つれづれ話
まずは、ごく普通のウンチクから

・「オルゴール」とは。
 「櫛の歯状の金属製振動板を弾いて音を出す楽器」です。
 いや待てよ。これだと、テレビで見たどっかの民族楽器の「親指ピアノ」もオルゴールに入るな。「櫛の歯状の金属製振動板を弾いて音を出す自動演奏楽器」ですね。

・「オルゴール」の語源。
 外国へ行って「オルゴール」と言っても通じないそうです。ご注意を。オランダ語の「オルゲル(ORGEL)」が訛って日本語に取り入れられたものとされています。
 「オルゲル」はオルガンのことですが、長崎に持ち込まれたオルガンの中には自動演奏オルガン(ハンドルを回すとオルガンが音楽を奏でる。12チャンネルのスナフキンが弾いてたようなやつ)も多かったのでしょう。それをみた日本人が自動演奏楽器のことをオルゲル→オルゴールと呼ぶようになり、いつしか自動演奏楽器のなかでもなじみ深い「櫛の歯状の…」というものを指す言葉に変わっていった、ということです。

・オルゴールの歴史(1)。
 ヨーロッパでは教会などに鐘があり、時報や重要な行事のときなどに鳴らされていました。多くの場合、音程の異なるいくつかの鐘がメロディーを奏でるようになっていました。このようなものを「カリヨン」と言います。日本でも、学校のチャイムなどに、有名な教会のカリヨンのメロディーを模したものがよく使われています。
 14世紀には自動カリヨンがすでに使われていたようですが、これを小型化して時計などに組み込むため、鐘ではなく櫛を鳴らすものが作られたのがオルゴールの始まりとされています。今から200年ほどまえ、18世紀末のことでした。
 初期のオルゴールは現在見慣れているのと同じ「シリンダーオルゴール」、つまり、筒の突起で櫛を弾くものでした。ただし、突起は職人が一本一本、筒に穴を開けて植え付けていたため高価でした。
 しかも、筒の交換はできません。できる機種も一部にあったのですが、繊細な突起があるため筒の扱いには大変気を使い、少なくとも気安く交換するというわけには行かなかったようです。そもそも、その筒が大変高価で、気安く何本も買うわけにはいきません。

 一本の筒に何列かの突起を植え込み、一回転ごとに横にずれて違う曲を演奏する機種もありましたが、もちろん、これはこれで高価なものでした。
 そんなわけで、この時期にオルゴールを持っていたのはもっぱらお金持ちでした。豪華な装飾を施されたケースに入り、内部の造形にまで気を配った美しいものばかりです。

(つづく)

シリンダーオルゴール
「プレロディエニック」
(1880年頃)の内部。

思わず見とれてしまうような、
美しい形態・美しいメッキの部品たち。

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