EASY SHOW TIME
3



黒羽快斗。

オレにそっくりな、アイツが前座のマジシャンだった。





ハッキリ言って前座の方が面白かったんじゃないの?というような、派手で大掛りなだけが取り柄な感じのマジックショーが終わって、オレは文乃に腕を引っ張られて楽屋に行く羽目になった。

「やぁ、コナンくん。面白かったかい?」
事件で2度程会った真田一三がオレの頭に手を置いてそんな風に話し掛けてきた。
「凄かったよね!コナンくん!!」
「え…あぁ、うん」
生返事を返し乍ら、オレの目は黒羽快斗を探している。
会って話がしたい訳ではない。ただ、興味があるのだ。『黒羽快斗』という人物に。

『………いない……』
どちらにしろ、住所も電話番号もメールアドレスだって知っているんだから瞬間概念参照/苦笑)探さなくたって良いのに……

そう、思った時だった。
イキナリ背後から出てきた2本の腕が、オレの手首を掴んで持ち上げた。
「ぅわっっ…」
「よう、コナン君。オレのマジック観に来てくれたの?」
いつの間にか黒羽快斗がそこにいた。

「あ、前座のおにーちゃん!」
文乃が黄色い声をあげた。

「会いたかったよ〜、コナンくんっ!連絡待ってたのに」
黒羽快斗がそんな言葉を発してオレの身体を左右に揺さぶった。






5.快斗

『コナン』が女の子に腕を引っ張られ乍ら楽屋へと入ってきた。
真田一三と何か話している様だけど、肝心のコナンはキョロキョロと辺りを見回している。ひょっとしてオレの事探してるんだろうか?
気配を消してこっそりと背後から忍び寄ると、オレは『コナン』の両手首を掴んでバンザイと持ち上げて、
「よう、コナン君。オレのマジック観に来てくれたの?」
なんて声を掛けた。案の定、コナンは『鳩が豆鉄砲を食らった』様な顔でオレを見た。
一緒にいた女の子が「前座のお兄ちゃんだ!」なんてぴょんぴょんと飛び跳ねた。可愛いね〜
   …コホン。

「会いたかったよ〜、コナンくんっ!連絡待ってたのに」なーんて、ちょっとわざとらしい口調で喋りながら、20Lも無い小さな『コナン』の身体を左右に揺さぶった。
う〜、軽ィ。これがアノ『工藤新一』だなんて、一体誰が信じるだろう。

「快斗にいちゃん、降ろしてよ」なんて可愛い声で情けない事を言っちゃってる小さな高校生探偵くんは、手を放すとよたよたと壁際へ逃げた。
…あらら、未だオレの事ショタコンだと思ってんのか?(笑)

「君たち、知り合いなのかい?」
真田一三が驚いた様にそう言ったので、オレは努めて明るく「はい、そうです」なんて言ったのに、コナンの方はちょっと冷ややかな目つきでオレの事を睨んだ。
「夏休みの始めに知り合ったんですけど、コナン君冷たくてぇ〜。オレの相手してくれないんですよ」
「そ、そんな事ないよ、快斗にいちゃん」
引き攣った笑顔でコナンは笑った。…コドモのフリも、大変だね?クドウクン。



バサッ

と、突然鳩が肩に止まった。
全員家に帰したつもりが一羽だけ残ってたらしい。それを見たコナンは突然目をキラキラと輝かせて「その鳩、おにいちゃんのなの?」なんて聞いてきた。珍しそうに手を伸ばしている。
「これはね、死んだおやじの鳩の、子供なんだ」
そっと、コナンに手渡してやる。
コナンは腫物に触るかの様にゆっくりと鳩を抱いた。
「あ、良いなぁコナンくん。文乃もだっこしたーい」
「良いよ、お嬢さん。コナンくんの次にどうぞ」
わーい、と歓声をあげて喜ぶと、コナンの腕の中にいる鳩の頭をゆっくりと撫でた。


「君は、何て言うか、マジックの天才なのかも知れないね」
突然、真田一三がそんな風に言った。
「ひょっとして、黒羽盗一は……」
「はい、僕の父です」
「そうか」と呟いて、真田は手袋を脱ぐと右手を差し出した。
「握手してくれないか?黒羽くん。今更な気もするけど、是非」
「えぇ」

男の、堅い手がオレの手をがっしりと握った。


















つ…続いちゃうんです(><)


うーん、遅くてスミマセン(死)もう、何を言っても空しい言い訳と化すダメダメ星人となっております(殺)あと2、3話で終わる予定なので、もう少し待ってやって下さい(><)

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