日常的な戦闘の一コマ


「グレイ、無茶だ」
脱兎のように駆けるグレイには聞こえない。
後は木々の闇に潜む敵と共に彼は漆黒に溶け込んだ。
グレイの怒号と敵の悲鳴が木々をざわめかせ葉を揺らす。
チッと舌打ちしつつも、畜生とつぶやき自らも駆け出す。

「毎回毎回命令無視してどういうつもりなんだ、味方殺しになるんだぞ」
とグレイに毒づきつつ一人切り裂く。

「危なくなったら退却して、生き残ってなんぼのものさ」
と呪文のように繰り返しつつ敵を押し返す彼に半ば呆れつつ、それなら最初から隠れていた方が良いだろうと思いながら又一人切り裂く。

圧倒的な敵を前に黙々と戦う。しかし敵にかこまれ逃げ場はない。
自分の荒い息と剣のきらめき、鎧のこすれる音、闇に潜む敵に自分の存在を知らせているようなものだ。
その闇から剣が飛び出る恐怖、まるで魔法の矢、矢の音、この闇は自分たちを死と共に包むのか。

後ろにいた敵が倒れる。

「俺のゴットボウガンが炸裂するぜ、味方も撃つけどな、ケケケ」
といいつつ矢を放つのはラハルード。

「グレイの旦那、当たっちまったかな」
「殺す……」
「助かったラハルード」

暗闇の中エルフの歯、で笑っているのがわかる。
くえないエルフだが助けになる。

そして味方の騎士も救援に駆けつける。

「よし反撃に出るぞ」
と騎士の声。

暗闇の中、朝日が木々を通し射し込む。

「丁度いい具合だ」
と言いつつも又敵に切り込む。

日常的な戦闘の一コマ。


Yu−Kaのコメント

 これは、ソードワールドRPGリプレイ「破壊の彫像」に出演しているPCプレイヤーキャラクター達の、別の冒険における戦闘シーンを『ルイ・オルタンス』のプレイヤーの方に描写してもらったものです。「破壊の彫像」とあわせて読んでください。

 読後、手紙掲示板で感想を聞かせてください。


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mailto: yukawa@m1.interq.or.jp
初出: 2000/05/14
Last update: 2000/10/02