家族とはなんだろう?
血のつながり?
同じ家でに暮らすこと?
どれだけ一緒にいても、どれだけ近くにいても、そして実の親でも、
家族とは呼べない人もいる。
ならばいつから、家族というものになるのだろう?
SR −the destiny−
〔第11話 忘れてはいけない〕
Written by かつ丸
「登校禁止? 学校に行くなってことですか。いったいどうして?」
ひさしぶりに4人そろった葛城家のダイニングルーム。ペンペンも床で皿をつついている。
一カ月半ぶりにシンジの作った夕食を囲んだテーブル。
食事の間、いつになくあまり話さなかったミサトが切り出したのは、シンジにとって理解不能な内容だった。
「・・・・・今は動かせる機体が初号機しかないの。あなたになにかあってそこに使徒が来たら、それはすなわち世界の終わりを意味するわ」
深刻な表情でミサトが言う。マヤとレイは成り行きを見守っているようだ。彼女たちも初耳なのだろう、少し意外な顔をしている。
「本当ならここから出して本部で保護するべきだって話もあったくらいなのよ。それは私が責任とるからってことで止めたんだけど」
「・・・そんな大げさな、子供じゃないんですから」
今までこの街で身の危険を感じたことなどない。エヴァの操縦士なのは今に始まったことではないし第五使徒との戦いの後、弐号機がやってくるまでの間は初号機しかなかったではないか。
その間も別に学校を休ませられたりはしなかった。
「葛城さん、義務教育なのに、シンジくん可哀相ですよ」
思わずといったようにマヤが口をだした。彼女の反応がむしろ世間のそれに近いのだろう。
「しょうがないじゃない。戦力になるのはこの子だけなんだから」
突き放すようにミサトが言う。その言葉にマヤが気色ばんだ。
「・・・・ひ、ひどいです。そりゃあ私は役立たずかもしれませんけど」
「誰もそんなこと言ってないでしょ。何言ってるのよ、あんた」
「だってそうじゃないですか。別に葛城さんだって戦力になんかならないくせに」
「なによそれ?」
いつになく絡んでくるマヤにミサトも声を荒らげる。いつもの彼女なら軽くいなせるのかもしれないが、ミサトの様子はどこかおかしかった。
見かねたシンジが慌てて口を挟む。
「ちょっ、ちょっとやめてくださいよ。ミサトさんもマヤさんも」
「・・・・とにかく、これは司令の命令だから」
これ以上話すことは無い、そう宣言するかのようにミサトは言った。冬月の拉致事件にともない警備体制が見直されたなど、彼らに言うのが憚られたからだ。
「・・・・じゃあ、ぼくは普段なにをしてればいいんですか?」
「このマンションの中かネルフ本部、あなたに認められた場所は基本的にそれだけなの。送り迎えは保安部が張りつくわ」
それじゃあほとんど軟禁じゃないか、思わず口に出しかけてシンジは止めた。ミサトの目が笑っていない。
小さく溜め息をつき、先程からなにも喋らずお茶をすすっている少女を見る。
「・・・・・綾波はそれでいいの?」
「別に問題ないわ」
「・・・・レイは別に学校に行ってもいいのよ」
「必要ありません」
間髪を入れずに答える。さも当然といったように。シンジを縛るネルフの決定も、彼女にとっては二人きりの時間が増えてかえって好都合なのかもしれない。
「・・・・あんたねえ」
ミサトが呆れ顔になる。シンジもマヤも思わず苦笑する。
一人何事も無いようなレイを見つめながら、彼らの周りの空気も少しだけ和んだように見えた。
「いっきに13号機まで建造? 本格的に動きだしたのね、老人たちも」
「アダムから造りし12体のエヴァ。人が造りし使徒。当初の予定通りではある」
ネルフ本部の頂上にある総司令室、イスに座るゲンドウ、その傍らに冬月、そして机にもたれるレヰ。
先の冬月の拉致事件などなかったようにかれらの様子に変化はない。しかし、時は確実に流れ、事態は動きをみせていた。
ドイツで建造中の五、六号機に続く7機のエヴァの作成、その話はこの組織の総司令たるゲンドウの預かり知らぬところで決定されていた。委員会からは事後の連絡があっただけ、もとより異論を挟めるはずもない。
「そして神のひな型なわけ? 零号機と初号機は」
「はなはだ不完全ではあるがな・・・」
「初号機はそうでもないんじゃないの?」
腹を探り合うような会話をするゲンドウとレヰ。その様子を冬月はいささか呆れた様子でみていた。
思わず口を出す。
「しかし連中はどうやってエヴァを動かすつもりだ? 9人のチルドレンを準備するとなると大変だぞ」
「・・・・ダミーシステムでしょうね」
冬月の疑問をレヰがすくい取る。その答はしかし少なからぬ波紋をひき起こした。
「ナオコくん、それは」
「持ってるのか、奴らは」
「言ったでしょう、ファティマはダミーシステムの発展形だって。弐号機のアレは本体だけどドイツには同じモノがあるわ。ただ魂がないだけ」
「・・・・・レイと同じ、か」
サングラスの向こうのゲンドウの瞳が厳しく光る。頷くレヰの顔はどこか憂鬱そうに見える。
「君が作ったのかね?」
「ひな型はすでにキョウコが作ってましたわ。完成させたのは確かに私ですけど」
「惣流博士か。・・・・とすると戦力的には分がわるいな、碇」
「大丈夫だ、まだ時間はある。出来上がっていないうちはどんな強力な兵器でも意味はないさ」
ゲンドウの口調から自信は消えていない。使徒の残り数が少なくなっていくにしたがい、老人たちとの対決の時は近づいている、その事だけはどのみちはっきりしていた。
アドバンテージがあるうちに決着をつける。それが彼らに残された手段なのだろう。
「マヤになにか言ったの? あなた」
ネルフ本部の一角、他にだれもいない廊下で偶然すれ違いざまにリツコはミサトに問いかけた。ミサトが足を止める。
「・・・・あの子には何も言ってないわ」
「本当に? 今朝から愚痴ばっかり言ってるから・・・・不安定なのは知ってるでしょう。気を使えとは言わないけど、少しは注意して欲しいわ」
「あの子もいい大人なんだから、そこまで構ってられないわよ、こっちも」
吐き出すように言う。その顔は明らかに不快を示していた。
「・・・・子供じゃないから範疇外ってこと? パイロットのメンテはあなたの仕事でしょう?」
「シンジくんとレイで手一杯だわ。ある程度は自分でしてもらわないと。それにあの子を選んだのはあんたでしょう? 今も上司なんだし」
「・・・分かってるからこうして文句も言ってるのよ。無駄な仕事増やさないで欲しいわ。人間関係壊すために隣に住んでるわけじゃないでしょう」
だんだんリツコの口調も厳しくなってくる。お互いに睨み合うように廊下で対峙していた。人通りは無い。
「だから私は何も言ってないってば。・・・・・あの子が勝手に勘違いしてつっかかってきたんじゃない。だいたい不安定だかなんだか知らないけど、あの子がしっかりしてればシンジくんの負担ももっと減るのよ」
「それはマヤが一番思ってるわよ、あなたに言われなくてもね。パイロットとしてはともかく技術者としては充分役にたってるんだから、今は責めても仕方ないでしょう、弐号機は壊れてるんだし」
「初号機の凍結は解かれたわけじゃないわ。機体が直ればあの子がメインで使徒にあたって貰わないといけないのよ。甘やかせるほど余裕のある状況でもないと思うけど」
目を吊り上げて話すミサト、辛辣そのもののその言葉をマヤが聞いたら泣きだしてしまうだろう。これ以上何をいっても無駄、そう思ったのだろうか。リツコは小さく溜め息をついた。
「・・・・・・・余裕が無いのはあなたでしょう」
「・・なに?」
口の中で小さく呟いたリツコに、怪訝な顔でミサトが聞き返す。
「もう、いいわ。パイロットといがみ合ってて苦労するのはあなたなんだしね」
そう言うとミサトから視線を外してリツコは歩きだした。その背中を少しだけ見つめ、ミサトも前を向く。
くちびるを噛んでいる、その顔はどこか強張って見えた。何かに耐えているように。
「どうしたんだい、元気無いじゃないか?」
自動販売機の前、すするようにオレンジジュースを飲んでいたマヤに声がかけられた。以前にも同じようなことがあった、だが、顔を上げるとそこには以前とは違う、しかし見知った顔。
「なんだい、きょとんとして」
「・・・・なんだ、青葉さんか」
オペレーターコンビの一人、青葉シゲルは、愛想のないマヤの言葉に苦笑している。
「なんだは酷いな。人が心配してるのに。顔色悪いぞ、マヤちゃん・・・・・いえ、伊吹一尉殿」
「なんでもないです。ただ・・・・・葛城さんとケンカして気が重いだけ」
階級が上になり「マヤちゃん」呼ばわりこそ嫌がるものの、オペレーター仲間としてなにかと青葉には相談にのって貰っていた。だから自然に口に出てきたのだろう。
「葛城さんと? そりゃまたムチャな相手だな。戦闘訓練か?・・・・・ごめん、冗談」
「あんまりおもしろくないです。・・・・・・だって酷いんですよ、シンジくんに学校行っちゃ駄目だなんて言うから。あの子、やっと帰って来れたのに」
「・・・シンジくんは今や最大のVIPだからな。いまの状況じゃ仕方ないんじゃないのか?」
宥める様に言う青葉をマヤが睨みつけて食ってかかる。
「なにが仕方ないんですか! 大体おかしいですよ、急に警備が厳重になるなんて」
「・・・・・もしかして聞いてないのか? マヤちゃん」
「なにがですか?」
突然深刻な表情をみせた青葉に、マヤが怪訝な顔で答えた。実際彼女はなにも聞いてはいなかったから。ミサトからも、そしてリツコからも。
「やっぱり不自由だね」
傍らのレイにシンジが愚痴をこぼす。ミサトの家。日中のネルフでの実験を終え、シンジとレイは帰ってきていた。
いつもなら行き帰りにリニアレールを使い、ここまでの途中のスーパーで買い物を済ませることも多いのだが、今日は保安部の大層な車での送り迎えだった。
レイと二人ではあるし、運転席と後部座席は透明の板で遮断されているので、SPとの会話に困るとかそういったわけではないのだが、やはり落ち着かない。
気軽に、買い物をするから降ろしてくれなどと言える雰囲気ではなかった。無事送り届けるまでは彼らの仕事は終わらないのだから。
「あんまり材料の買いおきないし、外に出ちゃいけないみたいだし、・・・・どうしよう」
こんなことならマヤかミサトにでも頼んでおけば良かったかもしれない。しかし昨晩の夕食時からのぎくしゃくした雰囲気は、今朝方まで続いていた。
マヤは朝こちらに顔を出さなかったし、ミサトもどこか声をかけにくい雰囲気だった。だからそんな相談などできなかったのだ。
ここまで自分が厳重に警備されているとシンジが思わなかったのも確かであるが。
「・・・・買ってきましょうか?」
「うん・・・でも、警備の人どこにいるかわからないし、連絡取れないよ」
「問題ないわ」
確かにレイは警備強化の対象ではない、そうミサトは言っていた。しかしシンジの身に危険があるからこその警備だ。同じエヴァのパイロットであるレイがより安全だとは言えないだろう。
彼女を一人で外に出すことに、シンジはいい気持ちはしなかった。
「・・・・・やっぱりいいよ。なんとかならないわけじゃないから」
「そう?」
「うん、たいしたものはできないけど。ミサトさんが早く帰ってきたら車だして貰えるかもしれないし」
そう言って自分の言葉に頷く。無理にレイを外に出さない、そのほうがいいと思えたから。
その時気がついた。当然の疑問に。
使徒が来る時はシンジやレイはエヴァに乗る。
厳重な警備が必要ということは、それ以外の危険があるということだろうか。
いったい何が危険だというのだろう。
誰かが自分たちを狙う、そんなことがあるのだろうか。
世界を破滅から救うために戦っているはずなのに。
自分の考えにシンジは少し混乱していた。
そしてその日の夕食。
また4人と1匹がミサトの家のダイニングに集う。
昨日の晩をまだ引きずっているのだろう。ほとんど会話はない。
マヤは俯く様にして茶碗だけをただ見つめているし、ミサトはずっと難しい顔をしていた。
重い空気に戸惑いながらも、シンジがミサトに問いかける。
「ねえ、ミサトさん」
「・・・・・なに?」
「明日、買い出しに行きたいんですけど、もう材料が余り無いから」
「・・・・ああ、そうね。リストアップしておいて、私かマヤが買って帰るわ」
少し考えてからミサトが答えた。警備つきでもなるたけ外には出るなということか。
昼間感じた疑問がシンジの口からでる。
「・・・どうしてなんですか? 突然こんな」
「言ったでしょう。あなたに何かあったら困るからだって」
「でも何かって・・・この街で暮らしてて何が危険なんですか?」
「・・・・裏切り者が出たのよ」
「・・・マヤ!?」
今まで何も言わずに下を向いていたマヤが顔をあげて呟いた。その視線はミサトを見ている。
「う、裏切り?」
「そう、私たちをだまして、近づいて、そして利用しようとした人がいたの。だから警戒しなくてはいけなくなったの」
「マヤ、黙りなさい!」
顔を赤くしてミサトが叫ぶ。しかしマヤは動じた様子をみせない。醒めた瞳は暗い光を宿している。
「いっ、いったい誰が」
「シンジくんもよく知ってる人よ・・・・・」
「やめなさい、マヤ!!」
「加持リョウジ・・・・・あの人がネルフを売ったの」
「マヤ!!」
立ち上がったミサトの右手がマヤの頬を叩いた。だがシンジは部屋に響く音も聞こえないように、ただ呆然としていた。
「・・・・加持さんが?」
しかしミサトにはシンジは見えていなかった。涙を流しながら左頬を抑えているマヤを、射殺す様に睨みつけている。
「あんた・・・・あんた何も知らないくせに・・・」
「知らないって・・・葛城さんが教えてくれなかったんじゃないですか。シンジくんやレイちゃんや私が生命を賭けて戦っているのに、それを汚い足で踏みにじろうとしている人たちがいるって。私たちの敵は人間にもいるんだって」
「どういう・・・どういう意味なんですか?」
「聞く必要ないわよ!」
「私たちは狙われてるのよ、加持さんは副司令を拉致したの。きっとここの秘密を聞き出すためだろうって青葉さんは言ってたわ。ここにはあらゆる科学技術の粋が集まっているから、それに怯えている人がいるんだろうって」
シンジの方を向いてマヤが答えた。
「副司令は無事帰ってきたみたいだけど。それからよ、ここの警備が厳しくなったのは。次はパイロットの私たちが狙われる番だってことよ。エヴァがあると危険だってそう思ってる人がいるのよ」
「そんな・・・・」
「私たち・・・・何のために戦ってきたんですか? なんで、なんでこんな思いしなきゃいけないんですか。あの男がスパイだって、ネルフの敵だって、葛城さんは知ってたんですか?」
マヤのミサトへの問いかけを聞きながらシンジは思った。アルバイトがばれた・・・・あの時加持はそう言っていた。つまりはそういうことなのだろうか。
「知ってたわよ」
それがどうした、そう言う様にミサトの顔に迷いはなかった。
「ここが狙われてるなんて、最初から分かってたわ。当たり前じゃないの、これだけの力を持ってるんだから。加持がスパイだなんてずっと前から知ってた、私も、リツコも、司令もね」
「先輩も? 先輩も私をだましてたんですか?」
「自惚れるんじゃないわ。だましたんじゃなくて話す必要を感じなかっただけでしょ。なんであなたごときにうちの機密をいちいち言わなきゃならないわけ?」
開き直ったのか、既にミサトの目は座っている。気押されそうになりながらもマヤも負けずに言い返した。今まで溜まっていたものを全て吐き出そうとするかのように。
「・・・葛城さんが知らないことで、私が知ってることだってたくさんあります。作戦部長なんていっても所詮飾り物じゃないですか」
「役に立たないパイロットにそんなこと言われたくないわよ」
「だったら!!」
大粒の涙をぼろぼろと流し、それでもミサトを睨むことを止めずにマヤが声を張り上げた。
「だったら、私をエヴァから降ろしたらいいじゃありませんか。どうせ役に立たないんだから、何も出来ないんだから・・・・」
そしてそのまま踵を返し部屋から走り出る。玄関のドアが閉まる音が大きく響くのを、シンジたちは呆然と聞いていた。
今まで一言も喋らなかったレイが席を立つ。
「・・・・帰るの?」
「ええ」
「マヤさん・・・・頼むね」
シンジの言葉にこくりと頷きレイもまたミサトの家を出ていく。視線だけで彼女を見送ると、シンジは彼の同居人の方に向き直った。さっきまでマヤのいた席を見つめたまま、微動だにせずに立ちつくしているミサトの方に。
やっと分かった気がした。
あの時ミサトが泣いていた理由が。
「・・・ミサトさん」
テーブルの上を片づけながらシンジが言った。その言葉にようやく我に返ったのかミサトがシンジを見る。
「僕は・・・・信じてます。加持さんを」
「シンジくん・・・」
「あの時・・・弐号機がやられて、綾波も、零号機も使徒に倒されたあの時・・・・・加持さんがいなければ、僕はもう一度初号機に乗ろうとは思わなかったから、きっと・・・」
皿を積み上げる手を止め、シンジが微笑む。
「自分のために・・・・・誰のためでもなく、自分のために、どうすればいいか、どうしたいのか考えろって・・・そう言ってくれたから」
「・・・・それで?」
「それで分かったんです。僕は・・・ここで掴むことができたいろんなモノを、得ることができたいろんなモノを・・・失わないためにエヴァに乗るんだって、乗らなくちゃいけないんだって」
ミサトがシンジを見つめる。その瞳は少し潤んでいる様だ。
「だから、だから僕は加持さんが信じられます。自分のために、真実を見つけるためにここにいるって、そう言ってたから。だから、だからきっと・・・・」
「ええ、きっと理由があったのね。あいつが真実に近づくための・・・・・・・」
「はい・・・・そう思います」
「・・・・・・ありがとう、シンジくん」
涙をふた滴こぼし、ようやくミサトに笑顔が戻った。泣いているようにも見えたが、確かに彼女は笑っていた。
安心してシンジは再び片付けを始めた。やはりミサトは笑い顔が一番似合う。そう思いながら。
月明かりがカーテンの隙間からこぼれる。かすかな光だけが照らすリビングルーム。
物音一つしない。聞こえるのは小さな寝息だけ。
まるで虫の奏でる音色のように規則正しくそして微かに聞こえている。
こぶりのソファーには二つの影が浮かんでいた。
うつ伏せるように寝そべるマヤと、彼女の頭を太股にのせソファーに座るレイの姿。
寝息を立てているのはマヤ。泣きつかれたのだろう、ぐっすりと眠っている。
レイの紅い瞳は閉じられることなく、マヤの寝顔を見つめている。
慈しむように何度もマヤの髪を撫でながら。
静かに眠るマヤの顔には、あどけない笑みがいつしか浮かんでいた。
全ての哀しみを忘れ去ったような、そんな笑顔が。
〜つづく〜
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katu@osaka.104.net
解説:
第11話、二十二話A相当です。
シンジの警備強化ってのは本編でもされてたんじゃないかと思うんですよね。
二十三話でリツコが「ガードを解いた」と言ってるし。
このへんは、別の解釈もあるのかもしれませんが、もとからそうだったとか。
それでも、まあいいかなと、なんか筋が通ってる気もするし、こっちの方が話しがつながるし(笑)
と、いうわけでそうしました。
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