(ここは今橋の個人ページです)

センター試験解説
地学IA
できた分からどんどんアップしてゆきます。
地学IBはこちら
2002年度ぶんはこちら

●第1問
問1
 いわゆる「光」のうち、ヒトの目に見える範囲のものを可視光線と呼ぶ。可視光線よりも波長の長いものが赤外線、短いものが紫外線である。紫外線より波長の短いX線やガンマ線などもある。
すべての物体は温度に応じた光(*1)を出している。高温の物体ほど波長の短い光を出し、人体や地球は赤外線、太陽は可視光線を出している。
 →正解は5
問2
 水星には大気はない。金星には二酸化炭素を主成分とする濃い大気(地表の気圧が90気圧)がある。二酸化炭素には温室効果があるため、金星の表面はものすごい高温になっている。火星には二酸化炭素を主成分とする薄い大気(地表の気圧が0.007気圧)がある。木星や土星の大気は主成分が水素(H2)である。
 →正解は4
問3
 問われているのは問題文の言葉に置き換えると「地球が受け取る太陽からの放射エネルギー」のことであろう。もっとも影響が大きいのは2の距離。太陽から届いた光のうち、反射してしまったものは受け取ったことにならないから、4の海洋の面積も関係あり。
 1と3は…難しいな(^^)ゞ。重力が小さかったら大気が保持できず、蒸発して気体になった海水もそのまま散逸してしまうだろうから、海陸分布や雲(光をよく反射する)が変わってきて受け取るエネルギーに違いが出るかもしれない。地軸の傾きが大きいと夏冬の温度差が大きくなって、冬の地域に大量の氷ができて海水が少なくなるかもしれない。手元にIAの教科書がないのだけど、なにか出ているかもしれない。ある人は探してみてください。
 →正解、ここでは一応1にしておきます。(新聞発表の正解は3)

(*1)正確には「電磁波」。電磁波のうち、ある程度波長の短いものは「光」と呼ばれ、長いものは「電波」と呼ばれる。
(*2)というか、太陽からそういう光が届くところで先祖代々暮らしてきたので、我々はそういう光が見えるように進化してきたのだろう。

問4
 地球の原始大気も、金星や火星と同様に二酸化炭素が主成分だったと考えられている。その後、二酸化炭素と水を材料に有機物をつくる(光合成をする)生物が現れ、その副産物として酸素(O2)ができた。この酸素(O2)に太陽光線に含まれる紫外線があたるとオゾン(O3)ができる。
 地球に特徴的な物質に、液体の水がある。水は優秀な溶媒で、我々の体内でも化学反応の場として重要な役目を果たしている。また、状態変化のときの潜熱の出入りによって温度変化をやわらげるはたらきもしていて、生物が暮らせる環境づくりに一躍買っている。
 →正解は2
問5
 地球の大気は下から順に「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」に区分されている。境界の高さは順に、約10km、約50km、約80kmである。現在、上空のオゾンが紫外線を吸収しているため、対流圏には紫外線はあまり届かず、対流圏にはオゾンはほとんど存在しない。
 →正解は2
問6
 「フロン」はもともと商品名で、一般名詞では「クロロフルオロカーボン」と言う。自然界には存在しない人工物質で、化学変化を起こしにくく無害な物質と考えられてきたが、紫外線が当たると分解して塩素(Cl2)を発生する。この塩素とオゾンが出会うとオゾンが分解されてしまう。つまり、人類が出したフロンが拡散して成層圏に達すると、オゾン層が破壊され、地表付近まで強い紫外線が届くことになる。
 →正解は3
問7
 微生物が有機物を取り入れ、代謝するときに酸素を消費する。有機物が多ければ多くの酸素を消費する。採取した水をしばらく保管したときの酸素の減少量で水中の有機物の量をあらわすのがBOD(Biochemical Oxygen Demand=生化学的酸素要求量)。この方法は時間がかかるので、薬品を添加して急速に有機物を酸化させ、有機物の量を量るのがCOD(Chemical…=化学的酸素要求量)。
 →正解は4
問8
 肥料の3大要素が窒素・リン・カリウム。水中にそのような物質が大量にある状態が「富栄養」で、ある種の生物が大量発生し、酸素を消費しつくして魚の大量死などということがおきる。海では赤い色のプランクトンである場合が多いため「赤潮」と呼ばれるし、淡水ではアオコの大発生などということになる。
 というわけなのだが、カリウムはあまり問題にならないなあ。なぜだろう?
 →正解は2
問9(1/20修正)
 そんなわけで、正解は3

●第2問
問1
 土砂と一体となった水は、周囲の海水よりも平均密度が大きいため、陸上を流れる川と同様に海底を浸食し、大陸棚や大陸斜面に谷をつくる。これは海底谷と呼ばれる。
 →正解は5
問2
 海流は海の大きな範囲に存在する定常的な流れで、ここでは無関係。嵐のときの波では海面付近の水が動くだけなので、これも無関係。上に書いたように、水と土砂が渾然一体となったものが重力に従って流れ下るのが混濁流(乱泥流とも呼ばれる)。混濁流は地震をきっかけに発生することもあるため2を選びたくなるところだが、それだけが原因でもないので4を選ぶ方がよいだろう。
 →正解は4(新聞発表の正解は2)
問3
 三角州ができるということは、そこまで土砂が運ばれてきて、そこに置きざられて、そのまま浸食されないということである。
 →正解は3
問4
 1〜3は砂や泥が堆積してできる地形。
 →正解は4
問5
 →正解は3
問6
 ダイヤモンドは炭素(C)の結晶で、地下深くの大きな圧力のもとで安定な結晶。そのような場所でできたものが急速に押し上げられ、結晶構造が組み変わる間がないうちに出てきたものが採取され、利用されている。
 →正解は4
問7
 もっとも硬い鉱物はダイヤモンドで、ダイヤモンドは「硬度10」。
 →正解は1
問8(1/20修正)
 トパーズは硬度8、石膏は硬度2、りん灰石は硬度5。
 →正解は2

●第3問
問1
 天体の見かけの運動のうち、一日で一周するのが日周運動、一年で一周するのが年周運動。一年で一周とは365日で360゜ということ。
 →正解は5
問2
 内側から順に「水金地火木…」。内側のものほど好転速度は速い。しかし、軌道面がよく揃っているので、見かけの運動経路がそろう。
 →正解は2
問3
 太陽の光が当たっている部分だけが明るく見える。地球から近いときには大きく、離れている時には小さく見える。
 →正解は1
問4
 問題Aの問題文にあったとおり、星座の季節変化は地球が公転していることによるもので、自転とは関係がない。
 →正解は2
問5
 地球の自転軸が傾いているために、太陽の見かけの運動が季節によって異なる。また、地軸の傾きが0゜になると、黄道と天の赤道が一致する。
 →正解は3
問6
 地軸の傾きが90゜になると、黄道と天の赤道は直行する。
 →正解は2
問7
 太陽の日周運動を考える。見かけ上、24時間で360゜回る。
 →正解は3
問8
 棒の向きが地軸の向きと一致している。板はそれに垂直。
 →正解は1
問9
 北の空を見たとき、北極星がどれだけの高さに見えるかということである。
 →正解は1

 なお、棒を北極星に向ける作業は当然夜間に行うことになるであろう。暗い中での作業を非現実的と思うかもしれないが、三日月程度の月明かりがあれば、細かい作業以外は十分可能である。蛇足ながら。

●第4問
問1
 ウランは堆積鉱床なので1と2は除外。3と4、どっちだろう?私にはわからない(IAの教科書にはきっと出ているんだろうなあ)。こういうときは一か八か、どっちかにマークしましょう。あんまり新しそうな気がしないので、4!
 →正解は…?(仮に4)
問2
 ウランの核分裂によって生じる熱で湯を沸かし、タービンを回すのが原子力発電。使った後の燃料も、まだ強い放射能を持っているが、これを有効に処理する方法は見つかっていず、とりあえず保管しているのが現状。二酸化炭素が発生しないとはいえ、解決できていない課題が多い。
 →正解は1
問3
 ランドサットは低空(具体的は数字は知らないが、数百km程度)の極軌道を1時間〜2時間程度の周期で回る。軌道面は一定だが、地球が自転しているため観測する経度はどんどんずれてゆく。静止衛星は赤道上を地球の自転と同じ周期で回っているが、そのようなことができる高度はひとつしかない。最近、静止軌道が混み合ってきているらしい。
 →正解は2
問4
 人体や地球程度の温度のものは赤外線を出している。したがって、夜間でも赤外線観測は可能である。温度によって放出する赤外線の波長が異なるため、赤外線観測で地表面や海面の温度を知ることができる。また、雲頂高度が高い雲は温度が低いので、赤外線の波長から雲の高さを知ることもできる。
 →正解は3
問5
 天然ガスの主成分はメタン。それを知らなくても「燃える気体」であることは知っているであろう。石油は炭素と水素の化合物で、砂などの隙間の多い地層に溜まる。石炭は植物の死骸でほぼ純粋な炭素の固まり。石炭紀の木生シダの森林が大鉱床のもとになっている。
 →正解は4
問6
 石炭・石油などは「化石燃料」と呼ばれる。いずれも生物の死骸が地層中で変化してできたものである。
 →正解は1
問7
 石油は水よりも密度が小さいため、地下水の上に浮く。地層がドーム状の形になっているところで移動せずに溜まっているため、そのようなところを探して採掘される。
 →正解は3
問8
 風化残留鉱床といえばボーキサイト。
 →正解は4
問9
 結晶分化作用の初期に晶出し、沈殿してできるのが正マグマ成鉱床。NiやCrは鉄と仲のよい元素で、鉄に混じって採掘されることが多い。
 →正解は1

●第5問
問1
 グラフを素直に読む。93年のその時期は、平年マイナス5℃ぐらい、94年は平年プラス3℃ぐらいであるから、その差は8℃。これに近いものを選ぶ。
 →正解は3
問2
 フェーン現象は山を越えた風が風下で高温になる現象、放射冷却は雲のない夜など温室効果が利きにくい条件のときに地表の温度が下がる現象。夏の冷たい北東気流は東北地方で「やませ」と呼ばれ、稲の成長を妨げる厄介者。
 →正解は6
問3
 「やませ」「仙台と那覇で大違い」がヒント。東北では夏が来ず春のままで、オホーツク海気団から冷たい風が吹き付けている。梅雨前線の南の沖縄は小笠原気団の影響下にあり、平年とそれほど違わない気候になっている。
 →正解は1
問4
 早く伝わり、観測地点に先に届くのがP(Primary)波。そのあと届くのがS(Secondary)波。P波は縦波すなわち押し引きの波で、S波は横波すなわちズレの波。
 →正解は2
問5
 P波S波とも、伝播速度はほぼ一定なので、到着の時間差は震源から観測地点までの距離にほぼ比例する。3カ所以上の観測地点で初期微動継続時間(PS時間)が測定できれば、震源の位置が決定できる。
 震度に関係あるのは初期微動ではなく主要動であり、振幅よりも加速度が重要な要素である。
 →正解は3
問6
 各観測地点での揺れの大きさが震度である。
 →正解(というか、間違い)は3
問7
 花崗岩は風化しやすく、風化した花崗岩は崩れやすい。しかし、風化していない花崗岩はいたって丈夫。
 →正解(というか、間違い)は3
問8
 地盤中の水分は多い方が、地盤が不安定になる。多量の汲み上げによって起きる災害は「地盤沈下」。
 →正解(というか、間違い)は4
問9
 当然ながら、土石流は低いところを流れる。ただし、勢いのある土石流が尾根を乗り越えて流れた例もあるので、谷筋以外が必ずしも安全というわけではない。
 →正解は4