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 連載リレー小説「ヒロとスズ」そのにじゅういち
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 遼来来 > 

 「せ、せんせ!?」
  その体が、微かな青い光に包まれ、嵌められた指輪が緑の閃光を放っている。
  そんな「葵せんせ」を、びっくり目で見つめるヒロ。なにが起きたやらさっぱりわからない、
 という表情だ。
  だが美里の方には、それを説明している余裕はなかった。
 「お願い、浅葱さん! 目を、覚まして!」
  必死の説得を続ける美里。
  しかし、白目を剥き、カギ状に指を曲げ、襲いかかる「浅葱」には、とても「人間の部分」が
 残っているようには見えなかった。
  そして、開いた口の中には――、
 (――牙!?)
  ヒロは、スズの口の中に見たのと同じ、非人間的なモノがそこに生えているのを見つけた。
 (この人も、スズと同じ――。もしかして、この事件は……、スズだけの――僕たちだけの問題
 じゃ……ない――!?)
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 ツヴァイ > 

  そのヒロの思考を中断させたのは、軽い爆音だった。
  パン、パン、パン、と三度、その軽い音が響くと、死体が三つ、できていた。
 「!」
  ヒロは顔を背けた。頭の破裂した死体など、小説の中でしか見た事がなかった。吐き気がした。
 「大丈夫?」
  ヒロの頭上で声がした。
  ヒロが顔を上げると、前髪を視線を隠すように鼻の頭まで伸ばし、黒いコートを着た女がいた。
  手首、肘、足首といった関節には突起の付いたリングを填めている。
  声と体付きから女だと言う事は判ったが、吸血鬼とは別の意味で人間とは思えなかった。
 「あ、あ……」
  ヒロは声が出なかった。あまりに唐突な出来事のためだ。
  女の方は、それが吸血鬼を見た恐怖のためと勘違いしたらしい。
 「吸血鬼なら、もう死んで――元々、死んでるから、死んだとは言えないかもね。まぁ、とにか
 く安心――!」
  言葉が最後まで終わらないうちに、女は振り返り様に銃を向けた。
  如月が、刀を向けていた。
 「――吸血鬼……とは気配も力も違うわね。何かしら? オカマみたいな髪型の人」
 「そんなコトよりも、説明を求めたいな」
 「説明? そこで転がってる吸血鬼の事?」
 「まだ、助かる可能性があったと思うが?」
 「……だから、それを考慮しろ? 一つだけ言うと、ヴァンパイアハンターっていうのはね、人
 助けが仕事じゃないの」
  女の顔に嘲笑が浮かぶ。
 「吸血鬼を狩る事が、仕事なのよ。特に、私みたいに頭の壊れた特務13課なんかは。」
  女は銃口を如月に向けたまま、スーッと横へ移動する。
 「来須の下手くその援護に行かなきゃならないんで、この辺で失礼するわ」
  その時、ビルの谷間から中型のバイクが疾走してきた。
  女がその後ろに飛び乗った。 
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