シェークスピアの戯曲「ロメオとジュリエット」は、あまりに有名な悲恋の物語です。 1.物語のあらすじ 2.曲目紹介 3.各曲解説
●あらすじ |
対立するモンタギュー、キャピュレットの両家。争いの絶えない両家に対し、ヴェローナの 大公は再度争ったものを死刑にすると告げる。 モンタギュー家のロメオはお忍びで出かけたキャピュレット家の舞踏会で、キャピュレット の娘ジュリエットと一目惚れの相思相愛となる。その夜、ロメオはキャピュレット家のバルコ ニーに忍び込み、ジュリエットと結婚の約束をする。 翌日、ジュリエットとロメオは、修道士ローレンスのもと密かに式を挙げ夫婦となる。 式の直後、街でキャピュレット家の連中と出会うロメオと友人たち。争いを止めに入るロメ オだが、友人マーキューシオが殺され、その敵を討つためジュリエットの従兄タイボルトを殺 してしまう。大公の計らいでロメオは死罪は免れるが、追放となる。 ジュリエットはタイボルトの死とロメオの追放に嘆き悲しみ、ロメオも絶望のあまり死を選 ぼうとするが、修道士の説得により追放前の晩にジュリエットを訪ね、2人は一緒に一夜を過 ごし、翌朝ロメオは去る。 キャピュレット夫妻は伯爵パリスとジュリエットを3日後に結婚させることを決めるが、彼 女はそれを断り、両親は激怒する。ジュリエットに相談を受けたローレンスは、一計を案じ、 式の前の晩に仮死状態になる薬を飲むよう彼女に告げる。 パリスとの結婚前夜、ローレンスからもらった薬を飲み仮死状態になるジュリエット。翌朝 キャピュレット家は大騒ぎになり、婚礼の式は一転葬式となる。ジュリエットの死を伝え聞い たロメオは、毒薬を手にジュリエットの埋葬場所へ向かう。 眠るジュリエットに口づけをし、毒を飲んで命を落とすロメオ。目を覚ましたジュリエット はロメオの遺体を見つけ、絶望のあまり彼の剣で胸を刺して死ぬ。 モンタギュー、キャピュレット両家は2人の愛と、自分たちの罪をようやく知ることになり、 和解する。 |
●曲目紹介 |
この物語は長く人々に感銘を与え、かつて幾度となく舞台・映画や音楽として作品化されて きました。クラシック音楽としてはほかにベルリオーズの劇的交響曲や、チャイコフスキーの 幻想序曲が有名ですが、近代になって作られたプロコフィエフのこのバレエ音楽も、間違いな く輝く金字塔の一つとして数えられることでしょう。 しかし、そんな名曲も最初は不遇で、1935年の作曲当初はバレエ団からの不評のため舞台に かけられませんでした。このためプロコフィエフは2つの短い演奏会用の交響組曲を再編成し、 これが大好評を博したおかげで、1940年のバレエ初演の大成功へとつながったのです。 現在も、演奏会ではこの組曲(後年さらにもう一つ追加されて、3つの組曲があります)の 形式で演奏されることも多いのですが、本来プロコフィエフは登場人物や場面に細かくライト モチーフを設定し、ストーリーに沿った音楽を用意しているため、やはりバレエとともに全曲 をじっくりと鑑賞したい曲です。 今回の演奏会ではストーリーの流れに従って、バレエ全曲版からの音楽を抜粋して並べ替え、 さらに3つの組曲からもいくつかの音楽を補ったオリジナル抜粋をお届けします。プロコフィ エフが求めたであろう劇的なドラマの盛り上がりが、皆さまに伝われば幸いです。抜粋された 演奏曲目は以下の14曲となっています。 1 :モンタギュー家とキャピュレット家 (第2組曲の1曲目) 2 :泉の前のロメオ (第3組曲の1曲目) 3 :街の目覚め (全曲版3曲目) 4 :朝の踊り (第3組曲の2曲目) 5 :喧嘩 (全曲版5曲目) 6 :少女ジュリエット (第2組曲の2曲目) 7 :仮面 (全曲版12曲目) 8 :ロメオとジュリエット (第1組曲6曲目) 9 :タイボルトの死 (第1組曲7曲目) 10:別れの前のロメオとジュリエット (第2組曲5曲目) 11:百合の花を手にした娘達の踊り (全曲版49曲目) 12:ジュリエットのベッドのそば (全曲版50曲目) 13:ジュリエットの葬式 (全曲版51曲目) 14:ジュリエットの死 (全曲版52曲目 ) |