いが想像できるリツコには慰めの言葉をかけることもできない。それを口に出せば逆にマヤが壊れてしまうような気がした。
「・・・そう、・・・・でも一段落したらちゃんと休みなさい。先は長いんだから」
「・・・・・はい・・・・ありがとうございます」
かすれた声で答えるマヤの姿は、いつにもまして小さいようにリツコには見えた。
部屋には明かりがついていた。少女は目を開けたまま横になっている。
「具合はどう?」
病室に入りベッドの脇におかれた丸イスに座りながら、ミサトはレイに尋ねた。
「・・・問題ありません」
いつものように静かな口調で答える。あの戦いからまる2日眠っていた彼女、その顔はやはり少しやつれているように見える。
外傷があるわけではないが、爆発の衝撃と使徒の攻撃、マヤとは違いエヴァと直接シンクロしている彼女の脳にかかった負荷は計り知れなかった。
「そう? ならいいんだけど」
それでも健気に答えるレイにミサトが微笑みかける。だがレイはその笑顔に答えることなく何か問いかけるような表情を見せた。
その紅い瞳には不安の影が潜んでいる。
直接答えることはせずイスをベッドに寄せる。身体を起こしたレイの蒼い髪に手を伸ばし静かに撫でながら、ミサトは言った。
「・・・・・ねえ、レイ。どうしてあんなことしたの?」
問い詰めているわけでも、諫めているわけでもない。
優しく語りかけるミサトにレイが戸惑いを見せる。何のことを言われたのかわからなかったのだろう。
「あの時、確かにああするしか方法がなかったかもしれないわ。あの使徒は強力だったから・・・」
ようやくミサトの言いたいことがわかったレイの顔が少し強張る。
「でもね、レイ。誰も望んでいなかったわよ・・・・・あなたが・・・使徒と共に死んでもいいなんて」
「・・・・わたしは・・・」
「・・・・あなたの気持ちはわかる・・・わかるような気がするわ」
言い返そうとするレイを宥めるように、再びミサトがレイの髪を撫でる。
言葉を無くしたレイに身を寄せるとその頭を抱えるようにして引き寄せた。
「・・・・それでも、レイ。だれも喜びはしないわよ。たとえそれでみんなが助かっても」
「・・・・・葛城・・・・・三佐・・・・」
「自ら死を選ぶようなまねはしないで・・・・・残された者のことを考えて・・・。あなたがいなくなったら悲しむ人がいることを・・・忘れないで・・・」
レイはミサトの腕の中で俯いている・・・・少し震えているようだ。
「・・・・・・私の父はね。南極で私を助けてくれたの、セカンドインパクトの時にね」
独り言を言うようにミサトが呟く。
「爆発と嵐の中で私は大怪我をしていたわ。父さんは私を運んでくれた、脱出カプセルのところまで・・・・だから私は今ここにこうしていられる」
レイの頭を自分の肩口につけ、震える彼女を宥めるようにミサトが話す。
「でも・・・・でも、私は思うの。・・・・もしかしたら二人とも助からなかったかもしれない、それでも、父さんも一緒にカプセルに乗って欲しかったって。・・・私を生かそうとしてくれたように、自分も生きようとして欲しかったって・・・・」
レイの震えが止まり少しずつその顔がミサトの方を向く。彼女の紅い瞳が自分の横顔をみつめるのを感じながら、ミサトは言葉を続けた。
「・・・・自分を犠牲にして誰かを助ける・・・・助けたほうは気持ちいいかもしれない、でも助けられたほうには・・・・その相手が大事であればあるほど・・・つらい傷跡としてのこるわ・・・」
息をつぎ、ミサトがレイを見つめ返した。紅い瞳の少女は何も話そうとはせず、ただ真摯な眼差しで聞いている。
「だから・・・レイ・・・生きることを、生きようとすることを止めてはだめ。私は・・・・もう、大切な人を失いたくないの。使徒なんかのために」
「・・・・・私が?」
意外そうにレイがミサトを見る。その顔に微笑みかけながら、ミサトは彼女の蒼い髪を再び撫でた。
「そう・・・・あなたも、シンジくんも、私にとってはもう身内よ。マヤもそう思ってるわ、きっと」
「・・・・」
「約束してくれるわね・・・もう、あんな無茶はしないって」
その言葉にレイはこっくりと頷いた。ミサトは明るい笑みでまた髪を撫でる。
「ありがとう・・・・レイ」
潤んだ眼でミサトが言い、レイも微笑みで彼女に答えた。
静寂の時。ゆるやかに時がすぎているような気がする。ようやく和んだような表情を見せたレイを見て、ミサトは少し息を吸い込んだ。つらい話をするために。
「あのね・・・シンジくんは・・・・・当分、ここには来られないの・・・」
紅い瞳がミサトを見つめ返す。
「碇君に・・・・何か?」
「あの使徒を倒したのは、シンジくんなのよ。・・・・いえ、正確には彼じゃなくて初号機ね。暴走した初号機が使徒を倒して・・・・そしてシンジくんは取り込まれたの・・・エヴァに」
「取り込ま・・・れた?」
聞き慣れない言葉、意味が分からずレイが問い返した。頷きミサトが答える。
「そう・・・あの子は・・プラグの中でLCLと、エヴァと一つになってしまった。その身体を失って・・・・どこにもいなくなってしまった」
「碇・・君・・・・そんな・・・」
レイの目が見開かれる。あまりのことに言葉を無くしているようだ。強張るレイの肩を抱きかかえながら、ミサトは強い口調で言った。
「でもレイ・・・・シンジくんは、シンジくんはきっと帰ってくる、帰ってくるわ」
「帰って・・・くる?」
「そう、決して死んだわけじゃないの。シンジくんの魂はエヴァの中に残ってる。だから望みはあるのよ。リツコやマヤがきっとなんとかしてくれるから」
自分自身に言い聞かせるようなミサトの言葉。レイは何も言おうとはしない。
ただそのままミサトの胸元に埋めるようにその顔を隠した。また震えている。
「・・・シンジくんは来てくれたんだもの。もう乗らなくてもいいって言われてたのに・・・それでもみんなのためにエヴァに乗ってくれたんだもの・・・・・だからきっと帰ってきてくれるわ。私たちがそれを望めば・・・」
レイを抱く手に強く力を込めミサトが言った。それを聞いているのか聞いていないのか、レイは顔を上げようとはしない。その手はシーツを握りしめている。
聞こえるのは小さな嗚咽。
「・・・・・レイ」
自分の服を濡らすレイの涙を感じながら、ミサトは声を詰まらせた。
「・・・・・・いかりくん・・・・・・・・・いかり・・・くん・・・・」
くぐもった声で何度もシンジの名を呼ぶレイの背中をさする。こんなにも彼のことを想っている少女がここにいるのだ。このままシンジが消えるようなことがあっていいはずが無い。
「レイ・・・・シンジくんは帰ってくるわ・・・絶対に」
・・・・・果たしてシンジを連れ戻すことが出来るのだろうか。
研究室。端末の画面に写る10年前のデータを見ながらリツコは思った。
マギの移送作業の指揮はマヤに任せてある。彼女にはその力が発揮できる仕事が必要だからだ。他にも零号機と弐号機の修理や松代の破壊原因の調査にマギ2の再整備、リツコの肩にかかる負担は多い。
しかし今の主眼は初号機だ。
取り込んだはずのS2機関は完全に停止している。暴走の後何の操作も無しに動きを止めたのだ。ケイジにつながれた姿は、外見だけなら今までとなんら変わりは無いように見える。
その中にシンジがいること以外は。
レイもダミープラグも拒否した初号機を、あの少年はいとも簡単に動かした。プラグスーツも着ずに。彼女が、碇ユイが目覚め、そしてシンジを選んだということなのだろう。
10年前、同じようにエヴァの中に消えた彼女が。
覚醒してこれからどうなるのかわからない、しかしゲンドウや冬月の顔には迷いは見えなかった。その瞳には微かな歓喜すら浮かんでいたように思える。
予想通りということなのだろうか。だがシンジの救出を最優先せよという指示は、ただの親子の情やパイロットの確保という意味合いだけではないような気がした。
おそらくそれだけがイレギュラーなのかもしれない。
ならば今のままにしていた方が自分にとって都合がよいのではないのか、根拠もなくそう思う。
10年前には失敗したサルベージ、今回も失敗してもしょうがないですむのだろうか。
歪んだ考えをする自分に気づき、リツコは苦笑した。あの少年には罪はないのだ。
「・・・・・大変そうだな」
気がつけば研究室のドアが開き、そこから加持が顔を出している。なにか見透かされたような気がしてリツコの頬が少しだけ赤くなった。
「あら・・・・何しに来たの? ミサトならここにはいないわよ」
「別に葛城には用はないさ。りっちゃんの陣中見舞いにと思ってね。・・・・コーヒーでも入れるよ」
そう言って笑う加持の目は、いつもよりほんの少しだけ厳しい光を帯びているようにリツコには思えた。
「それで、シンジくんは帰って来れるのかい?」
「・・・・・なんとも言えないわね」
加持が入れたコーヒーを飲みながらリツコが答える。明日の天気でも占うようにその答えははっきりしなかった。
事実は事実、そこに期待や望みは交えてはいけない。そう母から教えられてきた。
「・・・・しかし一人の人間がその身体ごと消失する・・・・・この目で見ていても信じられない話だな」
「前例はあるわ・・・・・10年前にね。だから可能性は考慮しておかなければならなかったのに。・・・・私のミスね」
「・・・・・碇ユイ・・・・シンジくんのお母さんか」
「因果なものよね・・・・親子そろって取り込まれることないと思うけど」
「偶然・・・・じゃないんだろうな、きっと」
その加持の言葉にリツコが絶句する。この男は一体何をどこまで知っているというのだろう。
「シンジくんを戻す作業・・・・・時間をかけたほうがいいかもしれない」
「・・・・そりゃ、拙速にはしないつもりだけど、でもどうして?」
加持があたりを見回す、そのしぐさで分かった。盗聴器を気にしているのだろう。ここにないことは断言できる。リツコの目を欺けるものはいない、そう思い加持に頷きかけた。
「初号機の封印、委員会は信じてはいない。・・・・パイロットがいない今は彼らが動くことはないだろうが、しかしシンジくんが帰ってくれば別だ。必ずなにかある」
「どうしてそんな・・・・S2機関のせいってこと」
「・・・・あれのおかげでエヴァでの世界侵攻も可能になったからな。・・・司令も信用されてないってことさ」
その理屈は分かる。しかし使徒の襲撃がいつあるか分からない以上、動かせるエヴァが1機も無い状態は早急に解消されなくてはならない。零号機や弐号機の修理には何十日かかるかわからないのだ。
「初号機パイロットの早急な救出・・・・それが司令の出した命令よ。たぶん全てを承知の上でそれを望んでいると思うわ・・・・あの人は」
「ああ、そうだろうな。俺もそう思うよ」
「・・・だったら、どうして私にそんなこと言うの?」
事も無げに肯定した加持に少し呆れてリツコは訊いた。まるで悪戯小僧のような邪気の無い笑顔で加持が答える。
「いや・・・・遅らせる理由が欲しいんじゃないかと思ってさ」
「なっ・・・・」
リツコが言葉を無くす。確かにそれを無意識に望んでいたかもしれない自分を否定できない。だが、傍目にもそうわかるほど浅ましい顔をしていたのだろうか。
「そのほうが少しでも休めるだろう。技術部は大変みたいだからな。マヤちゃんも含めて」
「そ・・・・・そうね・・・・」
冗談めかして加持が言う。でも、それがどこまで本気なのかも今のリツコには信用出来なかった。
何を知っているのか、何が言いたいのか、決して己をだそうとはしない加持にリツコが問いかける。
「・・・そういえば、ねえ、加持くん。いつかの母さんの言葉覚えてる?」
「・・・・・さあ、なんだったかな」
リツコの口調には皮肉な響きがあった。だが加持はその微笑みを絶やさず聞いている。
「たしかここで言ったのよ。あまり深入りすると出られなくなるって・・・・」
「・・・ああ、よく覚えてるよ・・・・」
遠い目をした彼が思い返しているのは、黄色い瞳の少女のことだろうか、学生時代に会った時のナオコの姿だろうか。
「・・・・・でも、もう遅かったのかもしれないな。お互いに」
そう言ってリツコを見つめる。加持のその顔にも迷いは無いように、リツコには思えた。
〜つづく〜
かつ丸にメールを送る
katu@osaka.104.net
解説:
う〜ん、題名と内容のシンクロ率が10%、起動ギリギリだな(^^::
最初の段階では「慟哭」の予定だったがやめ。
よくかんがえたら曲が違う。
詩が違うやつも最後まで使わないよ。
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