図面の図形の外観は、どんなに洗練されていても、必要なものがすべて揃っていることはめったにありません。図形が表す実体には、部品番号、価格、発注数量や在庫数量、名前、日付、住所、電話番号、メーカー、供給元、顧客、寸法、材料、引張り強度などに関連した重要なデータが付随しています。図面内にこの種のデータを取り入れると、分析とコミュニケーションの強力なツールとなります。
シェイプシート (ShapeSheet®) でカスタム プロパティを定義したり、[カスタム プロパティ] ウィンドウや [カスタム プロパティの定義] ダイアログ ボックスで作業することによって Visio® 図形とデータを関連付けることができます。カスタム プロパティごとに固有名を付け、オプションで、データの種類、書式、デフォルト値などの他の特性を設定します。
ここでは、シェイプシート数式を使用して、カスタム プロパティを定義し、編集する方法を説明します。また、オートメーションを使用して、他のデータ ソースから Visio 図面に情報を統合することもできます。詳細については、「第 20 章 Visio ソリューションとデータの統合」を参照してください。
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カスタム プロパティを使用すれば、ソリューションが豊富になり、カスタム プロパティが記述する実世界のシステムをより忠実に反映できる可能性が増します。シェイプに関連付けられたデータに対して実行可能な操作は次のとおりです。
データは常に表面に現れるものではありませんが、図面にデータを表示したり、データが変更されれば図面も変更したいことがあります。図形のカスタム プロパティを次の目的で使用することができます。
カスタム プロパティは、外部ソースからのデータのコンテナの役目をしたり、図面の図形に対するデータ入力のインターフェースの役目をします。カスタム プロパティ データが、図形内だけに存在するか、外部ソースと関連するかは、開発者が決定できます。
たとえば、カスタム プロパティを使用して、在庫管理リストを更新することができます。在庫パーツを表すマスタシェイプを含むステンシルを作成することができます。各マスタシェイプに対して、「名前」、「単価」、「数量」のカスタム プロパティを定義することができます。図形を作成したときにこれらのプロパティの値を設定することも、ユーザーが図形を使用する際にパーツの名前、コスト、数量を入力できるようにしたり、これらの入力をユーザーに促すように設定することもできます。
在庫管理リスト用のカスタム プロパティ
図形、グループ、マスタシェイプ、ガイド、ぺージ、または図面などの、シェイプ シートによって表されるオブジェクトのカスタム プロパティを定義して、文字列、数値、ブール演算型、日付や時刻、期間、通貨、固定リストまたは変数リストのデータを保存できます。カスタム プロパティは、名前とセルを定義したシェイプシートの行として保存されます。Visio のメニュー コマンドを使用して、カスタム プロパティを表示し、変更することができます。また、情報からレポートを作成したり、他のシェイプシートのセルの値を参照することもできます。カスタム プロパティは、図形やぺージにデータベースのようなフィールドを関連付けるための 1 つの方法です。
カスタム プロパティを作成してデータを保持するが、[カスタム プロパティ] ウィンドウにデータを表示したくない場合は、[Invisible] セルを TRUE に設定することによって、[カスタム プロパティ] ダイアログ ボックスに表示されないカスタム プロパティを作成することができます。GUARD 関数は、[カスタム プロパティ] 行の [Value] セルのデータを保護することはできません。
[カスタム プロパティ] セクションをシートに追加したり、[カスタム プロパティ] ウィンドウで作業することによって、1 つの図形またはぺージにカスタム プロパティを定義することができます。ステンシルを編集する場合、インスタンスにもプロパティが含まれるようにステンシルのマスタシェイプのカスタム プロパティを定義すると、より効率良く編集できます。[カスタム プロパティ エディタ] を使用すれば、ローカルまたはスタンドアロン ステンシルのマスタシェイプのカスタム プロパティを定義することができます。
[カスタム プロパティ] ウィンドウは、ぺージや選択した図形に関連付けられたカスタム プロパティを一覧できる便利なウィンドウです。また、これらのプロパティに値を入力するためのインターフェースにもなります。
[カスタム プロパティ] ウィンドウのカスタム プロパティに新しい値を入力することができます。
[カスタム プロパティ] ウィンドウを使用してカスタム プロパティを図形やぺージに追加するには
シェイプシート ウィンドウを使用して図形またはぺージにカスタム プロパティを追加するには
たとえば、「Unit_Cost」と入力して、カスタム プロパティ [Prop.Unit_Cost] を作成します。[行] ラベルに表示される名前は、その行の [値] セルのセル名です。セルの参照ではこの名前 (たとえば、「Prop.Unit_Cost」) を使用します。
たとえば、「単価」のように入力します。Visio エンジンは、自動的に文字列を引用符で囲みます。
たとえば、「パーツの単価を入力してください。」と入力します。Visio エンジンは、自動的に文字列を引用符で囲みます。
詳細については、次の表を参照してください。
定義したカスタム プロパティを表示するには、図面ぺージの図形を選択します。また、ぺージのカスタム プロパティを表示したい場合は、すべての選択をキャンセルします。次に [図形] メニューから [カスタム プロパティ]を選択します。
タイプ | シェイプシート セル数式 | 説明 |
---|---|---|
文字列 |
Type = 0 Format = "<picture>"
|
これはデフォルトです。[書式] セルで有効な表示形式ピクチャ* を使用し、文字列を数値と単位の対、日付、時刻などの文字列としてフォーマットします。 |
固定リスト |
Type = 1 Format = "Item 1;Item 2"
|
[カスタム プロパティ] ダイアログ ボックスのドロップダウン リスト ボックスに一覧アイテムがアルファベット順に表示されます。[書式] セルで一覧アイテムを指定します。ユーザーは、一覧からアイテムを 1 つだけを選択できます。 |
数値 |
Type = 2 Format = "<picture>"
|
[書式] セルの表示形式ピクチャ* を使用し、測定単位や、その他の数値書式を指定します。 |
ブール演算型 |
Type = 3
|
[カスタム プロパティ] ダイアログ ボックスのドロップダウン コンボ ボックスにユーザーが選択できるアイテムとして FALSE と TRUE が表示されます。 |
可変リスト |
Type = 4 Format = "Item 1;Item 2"
|
[カスタム プロパティ] ダイアログ ボックスのドロップダウン コンボ ボックスに一覧アイテムが表示されます。[書式] セルで一覧アイテムを指定します。ユーザーは、一覧アイテムを選択したり、アイテムを新規入力することができます。新規入力したアイテムは一覧に追加されます。 |
日付と時刻 |
Type = 5 Format = "<picture>"
|
[書式] セルの表示形式ピクチャ* を使用して、日、月、年、時間、分、秒、その他の日付書式や時間書式、日付と時刻の組合せ書式を指定します。 |
期間 |
Type = 6 Format = "<picture>"
|
[書式] セルの表示形式ピクチャ* を使用して、経過時間を時間数、日数、週数、月数、その他の期間書式で指定します。 |
通貨単位 |
Type = 7 Format = "<picture>"
|
[書式] セルの表示形式ピクチャ* を使用して通貨単位書式を指定します。 |
* たとえば、書式「= # #/10 UU」の場合、数値 10.92 cm は、「10 9/10 CENTIMETERS」とフォーマットされます (「10」を分母に使用し、大文字の省略していない単位名)。有効な書式と表示形式ピクチャの詳細については、「第 9 章 テキストの動作の設計」の「文字列とテキスト出力の書式設定」を参照してください。または、Visio 製品付属のオンラインヘルプ「開発者用リファレンス」の「書式形式」を検索してください。
図形に追加する場合と同様に、カスタム プロパティをマスタシェイプに追加することができます。ただし、同時に多くの図形のカスタム プロパティを変更する必要がある場合は、[カスタム プロパティ エディタ] ウィザードを用いると便利です。特定ステンシルの一部またはすべてのマスタシェイプ、現図面の図面マスタシェイプ、あるいは別の図面のマスタシェイプを修正することができます。
マスタシェイプにカスタム プロパティを追加するには
[カスタム プロパティ] セクションが、選択したマスタシェイプに追加されます。選択内容にもとづいて [ラベル]、[プロンプト]、その他のセルに値が設定されます。
定義したカスタム プロパティを表示するには、ステンシルのマスタシェイプを選択し、[図形] メニューから [カスタム プロパティ] を選択します。
図形にカスタム プロパティを定義すると、データベースにデータをリンクすることができます。図形とデータベース レコード間の接続を確立することによって、データの視覚的表現として機能する Visio 図面を作成することができます。
例
データベース ウィザードはこのプロセスを自動的に実行します。データベース ウィザードは、[カスタム プロパティ] セクションのシェイプシート セルの値を、Microsoft Access 7.0 や Microsoft SQL Server、または Oracle などの Open Database Connectivity (ODBC) 標準に準拠したアプリケーションで作成されたデータベースとリンクします。データベースを更新すると、その更新を反映するようにシェイプシート セルの値をリフレッシュすることができます。図形とレコードの接続を確立すると、Visio 図面とデータベースとの間で情報を交換し、2 つのデータを同期することができます。
図形をデータベースにリンクすると、データベース ウィザードは、[カスタム プロパティ] と [ユーザー定義セル] セクションを図形のシートに追加します。ウィザードは、データベースの主キー、シェイプシート セルにリンクされるデータベース フィールド、およびユーザー定義セルのデータベースから検索された最新の有効データに関する情報を保存します。
このウィザードを実行するには、[ツール] メニューの [マクロ] をポイントします。次に、[Visio エキストラ] をポイントして [データベース ウィザード] をクリックします。オプションの詳細については、ウィザードの [詳細] ボタンをクリックします。あるいは、Visio 製品付属のオンラインヘルプ「開発者用リファレンス」 ([ヘルプ] メニューから [開発者用リファレンス] を選択)の「データベース ウィザード」を検索してください。