これは、サークル『青森大学ゲーム研』の精鋭(?)たちによって、多大なる時間をかけて細々と続けられたリレー小説をまとめた物です。
初回分が書かれたのが三年以上前で、最新分が一年以上前だったかな?(苦笑)
Yu-Kaも書いてるけど、ペンネームが今と違うし、執筆者八名の中で、いまだ現役の青大生なのは第四回執筆の『破滅のシ者』だけだもの。
では、みてください!
なお、各話のサブタイトルはYu−Kaがあとから勝手に付けたものです。
ここは、我々のすんでいる宇宙とよく似ているが、ほんの少し異なる宇宙。
とある島宇宙に存在する恒星間文明、テュラーゼ文明圏に属する惑星トラン。
この惑星に宿敵ギガート族の艦隊が攻め込んできたことから物語は始まる。
「この一戦にわが国の興廃がかかっている。我々は敗けるわけにはいかないのだ!」
トラン連合艦隊司令長官グレース=コーネリア大将が配下の提督たちに檄を飛ばす。今、惑星トランの月 −ゲルド− の衛星軌道上において トラン宇宙軍五個艦隊五十隻 対 ギガート侵攻艦隊三百隻 の、トランの運命を決する大会戦が行われようとしていた。
トラン共和国はこの戦いに全戦力を投入することを決意したが、それでもその戦力はギガート族よりもはるかに少ないものであった。だが、トランにはまだ秘匿兵器とでもいうべきものがあった。その力を信じたからこそ、グレース司令長官は数において遥かに劣る戦力で正面から艦隊決戦を行う決意を固めたのだ。更には、位置的に見ても本星への直接攻撃を防ぐにはここでくい止めるしかなかった。だが、戦闘開始まであと五時間足らずだというのに秘匿兵器はいまだ艦隊に届いていなかった。
五時間後、トラン艦隊は切り札の到着せぬうちにギガート艦隊と戦闘状態に入った。
「いまだ、撃て!!」
トラン艦隊が得意とする一点集中砲撃により、ギガート艦隊の先鋒がたちまち爆発に包まれる。ここぞとばかりにD級高速打撃戦艦16隻が敵陣中央に突入する。敵駆逐艦15隻が迎撃しようと突っ込んでくるが、戦艦の火力をもってたちまち撃破、敵艦隊下部方向に抜ける。ギガート各艦が追撃しようとすると、今度は上部方向からG級重巡洋艦12隻による長距離ミサイルの熱い雨が降り注ぐ。さらにはギガート艦隊背後からは密かに配置されていたトラン艦隊戦闘機隊3個大隊が襲いかかる……。
トラン艦隊は強かった。各艦は獅子奮迅の働きを見せ、個々の局面においては圧倒してさえいた。事実、損害数は圧倒的にギガート艦隊の方が多かったのだ。だが、数があまりに違いすぎた。1時間後にはトランは基幹艦隊12隻のみになり、それに対してギガート艦隊は未だ100隻以上が無傷であった。
もはやトランの敗北は誰の目にも明らかであった。だが、グレース長官はまだ勝利を諦めてはいなかったのだ。
(By ちびの猫)
(挿絵 佐浜そほ)
「パスワード入力完了、ワープシステム機動とともに攻撃、Fモードスタート」
青年は一息つくと目を閉じた。彼は今年で二十一という若さでこの秘匿兵器を乗せた艦の操舵兼砲撃手となった。機能の大部分をコンピュータに任せているこの艦では、一番重要な役割を背負っている。選ばれた理由は、頭脳明晰である上に容姿端麗であるがそれを鼻にかけない誰にでも好かれる性格をしているからだ。
「ご苦労様ラクト」
ねぎらいの言葉をかけた女性はティフィス、この艦のソナー要員である。面倒見がよく落ち着いた性格をしている、彼女も今年で二十一になる。
「少し傾きがあるわ」
「仕方がないさ、このナホアナンソはまだ未完成だからな、ナイシャ味方の被害状況は?」
ナイシャと呼ばれた女性は静かに首を振った。物静かで少し暗い感じがするこの少女は、まだ二十歳になったばかりだ。
「間に合ってくれよ……」
秘匿兵器を積んだ戦艦ナホアナンソは、パスワードの命令通り敵艦隊の背後にワープアウトした。直後艦首の四箇所が吹き飛び、強力な力場が出現する。吹き飛んだ四箇所からは稲妻のようなエネルギーがほとばしり、中央の力場から発生したエネルギーと一つになると、宇宙を切り裂くような稲妻が、広範囲に発射された。
次の瞬間、あたりは閃光で覆い尽くされ、すべてが終わると、その空間にはナホアナンソしか残っていなかった。敵はもちろん、わずかに残っていた味方さえも消えてしまったのである。
「そんな……」
ナイシャはつぶやくと味方に何度も通信を送るが当然返事はない。
「レーダーにも何も映らない」
顔を真っ青にして崩れるようにティフィスはレーダーをみている。その時ナホアナンソがわずかに揺れた……。
「どうやら……悲しんでいる暇はないみたいだぜ」
ラクトが二人の方をむくと同時にナホアナンソがヒイパーコクーンに包まれる。
「秘匿兵器が壊れた。その影響かワープ装置が作動してしまった」
「それって……」
「ああ、ランダムワープさ、何処に跳ばされるかわかんないぜ、何処跳ばされても助かる可能性は無に等しいがな、クソッなんて艦だこいつは、この悪魔め!」
力任せにコントロールパネルを叩く。
「いや、運命の女神の気まぐれかな」
ラクトのつぶやきを二人は聞こえただろうか、ナホアナンソは未知の領域へと姿を消した。
三人の運命はいかに―――!
(By ファレオ・ナンス・タラーブル)
(挿絵 佐浜そほ)
「ワープが終了したか……。ナイシャ急いで現在地を出してくれ、ティフィス周りはどうなってる?艦の被害は?」
「何もありません。艦の被害は……外装は25%、推進機60%のダメージ、もうワープはできない……」
「そうか……」
「現在地が出ました。現在地、銀河系の辺境地太陽系で、一番近くの星は地球です」
「と、いうことは月か地球に行けばナホアナンソの修理は可能ね」
「それか味方が見つけてくれるか、あまり期待はできないが秘匿兵器を積んでいるのだから本星の本部も血眼になって探しているはずだが、連絡は取れるか?」
「だめです。遠すぎます」
「やはりな、このままじっとしていて敵にでも見つかったらやっかいだ。とにかく地球に近づこう。そしてどちらに行くか決めよう」
ナホアナンソはゆっくりと地球に進路を向けて発進した。
(By ELDER)
艦がワープする直前……。
闇、漆黒の闇、光を全く通す事はないと思われるこの闇の中には安らぎがあった。
突然闇の中に光が生じた。その光は徐々に形を整えていくとやがて人の姿になった。
そして彼(?)は下を見てため息をついた。
「まずいな」
彼(?)の足下に広がる光景、それは今まさにランダムワープをしようとしているナホアナンソであった。
「この程度であの方の計画に支障はないだろうが……ふむ、少し手を出すか」
彼(?)は手を差し伸べた。
(By 破滅のシ者)
ナホアナンソは地球まで後少しのところまで来ていた。と、その時
「こ、これは」
ティフィスが叫んだ!
「どうした?」
「モニターを見て下さい」
そこには何とも言い様のない暗黒の星があった。
「なんだあの星は、ん、あの星のそばにあるのはもしかして月か、ということはあの星が地球?そんな馬鹿な!いったい何があったんだ!?」
(書き手不明)
「とりあえず着陸してみよう」
「あのー」
「なんだ?」
「この艦には着陸設備がありませんが」
Shit!!
(By K.M)
青年将校が激昂する。
「クソッ!あの地球に辿りつけばどうにかなるかも知れねぇってのに!!だいたい着陸設備がねぇのに離陸するってのがどうにかしているゼ!」
「あのー」
少女がおずおずと声をかけた。
「今度はなんだナイシャ」
「もう着陸態勢に入ってんですケド」
「うそ〜ん!!」
「大粗相!!」
「おしぇ〜っ!!」
彼らは散った。
ここで何が起こったかは、誰も想像がつかぬであろう。
最早死の星となった地球である。
「フウ、おい!みんな無事か!!」
青年が仲間を奮い立たせる。トラン連邦軍の若き精鋭達はこの死の星と対峙する羽目になってしまったのだ。
「それにしても、あんだけ派手に墜落してみんな無事だってトコがこの小説のチャランポランなところよね」
うるさい。黙れ。
「しかしこの星は何だってんだ。地球ってのはかなりの文明を持った惑星のハズだろう。これじゃ核戦争の後みたいだぜ」
事実、目前に開ける絶望的な廃墟と深い霧は彼らの闘志を萎縮させるのに十分だったのである。
「でも、どうにかして本艦に連絡取らないと……ア!あれは何!?」
「地面が割れているのか……?……ひ、人だ!人がいるぞ!!」
地の裂け目から這い出てきたように見えたその長身痩躯の男は、ラクト達の困惑を気にもせず、滑るようにこちらに移動してきたのだ。
「ムッフッフ、何が迷い込んできたのかと思えば……。あれはトランの兵士か」
男の顔がはっきり確認できるようになった瞬間、ラクトは思わず声を上げる。
「……あ、あの男はダニー・陳!!犯罪結社”エーデルワイス”の総帥だ!!」
(By 佐浜そほ)
ナイシャがラクトに尋ねる。
「犯罪結社”エーデルワイス”って何?」
「し、知らないのか!それはもう恐ろしいことばかりしている組織だ」
「お、恐ろしい事って……?」
「うむ。エレベーターでボタンを全部押したり、トイレで水を流さなかったり、サングラスとマスクをして百円預金しにいったり……」
「ちっがーう!」
ゲシ!
そばで途中から話を聞いていたティフィスがラクトを殴る。
「……ち、違うのか?」
「当たり前でしょう。それに何処が恐ろしいのよ!」
違う意味で結構恐ろしいぞ。
その時ダニー・陳は皆の注意を引こうと視界の片隅で必死にポージングをしていた。しかしラクト達は無視して話を続ける。
「と、とにかく奴と関わるのはまずい。ナイシャ、ナホアナンソは動くか?」
「駄目です。全く動きません」
「くそ!」
ラクトはナホアナンソを思い切り殴った。その時!
「あっ!直りました。正常に動きます!」
ナイシャが喜びの声を上げる。
「叩いて直るなんて、この艦は電化製品と同じレベルなの……」
ティフィスが呆れてつぶやいた。
「よし、この空域から離脱だ。急げ!」
(書き手不明)
ナホアナンソは飛び立った。暗黒の惑星「地球」を後に、最大戦速で駆けていく。
どこからかわらわらと湧いて出てきた”エーデルワイス”の戦闘艇が追撃してくるが、トラン宇宙軍で最速を誇るナホアナンソのスピードについてこられるわけがない。
見る間に追手を振りきったナホアナンソは、そのままワープドライブを作動させると、未知の深宇宙空間へと旅立っていくのであった。って、さっきまで壊れていたんじゃなかったのかって?
ナホアナンソは深宇宙から放射される謎の力「ザ・パワー」により、完全に復活しただけではなく更なるパワーアップを遂げ、
自己進化型超超弩級可変戦艦「ナカバナンソ」となっていたのだ!
ナカバナンソの特殊能力についてはおいおい語られることになるであろうが、ここではただ、かつてないほどの力をもった最強の戦闘艦が誕生したということだけを覚えておいてもらいたい。
その力により、ナカバナンソは何度も宇宙を救うのであるが、それはのちの話である。
(By 御宅多 真似亜)
なお、第二部の開始予定はまったくありません。
続きが見たくなった人は、自分で書いてください。
(ゲーム研 有志一同)
Yu−Kaまで送ってくれたらきちんと掲載します。
これは、第一回分を書くためにYu-Kaが書いた初期設定です。でも、のちのちの展開にまったく生きてないよ〜(涙) ……秘匿兵器も全く別物になってるし。
パソコンゲームのレジオナルパワーシリーズに準拠。
メカニックは特にレジオナルパワー3SP準拠とする。
戦闘場面の描写は銀河英雄伝説を参考にする。
ただし、秘匿兵器の戦闘描写は「紺碧の艦隊」を参考にする。(強くなりすぎないように気を付ける)
主役サイドであるトラン共和国は星系を1つしか所有していない。所有する艦隊も、小規模な警備艦隊しかもともと存在しなかった。それに対し、戦闘民族ギガート族は数十の星系を領土とし、圧倒的な数の大艦隊を組織している。
トランの属するテュラーゼ文明圏は、もともと十数個の国家によって構成されていたが、ことごとくギガード族に滅ぼされてしまい、いまや残ったのはトランだけである。
トランのような小国が今まで生き残って来れたのは、ギガートから見るともっとも遠い位置にあった、というのが一番の要因ではあるが、テュラーゼ文明圏最高の技術力を有していたために、そこから生み出される高性能な兵器群によって、小規模な攻撃ならことごとく退けられるほどの力が軍に存在していた、と言うのも大きい。
それだけでなく、かつてテュラーゼ文明圏の覇者であった「トラン帝国」の高度な兵器群がこの国に秘匿されており(トランの高技術力は、それらの兵器の研究の結果である)、それ故に恐れられていた、というのもある。
かつていにしえの軍事大国「トラン帝国」に幾度と無く煮え湯を飲まされてきたギガート族は、「トラン帝国」の遺産を受け継ぐ国を極度に恐れ、十分に戦力を揃えるまではトラン共和国への直接攻撃を避けてきた。だが、いよいよ総攻撃の準備が整い、戦いが始まるのである。
昆虫型異星人。好戦的。質より量の力押し。戦うことしか考えない奴等。非人間的(こいつら人間じゃないし)。実は某極悪宇宙人の手先として人工的につくられた奴らだったりする。