試 乗 記 録 (特別編) 国鉄急行型車両を訪ねる旅 99年冬

取材期間 1999年11月25日(木)〜28日(

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11月26日(金) 2日目 (その1)

 

 明けて25日になった。 今日は昨日とは打って変わって

快晴である。 さっそく身支度を済ませ、ホテルをチェック

アウトし名古屋駅へと向かう。

 まずはここで朝食を済ませてから改札をくぐった。 

(もちろん「きしめん」を食べたのだが・・・。)

 ホーム上は平日の通勤時間帯なので、多くの乗客が溢れ

ていたが、東京に比べるとまだ余裕が有る様であった。

 

  103系電車と、キヤ95系軌道・電気試験車

 

 関西線ホームの亀山方先端から見える留置線には、こちらでは少数派となった103系が留置されていたので、

早速望遠レンズで撮影をしようとカメラを構えてみた。

 そうすると、急に見慣れない車両が入線してくるのが確認出来た。 とりあえすファインダー越しに、近づいてくる

のを見ていた。 結局この車両はJR東海の軌道・電気試験車のキヤ95だった。

 このキヤ95はこれから関西線方面に入線するため、13番線ホームに停車した。 珍しい車両なので写真を何枚

か撮ってみた。

 

 

名古屋駅に入線してきたキハ58+65系急行「かすが」と、その車内

 

 このキヤ95が先行して発車していくと、いよいよ急行「かすが」の入線となる。 やはり車両置換えが近いのか、

私と同じファンの姿が見られた。 発車3分前、急行「かすが」はキハ65−3001を先頭にして入線してきた。

急いで車内に乗り込み荷物を置くと、ホームに出て反対側のキハ58−3001を撮影した。

 ちょっと慌しかった様に感じた。 始発駅であるが、相変わらず発前の余裕が少ない気がした。 まあ最近は、

他の列車も時間ギリギリに入線し出発していくので、仕様が無いのかも知れませんが・・・。

なお今回の乗車は、指定席車となるキハ58−3001である。

 

旅程表(11月26日)

11月26日(金)

 ホテル 〜 徒歩 〜 名古屋駅 → 「急行かすが」 → 奈良駅 → 「桜井線〜和歌山線」 → 吉野口駅 → 

 「近鉄吉野線」 → 吉野神宮駅  ※吉野神宮から吉水神社の間を徒歩にて観光。

 吉野山 → 「ロープウェイ」 → 吉野駅 → 「近鉄吉野線」 → 吉野口駅 → 「和歌山線」 → 和歌山

 「和歌山線」 → 和歌山市駅 → 「和歌山線」 → 和歌山駅 → 「紀勢線新宮行夜行」 〜 (車中泊)

 

 8:50分、急行「かすが」は名古屋駅13番線ホームを後にした。 車内はグループ客がいるのか、賑やかになって

おり、後方ではファンらしいグループが、鉄道談義に花を咲かせていた。

 そして発車後しばらくすると、懐かしいオルゴール音が流れ、続いて車内放送が始まった。

しかしこのオルゴール、長年の使用により酷使されたのか? 音が1音飛んでいる個所があった。(逆にいい味を

出していましたが・・・。) そして最後に12月改正で、「かすが」が新型車両に置き換わる事をPRして放送は終わっ

た。 放送が終わる頃には、もう既にスピードが上がっており、やがて近鉄名古屋線との並走区間に入っていた。

 

 急行「かすが」に使用されるキハ58・65は、元々快速「みえ」用に

改造された強馬力車の為、加速が良くとても気持がいい。 

ただエンジン音は、ノーマルの車両より若干うるさい様に感じた。 また

古い車両なので、結構ガタがあり振動が激しかった。 

この辺を考えると急行車としては、もう限界なのかも知れない。

 

   木曽川を全力で渡っていく・・・。

 

 それでも、とてもキハ58系とは思えない速度で、どんどん通過駅を通過していく・・・。 ちなみに運転台を覗いて

みると、約100Km/h位で走行していた。 以外と足が速い様である。

 やがて木曽川・長良川・揖斐川と、3つの大河を立て続けに渡ると、間もなく桑名である。 ここでは特急「ワイドビ

ュー南紀2号」と行き違いの為、若干停車する。 ホーム上ではこの時間を利用して、ファンが撮影をしていた。

 

ところで車掌さんが親切なのか、実はファンなのか知りませんが、「スジ」

を見せながら我々に、各駅の停車時間を案内していた。

これには本当に助かりました。

 

桑名では特急「ワイドビュー南紀2号」と行き違う

 

 

 9:12分、特急「南紀」が発車すると、また豪快なエンジン音を残して発車した。 ここで車内を見渡してみると、指

定席・自由席とも平日にしてはまずまずの乗車率で、大体のシートが埋まっていた様だ。 ちなみにシートは、新幹

線廃車時に発生した回転シートに交換されており快適だ。 車外は塗装変更され面目を一新しているが、車内はシ

ート以外は殆どノーマルのままで、天井から吊り下げられたファンデリアには、国鉄を示す「JNR」のマークが残っ

ていた。

 

  

左:「JNR」マークが残るファンデリア   中央:「列車種別札」     右:「号車札」と「サボ」

 

 この先「かすが」は四日市に停車後、会社境界駅となる亀山に到着していた。 ここ亀山では、短い停車時間に運

転手・車掌が交代した。 これから先はJR東海からJR西日本の営業区域に変わるのである。

亀山駅には東海のキハ11系、西日本のキハ120系という様に、両社のレールバスが停車していた。

 

 

 

 

 

桑名駅で停車中の

キハ58-3001

 

 

 亀山からは、いよいよ沿線のハイライトとも言える「加太越え」に挑む事になる。 ここは関西本線の全身である

関西鉄道の時代からの難所で、関が原経由の官鉄に対抗した急行列車が、あえぎながら越えていた峠である。

 私を乗せたキハ58−3001もエンジン全開で、加太川の渓谷沿いを快走していった。 こちらも丁度紅葉が見所

で、美しい車窓が展開していた・・・。

 なおも床下のエンジンが唸り、ますます高度が上がって行くのであった。 やがて列車は、蒸気時代からの名撮

影地であった「加太の大築堤」へさしかかった。 やはり予想通り「お立ち台」には、何人かのファンが詰め掛けてい

た。 私は丁度、乗務員室から出てきた車掌さんと「やっぱりいますね?」なんて言う会話をしてしまった。

 

 

左:加太峠の風景  右:沿線にはファンが詰め掛けていた。(加太の大築堤付近)

 

 この加太峠もサミットの加太トンネルを抜けると、急に下りに転じて来た。 なだらかな下り勾配をしばらく走ると、

草津線が接続する柘植に到着である。 湘南色の113系と、キハ120系普通が停車し、接続待ちをしていた。

柘植を出ると次は伊賀上野である。 ここでは名古屋から乗車していたグループ客を始め、かなりの下車があり急

に車内が寂しくなった。

 

 この伊賀上野を出ると、終点の奈良までノンストップで走行する。 やがて車窓には、木津川の渓谷が広がってき

た。 こちらも加太川の渓谷と同様に、美しい車窓であった。 この木津川に沿って西下する事しばし、やがて車窓

から眺める町並みが急に都市化してくると、間もなく加茂である。 加茂の駅構内は改装の為、工事中であった。 

 この加茂から先は電化区間となり、架線下を走行していく・・・。 次の木津は学研都市線(片町線)と奈良線が合

流する拠点駅である。 学研都市線ホームには、尼崎行きの207系電車が停車しており、改めて関西地区に突入

した事を実感させられた。

 

 木津駅をゆっくり通過した後は、いよいよラストスパートである。 平城山駅の手前で、奈良県内に入ってくる頃に

はもう、終点奈良への到着を予告する車内放送が始まっていた。

 11:03分、急行「かすが」は定刻通り、奈良駅2番線ホームに滑り込んだ。 到着後、ホームから改めて編成を見

直してみると、キハ58の顔が非常に微笑ましく見えた。 とにかく長い間の活躍、ご苦労様でした。 

 

 

奈良駅に到着した急行「かすが」              個性的なデザインの奈良駅の駅舎

 

 この奈良駅で「かすが」の回送を見送った後は、奈良駅の駅舎を撮影してみた。 これは法隆寺の五重塔を意識

して作られた形態の駅舎で、非常に個性的な駅舎である。 また、駅舎内は吹き抜けのドーム状になっており、小さ

い駅舎でありながら、開放感が有る駅舎である。

 

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