カスピ海ヨーグルト(その壱)

 
1.はじめに

 昨今、「健康」に関するさまざまな事がブームになっています。
どこかしら「不健康」と言われる現代社会での生活からすれば、身体にしろ精神にしろ「健康」への意識は悪い事ではありません。
ただ、「健康のためなら死んでもかまわない」と言うブラックジョークが出る位に執着するのは行きすぎですが。
 健康に関するブームの要因は幾つかあるようです。
特に近年施行された「健康増進法」が拍車をかけているようです。
私の住む首都圏に限った話ですが、この法律施行以前からテレビで健康に関する事を扱わない番組が放送されない日は無い状態でした。
それが施行以後は、朝、昼、夜、深夜、と1日を4つの時間帯に分けてみて、各時間帯で健康に関する情報を扱わない番組が放送されない事はまずありません。
中身は健康に関する情報から健康補助食品や運動機具の宣伝まで千差万別ですが。
「健康」をテーマとした番組が毎日数多く放送されているのです。
そう言った番組の中であげられた「健康」を保つ秘訣の1つとして「人体に有益な細菌を摂取して腸内(小腸や大腸)の状態を良好に保つ」と言う事がありました。

 腸内の状態を良好に保つ手段として「『醗酵食品』を普段から摂取する」事が言われます。
「醗酵食品」と言ってもピンときませんが、要するに納豆にキムチに糠漬等の「『乳酸菌』等による醗酵作用で出来た食品」の事を指します。
「乳酸菌」と聞いて頭に浮かぶのが「ヨーグルト」です。
その中でも「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれる代物を先日入手しました。
今回は、これを取り上げてみました。

 
2.カスピ海ヨーグルト

2−1.入手について

 単にヨーグルトと言うと、食品会社が販売している物だけでも色々とあります。
しかしながら、「カスピ海ヨーグルト」そのものが販売されている事はほとんどありません。
最近では「カスピ海ヨーグルトの種」なるものをスーパー等の食品売場(乳製品コーナー)で見かける事もあります。
「『カスピ海ヨーグルト』を利用した」食品も幾つか発売されています。
しかし、「カスピ海ヨーグルト」そのものはありません。
多くが「口コミ」で人から人へと手渡しで伝わったものです。
かく言う私も実のところ、ある人から種(カスピ海ヨーグルト)を譲っていただき、それをもとにして作り始めた格好です。
種を譲られた後にWebサイトで調べてみたところ、現在では長期保存が可能な様にフリーズドライ化したものを種として配布しているところがあるようです。

2−2.特徴

 カスピ海ヨーグルトは従来から市販されているヨーグルトには無い特徴を3つほど備えています。
 1つ目の特徴として「家庭で簡単に作る事が出来る」と言う事があります。
効能を抜きにして、独特の食感を持つヨーグルトが好きな人は結構いると思われます。
多くの場合、ジャムや砂糖等で味を調整した物や、味の未調整なプレーンヨーグルトを買ってきて食べているでしょう。
ヨーグルトとして売られている商品は基本的には牛乳を醗酵させて作ったもので、そこに醗酵に必要な乳酸菌は入ったままになっています。
特にプレーンヨーグルトなら、それを種として新たに同じようなヨーグルトを作る事も可能です。
しかしながら、そんな事をしている人はほとんどいないでしょう。
なぜなら、その作業は簡単ではないからです。
簡単ではない最大の理由は「醗酵させる為に、温度を35〜40℃に一定時間保温する」必要があるからです。
この温度はぬるめの風呂と大体同じ位ですが、この温度で「保温する事」は面倒なものです。
30分程度ならともかく、醗酵が完了するまでには数時間かかるわけですから面倒な話です。
冬場なら「こたつの中に入れる」と言う技も使えますが、こたつに足を入れた際にヨーグルトを入れた容器を蹴飛ばしたら……その結果は言うまでもありません。
数年前から家庭でヨーグルトを作るために保温をする機械も販売されています。
とは言え、そこまでして作るのはよほどのヨーグルト好きでもない限り面倒です。
カスピ海ヨーグルトは「20〜30℃程度で醗酵する」と言う特徴があります。
つまり、日本国内の多くの場所では、牛乳に菌を加えてそのままにしにしておけば勝手に出来上がる代物なのです。
寒い地域や冬場でも、暖房などをかけてある室内であればそこで作る事が出来ます。
これは、醗酵を行う細菌(乳酸菌の種類)が市販されているヨーグルトとは異なる為です。
あとで触れる作り方と重複しますが、カスピ海ヨーグルトを作る際によく行われる方法として「牛乳パックの口を開けてそこに種を放り込む」と言うものがあります。
「ナニ、ソレ、ウソでしょ?」と言いたくなる方法ですが、そのままにほったらかしにしておけば醗酵が進み、出来上がるのです。
保温のためにわざわざ手間をかける必要はありません。
実に簡単と言うかあっけないと言うか……。
 2つ目の特徴として、「粘り」があげられます。
ヨーグルトを食べるのにパックなどの容器から器に移す時、市販のヨーグルトはボタボタと言った感じです。
しかし、カスピ海ヨーグルトはちょっと違います。
容器に移す際に、若干の粘り気があるのです。
粘り気と言っても餅や納豆とはちょっと違いますが。
出来上がりの状態は場合によって若干異なりますが、ゆるいハチミツのようなものを思い浮かべてください。
ですから、容器を傾けるなどして器に移す際には容器から糸を引いているヨーグルトをスプーン等で切る必要があります。
「粘り気」と言う事で少しばかり嫌な感じもするかもしれませんが、これが「醗酵完了」(出来上がり)の目安になります。
 3つ目の特徴として、「味」があげられます。
粘り気があると言っても、食べる際に器に移せば市販のヨーグルトもカスピ海ヨーグルトも見た目は変わりません。
その味ですが、何も混ざっていないプレーンヨーグルトと比べてカスピ海ヨーグルトの方が酸味(すっぱさ)があまり感じられません。
醗酵が進むと他の醗酵食品同様に酸味が強くなりますが、それでも市販の何も入っていないプレーンヨーグルトよりは軽いものです。
ですから、酸味が原因でヨーグルト類を敬遠している人には比較的食べやすいと思われます。

 
3.使用感

 ここから実際に作ったり食べたりして私自身が感じた事を話していきます。

3−1.食感

 カスピ海ヨーグルトの食感に関する特徴として「粘り」と「『酸味』の少なさ」と言う事を先程述べました。
さて、この2つの特徴が実際の食感にどのような影響を与えるのでしょうか。
あくまでも個人的な感想ですが、「緩くなったくず湯を飲んでいる」と言う表現が合います。
ちなみに私は、コーヒーカップにカスピ海ヨーグルトを入れてそのまま飲んでからカップ内に残ったらスプーンで食べる、と言う食べ方をしています。
それがこのような感想を持つ理由かもしれません。
これが実は酸味が薄いからこそに出来る食べ方だったりします。
市販のプレーンヨーグルトでもやった事はありますが、2度とやろうと思いませんでしたから。
また、面白い事が1つありました。
それは、同じ種から作られた物でも家々で味が若干異なる、と言う事です。
実際に作る前には種として使った後に残ったヨーグルトを食べてみました。
この時点で酸味の薄さにまず驚いたのですが、自宅で作った物を食べてみると、それよりも酸味を強く感じました。
よく言われる事ですが、醗酵食品の1つである糠漬で家庭毎、同じ家庭内でも漬ける人毎で味が違うと言う話があります。
これは各家庭に自然に存在している雑菌、各自の手のひらに存在している雑菌の違いが原因と言われています。
どうやらカスピ海ヨーグルトでもその様な事が起きるようです。
もちろん、材料として使う牛乳にも原因はあるかもしれません。

3−2.効能(のようなもの)はあったか?

 世間で色々と評判になっている食品や食材の多くは必ずと言って「効能」の話がついてきます。
もちろん、カスピ海ヨーグルトもその例にもれません。
取りあげているWebサイトや雑誌の特集でも効能の話が多かれ少なかれ必ず出てきます。
さて、私に何らかの効果があったのか?と言うと「あったかも」と言う曖昧な回答しか出来ません。
あやふやな言い方をする理由は、数値的な裏付けがとれないあくまでも「そんな感じがする」と言う程度の事だからです。
その「あったかも」しれない効果は「お腹の張りが無くなった」事です。
実は、前からお腹にガスがたまった様な張りを感じていました。
と言っても排尿や排便は普通にあったので便秘に悩まされていたわけではありません。
食べ始めて数日、少しづつですがお腹の張りが無くなって行く感じがしました。
ただし、この張りが気になら無くなる程度になるまで、黒っぽい便が続いたり、出した本人がむせてしまった程のオナラが何度も出て悩まされたわけですが。(食事中の方、ゴメンナサイ)
ある機会に管理栄養士の方に話したところ「腸内環境が変化(改善)する過程で出たのでは?」と言う事でしたが。
 

へ続く)
 

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