テディベアといえば、どことなく晩秋から冬のイメージがある。
暖炉の火、クリスマスツリー、柊の葉・・・、その横に飾られるテディベア。 そんな印象が強い。 だが、私は夏にテディベアの帯が締めたい! という思いを抱き続けていた。 夏ではおかしい? だって、好きなのだから良いのではないかしら? では、どうやってこれを実現すれば良い? さすがに既製の夏帯の中から見つけることが難しいだろう。 今年の夏こそは! と考えていたが、 ある日、フラリと中馬和子さんのショップにお邪魔して、 テディ夏帯実現化がはじまったのだった。 |
4月7日(土)
偶然、中馬さんのショップの前を通りかかり、久しぶりにお邪魔させていただく。 もう5年程前、着物についてたいした知識も持たないのに、中馬さんの描かれる優しい洋花の着物の世界へ惹かれて、かすみ草を中心に私の好きな白い野の花を描いた付下げ風の小紋を誂えていただいたことがある。(※下、写真参照。) これが私のお気に入りの一枚で、やや気合いをいれた場にやはり中馬さんの帯を締めて出かけている。 「テディベアの帯を作っていただきたい」などと、本当にこんな無鉄砲なお願いをしても良いのかしら・・・? だったのだが、快く了解していただき、早々に帯地を見せていただいた。三本絽、五本絽と言葉は知っているものの、並べて見せていただいてやっと違いが解るぐらいの知識しか未だ持ち合わせていないのだが、ややカジュアルな味わいかと思い五本絽(五越絽)でお願いすることにする。 次回は具体的な図柄の打ち合わせ。 |
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以前に制作していただいた付下げ小紋の部分写真 美しいブルーのグラデーションが写真でうまく出ないのが残念! |
4月9日(月)
描いていただくテディのモデルは、数年前に我が家へやって来たセーラー服を着たテディで、このページの壁紙になっている下の写真の物である。そしてテディと一緒に、もうひとつ私の大好きな薔薇をセットで描いていただこう・・・と、それぞれ写真を持参して、中馬さんのショップへ相談に伺う。 写真をもとに大まかなイメージをお話して、主に黒地の麻や紗の着物にあわせることが多いので、ややベージュがかった地色にしていただくことになる。 誂え染めは、誂える当人のイメージが上手く作家さんに伝わらない場合もあると聞くが、中馬さんは私のかなり大まかなイメージをさらに膨らませて、いろいろアドバイスをくださりながら、細かい点まで提案もしてくださるので嬉しい。 心は一足早く夏へと飛んでいきそうである。 |
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バラは赤では暑苦しいので、涼しげな色味にしていただく予定。 |
5月18日(金)
「下絵が出来上がった」と連絡をいただき、早々に見せてもらいに伺う。 繊細なタッチで可愛らしく描いていただいたテディベアにちょんと添えられた赤いバラの構図が、正に私のイメージ通りであった。地色も一口にベージュといっても様々な色がある中、色見本を見せていただき明るい目の色味を選ぶ。前の柄は涼しげに「ブルーと白いバラを配して・・・」などとお話するうちに、帯の締め方は関西手か関東手かという話に及び、ふと少し前に「片面はバラで、もう一方はつるバラの葉にしてバラの帯留めをしたら面白いだろうな」と考えていたのを突然思い出したのだった。「片面ずつ違う柄でもできますよ」と快くお返事くださったのだが、もう最終打ち合わせ終了で「それでは、また・・・」と帰り際のことであった。思いついた事はメモしておかなくては・・・と教訓! |
幸い中馬先生とは初めてお目にかかって以来、何かとお会いする機会やお話する機会も多く、私の好み等もよく知っていただいているのでアバウトに「あんな感じ」「こんなの」とお話するだけでイメージをつかんでくださるのだが、世界にひとつしかない自分だけの帯(着物)のオーダー(誂え)である、思い描いたイメージやアイデアはとにかく細かく書き留めて、場合によっては具体的にわかりやすいように資料(本や写真など)を用意して、作ってくださる方とうまくコミニケーションをはかりながら制作を進めていただくのが、オーダーの最重要ポイントなのだと改めて感じたのだった。 | ![]() 下絵 左上のベージュが地色になる |