各種の紹介-1

ヤマトヌマエビ

  熱帯魚屋ではおなじみのヌマエビですね。わりと大型になり体も丈夫なため,コケ(というか正確には藻)類の除去を目的に,よく飼育されています。黒潮の影響を受ける地方の上流域にたくさん棲息しています。昔よく行った高知県の川などでは,夜,水中の石の上にたくさんのヤマトヌマエビがいるのを見ることができました。ライトを当てると目が光ったりします。これはけっこう楽しいです(ただし夜の川は危ないのでご注意を! いや,昼でも場所によっては危ないですが...。僕の場合は,昼間何度も調査した上でウエットスーツも着用)。

 ウェブ上での情報は多いので,詳しい説明は省略します。いつでも入手できるからということもあり,もちろん飼育したことはありますが,個人的にはあんまり手が出ません。性格的に少しだけ攻撃的(どう猛?)との話も聴きます。それらしいシーンを僕自身は見たことがないのですが,他のヌマエビ類(例えばミナミヌマエビ)の稚エビとかなら食べてしまいそうです。ただ,上流に棲むエビとしては例外的に,高温にもわりと強いようなので,小型熱帯魚との混泳に適したヌマエビであるのは間違いないと思います。

 せっかくなので,1枚だけ写真を。

トゲナシヌマエビ

 地味ですけど一番好きなヌマエビです。とにかく丈夫で,長生き。他のヌマエビ類や小型魚類のあしらい方もうまいです。97年秋に沖縄で採集した個体は,4年以上生きてました。下流に多いヌマエビですが,物につかまる足(脚)の力は強く,流水部に接した水草の茂みに付いていたものを採集しました。沖縄では特に個体数の多いヌマエビのようです。本州や四国などでも,黒潮の影響が強い地域の川では(それほど多くはないですが)採集することができます。

 ただ本州などで,川の中で実際にいる場所を探すのはちょっとこつがいるかもしれません。四国にいた時も1カ所だけよく採れる場所があったのですが,どうしてそこだと採れるのかが,結局のところよくわかりませんでした。(偶然見つけたかなり小さい川で,もう一度行って調べてみたい気もしますが,たぶん二度とはたどり着けないでしょう。)

 観賞魚店でもごくたまに見かけます(以前は市ヶ谷の某店でよく売ってましたが,近年は見かけませんね)。

 足の力が強いらしく,たも網ですくうとすぐそこから這い上がって出ようとします。水槽内では底砂の上などに多くいて,餌を探しながらちょこまかとよく動きまわります。水槽中のヌマエビ類を網などで捕まえようとする時に,後ろにただ飛び跳ねて逃げるヌマエビ類が多いのに対し,トゲナシの場合は近くの物陰に回り込むように逃げます。なかなかの曲者です。

 下の写真には,沖縄で採ったものと高知県物部川産がたぶん混じってます。採集時には体表に細かい点が出たりしてもう少しきれいなのですが,私が飼育するとなぜか地味な色になってしまいます。底砂のせいでしょうか。写真の個体はおそらく全部雄でしょうか。抱卵した雌は,明るい間はなかなか表に出てきてくれません。

 2006年4月になって,都内の観賞魚店にて,久しぶりに入手することができました。沖縄産でしょうか。1匹60円でした。20尾を60cm水槽に入れたら,さっそくウィローモスや流木の陰に隠れて姿が見えなくなりました。体型的にそういった隙間に潜り込むのに適しているようです。餌をあげるとぞろぞろと這い出してくるところなど,なんとなくチャバネゴキブリに似てるなあなどと,実はちょっとだけ思っています。

 2007年10月1日追記

 ずっと20匹中雌は2匹だけだと思っていましたが,最近数えたら抱卵個体が4匹いました。未成熟だった個体が成長して抱卵するようになったようです。写真も追加。雌の色の出方にもバリエーションがあるようです。

ヒメヌマエビ

 やはり黒潮の影響を受ける地域に棲んでいる,小型のヌマエビです。色彩パターンに変異が大きく,同じ川の同じ場所に,横縞のものと縦縞のものと2型が混在しています。濃い赤色がきれいなヌマエビですが,砂利主体の私の水槽ではどういうわけか色が薄くなってしまいます(水質にも問題?)。物陰に隠れていることが多く,あまり動き回らないヌマエビです。餌をあげた時だけ出てくる印象があります。歩脚などわりと‘か細い’感じがします。以前に高知県(足摺岬周辺)で採集した個体を他のヌマエビ類と混在飼育していた時には,一番先に姿を消してしまいました。この種類だけ単独で飼うか,水草をかなり多く入れるなど,なるべく隠れ場所を多くしてあげるべきでしょう(と,昔の自分に強く言いたい)。

 下の写真は,奄美産ヒメヌマエビとして売っていたものです(2004年春に購入)。色がきれいなせいか,日本産淡水魚も扱っている観賞魚店などでは,わりと定期的に入荷しているようです。底砂を使わない条件で飼っていましたが,赤い色が落ちませんでした。もしかしたらシェルターとして入れてある植木鉢の色と関係があるのかもしれません。これらの個体は初夏までは順調に生きていたのですが,夏の暑さを乗り切れませんでした。南方系のエビだからといって,必ずしも暑さに強いというわけではないようです。

 次の写真は,5年ほど前に都内の熱帯魚屋でレッドカラーシュリンプとして売られていたエビです。たぶんこれもヒメヌマエビじゃないかと思っています。(少なくとも色形や性質はよく似ています。間違っていたら教えて下さい)。最初はもっと赤褐色をしたカラフルなエビだったのですが,例のごとく色があせてしまいました。水槽内では1年近く生きてました。


追加: ヒメヌマエビ奄美産 2007年8月

2006年6月9日更新

ミゾレヌマエビ