すきなもの・えとせとら
back 夏のテディ帯 制作日記 その2   
Update 2001/07/30


6月19日(火)
 「帯が染めあがりましたが、帯芯の色は白でよろしいですか? 黒でも素敵かもしれませんよ」と連絡をいただき、はて・・・黒の帯芯? そんな発想は全くなかったので「さてどうしよう・・・」と考えながら、見せていただくのが一番!と早々お店へ伺うこととなった。 そういえば、以前に既製の夏帯を呉服屋さんで購入した時も「帯芯はどんな色になさいますか?」とたずねられたのを思い出した。夏の透ける帯である、当然芯の色が違えばイメージも異なってくるであろう?

 先ず、染め上がった帯を見せていただいて、地色とテディベアの色のバランスがマッチして前回下絵を見せていただいた時よりも新鮮であり、素材の質感で同じ絵柄も全く違う印象になるのに驚いた。(下絵は白地平路
 素材ひとつで、これほどにも印象が違ういうことを初めて知った。あまり深く考えずにいたことだが、オーダーには「素材」から拘りを持つことも重要なポイントのひとつのようだ。幸いにも今回は「気軽に締められて、楽しめる帯」という私のコンセプトにはピッタリだったと思っている。

 さて写真では若干わかりにくいが、帯芯を白地にした場合と黒地にした場合の比較が、下の写真である。 

白地の上に置いた場合
テディ帯1    テディ帯2

 白地にした場合、はんなりと優しい雰囲気にまとまる。逆に黒の場合、絽目もくっきりするが柄自体も個性的に主張するように感じられる。甲乙つけがたし・・・だったが、あえて黒地の芯を選んだ。
 帯芯の基本の色を白とすれば、今回のように全く反対色をあわせる場合もあるし、他に同色あるいはその濃淡を選ぶ方法もあるそうだが、このあわせ方次第で印象はずいぶん変わることだろう。センスも問われるかな? 夏の帯だからこそ楽しめる遊びともいえる。

黒地の上に置いた場合
  



雑談
 この日、中馬さんのショップには私の大好きなバラが描かれた振り袖とその側に銀地にモノトーンっぽく描かれたやはりバラの帯がかけられていた。既に振り袖とは全く縁はないのだが、花びらの一枚一枚までが丁寧にグラデーションで描かれた世界は勿論着物として羽織っても美しいが、アートとしても素晴らしい。そして銀地の帯は、一見織り帯のようにも見える銀糸が織り込まれた生地に描かれているが、素材とシックな色合いが絶妙のバランスですっかり目を奪われてしまった。
 他にも三日月の中に秋草が描かれた帯や数点の袷の染帯を見せていただいたが、帯地に地紋や銀糸が織り込まれていて光の反射で柄の表情が微妙に変化するのがとても美しい。袷の帯といえば、塩瀬と縮緬しか知らなかったが、同じデザインであっても素材によって全く違った印象になること、そしてそれぞれが活かされた意匠に着物の奥深さを改めてかいまみたような気がした。



つづく・・・  (既にテディ帯は手元で活躍中です ^^)
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壁紙制作:Eminya