各種の紹介-2

注意! 以前(2006年3月まで)“ミゾレヌマエビ”として紹介していたエビは,ヌマエビ南部群(or小卵型)だと判明しため,別のページに移動させました。

ミゾレヌマエビ

 地味な色模様の多いヌマエビ類の中では,どちらかというと派手できれいな(はずの)種です。黒潮の影響が強い地域に分布しており,例えば高知県南西部などでは,一番普通に見ることができるヌマエビです。下流域の水草の中をがさがさとすくうと簡単に採集できます。時々どさっと捕まえてきては,かき揚げにして食べたりしてました。あまりにこの種類ばっかり採れるもので,私はこれが‘ただの’ヌマエビ(という名の一般的?な種)なのかミゾレヌマエビなのか,長らく迷ってきました(迷ったまま思考停止してきたのは反省点ですね)。けっきょく,私が以前よく採集していたエビが,本物のミゾレだったようです。


琉球列島産ミゾレヌマエビ


注) アクアリウム関連の本ではヌマエビとミゾレヌマエビが区別できていないものがほとんどで,ほぼ参考になりません。実際に“ミゾレ”として流通している個体も,一部を除いてヌマエビの小卵型(南部群)です。ご指摘いただいた 「蝦三昧」さん(http://ecoplants.at.infoseek.co.jp/column/mizorenumaebi/index.html)に感謝。正式(学術的?)な分類形質についてはこちらも参照のこと。
 なお,一番簡単な(ただし大まかな)見分け方は,網で水からすくい上げた時に歩き回るかどうかだと思っていたのですが(横になったまま動こうとしなければミゾレヌマエビ,ごそごそはい回ったりすればヌマエビ南部群),石垣島で採集したミゾレヌマエビはわりと歩き回るので,この見分け方が適用できませんでした。もうちょっと観察例数を増やしてみないといけませんね。


 採集時は赤褐色の体に黄白色の細かい点(額角から背中にかけて多い)が輝くきれいなエビ(雌の場合)なんですが,どういうわけか家に戻るころには普通の透明なエビになってしまいます。ここら辺が“ミゾレ”ヌマエビと認識されない原因の一つでしょうか。水槽で飼っていても元にもどることはなく,とても残念でした。雄の体はかなり透明です。それでも採集直後の個体はどことなく輝ている印象があります。というか,“ありました”かな。先日伊豆半島で採集した個体(後述)は,昔四国で採集した個体に比べて地味だと感じました(「思い出というのは美化されるものだから」ではないと思うのですが...)。好きなヌマエビではあるのですが,他の丈夫な種(ヤマト・トゲナシ)に比べると,なかなか長く生き残ってくれないようです。細身の体で,足とかも‘きゃしゃ’な感じで,どことなくひ弱そうなイメージがあります。

 2003年に和歌山県の小河川で採った20匹ほどは,2cmほどの雄と思われる体色が極めて透明な個体ばかりでしたが,2ヶ月ほどしか持ちませんでした。(ただし意識して形質を調べたわけではないので,本当にミゾレか?と問われると多少自信がありません。)熱帯魚との混泳だったせいか,いつの間にか姿を消してしまい,標本もとれず。隠れ場所が少なかったのが原因でしょうか(マツモが主でウイローモスはなし)。

琉球列島産(購入個体)

 こちらはわりと長く飼えているものです。熱帯魚屋にて“リュウキュウミゾレヌマエビ”という名で売っていました(ミゾレヌマエビの亜種との説明あり)。2006年4月に,トゲナシヌマエビと一緒に10匹を購入。1匹250円前後だったと思います。下の写真の,大きめの個体は色斑の色が濃く背中に卵巣も見えますから,雌ですね。一回り以上小さくて透明な個体(中段左および下段右の小)は雄のようです。抱卵前の雌にまとわりついているのを何度か目撃しました。

 今飼っている60cm水槽では,明るいうちは流木や水草の間などにいることが多く,それほど表には出てきません。特に抱卵した雌は臆病なようで,最初の頃は茂みの中に隠れて,動かない限りなかなか見つけることができないエビでした。そのうちに慣れてきたのか,表によく出てきてくれるようになりました。導入してから透明な体色のままですが,これって琉球列島産だけの特徴なんでしょうか。それとも私の飼い方(例えば水質とか照度とか)の問題なのか。

 ちなみに購入後1年半たった2007年10月現在でも,購入した10尾中半数以上が健在です。冬でも20℃以上に水温を保っているため,一年中抱卵雌が見られます。ちゃんとした環境で飼えば,高温にも強くけっこう丈夫なようです(もちろん琉球列島産だからかもしれませんが)。

伊豆半島産(採集個体)

 2007年8月および9月の2回にわたり,伊豆半島南部の河川まで,ミゾレヌマエビを採集しに行きました。採集記についてはページを改めるとして,ここでもその後の飼育個体を中心に簡単な紹介をしておきます。

 まず8月に採集した個体から。採集直後の雄雌(ヤゴと一緒に写ってます)。……濃褐色で地味ですねえ。私の記憶の中の(四国の)ミゾレはもっと赤い色をしていたと思っていたのですが,ここではそのような個体が見つかりませんでした。まあ,ヌマエビ南部群のほうも,ここではかなり地味だったので(→こちら),地味さではよい勝負。

 次は水槽に導入した直後の個体。やはり色が薄くなってしまいました。ミゾレ模様がわりと目立つ個体を選んでみました(左中,約30mmと少し大きめの雌)。雄と思われる透明な個体にも,多少の白点が見られる個体がいます(右,22mm)。特に頭の先の額角の部分。

 以下は9月に採集した個体。赤くなった小型の抱卵雌(左,17mm前後)。中も同サイズですが,赤くない個体。8月にはこのサイズの雌をあまり見なかったのですが,9月になると大型の雌が姿を消し,このサイズの抱卵雌が多く見られるようになりました。初めての産卵を迎えた個体なのかもしれません。 右写真の2匹は10mm以下なので,明らかに今年生まれでしょう。1年間を通じてサイズ組成を調べてみたらいろいろ面白いことがわかるかもしれません。

 8月に採集した大きめの抱卵雌(約30mm前後)は,2ヶ月ほどで水槽から姿を消してしまいました。川から家までの持ち帰りかたも悪かったのかもしれませんが,寿命(産卵のためエネルギーを消耗しつくした?)の可能性もあります。9月に採集した小さい個体(6〜20mm)は順調に育ち冬を越せそうです('08年1月現在)。


2008年1月16日追加

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