メモパース使用記(後編)


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  3.使用感

 3.1:カード収納ポケット

 前の方(前編参照願います)でも触れた通り、従来からあるパースのカード収納枚数は大体30枚程度です。
それに対してメモパースでは、50枚〜100枚と言う事をカタログでうたっています。
そこで、私が実際に使用しているB6判カード(コレクト製C−602 厚さ0.19mm)を入れてみたところ、ちょうど100枚収まりました。
私が要求する50枚と言う枚数は軽く超えた量の収納が可能ですから、文句のつけようがありません。
また、従来のパースの様に素材を折り曲げて縁を張り合わせてポケットにしているのではなく、カードの厚み分の膨らみを持たせたポケットを張りつけて付けてある格好ですから、収納したカードの跡が外から見える事もありません。
なお、B6判カードの多くが1袋100枚位で販売されているので、メモパースと一緒にカードを1袋購入すれば、そのまま全てを収納する事ができます。
 また、収納ポケットにはカード取り出し用に指で押し出すための穴(カード押し出し窓)が空いていますから、それを利用する事でスムーズにカードを取り出すことが出来ます。
そして、ポケットが半透明の素材を使用しているので、中のカードの確認もできます。
 あと、従来からあるパースの中には、品物によってはカードを取り出す際に素材が削れてカードにくっついてきたり素材の色落ちでカードが変色する事もありましたが、そのような事はありません。

 3.2:下敷き代わり

 メモを取る際に欲しくなるのが下敷きになる画板のようなものです。
名刺サイズや3×5サイズであれば手のひらに乗る程度の大きさですからそれほど問題にする事はありませんが、B6判という官製はがきよりも大きなサイズではそのまま手の上で書くのはちょっと面倒です。
クリップボードやそのサイズの画板を使用するという事も考えましたが、メモの度にカードとは別にそれを取り出すのは、ちょっと面倒です。
当初、私の解決策としてはパースの中にプラスチックの硬質カードケース(会員証入れ)を入れて必要な固さを出して、パースそのものを下敷き代わりに使う事でした。
しかしながら、プラスチックの硬質カードケースでは、たわみが気になる上にカードの収納枚数もその分少なくなってしまいました。
その上、使用素材(合成皮革)が弾力を持っているため、薄手のメモ用紙やカードを使った時にペン先でカードを破いてしまいそうになることがありました。
その点、メモパースでは、中々よく出来た解決がなされています。
実は、折り返した表蓋の裏(本に例えると表紙の見返し部分)にカードホルダーが備えられています。
ですから、表蓋をそのまま折り返せば下敷きに使用できます。
表面素材に薄手のネオマシートを使用してそれで厚紙を挟んでいると言う構造により、例え1枚もカードが収納されていなくても下敷きとしてたわまない十分な固さを生み出しています。
また、(ポケットを下側にして開いた場合)カードホルダーの左側と右下角に半透明の素材でストッパーがついていて、カードを固定できます。
ですから下敷きとして使用する際には、薄手の用紙に使用してもペン先をとられて用紙を破る心配もなく、カードを固定してその向きが縦横関係なく使用できます。

 3.3:ペンホルダー

 ペンホルダーは最近は綴じ式の手帳でもほとんど見かけなくなったものですが、このメモパースについては折り返しのマチの内側部分に備えています。
右側でも左側でもどちらからでも差し込めると言った点が特徴になっていて、実際にどちらから差しても違和感無く使用できました。
しかしながら、ノック式や軸回転繰り出し式のペンの様なものはともかくキャップ付きペンの場合はあまり使い良いものではありませんでした。
特に、キャップの太さと本体の軸の太さが大きく異なるペンについては、キャップ部分まで入れれば軸部分が抜け落ちそうになったり、軸部分だけ入れておくとキャップが外れてしまう、と言った心配があります。
参考までに言うと、私が普段使用しているぺんてる株式会社製ボールPentelには、このペンホルダーには不向きでした。
ただ、システム手帳やソフトアタッシュケース等のペンホルダーにもボールPentelとの相性が良いものはあまり無い様ですから、「ペンホルダーは使わない」ものと割り切って胸ポケットやペンケースに入れて持ち歩いていますが。

  4.おわりに

 4.1:こんな用途にいかが?

 このメモパースを手にして、私がふと思ったのが「現在のB6判カードケースの需要について」です。
近所の文房具屋やデパートの文具売場(テナントの文具店含)は機会がある度に覗いていますが、情報カードの品揃えは名刺サイズや3×5(5×3)カードと言ったものの方が多く見受けられます。
特に3×5カードについては、昔から図書館カードとして図書館等の蔵書管理に用いられていたものですが、最近では英単語や資格試験の暗記カードとしての用途が多いようです。
ですから、携帯用カードケースも名刺サイズや3×5カードについては色々な製品があります。
また、1980年代に突如登場した貼って剥がせる糊付きのカード(3M社製ポストイット等)も情報カードの用途にまで食い込む位に相当数売れているようです。
 そもそもB6判カードは、1969年に発行された梅棹忠夫氏の著作「知的生産の技術」(岩波書店)の中で「知的生産のため道具」の1つとしてフィールドノート代わりのカードとして紹介した物と同等の仕様である「京大式カード」として広まったものです。
それから30年以上経った現在、提唱された方法も別のサイズのカードやシステム手帳のリフィル(用紙)に変わったり、パソコン等の電子情報機器の進歩によりそちらに移行しています。
ですから、B6判カード及びケースを含めた周辺商品が爆発的に売れるとは(浜○あ○み等の一種のオピニオンリーダー的存在が煽動でもしない限り)考えにくいものです。
 とは言うものの、先日、寝つけない夜にラジオを聞いていたらこんな事への利用も可能なのでは?と、思い浮かびました。
それは「絵手紙用紙の携帯用ケース」としての用途です。
ちなみに絵手紙と言うものを簡単に説明すると、はがき等の裏に自分で絵を描いて知人等に送ると言うもので、ハンドメイドの絵はがきの様なものです。
ちなみにメモパースが想定しているサイズはB6判(182mm×128mm)ですが、一般に使用されている官製はがきのサイズは「148mm×100mm」です。
ですから、官製はがきをメモパースに入れて持ち歩くには、ちょっとポケットが大きすぎます。
ちなみに現在(2003年2月時点)定められている「通常はがき」の大きさは「長辺140〜154mm、短辺90〜107mm、重さ2g〜6g」となっています。
仮に最大サイズの154mm×107mmの専用私製はがきを作っても、メモパースに入れるには、まだポケットが少し大きい感じがします。
ですから、見当外れな提案では?と思われるかもしれませんが、ここで話は終わりません。
「はがき」と同様に大きさや重さが決まっている郵便物に「定形」の郵便物があります。
身近な「定形」の郵便物と言うと、80円もしくは90円切手を封筒に貼って送る「手紙」です。
実はこの「定形」の定義は「長辺140〜235mm、短辺90〜120mm(厚み10mm以下、重さ50g以下)」と言う事になっています。
この定義とB6判(182mm×128mm)を比べると、B6判の「短辺を8mm小さく」すれば「定型」の郵便物と通用します。
ですから、無地のB6判カード等を加工して定形内の大きさ(短辺を120mm以下にする)のものを作成して、それに絵手紙をしたためれば定形郵便物として80円(25g以下)もしくは90円(25gを超え50g以下)で送る事が出来ます。
なお、定形の郵便物サイズのカード、送料以外は通常はがきと同様の取り扱いをしてかまわないません。
ですから裏全体に絵をしたためておいて、宛名書きの面の下1/3分位に挨拶文を書いても問題ありません。(この使用方法に関しては、郵便サービスセンターに確認済)
ですから、はがきの大きさでは少々小さいと感じられる絵手紙愛好者の方にいかがかな?と思います。
ちなみに、B6判カードをそのまま郵送した場合は「定型外」扱いとなり、料金が120円(但し50g以下の場合)となります。

 4.2:雑話

 「自分にとって使いやすい道具を使う。」
あたりまえと言えばあたりまえの事ですが、これを実行していると時として流行の製品と逆行する様な時があります。
ですから、京大式カードを含めたB6判カードを使うと言う事については流行遅れの枯れた道具を使っていると言う感覚を私自身は持っています。
システム手帳や電子情報機器と言ったそれに変わる物が多く出ている現在ですから、30年以上も前に登場したB6判カード用の新製品(マイナーチェンジではなく新規の製品)が登場するのは、正直なところちょっとした驚きです。
しかも、使い勝手においては(製造メーカーに3×5カード等のケースのノウハウがあるといえ)随分と洗練されており、(ひいき目に聞こえるかもしれませんが)大きさの割にはスマートな作りに感じます。
カードケースとして完全無欠、とは言いませんが「携行用」と言う目的においてはヒジョーに完成度の高い製品と言えます。
 なお、この文章を書くに際しまして、コレクト株式会社企画部の口分田秀生様から提供いただいたカタログ等を参考とさせていただきました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
なお、製品写真についてはコレクト株式会社のホームページに掲載されていますので、そちらをご覧ください。
URL=http://www.correct.co.jp/

(了)

 おことわり
 「京大式カード」の名称につきまして、商標の権利を保持している個人及び団体を特定出来なかったため、真に勝手ながら商標権等不明のまま使用致しました。
本文章の著者(yume)はこの名称が「普通名詞化している」と判断したために便宜状使用したまでで、特に権利を侵害する意図は持っておりませんのでその点をご理解いただきたく、お願い申し上げます。
商標の権利をお持ちの個人もしくは団体が判明次第、改めてその点を表記する所存でございます。

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