つれづれ話
組立所要時間

 さすらいの授業職人今橋、この夏(2000年)はホール・オブ・ホールズの「オルゴール製作体験工房」で観光客に工作を教えていました(*1)。
 ここでは、まずオルゴール本体について(1)ゼンマイを軸に巻き付け、(2)櫛をつけ、(3)つけた櫛の位置を調整し、そのあと(4)箱に入れてお持ち帰り、という作業をしてもらっていました。作業時間は大体30分前後なのですが、すぐに出来上がるお客さん、長くかかるお客さん、いろいろでして。(^^)

 所要時間が短い方では、5分ですべて終わってしまった人がありました。ゼンマイをつけたあと、櫛をつけたらぴったりの位置についていて調整の必要がなかったという、運のいい人。ゼンマイ1分、櫛1分、箱3分、合計5分。(^^)
 これは極端な例としても、櫛の調整が早く済む人の中に、「運がいい人」という一群があります。(*2)


工房内部。「教室サイド」。

 それから、「指先の細かい作業が得意な人」も、順調に作業が進みます。そういうお客さんに聞いてみたところ、模型が趣味の人、町工場で1000分の1ミリの仕事をしてますという人、歯科技工士ですという人、などで、なるほどと思いました。
 中にひとり、「うーん、音楽をやってますけど…」という人がありました。これも「なるほど」です。
 自動演奏楽器各種を見ているうちに、楽器を上手に演奏する要素のひとつは、「いかに意思通りに正確に指を動かすか」であると思えてきました(もちろん、それがすべてではないのでしょうけど)。だから楽器を弾く人が指先の作業がうまいのは納得できるのです。

 運もなく、指先が器用でもない場合、根気が必要になります。子供が飽きてしまい、もともと「応援団」だったはずのお父さんお母さんが夢中になって、というのもよくある光景です(^^)。
 大体30分前後で一応納得のいく状態にたどり着きます。あまり手間取っている人は手伝ってさしあげるのですが、中には「いや、自力でやります」と断られる人もあります。しかも妥協しない人だったりすると、1時間以上かかることも決して珍しくありません。
 そこまでやると、出来上がったときの満足感は人一倍大きいようです。(^-^)

(*1)いやー、涼しくてよかったっす。(^^)
(*2)もうひとつ「運」の話。「櫛のすわりがよいフレーム」「すわりが悪いフレーム」というのがあるような気がします。どちらが当たるかは全くの運です。もちろん、「すわりがよいフレーム」の方が作業がはかどります。

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