なんでも使用記WorkPad編(その壱)

   IBM製WorkPad(8602−30J)(その壱)
 
 1.PalmOS搭載機との遭遇
 私が初めて実際に日本語化されたPalmOS搭載機を目の当たりにしたのは1998年の夏です。
それ以前にもパソコン雑誌でPalmOS搭載機の日本語化の話は目にしていたのですが、当時は英語版のOSをソフトウェアを使用して日本語化されていたと言う状態で、果たしてどの様にして日本語入力を行うのか?と言うのが今一つ疑問でした。
当時からMicrosoft WindowsCE搭載のハンドヘルドPC(カシオ計算機製CASSIOPIEA A−51V)を利用していた身としてはWindowsCEで採用されている「直接日本語手書き入力」(仮名漢字を直接日本語で入力する方法)の認識が満足できる程の機能に達していないこともあって、認識率も含めて興味津々でした。
実を言うと、この初めての遭遇は長野のとあるソフト会社の方々とお会いした機会に偶然に起こった事なのですが、一緒に来られた方の1人が偶然にPalm(多分PalmVだと思う)を持って来ていた事もあって私が当時使用していたA−51Vもお見せする形になったのですが……。
そんな中でPalmを日本語を入力する時にその持ち主がとった行動は、シルクスクリーン部分に日本語ではなくて普通にGraffitiの文字を書きはじめたことでした。
そのGraffitiでローマ字による入力を実施して日本語が入力される状態は、まさに青天の霹靂でした。
あえて名前を付けるなら「手書きローマ字入力」とでも言うべきのこの方法、シャープのZaurusシリーズと言う「直接日本語手書き入力」を採用している製品が日本国内に存在する以上、果たして国内で一般的に受け入れられるものであろうかとその時は思ったものです。
その後、IBMが独自に日本語化したPalmOS搭載機(PalmVベース)を「PCコンパニオン」と言うコピー(製品コンセプト)と共に「WorkPad」と言う商品名で発売しました。
これが販売メーカーによって「正規に日本語化」されたPalmOS搭載機の第1号です。
その後パソコン雑誌やカタログ雑誌が火をつけたような形もあってか雨後の竹の子の様日本語PalmOS搭載機が幾つかのメーカーから発売されました。
 
 2.WorkPad(8602−30J)入手
 Graffitiによる「手書きローマ字入力」を初めて目にしてから少ししてIBMからWorkPadの発売、そしてその他会社からのPalmOS搭載機器が発売されてから(特にSONYが発売した事が大きいと思われるが)と言うものの、パソコン雑誌や各種カタログ系雑誌の紹介&特集記事でPDA=PalmOS搭載機と言う色になってきました。
ただ、これらの紹介の仕方が少し大げさすぎる感じがしてなりません。
そう感じるのは、WindowsCEハンドヘルドPCをWindowsCE1.01の頃からの利用しているユーザーとしての危惧も少しは有るのかもしれません。
しかしながら、紹介記事でもそれほど触れられていないあの「手書きローマ字入力」による日本語入力方式と内蔵アプリケーションを含めた本当の使い勝手はどうなっているのか気になって仕方有りません。
これは「百聞は一見にしかず」の言葉通りに実際に触ってみるしかないと言うわけで何件かの量販店で展示機器を適当に触ってみたのですが、あまりピンとこない上、店によっては電源が入っていなくて動作しない状態で展示されていたりで疑問点の解決はされませんでした。
それでは実機購入しかないと言う事で色々な店舗で値段調査をしていたら、時たま現れる救いの手なのかIBMのWorkPad(8602−30J)が新品(在庫限り)で発売当初の価格の6割位の値段で販売されていました。
PalmOSのバージョンとしては、これを書いている時点での最新の3.5ではなくてその前の3.1ではあると言うものの、操作方法等の基本的な部分はそれほど変更が無い様なので財布の中身を確認した後、即購入と相成りました。
まぁ、安いとは思いませんが使い勝手の確認と言うことからすれば納得できる価格で購入が出来たと思っています。
ただ、その隣に置かれていたWindowsCE搭載機に睨まれていたような気も……。
まぁ、電源ONの度にデジタイズされた女性の顔の様な物とかが一瞬浮かんでくるような現象は発生しないかと…。(分かる人には分かる話ですね)
 
 3.手に取った感じって…
 このWorkPad、黒を基調にして表装にはつやを特に設けずにざらざらとしていて、一見皮革を意識したような感じがします。(この黒のボディの向かって左上に青のIBMロゴと右上にWordPadのロゴが入っているのですが、結構似合うと言うか……)
また、変につやが無いのでそれほどの自己主張は感じられませんから無造作に机の上に置いたりしても違和感無く感じます。
ただ、この黒の使い方はビジネスシーンには最適なのでしょうが、少し野暮ったい感じもします。
それにしてこの色彩からくるイメージの感じ、少し前の黒を基調にしたIBMのノートパソコンの感じに似ているみたいです。
次に、実際に手に取った時の感じですが、まず「見た目より重い!」でした。
黒という色調にもある程度の重量感を感じるものの、手に取った時にひんやりとした感触があったためか本体外装背面を金属製(実際はプラスティック)と勘違いした位に重量感を感じました。
とはいえ逆台形風の(まるで野球のホームベースの様な)デザインや背面の、一見無意味とも思える曲線やボディの表面加工の適度なざらつきによってが手のひらにのせたときにしっくりと収まります。
このしっくりと収まる感じは、まるでパンチカード(その昔〜パソコン登場以前の時代〜コンピュータのプログラムの保存に利用した紙製のカードで×の大きさ)サイズのシステム手帳か3インチ×5インチのカードを手にしてメモを取るような感じでした。
そこで、実際にパンチカードサイズに作られている手帳(愛用の株式会社ナラコム製システムダイアリー)のバインダーにはさんで見ました。
すると、横幅は中に綴じていたリフィルと全く同じになっていてました。
縦は親指の幅くらい短い感じの大きさでしたが、WorkPadへの使用時にはカバーを上方向に開くような格好で使用するので、(こじつけですが)手のひらサイズと言うかパンチカードサイズの電子手帳と言うか電子情報端末…なのでしょう。
ところでこのサイズ、経験的には(特に横幅)が手になじむものであることが分かっていたのでさすがに手にしっくりと収まるわけだと改めて納得しました。
ところで、パンチカードのサイズと言うのは、世間一般み出回っているAナントカとかBナントカとか言った規格にはあてはまらない大きさです。
このサイズの由来を見ていくと昔の1ドル紙幣のサイズとか色々といわれが有るようですが、本題とは関係がないのでここでは触れません
(システムダイアリーの詳細については文具店に置いてあるカタログや製品をご覧になるか株式会社ナラコムのホームページhttp://www.naracom.co.jp/を参照願います。)

(その弐へ続く)
 

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