15.環状紀行(3) 「鉄道員」の舞台、幾寅へ <1>


前回に続いて、見てもいないのに道内における映画の撮影地へ行ってくる事になりました。ということで、初めて乗るキハ283系特急「スーパーおおぞら」1号に乗って、まずは池田まで行ってしまうことにします。南千歳から先、石勝線にははじめての乗車となりますが、南千歳を出て千歳線と別れると、いきなり森林地帯へと突入していきます。飛行機で空港を飛び立ってからすぐに下のほうを見れば分かるのですが、一気に別世界、というふうなところになります。以外とこまめに信号場があり、南千歳から追分の間には2つあります。なんだか駅があってもいいような・・・とも思わせます。

石勝線は昭和56年に開業した路線で、もとは南千歳〜新夕張〜夕張の夕張線を同化したものです。ここは日高山脈にそびえる日勝(にっしょう)峠をトンネルで越えると言う大変なものですが、石勝線のおかげで札幌と帯広を結ぶ重要な路線として、旅客・貨物共に活躍しています。おかげで根室本線にそのしわ寄せが来てしまっていて、今では滝川を回って帯広方面へ向かう列車はないのですが、発車時刻表には未だに「石勝線経由」と書かれています。また、雪の多い所でもあるので、信号場にはポイント保護のためのシェルターが欠かせません。特に占冠は厳寒とも言える地で、氷点下20度くらいにまで下がることもあるほどです。

さて、この列車は南千歳を出るとトマムまで止まりません。新夕張を通過してしばらくすると、今では朝の1往復のみの停車となった楓駅にさしかかります。93年のダイヤでは4往復ありましたが、徐々に本数を減らし今に至っていますが、そのうち廃止の憂き目を見るのでは、と心配にもなってきます。その楓駅を通過すると、しばらくトンネルが続いて行きます。併走する国道274号線は、普通に山を登り、日勝峠を越えて行きますが、先述のとおり重要なルートのために交通量が多く、トラックの往来も激しいので慣れていないと運転の難しい区間です。現在では高速道路の建設が続いています。

ようやくトマムに8時28分に着きました。こうトンネルが多いと、乗っている時間が長く感じてしまいますが、この時点で結構乗り疲れました。ここは「石勝高原」という名前の駅でしたが、トマムリゾートが開業してから駅名も「トマム」に変えられ、リゾート特急も運転されてかなり大きなリゾート地となりました(写真はトマムの象徴とも言われたタワーです)。一度トマムリゾートは倒産という事態にもなりましたが、現在はこれまで通りの営業を行っており、夏は高原の自然を満喫し、冬はスキーと楽しめる場所になっています。

トマムを発車してしばらくすると、いつのまにかトンネルの中にある上落合信号場を通過しました。根室本線の落合駅に近い所にあり、石勝線としてはこの地点までになります。最初はここが信号場で、しかも分岐点であることは気付きませんでした。それから新得、帯広と停車していって、9時37分に池田駅に到着しました。

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