失敗しない地デジアンテナ設置
〜安定した受信環境のために〜
S U B M E N U
スカイツリー送信所切替
マージンという概念
基本な建て方
障害対策
安定受信の条件
これは御法度
よくあるミスと同軸引込
同軸末端処理法

 2011 年 07 月 24 日、紆余曲折があったもののデジタル放送への移行が完了いたしました。しかしながら実際に設置されている様々な地デジ受信用アンテナを観察していると、明らかな素人工事が多々見受けられます。

 DIY はおおいに結構なので、それはご愛敬としても誤った建て方があまりにも多く、受信障害に直結するものばかりならまだしも、当該物件はもとより近隣への危険を伴う可能性もあり、見過ごせないことも。

  ※古いアナログアンテナが、倒壊してそのまま放置され
   ているという物件が、間々見られるようになってきま
   した。
    なんとなく古い木造 2F 建てアパートなどが多いよ
   うに感じています。台風などで周囲に被害を及ぼす恐
   れがあるばかりか、そのままでも屋根などを痛めるの
   で大家さんは早急な撤去を^ ^;。

 残念なことに街の電器屋は RF(電波)に関して素人同然な場合もあるため、素人まがいの工事をしでかす例があることも否めません。
 アンテナを設置したまではいいが、一部のチャンネルや一部の部屋で障害が発生したりということも…。

 特に本文「典型的なダメ設置法」の項で紹介するような”イケない建て方“となると、建ててしばらく経ってから問題が起こることもしばしばです((o゚v゚)θ⌒[上から目線])。

 本稿ではアナログ放送と異なるポイントを押さえなければならない、地デジアンテナ設置と受信障害対策について簡単に図解を交えながら解説していきたいと思います。

  ※'17/04/16 改訂 55版
   ・nottv/デジアナ 変換終了に伴う改訂など
  ※アンテナ自作については「通信放送セミナー」タブ
   (メインページ)より→「アンテナの基礎から応用ま
   で」をご参考に。簡単な構造で F/B 比のとれるコー
   ナーリフレクタアンテナを掲載中。
  ※質問やコメントなどは「掲示板/ブログ」タブからフリ
   ー掲示板へ。込み入ったことはメールも可。
注 意 事 項
 ※ブックマーク(お気に入り)は必ずメインページ゙「昔は東通工の・・・大スキ!・通信放送技術セミナー」にお願いしますm(_ _)m
★誠に勝手ながらリンクの際はメインページ+当該ページ URL 併記をお願いいたします。直リンのみは遠慮させて頂いております★。


  デジタル放送受信には”マージン“が必要不可欠


 デジタル放送受信ではアナログ放送と全く異なる概念が存在します。それは他項でも簡単に触れていますが受信状態のマージン(余裕度)です。

・赤い矢印部分がマージン。受信状態変動時に薄赤色の領域に落ち込まないためだ。デジタル放送は薄赤色部分に落ち込んでから画像破綻に至るまで急峻な劣化特性をもつ。

・安定受信を行うためには変動に対し赤い矢印部分のような幅が必須。薄緑色の領域に近いほど望ましい。

※C/N 比:信号電力(搬送波)対雑音電力比。テレビやレコーダの受信レベル表示は単純な電波の強さ(電界強度)ではなく C/N 比を基にしている場合が多い。受信品質を表す指標。

 デジタル放送ではその伝送特性からある受信状態を境に、急激に劣化した後全く受信できなくなるという特徴があります。だからといって「映るか・映らないか」ふた通りと早合点してはいけません!!。

 受信状態は常に変化があり昼夜と朝夕といった一日のうちでもゆるやかに変動しますし(※下図参照)、同じ時間的なものでももっと短期間内の変動もあるのです。その他に長期的にはアンテナを含む受信設備等の経年変化、季節や気象条件、周辺環境などによっても必ず変動が発生してしまいます。


備考:秋・天候晴(午前中や夜間のほうが比較的高めの傾向)

 アナログでは電界変動に対し劣化が極めてゆるやかなので問題になりませんでしたが、デジタルでは既述した理由のため全く事情が変わってきます。

 例えばアンテナ設置時にマージンがなく、上図グラフで受信断に至る崖縁(グラフ薄赤と薄黄色の境界)の状態であったとしましょう。確かにその日は奇麗に映っているのですが、後日何らかの理由で受信状態が変動した場合、ある日突然ブロックノイズが発生するということがあり得るのです。



 上図のようにアナログであればこのようなことはなく、ノイズ混じりであっても例え乱れてもそれなりには映っていたのとは大違いである、ということに否応なしに気づかされるでしょう。これらが”受信状態にマージン“が必要な理由であり最悪の場合は突如として、全く受信できなくなってしまうのですからみなさんもご納得していただけるものと思います。

 しつこいようですが受信画面で品質劣化がハッキリとわかったアナログと異なり、デジタル放送では受信画像の破綻等により気づいた時点でもう手遅れなのです。それ故に安定した受信にはマージンの把握と確保が極めて重要なのです。


 またよくある例として主要送信所の放送は問題ないが、電波到来方向の異なる局のみ受信が乱れる場合はやはり、その局のみマージンのない状態であることが考えられるのです。同一送信所の局であっても送信条件や受信環境等によって、必ずしも受信レベルが揃わないこともあります。
 そのため特定チャンネルのみが不安定になる場合もあったりと、個々の症状は地域や諸環境により様々なパターンが想定されます。




  具体的な対策

 受信が乱れる場合の対策としては基本的に、アンテナ方向や位置・高さの調整があります(アンテナが揺れる場合は次項のダメ設置法参照)。これらの対策を行っても改善しない場合は、アンテナケーブルを含めた受信システム全体を見直す必要があるでしょう。

 まずはテレビ(またはチューナーやレコ)の受信レベル表示を見ながら、しっかりとアンテナ調整を行うことが肝心です。1人で行う場合はテレビとアンテナとの往復が大変ですが、だれか協力者がいる場合はコードレスホンの内線通話や、携帯電話を活用してレベル表示を読み上げてもらいながら、方向などを調整すると良いでしょう。

 この場合必ずテレビなどのマニュアルを参照し、必要受信レベルの目安を確認してください(通常マージンを見込んでいると思われる)。通常は目的 ch がこの目安レベル以上となるよう調整できれば良いことになりますが、それ以上に高い方が良いのは言うまでもありません。

 アンテナ方向の調整はゆっくりと行うことはもちろんですが、場合によっては高さを変えてみることも必要です。

 希に電波到来方向に高架などが存在する場合は、高くするよりもアンテナ高を下げたほうが改善する場合もありますが、こればかりは環境により千差万別ですので一概には言えません。

 また同一送信所で一部のチャンネルのみが受信レベルが低い、不安定、といった場合には強力な反射波の影響を疑う必要があります。デジタル放送では反射波に起因する、いわゆるゴースト障害(アナログ特有です)は皆無ですが影響は受けてしまいます。

   ※直接波と反射波の位相干渉が原因ですので 1/2 波長ごとに電界強度の山と谷が現れる。
    UHF は波長が短いため場所により大きく受信状況が変化する場合がある。

 この様な場合はアンテナの高さ・位置とも約、10〜15cm 間隔で最良なポイントを探る必要があります。「基本的なアンテナの建て方」の項で後述しますが、アンテナを建てる際は一発で位置決めせずステーを張る前の仮設状態で、最適ポイントを探索することが大切なのです。




  受信設備側の問題が考えられる場合

 調整などを行ってもなお改善しない場合、アンテナケーブル※でのロスを減らしたりといった点も重要です。

  ※基本 5C-FB 以上を推奨。数 m といった短い配線の場合も最低で 4C-FB、
    ロスの大きい 3C-2V/3C-FV クラスは推奨しない。

 例えば家全体の共聴設備で以前 VHF のみを視聴していた地域では、共聴システム内でのロスが比較的大きいことも多いので、場合によっては既存設備を全て刷新する必要さえあります(一部 ch のみ映らない事象が多発しがち)。

 特に古い家屋ほど屋内配線や配線機器類のロスが大きかったり、劣化していたりすることも珍しくはありません。東京 23 区や隣接地区での悪い例としては在京キー局は良好に映るのに、MX テレビ(県域局)だけ映らない、または乱れるといったことがよく起こります。これは送信アンテナ性能の違いとキー局の出力 10kW に対し 3kW のため電界が相対的に低いためです。(出力差のみを考慮した単純理論値で 26dBμ 程度受信電界が異なる)


  ・共聴システム内の一部のみ障害が発生する例

 右図は 2 階建ての古い家屋で他の部屋は OK なのに、1 階のある部屋だけ障害が出るといった例です(UHF アンテナのみ後付した場合)。

 これは分配や配線(もちろん設備が古すぎる)、その長さによるロスでレベル不足に陥っている典型例です。

 このような場合は面倒でも分配器や配線類を交換したり、といった対策が必要でしょう。

 右図の例では「?」の部分は天井裏部分に配線されていて分配・配線状況が不明な個所です。
 しかしこの場合では 1 階右側の部屋では映り、左側の部屋だけに障害が現れているので 1 階側分配器から、左側の部屋までの配線に問題があることが推定できます。

  ただし例にあげたように必ずしも 2F から 1F へという順に、枝分かれしながら配線されているとは限りません。
 場合によっては 1F 点検口付近(大概は押入の上など)まで、アンテナから一気にケーブルを引きそこで分配している、という施工例もありますから参考にされて下さい(この場合では例とは逆に 2F の末端ほど受信レベルが下がることになるので注意!)。

 このようにしてできるだけ分配器などを含めた配線状況を詳細に調査することにより、問題カ所の切り分けを行えれば最小限の投資で障害を解消できる可能性があります。

 問題部分が特定できてしまえばそこだけ新しい配線でバイパスする、といった対策をとることができるからです。実際問題として屋内配線のうち屋根裏や壁内部などを通る部分は、慣れないとなかなか調査しづらいでしょう。

 もちろん全体の配線機器類の交換が行えれば理想的ですが、予算の都合などで無理な場合に有効です。くれぐれも注意していただきたいのは改善を行っても、マージンがとれない場合は再び不安定な受信状況となる可能性がある点です。

 ですからバイパス配線などの対策をとる際には、必ず必要長の同軸ケーブル(できるだけ 5C-FB など低ロスのもの)をあらかじめ用意して仮配線した状態で、テレビ(またはレコなど)が取説推奨の受信レベル以上になっているかを確認しなければなりません。

  更に仮配線時に推奨レベル以上にならない場合は、より上流の配線類まで取り替える必要があります。ここまできてしまったら仕方ありませんので、潔く全ての分配器と配線類を交換するほうが得策と言って良いでしょう。

 もし UHF アンテナを後付けした場合でアンテナから、2 階分配器までの配線が古い場合も 5C-FB など低ロスの同軸ケーブルに交換しましょう。
 アナログ放送が終了しているので不要な混合器が入ったままでは、ロスにしかならないのでやはり UHF アンテナから新しいケーブルで直結しましょう(不要な VHF アンテナも撤去した方がいいのは言うまでもありませんが)。

 大本でロスしていたら元も子もありません。




  もう少し専門的に解説すると…

 共聴システムは水路のようなもので必ず一定以上の落差を設けなければ、水が流れないのと同様に受信レベルをできるだけ高い状態で伝送する必要があるのです。

 右図はレベルダイヤグラム(前項の障害例と同じ配線)で縦軸に受信レベル、横軸にケーブル長をとったグラフになっています。

 前項の例をこのレベルダイヤグラムに当てはめると…(※注:自己流です)

  ・A 点=2 階のテレビ端子
  ・B 点=1 階右側のテレビ端子
  ・C 点=1 階左側のテレビ端子

 という条件になり障害が起きた C 点の端子にレベル不足が発生しており、なおかつマージンがなく受信不可レベルぎりぎり(スレッショルドレベル)であるということが一目瞭然となります。

 実際にこのような図を作成する必要はありませんが、視覚的に障害の起きる例を明示できるので参考までに掲載しました。

 余談ですがアナログの推奨受信レベル(最低 VHF 50dBμ・UHF 54dBμ以上。マージンを考慮しなければデジタルと大差ないが…)と比較しても、電界マージンを見込んだ場合ではデジタル放送の推奨受信レベルはむしろ、高い必要があるといえるでしょう。

 これは約 9dB の時間変動を見込むため 60dBμが推奨受信レベルとなるためです(電界マージン)。仮にマージンがなくてもただ映るか否かにチャレンジする、という遠距離受信マニア(マニアの方済みません^ ^;)であれば構わないかもしれません。
 しかし地デジでは、アナログ推奨値より※大幅に低い値でも画が出るとはいえ(マルチパス無・電界安定時のスレッショルドレベル近傍がとくにアブない)、まるで品質が確保できていないのですから安定受信を目指す限り、論外であることは言うまでもありません。

  ※筆者手持ちの受信機では 30dB 台半ばから視認できる破綻が解消し、
   ”一見“正常受信ぽく映り始めたが、当然受信状況や受信機器により異る
   ので、参考にしないで欲しい^ ^;。


  安定受信の条件とは?

 デジタル放送では BER(ビットエラーレート)だけを見ても一般に、サービスエリア内では疑似エラーフリーとなる領域が多いため、画が正常に映るか否かの判断しかできません。

 従って冒頭から再三述べているマージン(あとどれくらいで映らなくなるかという余裕度)を見るのには全く適しません。
 これは冒頭のグラフで薄赤色領域のごく狭い範囲でしか、BER が測定できないためです(薄黄色〜薄緑色の平坦部がいわゆる疑似エラーフリー領域)。

 疑似エラーフリーとは RS(※リードソロモン符号)複合後のポイントで測定した BER が、1.0×10-^11(10 の -11 乗・測定器では 1.0×E-11 と言う表記)となり画面上や音声では全く劣化が確認できない状態を指します。

  ※RF 信号複調データ ->ビタビ複合(内符号)->リードソロモン複合(外符号)の順に二段階で
   エラー訂正を行うため

 ややこしくなりますが通常フィールド測定器ではビタビ複合後のポイントで BER を測定します(単に BER と言えばこちらを指す場合が多い)。ここでの BER が 2.0×10^-4(2.0E-4)以下であれば、既述の疑似エラーフリーとなる条件を満たすことになりとりあえず、この時点で判断できるのは正常に映ることのみである、ということができるでしょう。

 これらを踏まえた上で安定受信の条件を列挙すると下記の通りとなります。

  ・C/N 比 =22dB 以上(理論的下限値。23〜24dB 以上で一応、可と判断)
  ・60dBμ 以上(9dB の電界変動マージン込)
   ※全ての値でマージンを多くとることは必須ではなく、例えば電界が 50dB
   台半ばだったりと若干低めであっても C/N 比マージンがしっかりと確保でき
   ていれば可と判断、適宜分配数に合わせてブースタでの電界レベル確保
   を目指し良であると判断する、など臨機応変かつ柔軟な対応も必要。
    とくに電界マージンは受信断となるスレッショルド領域から、かなりの余裕
   を見込んでいる。これは時間変動が非常にやっかいだからだ。

 C/N 比について解りやすいよう改めて図で示すと下記のようになります。


※注:値はいずれも最も一般的なモード 3(64QAM)放送のとき

 上図中左側は C/N 比も十分とれ電界も十分なので、品質がよく安定視聴の条件を満たしている例。右図はレベル不足で C/N 比が大きく劣化しており、時々画像破綻をきたすような悪い例を示しています。

 これはページ冒頭のマージン概念図で言うと薄赤色の領域にある状態のため。たとえ現時点で一見正常に視聴できているように見えたとしても、それは極めて強力なエラー訂正機構(後述)によるものであって”安定受信“とはまったく異なる状態なのです。

 この時点で既に疑似エラーフリーの条件を満たせないので、BER(ビタビ複合後のポイント)が数桁悪化するだけであっけなく、画像破綻やフリーズあるいは受信断に至ります。
 よくブースターを入れても改善しない場合、というのはアンテナ入力が右図の様な状態に陥っていいる、といってよいのではないでしょうか。

 ブースターを入れる理由はアンテナのみでの品質確保が困難な場合であり、既述のような C/N 比確保と電界強度確保という、二つの側面があることを忘れてはいけません。

 またブースタをアンテナ直下に挿入しなければならない理由も、先の図でできるだけ左側の状態に近いまま増幅するほうがより、ノイズと信号との比率を大きく保ちやすいため。

 具体的に理解しやすいよう、ブースタ設置個所による効果の違いを下図に示します。

  ※理論的にはブースタを入れると NF 値だけノイズが加算されるうえ、
   信号は共聴システムを伝送されていく途中、徐々に減衰していく。
    従って同じブースタを使用する場合でも図を見て解る通り、アンテナ
   直下へ設置したほうが結果的にブースタ出力の C/N 比改善効果が
   最大となる。

 他項と重複しますがとくに注意しなければならないのは、ブースタの NF(雑音指数)でこの値が高いと増幅後のノイズ割合が増えることになってしまいます(NF=入力 C/N と 出力 C/N の比であるため)。
 NF が高いと上図の通り「ノイズレベル」ごと、信号が持ち上がってしまうことになりノイズと信号の比率が、改善しづらくなってしまいます(赤塗りで底上げされた部分も増えるるため)。

 よくオークションやリサイクルショップなどで、古い UHF 用ブースタや特に CATV 用(単に業務用と表記されることもあり要注意)が大量に出回っているようですが、アンテナによる直接波受信に用いることはお勧めいたしません。
 これは比較的 NF が高く根本的な用途が異なるため。地デジに限ればあまり役に立たないか場合によっては、悪化を招くだけと言っても良いでしょう(FM 放送くらいなら使えます)。

 地デジ用に限れば選択するブースタの NF は悪くても、高利得タイプで概ね 3dB 以下、20dB 前後のものでも 2dB 程度を目安にして下さい。低利得タイプの場合 20dB 以下程度の製品では NF が 1.0dB という高性能なものもありますが、C/N 比改善には同じ利得ならばできるだけ低 NF タイプのほうが適している、と言えます。

 蛇足ですが超低 NF・低利得ブースタは弱電界地域の、プリアンプとしても使える性能を有しているといっても過言ではないでしょう(メーカでは前置ブースタ、あるいは前置用と表記。後段の高利得低 NF ブースタと組み合わせて用いる)。

 とにかく CATV 用は主にレベル補償用(電界強度)なので、決して手を出さないようにして下さい(言い換えれば品質のしっかりと確保された信号のレベル補償にしか使えない)。


  デジタル伝送ならではの”盲点“

 しつこいですが、ただ映るかどうかを確かめるだけでは品質をチェックしたことにならない、というのは次のような細かい理由もあります。

 既述の安定受信条件(マージン・フルといって良い)をある程度割り込んでいる状態では、なんらかのきっかけにより文字通り崖をころがりおちるように、データ品質が大幅に変動してしまいます。
 まさにぐらぐらとして不安定な足元を、エラー訂正のお陰でかろうじて崖から落ちずにいるようなもの、と言って良いでしょう。

 デジタル無線通信の基本概念を知らない場合、安定受信条件を割り込んでいき更に数 dB C/N 比が劣化していっても、テレビ画面を見ているだけでは一見正常受信しているような気がするかもしれません(繰り返しになりますが^ ^;)。

 ただしそれは”※デジタル・マジック!?“による錯覚(ボカスカ)と言っても決して過言ではないでしょう。デジタルデータをトラックの積み荷に例えると、強力なエラー訂正機構を備えた地デジは近未来的なホバークラフトで運ばれているにすぎない、と言えます(下図)。

  ※”デジタル・マジック“とはアナログでははちゃめちゃに映るような条件下でも、
   非常によくできた地デジのテクノロジーにより”受信画面を見る限りでは“マトモに
   受信できてしまうこと。そんな魔法は存在しませんが、素人が錯覚しやすい落とし穴^ ^;


※注:12 セグ+1 セグ放送の場合は 1 セグ(必ず中央に積載)データのみ、
より悪条件に耐えうる特殊な防振コンテナに搭載されているような感じだろう
(→より低 C/N 比でいける DQPSK/QPSK なので)

 アナログ・テレビは例えれば旧日本軍のボンネット式トラックで、壊れ物を運ぶようなものでした(右図参照。せいぜいサスペンションはコイルバネと板バネか^ ^;)。
 このため悪路の状態が(ノイズ混入=復元不能)ほぼ直接的に積み荷へ悪影響を与えてしまっていましたから、それに比較すれば地デジはずいぶんと進化したものです。

 しかし、いわゆるマージンを割り込んでいたり品質確認なしに視聴している状態は、ホバークラフトの浮上高度が下がってしまいなおかつ目隠しをして操縦するようなもの、と言うことができるでしょう。
 路面の荒れ方がひどかったりちょっと大きな岩が転がっていたら、たちまち積み荷が損傷(所々に画像破綻をきたし始めるような状態)してしまいます。

 更にこの”低空飛行“は下図のごとく重大な危険をはらんでいるのです。


 時々起こる画像破綻や画面のところどころが破綻をきたす場合は、積み荷の一部損傷程度ですみましたが極めて大きなエラーがまとまって起こると、それは取り返しのつかない大事故すなわちフリーズや画像断となってしまうのです。

 私が口を酸っぱくして言うマージンとは、いわば転ばぬ先の杖でありホバークラフトの適切な高度(エラー訂正能力を限界まで活用)と視界を確保し、大きな障害物をある程度は回避可能な状態にするのに似ている、と言えるでしょう。

 たとえ話はともかくとして、運良くフィールド測定器を利用できる場合は(優良な施工業者ならば所持、利用している)マージンをしっかり見ることの出来る C/N 比(CNR と略すこともある)と MER(※変調誤差比。22〜40dB 程度範囲内では C/N 比と比例関係にあるといえる)を測定しなければなりません。

  ※C/N 比と MER は一見似通った指標であるかのように感じるかもしれません。
   実はサブキャリア毎の MER 測定でスペクトラム観測でも解らないノイズ混入が
   判明することも。コンスタ観測とあわせると判別しやすい。

 C/N 比とあわせて MER を屋内端子側で見て、あとどれくらいで安定視聴不可となるか否かレベル確保の判断材料にすると良いでしょう。

 更にコンスタレーションやスペクトラム測定により視覚的にも品質を把握できます。コンスタレーションを見ればその広がり具合で、ただの雑音(一様に散らばる)が加わっているだけなのか振幅変動(内側から外に向かって広がる)があるのかなどを判断することが可能です。
 これは理想的なコンスタレーションは所定の一点に集束している、という前提があり受信信号に加わったノイズの傾向により、前述の例のごとく広がり具合が変化することが知られているためです。

 これらと合わせてスペクトラムを見ることで妨害波など、外来雑音であるかなどより詳細な障害原因の追及に有効です。スペクトラムでは希望波に対してノイズフロアが上がっていれば、C/N 比が悪化していることが一目でわかりますし強電界下で問題となりやすい、隣接 ch スペクトラムの状態も視覚的に把握することが出来ます。

 もちろん後述のマルチパスによる影響が強く現れている場合も、スペクトラムの状態で確認出来る場合があります。

 更にマルチパス(遅延)プロファイル画面では視覚的に、目的波と反射波の遅延と強度がわかるようになっています(まるで初期のレーダー画面と同じです)。
 地デジはガードインターバルのためマルチパスには比較的強いのですが、ある程度強い反射波の場合はどうしても影響を受けることがあります(環境によってはいわゆる GI 越えという長周期反射が問題となる場合も)。

 これはフェージングによりまるで強い※ノッチフィルタ(BEF)で、希望波のスペクトラムの一部をえぐったようになってしまい、これが大きなエラーの原因となり得るためです。

  ※フェージングによる仮想フィルタの特性が極めて急峻な特性をもつノッチ様に
   ふるまうため。残念ながら Perfume ののっちとはなんら関係ありません♪




   その他の注意事項

・壁面端子の具体例

比較的古い設備・要注意(ワンタッチプラグ専用)

ほぼ最新・ネジが切ってある(F 型接栓)

 上記右側写真の壁面端子はほぼ最新と言って良いタイプで、F 型コネクタ※になっており屋内配線・分配器等の設備の問題は少ないでしょう。

  ※インピーダンス整合型。写真の化粧パネルは昭和末期のもの。
   バブル崩壊前後からユニット表面と同色系の外枠が露出しないものが主流。

 地デジ視聴に支障をきたす恐れは少ないといって良いと思います(近年施工、もしくは設備更新されたものと言える)。

 端子にネジが切ってあるのですぐ判別できますし、横から見ると若干壁面から出っ張っているのもポイントです。ただしあくまで設備の年代判別の目安にすぎませんので、参考程度にとどめて頂ければ幸いです。


要注意または要交換

 注意が必要なのは上記左側写真にあるようなタイプの端子。

 これは二十年以上前に施工された事例ですが、この年代になると VHF のみ(とくに南関東)の視聴しか考慮していない設備が多く屋内配線も 5C-2V などロスが若干多く、シールドの甘いタイプの場合がほとんどなので要注意です。

 地デジアンテナをきちんと設置・調整したのに一部の部屋でレベル不足が発生する、などといったつまらない障害を起こしがちなのがポイント。従って新しい設備と比較してアンテナでの品質確保が、より大変になる恐れがあるでしょう。

 分配数が多い、アンテナ電界が低いなどの理由でどうしても品質確保が困難な場合は、屋内配線・分配器・壁面端子を含めた設備更新が必要となる可能性も高くなってしまいます。

 またこれは切り分けしづらいパターンですが、マルチパスのない CATV やフレッツ TV、又はマルチパスのほとんど発生しない BS/CS において、ある特定 ch 付近(設備全体、特定の部屋で発生するか否かはケースバイケース)のみ電界が落ち込む場合はバイパスや一部機器交換などの処置が必要となります。

 これは共聴設備の一部において RF 的な同調点がうまれ、電界の落ち込む周波数帯が発生している可能性があるためで、やっかいな事例のひとつでしょう。


・共聴設備まるごと交換が必要な例

 下図に古い壁面端子の具体例を示します。


 少ないとは思いますが壁のアンテナ端子が、ネジ止め式ターミナルになっている場合(上図参照)は相当設備が古いので、共聴設備全体が地デジ受信に適しません。
 この場合は潔く屋内配線・分配器等を含めた共聴設備全てを更新することを強く推奨します。

 どのタイプも同軸ケーブルを直接ターミナルへ接続するタイプですが、あなどれないのは屋内配線が平行フィーダーになっている恐れがあること。アナログ時代に前ゴースト(多重像が左側にでてしまうイケない現象)が出ていたりしたおぼえのある方は特に要注意です!!。

 また右図のような 300Ωリボン・フィーダー用ターミナルの場合は、問答無用で全共聴設備の交換を勧告します^ ^;。

 これは配線自体が電波を拾ってしまう上、UHF 受信に適さないばかりかノイズにも極端に弱くなっているからです。
 いずれにしてもネジ止めターミナルや化粧ネジで固定するタイプの壁面端子はロスも多く経年変化にも弱いため地デジにとっては鬼門とお考えいただいて結構です。(どのタイプも大昔のテレビも似たような端子が多かったので、記憶されている方もいらっしゃるでしょう)。

 どのタイプも設備交換時は壁面端子を F 型コネクタ端子(直列ユニット。詳細は次項で後述)と交換してください。

 これら以外の問題点として、施工業者の質によっては共聴設備設計云々以前のものもありますが、一般的に古い設備ほどだめなことが多いと考えていただければ結構です。
 アナログ時代の放送受信形態が VHF のみで古い設備が、地デジ受信に適さない場合が多くなりがちなのは既述の通り。

 アンテナでの受信レベルが相当強い場所で運良く、壁面端子内部まで同軸ケーブル(※3C-2V ではダメな時も多い)で配線されている場合は、F 型コネクタをもつ壁用端子(詳細は次項で後述)と交換することで OK な場合もありますが(単にラッキーな例と捉えてください)、こればかりは一概に言えません。

 そもそもこの手の設備では同軸ケーブル(もちろん他の諸設備も)すら経年変化による劣化で、地デジ視聴に適さない特性になっていることも否めないのです。この点だけは必ず念頭に置いてください。

  ※過去粗悪品が大量に出回った経緯もある上、正規品でも比較的ロスが多いため

 次に見落としがちなのがワンタッチ式の L 型プラグでしょう。脱着が簡単なこともあり便利かも知れませんが、右写真のようなタイプは特に旧式なので注意が必要です。

 同軸ケーブル・リボンフィーダー兼用でかつては便利だったのですが、この時代のものになるとシールドされていないため、ロスが比較的多くノイズにも弱いため使わない方が無難です。

 最悪の事例としては写真のものと似た 75/300Ω兼用タイプで、特定 ch のみ極端に受信レベルが下がるというものがありました。
 他 ch は全てマージンが多くあるのですが問題の ch のみ、良くてテレビ・メーカ推奨値ギリギリ、低下した際にはマージンを割り込んでブロックノイズだらけ、というていたらく。

 原因はこのタイプのプラグ内にはインピーダンス変換.用のメガネコア(バラン)がはいっており、無シールド(厳密にはインピーダンスの乱れ)と相まって結果的に BEF の如く作用していたため(21〜28 の物理 ch のうち 22ch のみが落ち込んだ。RF 回路的に同調点が発生しエネルギーが吸収されることによる。ディップメータの原理同様)。

 上記事例ではきちんとしたねじ込み式の F 型コネクタ(文末で紹介)に交換しただけで、ウソのようにトラブルが解消しました。問題のプラグには J○C の刻印があったのが印象的です(超ボカスカ。便利だから、といって無シールドワンタッチプラグをむやみに使わないように ノノ*^ー^;) )。

 もしもワンタッチ・プラグを用いる場合は少なくとも、内部がきちんとシールドされたものでなければなりません(右写真)。写真の例のように芯線接続部に、最低限金属製カバーがありなおかつ BS 対応が明記されているものならば問題ないでしょう。

 値は張りますが近年では F 型コネクタに準ずる、同軸構造でシールドのしっかりとしたものが出回っています。

 その他長期間未使用だった部屋のアンテナ端子で、なおかつその間に増改築などを行った場合は家主も知らぬ間に、配線が切断されてしまっていたり(あるいは接続が不完全)などの理由で、受信不可能な事例も。

 このような場合もやはり前項のように、配線状況を調査の上対処する必要があります。

 なお、これは極まれな例だと思いますが難視聴対策 CATV や、地域共聴システムが導入されていた地域でやはり特定の部屋だけ受信が乱れる、という症状に遭遇したことがあり本当に参りました。

 原因はいい加減な配線工事のため、既存アンテナが生きておりこれと直接壁の直列ユニットで(中間用)接続されていた特定の部屋のみ、逆結合(ロスがあるうえ空間波と干渉して正常受信できない)で共聴システム側の信号が入力されていた、という呆れるような最悪のパターン。

 この場合は直列ユニットの接続方向を入れ替え、既存アンテナ側配線を外すことで応急処置ができましたが、後日端末用に交換したのは言うまでもありません。(右写真は文字通り配線の末端に用いる端末用直列ユニット)

 なお念のために書いておきますが分配器は、全端子に等しいレベルで”分配“されるのに対し分岐は、レベルが均等ではないのが大きな違いとなります。


  集合住宅での特別注意事項

 これはアパートやマンションといった集合住宅や、雑居ビルなどで共通の最優先留意事項で、とくに中間用直列ユニットの場合は絶対勝手に触らないこと!。

 これは同一建物内で共聴設備の設計上、中間ユニットの場合は下流に他人様の部屋などが接続されているためで、必ず大家さんや管理会社などに問い合わせた上で工事や改善を依頼してください。

 場合によっては下流に接続された多数の部屋(例えば階下全ての部屋等)に、障害を及ぼす可能性があるのです。

 当サイトの警告を無視し勝手に工事をしてしまった場合、最悪工事期間中は下流に接続された部屋全てにおいてテレビ視聴が不可能な状態に陥ります。これは駐停車禁止場所への安易な駐停車と同様、大変な迷惑行為ですので絶対に行わないでください。

  ※他人様への思いやりと思っていただければ幸いです。「情けは人(他人)のためならず」です!!
   (古っ)。




 ・分配器とは異なる直列ユニットの使用法

 既述の通り直列ユニットには右図のように端末用・中間用の二種が存在します。

 端末用は右図 2 階部分のようにその部屋で配線が終わっている場合に、中間用は 1 階部分のように数珠繋ぎにして他の部屋へも配線を送る場合に用います。

 もしも交換する際はこれらの違いに注意し、特に中間用では入力側と出力側配線を間違えると、大きなロスが生じ受信障害のもととなりますので十分気を付けてください。

 また中間用直列ユニットは配線と同時に分岐もできて、とても便利な物なのですが分岐損失といってロスが非常に大きいので、必ず使うカ所は最小限にとどめましょう。
 また逆に中間ユニット以降の部屋のみ障害が発生する、といった場合は真っ先にこのロスを疑うべきです。あくまで例ですが一般に 1 つの中間用直列ユニットは、4 分配器よりロスが大きいことがあるからです。

 このようなときはより上流であらかじめ 3 分配しておき、それぞれ直に必要な部屋までの配線を引き直すことになります。




  ・分配器などは金属シールドされたものを!

 分配器や分波・混合器などの機器が金属シールドされ、接続に F 型コネクタを用いたしっかりした物であるかを点検しましょう(右写真)。金属製の物は値段は張りますが比較的ノイズに強い上、その構造上ロスも少ないのです。

 分配器などの配線機器類は筐体がプラスチックケースで、同軸ケーブルをネジ止めするだけのような簡易型はロスが比較的多く、外来ノイズの影響も受けやすいため推奨しません(右下写真)。

 また盲点としてはテレビのほか複数台のレコなどを接続していて、全てが数珠繋ぎとなっている場合は末端に行くほどレベル低下が激しくなります。

 このような場合は壁のコンセントから直に分配器を用いて分岐し、そこからテレビなりレコなりに配線したほうが全体のロスを減らすことができます。


  ・それでもなお改善に至らない場合

 これまでにあげた様々な対策を行っても改善に至らない場合、1.8m マスト一本の屋根上設置であればこれを 2 本接続し 3.6m とするのも地上高があがるため有効です。

 とくに送信所から距離がある場合などは最大で 3.6m+1.8m(強度が落ちるので 1.8m×3 は推奨しない)として、全長 5.4m のマストを用いる事も受信レベルをあげるためにより有効です(3.6/5.4m マストでは必ずステーは上下 2 組しっかりと張ること)。
   
 それ以外ではアンテナ素子数を増やしたり(14→20 素子→30 素子。更に素子が上下 2 列になったスタック型にするなど)、雑音指数(NF とも言う)のできるだけ低いブースター(高価でも電源部の分離した直下型を推奨)を用いるしかありません。

 ただし基本はあくまでアンテナで受ける電力を最大にしつつ、なおかつ配線機器類でのロスを最小限にしてテレビ機器まで接続することです。それでもどうしても受信レベルが改善されない場合には、できるだけ低 NF のブースターが有効かもしれません。

 一見単に、高利得なだけのブースターでよいように感じるかもしれませんが、この手のものはケーブルや分配ロスなどの電界強度レベル補償用であり、C/N 比の改善効果がないばかりかかえって悪化する場合すらあるので要注意です!。
 これは雑音指数が高いと増幅後の信号に含まれるノイズも多くなり、信号と雑音の比率が改善されないためです。理論的に使用するテレビ機器類のチューナー部より十分に低い NF でないと C/N 比改善は見込めないのです。(設備設計上受信機の NF は 7dB を想定しています)

 具体的には NF が 3dB・利得 30dB のアンテナ直下型ブースタを用いた場合、トータルの NF が 2〜3dB 改善され結果的に、4〜6dB 程度 C/N 比を改善できる見込みがありますので参考にされてください。若干重複する部分がありますがより詳細にブースターの効能を理解するには、前項の安定受信の条件を熟読されてください。

 これまで”直下型“と明記したのは、そうしなければ改善効果が極めて希薄になるか、最悪効果がない場合もあるためです。ブースターをアンテナ直近に設置することは鉄則と思ってください。

 またアンテナ入力レベルがあまりにも低い場合、改善効果が期待できないこともあります(ブースターの最低動作入力レベルに満たない場合など)。しつこいようですがあくまで基本的にアンテナでの受信レベル向上とシステム全体のロス低減につとめるよう心がけてください。




  典型的なダメ設置法


 ここでは決してマネしてはいけない典型的なダメ設置法の例をあげます。



・強風時に画像破綻をきたす場合、しっかり固定されているか再確認!

※風でアンテナが揺れてしまうと当然受信レベルも変動し、しっかり固定された場合より多くの”マージン“が必要となってしまう。

・'12 年初夏の台風直撃後、既存 VHF+UHF+BS、1.8m マストと思われるもので、ベランダ手すり部から奇麗にマストが 20 度くらい曲がっている事例を発見。いけませんねぇ^ ^;。

 まずありがちなのは上図のようなベランダ設置で、不必要にマストが長くしかもステーが全く張られていない場合です。風でアンテナが揺らぐようでは安定受信の妨げで、平時は正常であっても風の強いときだけ受信が乱れるような場合は改善が必要です。

 ベランダ専用金具(BS 用の手すりに挟むタイプなど)を用いて固定している場合なら、確実に各部のネジを締めてあれば OK でしょう(手すりなどが頑丈でぐらつかないことが前提です)。ただし設置後は必ず増し締めを行うのがポイントで、うっかり締め付けを忘れてしまうことを防げます。

 また次いで素人がやってしまいがちなダメ施工例は右図のような設置法です。

 偏波面に関わらずアンテナ素子と支持ブーム(U 字型のアルミパイプ)が、平行になってしまうと感度が低下したり指向性特性が乱れる、等の恐れがあるので絶対にしてはいけません。

 支持ブームが水平に取り付けられるのは、垂直偏波モード用の仕様ですから気を付けましょう。

 とにかく一直線上に並ぶ、支持ブームとアンテナ素子は必ず”直交“させた状態で取り付ける、と言う鉄則を守ると言うことだけを念頭に置いていただければ OK です。

 例えばアンテナ直近に金属製の障害物をわざわざ設置するようなもので、御法度であることは電波に詳しくなくとも少し考えればわかりそうな問題、といっても過言ではないでしょう。

 またとんちんかんな例としては簡易型アンテナの偏波面が間違っている場合も多く見受けられます。例えば東京タワーは水平偏波ですがそれにも関わらず、”垂直偏波“モードで受信した場合数 dB のレベル低下が考えられます(偏波面が不明な場合周囲の集合住宅などプロが建てたと思われるアンテナを参考に!)。

 強電界で分配数が少なければなんとかなるかもしれませんが、前述のマージンをかせぐためにも正しい偏波面で建てることが必須です。なかには小型八木アンテナが垂直偏波かつ空に向かっている(仰角つき!)、という低軌道衛星電波の受信かっ!と思うような意味不明な建て方をしている例がありました(室内アンテナで映るような地域だと間違いに気づかない!)。

 しかもこの他に、偏波面間違い&支持ブームと素子重なり(ダメ施工例その 2)という、ダブルでイタい施工例も見受けられましたので老婆心ながら、重ねて注意を促しておきたいと思います。


  細かい注意事項

 もし同軸ケーブルの配線長が足らない場合は必ず、中継用コネクタを介して延長しましょう(誤差みたいなロスなので心配なし)。通常の電線とは全く異なる概念なので、直接接続しての延長は劇的なロスを生じますので御法度です。

 また素人がおかしがちな例としては、ケーブルなどを止める際に白いビニルテープなど耐光性のない物を使ってしまう例です(結束バンドも同様、黒でなければダメです)。
 ビニルテープは必ず黒を用いないと 1 年から数年の後にテープが硬化したり、もろくなってバラバラになったりして著しい強度低下を招いたりなど、固定している意味をまるでなさなくなります。

 以降、基本的なアンテナの正しい建て方についても随時触れていきたいと思います。少なくともそこいらの街の電器屋に負けない(並みの台風程度には対応できる)、アンテナの建て方をご紹介致します。




  基本的なアンテナ設置法

 基本的なアンテナ設置法はホームセンターなどにある設置例のパネルや、アンテナ取説に書いてあるとおりですが長年の経験からいくつかの要点を下図にまとめてみました。

  ※しつこいようですが同軸ケーブルは 5C-FB 以上が基本とお考え下さい
   ただし外部被覆が白色の物は日光により劣化しやすいので要注意

※アンテナ位置決めが完了しステー施工後、最終的な方向調整を行い屋根馬のボルトを締めてマストを固定する。そのためステーリング部はマスト側を回せる構造になっている。


 上図ではもっとも基本的かつポイントとなる事項を示しています。補足としてステーの 3 方向張りは強度が劣るため、通用するのは平屋(内陸部のみ!!)で 1.8m マスト一本の時かベランダや突き出し金具設置時のみです。

 ステーはあらゆる方向に対して耐力がなければ無意味、といっても過言ではありません!!。それくらい重要です。

 例えばいくら軒下突き出し金具だから、といってもマストが長い場合はステーが全方位に効いていない場合、非常に分かりやすい結果が待っています^ ^;。

 実例として屋根のないところを除いて、屋根の軒に沿って 2 方向、屋根の中心(高くなっている方)に 1 方向、計 3 方向張り(各々 90度角の丁字張り!)といういびつな張り方で、ステーの無い方向からの風圧によりたったワンシーズンで、簡単にマストが曲がっている例がありました。

 当然、台風直撃などの際は最悪ステーの効かない方向へ、完全にマストが折れ曲がり倒壊、ということになりかねないのです!。

 周囲の条件としては、テレビ等の取説にもある通り往来の激しい幹線道路、鉄道などの高架(架線等のスパーク※には要注意)、ネオンサイン等からはできるだけ離して設置するべきなのは言うまでもありません^ ^;。

  ※スパークノイズすなわち、電気火花雑音は場合により LF〜UHF にまで及ぶ
   超々広帯域な極悪なもの。近傍界が主なので飛びは悪いが局所的障害の
   原因となる恐れがある。アナログ時代はメダカノイズとしてすぐ判別できた。

 またいかなる設置法であってもアンテナ周囲のスペース(開口部という)は、最低限 70cm 程度できれば約 1m 開けることを心がけてください。UHF の波長を考慮したもので BS など他アンテナ併設時や、ベランダなど狭いところへの施工時は気を付けましょう。

 後述する UHF アンテナ複数設置時、各々 1m 程度離す理由はこれと同様です。これがまるで考慮されていない、盆栽のように密集して建てられているものをよく見かけますが、悪影響しかないと断言しておきます。

 プロと称する連中でも時々やらかしていますが、アンテナ設置の基本すら知らないということを周囲にカミングアウトしているようなもの、といってよいでしょう^ ^;。

 細かいことではありますが以降、その他の注意点をあげます。

 まずアンテナ方向の調整は冒頭にある「具体的な対策」の項を参考に行ってください。アンテナ調整の際チャンネルごとの受信レベルが大体揃っていれば問題ありませんが、一部の局だけが低かったり乱れてしまう場合は(同一送信所の場合)高さ・位置の最適ポイント探索が必要となります。

 このときはステーを張る前の仮設状態のまま概ね 10〜15cm ずつ位置や、高さを変えながら受信レベルの様子を見て最適な場所を探ります。最もチャンネル間レベル差の少ないポイントが最適であると考えられるので、その時点でステーを張って固定しましょう。

 その後更に方向調整を行ってから、屋根馬にあるボルトを締めて(締めすぎるとマストを潰すので注意)マストを固定(アンテナの方向)すれば OK です。締め付けトルクは手で強めにマストを回したとき動かなければ十分です。

 もしも、マストを潰してしまった場合は一度アンテナ固定部をゆるめ、向きを 180 度変え再固定してから再度方向調整し最後に、屋根馬のボルトを締め直しましょう。

 マスト固定に使うステーワイヤですがホームセンターのアンテナコーナーなどにある、ビニル被覆の針金(中はただの鉄線)はあまり耐久性が高くありません(内陸部でも数年で被覆が割れ内部が腐食し著しく劣化する。沿岸部での使用はもってのほか)。

 できればφ1.2〜1.4mm 程度(太すぎると固くて施工が大変)のステンレスワイヤが値段と、耐久性が折り合いますのでこちらを強く推奨いたします。またどちらの場合もステーを張ってから 1 週間程度で、必ず伸びが発生してきますから後日、ワイヤを張り直す必要があります。


 そしてアンテナケーブルの処理ですが決して、ブラブラと宙をはうような配線はしてはいけません。

 できるだけ数十 cm 間隔でマストなどに固定し、どうしても空中を通したい場合は針金を張ってから、適宜ケーブルを固定しながら渡すようにします。とくに未固定の部分が風で煽られると、長期的には被覆の損傷原因となったり雨水の浸入など受信状況の悪化を招きかねません。

 また屋根の軒下など鋭角部分ににケーブルが当たる場合は、それらを回避できるよう余裕を持って配線するか適宜スパイラルチューブを巻くなどして保護しましょう。


  アンテナは決して建てっぱなしにしないこと!

 なおアンテナは決して建てっぱなしではなく、必ず 5〜10 年(内陸部の場合)ほどしたら各部を点検し腐食・破損がないかなどを確認し、適宜メンテナンス(あるいは建て替え)が必要となります。
 沿岸部ではたった数年で激しく腐食・破損することがあるので、より厳密なメンテナンス(あるいは建て替え)が必須となりますので注意されてください。台風通過後などは地域によらず特に注意が必要で、最低限目視による点検を心がけてください。

 更に温泉街などにおいて腐食性ガスが発生するような地域の場合、沿岸部並みかそれ以上に注意する必要があります(エアコン・冷蔵庫の冷媒配管がしょっちゅうイカれる地域は要注意!)。

 アンテナの痛み方は腐食要因(塩分・腐食性ガス・大気汚染度)により、千差万別で既述地域以外にも工業地帯などでは、比較的丈夫な亜鉛溶融メッキが簡単に腐食したりする例もあります。

 万が一アンテナが倒壊したり風で飛んでしまうと思わぬ事故の元となりかねませんので、十分に注意されてください。

 ちなみにアンテナいらずをうたうフレッツ・テレビ(月額 \700 弱・地域により CATV の地デジ格安プランもある)は一見、高額のように思えますがアンテナメンテを業者任せにした場合を考慮すれば、五十歩百歩かもしれません(設置工事費・部材費込みで見た場合)。
 このあたりはサービス地域が限られる上、コスト・メリットのトレードオフがありますから良く検討されてから、アンテナ設置を決めることをお勧めいたします。

 少なくとも自前で設置できればその後の立て替えを考慮しても、部材費のみで済むわけですからこれらの有線系放送サービスより、遙かに安く済むのは言うまでもありません。




 ・簡易的にマージンの有無を確認する方法

 写真(右上)のようなアッテネータ(用意できるなら 10dB がお勧め!)が使えればある程度明確な値が判るのですが、わざわざ買うのももったいない!ということで、レコなどに内蔵のアッテネータを活用します(写真右下参照。アッテネータ無しの機器はどないすんねん!?という突っ込みは掲示板にて^ ^;)。

 複数台のレコでチェックしてみたところ、概ね -6dB かそれ以上の減衰量があると推定できました(機器により受信モード、という表記の場合あり)。
 もちろんメーカや機種によって値は異なると思いますが、元来受信障害対策用(強電界時の感度抑圧や混変調対策)なので -6〜10dB※程度であるだろう、と勝手に推測しております(無責任で済みませんm(_ _)m)。

  ※松下のレコ(DMR-BW570)では簡易測定の結果 10dB だった

 少なくともアッテネータ ON のまま各チャンネルの受信状態をチェックすれば、その減衰量分のマージンがあるか否かということが判明します。すなわち問題なく映れば減衰量分以上のマージンがあり一瞬たりとも、破綻をきたしたり全くダメなときは減衰量分のマージンはないということだけは判ります。

 更にアッテネータ ON で問題がなかった場合そのままで、丸一日程度様子を見ることをお勧めします。そうすることで時間変動などに対する耐性も確認することができるからです。その際は後日アッテネータを OFF する事を絶対に忘れないようにしましょう。

 その他アンテナが揺れてしまうときはアッテネータ ON のままあえて揺することで、短期変動に対するマージンの有無を確認できます(もし余っていれば損失量が明確な分配器や、長さあたりの減衰量が推定しやすい同軸ケーブルなどを挿入する手もあります)。

 また各部屋などに分配されている場合は受信レベルが一番下がる、最も下流となる端子に接続された機器で確認を行う必要がありますから注意されてください。(「もう少し専門的に解説すると…」の項、レベルダイヤグラム例では C 点)




  複数アンテナの設置について

 応用編として複数アンテナを設置する際の具体例などを示します。

 アンテナは受信状況により主局、県域局用アンテナを上下逆にしてもよいでしょう。

 図中にもありますがそれぞれのアンテナは、必ず 1m 程離すことを心がけてください。

 よくほとんど間隔をおかずに設置されている例を見かけますが、相互干渉をおこし指向性パターンが乱れますから決してまねしてはイケません(施工業者の質が解ってしまいます)。

 特に注意すべき点は 2 つのアンテナ角度が浅すぎる場合、各々他方のアンテナが一方に対しては全く不要な局の直接波や、マルチパス等を拾ってしまいお互いに悪影響を及ぼす可能性があることでしょう。

 指向性特性から判断・予測できる DU 比※を考慮した場合、14 素子八木のときで概ね 35〜40 度以上離れていれば可ではないか、という気がしますがこればかりはケース・バイ・ケースなので一概には言えません。※東京スカイツリー・サービスエリアなどの強電界地域を除く)

  ※厳密には目的波と妨害波のレベル差が各々のアンテナで十分にとれ
   (DU 比=目的波と妨害波の比率・28dB 以上が可と判断する目安)
   なおかつ GI 越えがないことが条件。DU 比が悪いということは当然
   必要な C/N 比も増大するので要注意。

 この際は混合器に受信チャンネル群に適したフィルタが内蔵されたものが必要となる場合があります(大概 20dB 程のセパレーションはとれるので、指向性特性とあわせると強電界地域を除き通常必要な DU 比を稼げる算段)。

 受信地域により適するフィルタの通過帯域はそれぞれ異なりますので、選択には慎重を期す必要があります(※注:文末に記載)。
 また場合によっては特定地域向けとなり、受注生産品だったりして比較的高価なことも・・・^ ^;。

 いずれにしても混合器は入出力には F 型コネクタ採用、かつシールドのしっかりとしたものが必要です。
 混合器により必ず挿入損失が発生(4.5〜6dB 程度)しますから、共聴システム全体のレベル管理もよりしっかりと行わなければなりません。

 レベル不足でブースタを挿入する際などに備え、混合器は全端子電流通過型としておくことをお勧めします。


 最後に複数アンテナを設置する際の配線例をわかりやすいよう概念図として示します。

 あくまで概念図ですので実際の混合器の端子は、全て下側ではないか!?という突っ込みはナシでお願いします^ ^;。



※注
 例えば主送信所のチャンネル群が 20〜28ch、県域局が 30ch の場合に必要な混合器の具体例をあげます。

・県域局の入力特性が 30ch 以上通過のハイパスフィルタ
・主送信所の入力特性が 28ch 以下通過のローパスフィルタ

 以上のような組み合わせの他、県域局側のみ 30ch 以外をカットするバンドパスフィルタを搭載したもの、などの利用が考えられます。受信チャンネルの組み合わせや地域により千差万別です。

 フィルタには下記の種類がありますので選択の参考にされて下さい。

・特定帯域以上のみを通過する、ハイパスフィルタ
・特定帯域以下のみを通過する、ローパスフィルタ
・特定帯域のみを通過する、バンドパスフィルタ
・特定帯域のみをカットする、バンドエリミネートフィルタ

 ※ハイ/ローパスフィルタはそれぞれの地域により主用送信所と、県域局を
   別途アンテナで受信するためなどに混合器に内蔵されたものがホーム
   センターで見かけることもある。
    その他アッテネータの例で示した写真のようなタイプもあり。

 前出のバンドパスフィルタ、バンドエリミネートフィルタ(トラップと表記されていることもある)は、更に利用できるチャンネルが限られますから注意してください。また需要数の関係によりこれらは受注生産となってしまう場合もあります。




  建物など構造物による遮蔽

 ここでビルによる遮蔽物が受信場所直近にある場合の具体例を挙げたいと思います。この様な周囲の受信環境は千差万別ですので、余り参考にならない場合もあるかと思います。
 しかし、もしかしたら希望がもてる可能性があるかも!?、という一例としてご紹介するものであります(あくまで”可能性“です!^ ^;)。

  ○受信条件など

   ・受信地点地上高 10m、20 素子八木アンテナ、共聴用ブースタ有(33dB)
   ・送信所まで約 21km(独立局/500W)
   ・遮蔽建物 8F RC 造、距離 120m
   ・送信所見通し方向が、建物の隅をぎりぎりかするかかすらない程度
    ※地図サイト、及びハンディ GPS による、目的方向指示により確認

 上記条件下にてマージンを十分に満たす安定受信ができており、その建物ができる以前と比較してほとんど状況の悪化が見られませんでした。
 もちろん建物が高い場合や距離が近くなるほど、影響は顕著になります。

 これは完全見通しでない場合の例となり、遮蔽物の影響により建物の裏側では電波の回折が発生しますがチャンネル、角度によって回折損失は異なります。
 したがって、完全な影より建物のエッジに近いほど、諸条件により受信可能性が高くなる、ということが言えるでしょう。

 建物による具体遮蔽を例に挙げましたが、高速や鉄道高架では諸条件からその構造物下の向こうに空がある程度見えれば、アンテナ高を下げた方が良い結果を得られる可能性があると言えます。

 他項とも重複しますがこれは送信所と受信点の位置関係や、周囲の状況に大きく左右されますからあくまで可能性の一つとして、念頭に置いていただければと思います。


  ・電波の回折現象について

 ちょっと専門的になりますが電波はある条件により決まる楕円体を中心に、なんとなくぼんや〜りと伝搬してくるという特性があります(※完全見通し、第一フレネルゾーンの法則)。

  ※楕円は伝搬経路上ににあると仮定

 よく電波が回り込むだとか様々な表現がありますが、この回折現象を表しているに過ぎず一般的なイメージとはかけ離れていますから、特に注意が必要です(某白い犬の携帯電話会社がよく宣伝に使っていたような気も…)。

  ※完全見通しとは送信点を最短距離となる一直線上に見て、
   概ね伝搬経路差が半波長となる楕円状の範囲全がクリアであること。
   それから地図サイト上の建物位置は、目安程度にしかならないのでご注意を。

 ちょっとイメージしづらいですが、部屋の照明や懐中電灯の光などで影ができた場合その遮蔽物の直近の影はハッキリしているのに、離れるに従いその輪郭が薄れていくのが観察できるでしょう(右写真参照)。

 この光の陰影の濃淡も回折による現象そのもので、これが電波の強弱に似ているといえば分かりやすいでしょうか。もちろん波長による違いがありますが視覚的に理解するには、最も身近な例と言って良いでしょう。

 また光も電波も同じ電磁波ではありますが、波長が長いほど回折角が大きくなる、というのが物理的な性質ですから某白い犬の携帯電話会社は、このことを言っていたのです。回折は構造物ばかりではなく、山や丘といった地形によるものも発生します。

 文字通り”回り込む“ように感ずるような波長は、VHF のローバンドか短波帯の端っこ 28〜60MHz あたりの無線機でも使ってみると一番良いでしょう(ボカスカ)。




  BS アンテナとの併設について

 ここでは応用編その 2 として BS アンテナ(スカパー e2 を含む)併設についても簡単に触れておきます。

 右図にあるように設置場所が許す限り、屋根上設置(単独・UHF 併設問わず)を避けベランダなどの手すりに取り付けることを推奨します。

 魚の骨のごとくスカスカな UHF アンテナと異なり、BS アンテナの受ける風圧荷重は半端なものではなく、相当しっかりとした施工でない限り後々の不具合を招く可能性が高いからに他なりません。

 ちょっと考えてみてください。強風下で約 40p 四方(φ45cm パラボラ反射鏡面積に近似)の板(材質は軽量な木や段ボールが適する)を手で持ち、風上に対して面を直交させてみればいかに風圧がものすごい力であるか、簡単に体験できます。

 もちろん老婆心からではありますが、BS アンテナは地平線が見通せる必要もなく軒下となるだけで、かなり風の影響を低減できます。正直なところ街の電器屋さんが設置したものであっても、施工後台風が通過したら BS アンテナの方向がズレてしまった等という例もありがちですし、実例を見聞することも…なきにしもあらずなのです(ボカスカ)。

 続いてこちらも具体的な配線例を図に示します。

 例によって BS アンテナ側は電流通過型となる、混合器を使用します。

 もちろん、テレビ・レコ等 BS 対応機器でも適宜、分波器を用いて BS/UHF アンテナ端子へそれぞれ配線することで、BS 視聴が可能となります。

 ポイントとしてはできるだけ BS アンテナと最短の配線となる機器にだけ、電流通過型の分波器を用いて配線し常時 BS コンバータ用電源を ON とすること(受信機器側で)。

 その他の機器では全て電流通過型でない分波器を用いるか、機器側で BS コンバータ電源を切りにしておかなければなりません。

 複数機器で電源供給しても特段不具合を生じるわけではありませんが、単なるムダであり省エネに反するのでぜひとも気を使っていただきたいものです。

 なお、混合・分波器には必ず BS 対応機器を用いてください(右写真参照)。更に同じ BS 対応機器でも古いものでは、スカパー e2 に未対応だったりする場合もあるので要注意。

 パッケージ等に BS・110 度 CS 対応と明記されているものがスカパー e2 対応に該当します。

 ちなみに BS アンテナ用配線を UHF とは別途、必要な部屋だけに配線できる場合は混合・分波器を使用せず、直接各受信機器に分配・配線してもよいでしょう。どちらの場合も 5C-FB 以上の低ロス同軸ケーブルを推奨します。

 当然のことですが BS/UHF の配線系統を分けた方が、全体としてのロス(混合・分波器によるもの)は低減できとくに BS/UHF どちらか、または双方で受信レベルの厳しい環境で適していると言えます。

 また蛇足ではありますが古い家屋などで、屋内配線状況が不明で BS アンテナを取り付けたはいいが、BS コンバータ用電源が通らずいっこうに映らないと言う例があります。

 この場合はまず根気よく電流通過となる配線系統を追うしかありません(天井裏などの配線機器類調査はなかなか骨が折れます…)。

 どうしても配線状況がわからなかったり、運悪く電流通過系統がない!という場合や新たな配線を追加したくないというときには、コスト的に高く付きますが別途 BS コンバータ電源を供給できる、レベル補償用のブースター(当然 BS 専用でよい)を用いるという手があります。

 もちろん、BS アンテナ・ケーブル屋内引き込み部直近に BS 受信機器があれば、そこから BS コンバータ電源を供給すれば済むのは言うまでもありません(電流通過型分配器経由)。




  ・ありがちなミスや特に注意する点

 細かいことかもしれませんがここでは、素人がおかしがちなミスなど後日のトラブル発生を防ぐために、べからず集として取りあげておきます。

 重要なポイントとして屋根上に同軸ケーブルを、ただはわせてしまうのも実はイケないことです^ ^;(痛む原因に)。

 既存のステーなどへ適宜数十 cm 間隔で固定しながら伝わせ、軒下に引き込むか別途専用に針金を渡してから配線しましょう。

 また右図のようにアンテナ給電部はとくにデリケートなので注意が必要です。
 ケーブルを固定せず、ぶらんぶらんの状態で屋根にまで同軸が引き回されている例を希に見かけます(大概は施工不良で固定が外れたものだが…)。

 給電部に張力がかかったままだと最悪の場合はケーブルがぬけおちてしまったり、はたまた断線や防水性の低下といった様々な懸念が発生します。

 面倒でも右図のようにアンテナ取り付けブーム、マスト上部といったカ所に適宜余裕をもたせた上で固定してください。また給電部に付属する防水キャップをするのはもちろんですが、内部には自己融着テープをしっかり巻いておくと安心です。

 防水キャップは劣化でガバガバになりやすく、意外と水分が入り込むことがあり長期的には接続部分の腐食が懸念されるからです。ちなみにビニルテープは防水にはなりませんのでご注意下さい(間に合わせでも怪しいので絶対にいけません)。



  ・同軸ケーブルの屋内引き込み

 右図は壁面での同軸ケーブル引き込み方法です。

 エアコンの配管を通す場合も同様ですが、必ず屋外側のケーブルは数 cm 立ち下げてから引き込んでください。万が一雨水がケーブルを伝い進入することを防げます。

 最後に適宜パテ埋めをすれば完璧です。

 なお、近年義務化された各部屋の換気口ですが、ケーブルを通せる構造であれば雨水が浸入しないよう、注意して配線すれば一応通線用に使えます。

 ただし開閉構造を持つ場合は開けっ放しになるのがタマにキズです^ ^;。

 また借家などで穴あけ不能の場合や、エアコン配管などどうしても利用できる穴がないときはサッシのすき間を通す、すき間用アダプタ・ケーブルを用いると良いでしょう(損傷を防ぐため窓は頻繁に開け閉めしないこと)。

 もしも利用する際は若干ロスがありますので、例え高価であってもできるだけ有名メーカの物を選択しましょう。

 どこの馬の骨かも判らぬような安物では、へたな分配器よりロスが大きい物がありこれを通すだけで映らない、ということもおきかねません。


  ・同軸ケーブルの屋内引き込み法その 2

 右図は軒下での同軸ケーブル引き込み方法です。

 外壁に穴をあけたくない場合や壁面テレビ・コンセントを設置したい場合は、軒下から同軸ケーブルを引き込みます。直接天井裏を貫通させて室内に引き込む施工法は、もっとも難易度が低くなりますが室内の見た目は良くありません。

 いずれの場合でも軒下の引き込み部は必ず、いったん同軸をたるませて雨水が浸入しないようにすることが肝心です。

 壁面テレビ・コンセントを設置するのはそれなりにテクニックと、手間が必要となってきますが非常にスマートかつ奇麗に配線できるのがポイントでしょう。DIY の心得があるのならばチャレンジしてみても良いかもしれません。

 壁面テレビ・コンセント設置にあたっては、室内壁面への穴あけ、ユニットなどの固定および通線作業などかなりの手間を要します。ユニットの取り付けはホームセンタなどにある、実体電気配線例(よく図解とともに実物展示されている)を参考にすると良いでしょう。

 もちろん共聴システムの場合はまずハブとなる、分配器なり直列ユニットへ引き込むことになりますが大概は、AC100V のジョイント付近にある点検口あたりに設置されています(電器屋により施工・設置カ所は異なる。不明な場合工務店に問い合わせると良い)。点検口は押入やクローゼット上側であることが多いのですが、いずれにしても図を参考にして配線を引き込むようにします。

 なお各部への同軸ケーブルの固定にはステープルを用いてはイケません。

 同軸ケーブルを潰して特性を狂わせたり被覆を損傷する恐れがあるからで、必ず同軸ケーブル専用の固定部品を利用してください。樹脂製の専用サドルと釘がセットになった物が施工性も良くお勧めです。(右写真参照)

 なお同軸ケーブルは潰れるほど曲げてしまうと、断面が変形し特性が変化してしまうのでロスの原因になりかねません。最小曲げ半径というのが決まっているので曲げる場合、概ね使用ケーブル直径の 10 倍程度までにしておくと安心です。

  ※ステープルでも OK だよ、というアナタ。まじプロですか?(ボカスカ)。
   熟練が必要なのですがね…。




  肝心要の同軸ケーブル末端加工

 とくに慣れない方にとっては同軸ケーブルの皮むきは、電線を切ってしまったりなかなか奇麗にできなかったり、とある意味鬼門と言えるかもしれません。

 若干昔は東通工の我流が入りますが、比較的やりやすく奇麗に加工できる方法をご紹介いたします。(プロはナイフとニッパーで華麗にやってくれますが…)


  ・1 外部被覆の加工その一

 まずは右写真のようにして、ハサミで同軸ケーブルを軽く挟み込んで矢印の方向に往復させながら、くるりと 1 周キズを入れていきます。

 必ずしも被覆を完全に切る必要はなく、編組線に到達するかどうかといった寸止め状態がベストです。(昔は東通工オリジナル!?です)

 大概はカッターなどで一周切れ目を入れる、と物の本や取説にありますがこれが慣れないと、難しいところではないかと思います。

 この方法では不意に編組線を切断してしまったり、ということも多いのではないでしょうか。

 もちろん落ち着いて机など水平な場所にケーブルを置き、カッターの刃を上から当てながらケーブル側を転がすようにすれば、比較的うまく行きやすいかもしれません。逆にオリジナルの方法ですと屋根の上など、作業現場を選ばないのがポイントです。


 ・2 外部被覆の加工その二

 今度はカッターなどで縦方向に切れ目を入れていきます(右写真)。その一で入れた外周部の切れ目に対し、直交するように刃先を持っていき編組線に軽くあたる状態まで切り込みます。
 そのままの力加減かごくわずかに力を抜いてから、そっと矢印の方向へ刃を動かして切れ目を入れていけば OK です(この加減は外部被覆の硬さ、作業現場の温度などに左右されます)。

 刃の動かし方は、ちょうど鉛筆削りのときの要領に似ています。力を加減してくれぐれも編組線を切断しないことが肝心です。(ここはプロも同じやり方です)


 うまく切れ目が入っていれば「ペロリ」と外部被覆をはがすことができます。うまくはがれない場合は適宜切れ目を入れ直すと良いでしょう。

 ただしその際はあくまで、軽くなでるように刃をあてるようにしてください。


 ・3 編組線を適宜切断

 うまく外部被覆をはがせたら次は適宜余分な編組線を切断します。ハサミでもニッパーでやってもお好みで構いません。

 このとき作業スペースに余裕があれば、新聞紙などを敷いておくと切断した編組線のカスを掃除しやすくなります。散らばってうっかりと踏んづけると、トゲのように刺さってしまうことがありますから注意しましょう。


 ・4 アルミ箔をはがす

 5C-FB などの FB(低損失型)タイプ同軸ケーブルでは外部導体にアルミ箔も用いられています。

 加工の際はまず切断面をよく見て、太巻きのように巻かれたアルミ箔の端を見つけます。端を見つけたら少しめくり右写真のようにして、その一部にハサミの先端等で軽く切れ目を入れます。



 切れ込みが入ったら、巻きをほぐすようにしてめくるとペロリと奇麗にはがすことができます(写真右)。



 ・5 内部絶縁体の除去

 最後に内部絶縁体の除去がありますが、これも 1 番目に近い要領です。

 右写真のようにハサミで切れ目を入れ、ごく軽く力をかけながら少しずつ切れ目を深く入れていきます。切れ目が芯線に到達するかどうか?、といった時点で絶縁体を指先でねじり取るのが失敗が少ないでしょう(写真右下)。

 通常の電線被覆のように一気に絶縁体をとろう、とニッパーなどで芯線に当たるまで切れ目をいれてしまうと、芯線にキズをつけてしまったり最悪誤って切断してしまうことになりかねません(一切電線を傷つけず一気にむくには熟練が必要です!!)。

 切断しないまでもキズを付けてしまった場合、芯線は F 型コネクタの中心コンタクトの役目を果たす部分となりますから、面倒でもやり直しが必要です。なぜならば数回抜き差しするうちに芯線が折れてしまう恐れがある上、コネクタ類(メス側)の内部に折れた芯線が入り込むと非常にやっかいだからです。

 やはり机など平らな場所が確保できれば、カッターを内部絶縁体に直交して軽くあてながら、同軸ケーブル自体を回転させる方法で除去しても構いません。




  F 型コネクタの取り付け

 同軸ケーブルの先端加工とあわせて重要な F 型コネクタの取り付け法を右図に示します。

 図は 5C タイプの例ですが 4C タイプの場合でも同様の寸法となっています。

 コネクタ取説などに編組線を折り返す方法が描かれていますが、後日酸化により真っ黒になったりホコリが絡みついたりして汚らしいので、私はお勧めしません。

 また芯線先端の出っ張りですが最低でも、1mm 程度は必要ですので注意してください。
 コネクタプラグの先端面位置より引っ込んでいたりすると、コネクタを接続する際などに誤って芯線を曲げてしまう恐れがあるからです。

 コネクタを接続する際は必ず芯線先端を、メス側の中心コンタクトに挿入したことを確かめてから行いましょう。


 ・内部絶縁体残留物の除去

 その他特に注意すべき点として右写真のように、内部絶縁体残留物(白いカスのようなもの)が芯線に付着している場合は必ず除去します。

 面倒でも決しておこたらないでください。接触不良の原因となり受信障害に直結します。

 作業ははカッターの刃先を斜めに軽くあてて削るようにして行います(右写真)。このとき必ず手前に刃先を向け同軸先端側にカッターを動かすように作業してください。

 大切な芯線を傷つけないためですから、刃をあてたまま逆方向へ刃を動かしてはいけません。




  スカイツリーへの送信所切替(南関東問題)

 '13 年 5 月 31 日にキー局の送信所が東京タワー(東京都港区芝)から、東京スカイツリー(東京都墨田区)に切り替わりました。
 送信所切替完了までに複数回テストやリハが行われたのももはや過去の出来事。おそらく多くの方はとっくに受信環境を調整・更新などをしていることと思います。

 しかしながらアンテナの方向調整が従来のまま、などまったく手つかずのまま映っているからいいや、的なところも間々見受けられるので参考として念のため本項を残しておきます。


 この問題はそれぞれ送信点との位置関係により、受信地点から見た方位角がある程度大きく変わる地域では、アンテナの方向調整(あるいは交換・調整)などを行わなければなりません(「問題ない」、とか言っちゃってるのはズブのトーシロか木っ端役人のみなのが証明された)。

 おおっぴらにはごく一部などと悠長なことを言っていましたが、全ての受信点において現場確認しなければ障害の有無はわかりません。数値・机上シュミレーションなどでは完璧な把握など絶対に不可能なので必ず、視聴者側で確認をしてください(数値計算だけで完璧にできたらどんなに楽なことか・・・)。



  ・簡易的な方位と距離の確認方法

 「マピオン」は単なる Web 地図ですが「キョリ測」という機能を応用することで、任意ポイント間へ直線を引き東京スカイツリーと受信点との2点をクリックすれば、簡易的に方位とある程度正確な距離を把握可能。

 これを簡単に扱えるよう予め東京スカイツリーを中心座標に設定したリンクを下記に貼っておきます。

  http://www.mapion.co.jp/m/route/35.70681057087712_139.81394292052912_7/
  ※要 FLASH プラグイン

  ▼使用法▼
・1 中心座標をクリックする(スカイツリー)
   ※精度が心配な場合は適宜縮尺を拡大
・2 受信点を座標中心に表示させてクリック
   ※適宜縮尺を変更して受信点を探す

 この 2 ステップである程度正確な方位と、直線距離を把握することが出来るでしょう。これらを踏まえた上でその一直線上に直近に、大きな障害物などがないか水平線近くが見通せるか否かなど、いくつかのポイントを確認すれば OK。

 使用するアンテナにもよりますがある程度大きな方位差が発生する地域、切替後の方位(またはその周囲)に大きな障害物などがある地域では、様々な理由により受信障害の発生懸念があります。

 理由は様々で単なる電界の問題から、マルチパス、県域局を受信している際はスカイツリー送信波によるブロック(これも理由は様々です)等々、まったくのケース・バイ・ケースといってもよいもの。

 基本的には放送事業者側が無償で受信設備の調整・改修工事を行うことになっていました。


  ・主な原因と切り分け

 自分で何とかしたい!場合や部屋にやばいものがある(あるいは単に部屋が汚い、女子だから他人を入れたくないなどなど)など特別な理由がある場合下記を参考にされて下さい^ ^;。

(1)ブースタの入力飽和
▽県域局受信、電界不足などでブースタが入っている場合、キョーレツなスカイツリーの電波により、入力が飽和しスカイツリー以外から受信している信号に悪影響を及ぼした。
→アッテネータ(10〜12dB 推奨。ブースタの入力についているアッテネータ・スイッチでもよい)入れてみて解消・改善すればビンゴ。スカイツリー送信波の電界によっては更に大きな減衰が必要な場合もあり。
 いずれにしてもある程度キー局や県域局、それぞれのレベル差はそろえてからブースターに入力する必要があります(取説は必ず熟読しましょう)。

(2)チューナー(テレビ・レコ等)そのものの入力が飽和
→(1)に同じ。

(3)電波到来方向の問題
▽アンテナ指向性面との相違→方向調整
▽反射物の影響が出た→方向調整
▽遮蔽物の影になった(ノv゚o)→電界が 10〜20dB 程度不足しているだけなら更に高さを稼ぐか、ブースタでがんばってみる(改善後も必ず推奨レベル以上であること)。あるいは有線系サービスに移行する^ ^;
※いずれにしてもアンテナ設置場所から、スカイツリーゲイン塔(アンテナ部)が見通せるか否かがポイントです。目視できない場合でもちょっとした低倍率の双眼鏡があるだけでも、発見・確認のチャンスが増えます。

 その他前項の方向、距離確認法によりチェックできますのでぜひご確認を。

 盲点になりがちなのはやはり県域局(MXTV を含む)や、放送大学でしょう。首都圏の例ばかりで申しわけありませんが放送大学は東京タワーに居座りますし、県域局は送信電力そのものが低く電界もキー局ほど高くとれないため、簡単にノックアウトされます┐(´ー`;)┌。

 これは例外なのですがタナボタ的に、立地条件と電波到来方向がたまたまラッキーな範囲だったため、八木アンテナ一本でキー局と県域局(東京 MX 以外)が受信できていたのに、切替後ダメになったケースもあるのではないでしょうか(南関東あるある)。

 この場合切替後はスカイツリー送信波でブロッキングされて、まるで見えなくなるのがオチなので方向調整と称してキー局が弱くなる方向へわざと向け、県域局よりへと微調整を繰り返してみましょう。

 本当に運がよいときだけですがレベル差が解消できれば、これで県域局とキー局とも受かる可能性が考えられます(ボカスカ)。 本当の例外ですからあまり期待しないようにお願い申し上げますm(_ _)m。

(4)複数アンテナ受信時特有の問題
▽県域局受信のための専用アンテナと、スカイツリー向けアンテナとの間で DU 比が悪化した→各々方向調整または適宜キー局側などへ適当なアッテネータを入れてレベルをそろえ、同時に DU 比をかせぐ。高価だがフィルタ入り混合器を用いるのも吉。

 更にこれは立地条件により使えない方法になってしまいますが、運良く希望局の品質確保ができるのなら県域局専用アンテナのヌル点を、スカイツリー方向へ正確に指向させることでも DU 比をかせぐことができます。※ヌル点=通常は指向性とは直交している。アンテナ取説参照のこと。

 アマチュア的発想ですが効果ありますよ!?。

 デジタルになって一番楽になったのは、DU 比がアナログとは比べようもないくらい低くても、何とかなることかもしれません^ ^;。※障害対策に限ればの話ですが…

(5)ブースター利用時の注意
 口を酸っぱくして本文中でも再三「5C-FB」クラスを標準的に使うよう述べてきましたが、シールドの甘い同軸ケーブルが屋内配線や機器間配線に、一部でも継続利用されていると受信品質の悪化を招く場合があります。

 スカイツリー送信波はとてもキョーレツですので、強電界地域では 5C クラスなど編組線シールドのみで構成された同軸ケーブルでは、空間波を直接ケーブルで拾ってしまうものです。
 また同時に空間波を拾ってしまう、ということは相互干渉も FB クラスと比較し多い、ということが言えますから特にブースタ周りの配線、フィルタ入り混合器の配線などでは注意が必要でしょう(各々入出力の配線同士も密着させないのがポイント)。

 過去の話になってしまい恐縮ですが、アナログの場合は画面がチラつく、前ゴーストが出るなどといった直接飛び込み特有の症状で、即座に判断可能でした。

 しかしながらデジタル放送では品質の悪化、すなわちマージンの低下として症状が現れるだけですから、判断しづらい場面もあります。

 いずれにしても基礎知識と経験が必要な切り分けですが、アナログ VHF しか考慮していないような古い共聴設備などでは注意が必要でしょう。


  ・ありがちな余談

 ちなみに地デジになれば電波障害がほぼ解消される、くらいの勢いで喧伝していましたが大うそですのでこの機会にお見知りおきを(原発の安全性と同じレベルのウソでございます)。所詮 UHF ですので遮蔽物には旧 VHF 放送波に比較したらずっと弱いですし、スレッショルド領域の受信状況は使えば使うほどむかついてくる、デジタル無線機同様に最悪です。

 もし、「うちの会社の無線機はもっとイイよ!」、的なものがあるとしたら潤沢な血税をつぎ込める、たぐいまれなる会社(支店を含む<ヒント部署によりスーツ代が出る会社)か実効受信感度を上げることのできる、DS-CDMA くらいでしょうね〜(ボカスカ)。

 ケータイ的なものは通信距離が比較的短いのと、DS-CDMA のマジックでそれなりに使えますが他の無線機も同じと思ってはいけません(ハムのデジタル無線機はおもちゃかゴミなので論外{(o゚v゚)θ⌒D-STAR})。






  編集後記(いいわけ、とも言う)

 以上、素人のたわごとではありますがアンテナ等設置の要点をご紹介いたしました。以前当ページの URL を変更いたしましたが、あまりにもアクセスが集中するための措置であることをご承知おきください(無償鯖設置故、過負荷耐性がありません)。

 一時的にご迷惑をおかけした方々には、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

 アンテナ工事はちょっとした DIY の心得があれば、個人でも意外と簡単にできてしまいます。もちろん全て自己責任において行う必要がありますが、運が悪いと数万円の報酬を払ってもいい加減な工事をされてしまうこともあります。

 従ってメリット・デメリットとを熟慮した上で、リスクを負う価値があるか否かを判断をされるとよろしいのではないでしょうか。
 更にこれは危険を伴う作業での決まり事ではありますが、本サイトではアンテナ設置に係わる一連の工事作業(屋内外問わず)に関していかなる事故・過失・機会損失、人身損害・物的・金銭的損害等に関して一切の責任を負いかねます

 とくに高齢者の高所作業事故は多発傾向にありますから屋根上はもちろん、脚立や梯子上での作業には細心の注意を払うことを強く勧告いたします。

  ※脚立の最上部に立ち上がることは厳禁。くれぐれも地元救助・救急隊の
   世話にならないように(ボカスカ)。医療過疎や ER のない地域の方ならなおさら。


  ・リスクを自己で負う価値があるのはなぜか

 たとえプロと称する業者であっても RF に関する基礎知識はおろか、受信マージンに関する部分など肝心なことを必ずしも理解していない場合もあるからです。
 辛口ではありますがデジタル放送に限ればアンテナを建てた際、ただ正常に映るか否かということを確認するだけでは真のプロとして通用しない、と言っても過言ではないのではないでしょうか。

  ※PC・ネットワーク の生半可な知識がプロの世界で通用しないこと以上に、
   RF の世界は底なし沼故深入りするほどにド素人の出る幕はなくなっていく。
   不肖、わたくし昔は東通工も極めて怪しい領域に存在する(ノv゚o)。

 なぜならばデジタル放送においては再三述べたとおり、マージンを確認しない場合は品質を確認したことにならないためです。

 よく考えるとレベルのばらつきは否めませんが DIY が不可能な場合、アンテナを建てた後なにかあった際気軽に見てもらえる街の電器屋さんは、心強いかもしれません(量販店の影響で店舗数は少ないですがアフターフォローの素晴らしさで言えばプライスレス!?)。

 一番困るパターンがアンテナを建ててもらったまではいいが、アフターフォローが一切無く何らかの不具合があっても建てっぱなしということもあり得るからです(売りっぱなしの量販店と同じ!)。

 また本稿の記述において気分を害された方がいればこの場を借りて深くお詫びします。実際にいい加減な設置工事をする業者が存在するのも事実でして、視聴者の皆さんにはこれを周知徹底する必要があるためで決して他意はございません。

 この記事がみなさんのアンテナ設置や障害解消の一助となればと思います。





  ※まだまだ?随時更新予定ですm(_ _)m


記事一覧にもどる