なんでも使用記WorkPad編(その弐)

   IBM製WorkPad(8602−30J)(その弐)
 
 4.標準搭載アプリケーションについて…
 
 PalmOS搭載機の1つであるハンドスプリング社製Visorの広告が一般の雑誌でも目に付くこのごろですが、単なるイメージ広告的で果たして何が出来るのか今一つ私には見えてきません。
とは言いつつもVisor自体はうまく写しているし、購買欲求をそそるような感じはするのですが…。
さて、ここからはWorkPadに搭載されている幾つかの標準ソフトの使用感について少しばかり話を進めていきます。
なお、ここで言う標準ソフとは本体の電源を入れた状態で即使用可能な内蔵アプリケーションのうち「予定表」「アドレス帳」「ToDoリスト」「メモ帳」「支払いメモ」の5つを指す事にします。
 
   4−1予定表
 アプリケーションボタンの向かって一番左を押すと予定表が起動し、その当日の画面が展開します。
予定表は基本的には日(デイリー)週(ウィークリー)月(マンスリー)の3種類の表示が可能なスケジュール帳です。
機能としては内容(スポーツ観戦、出張等)及び時間を日表示部分に入力しておくことによって予定の有無とその予定の時間については週表示で、また予定の有無については月表示で確認が可能と言うものです。
ですから、あくまでも予定の入力と内容の詳細については日表示部分でのみ行い、予定の有無の確認のみ週表示及び月表示で出来ると言う作りになっています。
ところで、予定の入力を行う為の日表示部分についてですが、画面の構成は時間軸を縦に取っていて、時間表示は5分間隔で0時00分から23時59分までの24時間の指定が可能な作りとなっています。
また、週表示では週の日曜始まりか月曜始まりかを指定できるものの、各曜日についての予定有無表示は、予定に時間指定が有る場合はその時間帯に帯マークの表示が、また時間指定が無い場合にはその日にマークが付くという形になります。
そして、月表示においては予定の有無がマークされる(時間指定予定もしくは無指定予定で若干マークが異なる)のでその日の予定の有無が分かると言う格好になります。
なお、ここで一つ注意が必要な事は、六曜(大安や仏滅等)や祝祭日(成人の日、建国記念日等)については全くデータを持っていません。
この様なデータは必要に応じてユーザー側で入力する必要があります。
これは舶来品の手帳だけでなく国産の紙の手帳でも最近は六曜の表示のない製品も幾つかあるのでそれほど大きな問題とは思いませんが。
さて、実際の使い方ですが、ある日の予定を入力する際に、その予定の開始時間と終了時間を指定すればその時間帯に予定の内容が、時間指定をしなければその日表示の一番上の行に内容が入力されます。
そして、週表示に切り替えると予定の有無もしくは予定の入っている時間帯が分かる様にマーキングがされます。
また、月表示に切り替えるとその日の予定の有無がマーキングされる格好になります。
つまり、予定の有無については日の欄に記載すればそのまま週及び月の欄に連動記録される格好になります。
そして、予定の確認としては以下のような流れで見ていくことになります。
    月表示で、○○日の予定の有無の確認
           ↓
    週表示で、予定の入っている時間帯の確認
           ↓
    日表示で、予定の内容確認
さて、この予定表を紙の手帳の予定表部分と比べてみると、色々な事が見えてきます。
少しばかり話が脱線しますが、紙綴りの手帳及びシステム手帳の”標準セット”として販売されているリフィル構成を見ていると、その多くは週単位もしくは月単位で予定を記入してスケジュールを管理する形の作りになっています。
つまり、週もしくは月を1つの単位としてスケジュールの管理を行う形です。
日単位の予定管理については週単位の欄のそれぞれの日の欄に割り振ってある時間軸を利用するか、日単位専用の用紙(カードやリフィル等)を別に用意して使用する事が多いようです。
そんな「週単位」構成の紙の手帳の予定表に対してWorkPadの予定表はあくまでも「日単位」での使用に重きを置いているようです。
果たして、「週単位」と「日単位」ではどちらが使いやすいかというのは仕事等の環境によって若干異なりますので深く言及はいたしません。
ところで、実際の予定の入力に関してですが、紙の手帳にしろWorkPadにしろそれぞれに最初は(方法はともあれ)人間の手で手で入力するわけですが、この入力に違いが出ててきます。
「紙の手帳」の場合は、週の欄のそれぞれの日の欄にスケジュールの詳細(開始終了時間等)を書き込んだ後に手帳の巻頭の月間予定表欄にも簡単に予定について書き込むことが多いと思います。
ですから週間予定欄と月間予定欄の2個所にそれぞれ入力(ペンを走らせる)する形になります。
それに対してWorkPadの予定表は、「電子手帳」としての機能で前にも書いた通り「日」の欄にデータを入力すれば「週」と「月」にもそれが反映されるます。
ですから、あくまでも予定の入力は1度で済むわけです。
これは「紙の手帳」では逆さになっても出来ない芸当です。
ですから入力の手間という事ではWorkPadの方が少しばかり便宜が図られていると考えられます。
さて、スケジュールの管理そのものについてですが、私にとっては「日」単位という仕様故と思われる欠点がどうしても気になります。
それは長期スケジュール管理とプロジェクト管理をするのが困難であるということです。
「日」単位という仕様はともか、画面サイズの制約からの表示文字数の限界もあってかあまり多くの情報をいっせいに画面表示させるのは内容の見にくさを生み出すのでそのような要求をする事自体が問題かもしれません。
あくまで、個人での使用で紙の手帳と併用して使う必要があると考えます。
 
  4-2アドレス帳
 アプリケーションボタンの左から2番目を押すとアドレス帳が起動し、全ての人のアドレスが(名前順、もしくは会社順)で画面表示します。
アドレス帳はその人毎の情報をある程度定められたフォーマットに基づいて管理するソフトです。
そのフォーマットですが、最初に姓と名に分かれた姓名記入欄がありますが、ある程度日本的にカスタマイズされているのか、姓と名にそれぞれ漢字と読みの欄を振り分けてあります。
その下に「会社名」「役職」「電話番号」「住所」「国籍」の記入欄があり、中でも「電話番号」欄が5欄分振り分けてあります。
この「電話番号」欄については「会社」「自宅」「FAX」「その他」「E−mail」と項目わけされていますが、この項目については上記5項目の他に「ポケベル」「携帯」「代表」と言った項目を選んで変更可能です。
また、カスタム欄と言うフリースペースが4項目用意されていますので、ここは好きな項目(相手の生年月日や会った場所や日時等)をユーザー自身で設定できます。
ただし、このカスタム欄はそれほど多くの内容を書き込むのには適していません。
実は、最初の表示には出てきませんが、そのアドレス欄1つに対応して1つコメント欄が別途用意されているので、相手の印象やはたまたデートやムフフの回数等と言った内容のものはそこへ記入すると良いでしょう。
ただし、間違ってその内容を相手に見られた時に発生するいかなる出来事も筆者は責任を追いませんが。
さて、紙によるアドレス管理との比較ですが、このWorkPadのアドレス帳は、紙綴じのそれが逆立ちしても出来ない芸当がいくつか出来ます。
まず、名前による並べ替えです。
紙のアドレス帳では1度記入するとその変更は手間がかかる(と言うよりも新たに作り直す)のですが、WorkPadのアドレス帳では姓の読みで50音順による並べ替えを入力後に自動的に行ってくれます。
次に、必要に応じた分類(カテゴリ分類)です。
これは、相手によってサークル等の仲間だとか取引先だとかと言った分類が出来るという事です。
この分類項目(カテゴリ)ですが、初期設定では「クイックリスト」「パーソナル」「ビジネス」「未分類(分類されていないの意味)」「すべて(全部表示するの意味)」が用意されていますが、追加や削除が可能なのでそれぞれユーザー独自で分類項目を作成してそこへ分類することが出来ます。
ただし、分類は1人につき1項目の分類のみ設定するができますので1人を複数の分類にいれる必要があれば、その数だけ登録する必要があります。
このように紙綴りのアドレス帳で言う「入れ替え」が簡単に出来るわけです。
この使い勝手は名刺等のネームカードを利用した管理に似通っています。
ですから、このWorkPadのアドレス帳は住所等の個人情報管理に特化したカード型のデータベースと言うことも出来ます。
それから、紙の手帳では絶対に出来ない(と思う)このアドレス帳において最大級の売り物ともいえるべき機能に「名刺交換」の機能があります。
「WorkPadで名刺交換?」と一見意味不明な機能に感じられますが、このWorkPad(を含めた現用のPalmOS搭載機器)には赤外線による通信機能を装備しています。この通信機能を利用して行う情報交換を指すものです。
この「名刺交換」を行うには、前もって自分の個人情報をアドレス帳に登録していて名刺として使用する設定を行っている必要(仮に名刺情報と言いましょう)があります。
そして、その名刺情報を相手の名刺情報と赤外線通信を利用して交換するわけです。
まぁ、その相手がPalmOS搭載PDAを所持している必要はありますが、これはアドレス追記の手間もさる事ながらペーパーレスと言う事を身近に体験できる機能であるとも言えます。
アドレス等の個人情報はその相手が配置転換や転職、引越しや婚姻で比較的変更する事が多いものなので、変更回数が比較的多く結構手間がかかることがあります。
そんな事を考えるとこの「アドレス帳」に関しては柔軟に対応が出来る仕様になっているものと言う印象を受けます。
また、住所などの個人情報管理に特化しているカード型データベースとして使用するにもしっかりとした出来ますので、営業マンやSOHOでの比較的小規模な顧客管理も十分行うことが可能な優秀なアプリケーションだと考えます。

(その参に続く)
 

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