工房では、お客さんに渡す前に、フレームとドラムを組む作業もありました。
フレームは共通の部品、ドラムと櫛は曲目ごとに異なる部品です。
人気曲のドラムと櫛は工場で大量生産されたものですが、あまり数が出ないものについては工房で作っていました。
真鍮の筒に機械で突起を切り起こし(筒に穴が開きます)、グラインダーで研磨して突起の高さを揃えます。櫛も、一本一本削って音程を変えて作ります。(そういえば、あの櫛の出どころはどこなんだろう。余剰パーツにしては数が多いし、加工ベース用のが工場から来るんだろうか)
工場製のドラムは、真鍮メッキの鉄板(*)をプレスして突起を打ち出し、それを筒に曲げて研磨して作るので、筒には穴が開かず、先端は灰色(鉄の色)になっています。櫛も、裏から見ると工房で調律したものは削った跡が生々しく残っています。
普通の店では人気の曲目のオルゴールばかり置いているでしょうから、穴の開いたドラムを見かけたら、それは滅多に売られていない「稀少曲」と思ってほぼ間違いありません。
(*)もしかしたら、プレスしてからメッキ、または丸めてからメッキかもしれない。
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工房内部。「町工場サイド」。
右が切りおこす機械、左が研磨する機械。
さらに右は調律ブース(→組み付け)

突起の切りおこし

左・工場製、右・工房製
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