スーパーカブ使用記(1/3)


 

1.はじめに

 職人が同じ道具を長期間使いつづけるとか、文筆業の人が長年1つのペンを愛用すると言う話はよくある事です。
 普通、1つの物を長期間使い続ける場合にはたいがい「好きだから」と言う理由があげられますが、好き嫌いと言う事ではなくて気がついたら長期間使用していた、なんて事もあります。
今回取り上げる物品は、そんな『気がついたら長い間使用していた』なんて感じのものです。
 

2.スーパーカブに乗るまで

2−1)オートバイ

 私の世代において共通の話題の1つとして浮かんで来るものが石ノ森(当時、石森)章太郎氏原作の連続テレビドラマ「仮面ライダー」シリーズです。
「仮面ライダー」シリーズと言うと、まず「変身!」の掛け声と巧みな変身ポーズが思い浮かびますが、その次に思い出される重要なアイテムの1つがオートバイです。
各ライダー毎の独自に機能を持ったオートバイに乗って颯爽と走る姿は子供心に「カッコイイ!」と感じたものです。
この記憶が原因なのか、未だにオートバイと言う乗り物には自動車と違った憧れがあります。
 仮面ライダーに変身する主人公と同じ位の年齢になったら、彼の様に格好良くオートバイに乗りたいと思っていましたが、実際にその年齢になってみるとそれとはほど遠い容姿になってしまいましたから、颯爽とオートバイにまたがって云々と言う訳には行かなくなりました。
でも、憧れと言うのはいつまでも持ち続けていたいものです。
そんな憧れとは別に、二輪免許取得可能年齢を過ぎた頃から「第2の脚」としてオートバイを考えるようになりました。
電車やバスと言った公共の交通機関と違って自分で行きたいところのすぐそばまで行く脚として、また手に持ち切れない荷物を運ぶための手段(道具)として考えるようになったのです。
「憧れ」と「第2の脚」と言う2つの事を考えている時に私の目に入ったオートバイが本田技研工業株式会社(以降本田技研と記述)から発売されている「スーパーカブ」でした。

2−2)スーパーカブC50スタンダード

 私にとってのファーストライセンスとなる「原動機付自転車免許」いわゆる「原付」の運転免許を取得したのは18歳になってですからちょっと遅い2輪車デビューになりますが、取得後に入手した最初のオートバイ、ファーストマシンがスーパーカブです。
その当時、燃費がカタログ記載値で1リッター当たり180kmと世界最高を誇っていた(市販車としては未だにこの記録は破られていないハズ)スーパーカブ50スーパーカスタム(以後50スーパーカスタムと記述)と言う前照灯が四角型のモデルがあり、その塗装を赤にした通称「赤カブ」が限定品として発売されていたので「どうせ購入するならこれがいいのでは?」と言う勧めも有ったりスーパーカブの形をしたスクーター等もありましたが、色々考えた末に実際に購入したのは、当時どこででも見かけた前照灯が丸型のスーパーカブ50スタンダード(以後50スタンダードと記述)と呼ばれる車種です。
この50スタンダードは燃費が(カタログ記載値で)1リッター当たり145kmと50スーパーカスタムより劣る上にセルスターターの装備が無いものでしたが、実際の使用ではそれほど気にするほどの違いではなく、標準小売価格が少しばかり安かったと言うおまけもありました。
その時に私が選んだ車体色は青系のものですが、同色のものが寿司屋の出前用によく使われていたので「寿司屋のカブ」と言われる事もありました。
お陰で他人への説明の際にそう言うと大抵「ああ、アレかぁ」と納得されましたが。
ちなみに、別色としてラインナップにあった緑系は当時蕎麦屋やラーメン屋の出前とか新聞配達で多く使われていました。

2−3)50ccから90ccへ

 それから社会人となってからもこの50スタンダードに乗り続けていました。
4〜5年乗れば他の車種に変えるとかカブでも次の車両にするとかすればいいのでしょうが、故障も無く第2の脚としては十分役に立っている事で、別の車種に乗り替える気も起こりませんでした。
タイヤ交換(後輪5000km毎/前輪10000km毎)とエンジンオイルの定期的交換(3000km毎)やチェーンの長さ調整(走行中の発生音で判断)、各部への注油(適時)等と言った消耗部分に関する事以外は特に何もせずにいました(しかもエンジンオイル交換と注油以外は購入店に依頼)が、バックミラー破損及び盗難、パンクを除けば問題無く動いていました。
しかしながら、長年の雨ざらし状態がたたったのか、ここ1〜2年の間は幾つかの不調が気になっていました。
最近になって私が運用上決定的な問題と考える事が相次いで発生したため、乗り換える事にしました。
 一体何に乗り換えたのか? 大方の予想?を裏切らず、またまたスーパーカブにしました。
しかしながら、今度は50ccではなく90ccと排気量が上位のものとしました。
しかも、またしても前照灯が丸型で車体色もほとんど同じ青系(ユニオンシティブルーメタリック)のものです。
ただし、90ccの現在のラインナップは、丸型前照灯のスーパーカブ90デラックス(以後90デラックスと記述)と四角型前照灯のスーパーカブ90カスタムの2種類しか存在しませんから、自然と90デラックスになりました。
一応お断りしておきますが、普通自動二輪免許(昔で言うところの自動二輪の中型限定免許で排気量400cc以下相当のオートバイが運転可能)を取得しているので、90ccに乗り換える事についての問題はありません。

2−4)スーパーカブを選んだわけ

 「新聞配達や出前をするわけでもないのに何故?」と何度かスーパーカブを選んだ理由を尋ねられた事があります。
とりあえず「車体価格と維持費の安さと燃費の良さ」をその回答にしていますが、車体価格と維持費はともかく燃費の良さと伝説的とも言える頑丈さ(耐久性)に引かれたのは事実です。
 私が高校生の頃は「3ない運動」(暴走族対策等を目的にPTA等を主導に行われた「バイクを買わ『ない』バイクに乗ら『ない』免許を取ら『ない』」の全国的運動)華やな頃でしたが、通っていた高校が通学使用を除いてオートバイ禁止ではなかったので、オートバイ好きのクラスメイトに色々な話を聞かせてもらった事がありました。
その中で「スーパーカブは良いぞー」とかスーパーカブに関する逸話を何度か聞いていたので、案外その辺もファーストマシンに選んだ理由の1つなのかもしれません。
あと、付け加える事があれば「ロングセラーの安心感」と言った事もあったでしょうか。

2−5)スーパーカブC50のスペック

 ファーストマシンの50スタンダードを見ると、一番下のグレードと言う関係もあってか「公道を走行するのに最低限必要な装備」以外にはほぼ「なーんにもついていない」状態です。
他の50ccモデル同様にエンジンは49ccの4サイクルエンジンを搭載し、特徴の1つとも言える自動遠心クラッチ使用による変速機は3速まで(C50スーパーカスタム、現在のスーパーカブC50カスタムは4速まで)は装備していますが、セルスターター無し、燃料計無し、フロントキャリア無し(必要に迫られて後に取付)、左側のバックミラー無し(購入時に取付)ですから、荷台とアンダーカウルを外せば「あとは、何がいらないの?」と言いたくなります。

2−6)スーパーカブC90デラックスのスペック

 90デラックスと言っても、エンジンの排気量が90cc(カタログ記載値では85cc)に上がった事以外に外観上でC50スタンダードとあまり違いは有りません。
50スタンダードとの外見上の相違点をあげると「左右のバックミラー標準装備(50スタンダードでは右側のみ標準装備)」「フロントキャリア標準装備(50スタンダードではオプション)」「タンクキャップ横に燃料計の装備」「スピードメーターの最高値が90km(50ccモデルは、60km)」「2人乗り用のステップ装備」位です。
ただし、私が初めて購入したスーパーカブから何度かマイナーチェンジが繰り返された結果「前輪ブレーキドラムの大型化」「ガソリンタンクキャップに鍵(キーは、エンジンと共用)装備」「ヘッドライトへのハロゲンランプ採用(従来より大幅に明るくなった)」「メンテナンスフリーバッテリの採用と電源の12V化(以前は6V)」「タフアップチューブ(道路設置面部分を2重にしてそこにパンク修理液を封入した)採用によるパンク対策」と言う装備の強化変更がなされました。
また、事故防止の観点(一部地方自治体の定める条例対策?)から、前照灯及び尾灯が常時点灯となった事で前照灯内のポジションランプとハンドル左グリップ側に従来装備されていた灯火消点灯用スイッチが廃止されていました。
ちなみに、これらマイナーチェンジによる装備変更は(一部を除き)現在の50スタンダードを含めた他のモデルでも行われています。

2−7)購入車両の構成

 本田技研のホームページでスーパーカブの事を調べると、前かごや後部荷台取り付け用のボックス等いくつものオプションがある事がわかります。
そんな中で私としては、荷台の大型化を図りました。
荷台サイズ変更用に標準装備の荷台の上に被せる様に取り付ける荷台が「リアオーバーキャリア」と、それより奥行きが長い「大型リアオーバーキャリア」の2種類準備されており、今回は「大型リアオーバーキャリア」の方を選択しました。
 
2/3へ続く)
 

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