日記(不定期)

前の日記 リスト・索引 後の日記

本(ミステリー中心)の感想とライブ(ジャズ&ロック)の感想が多いです。ミステリーの場合にはネタばれもあるので,ご注意下さい(マウスで選択し反転させると読めます)。人が殺される話が嫌いな人は抜かしてお読み下さい。

12月

自虐ネタに走る傾向があるね。何となく...な12月。

で,最近思うんだけれど,どう考えてもこの日記,は○なダイアリーとか利用した方がいいよね。いろんな意味で。でもまあ,もう少しこのままで続けてみましょうか。

日記の色分け  読書:グレー 音楽:ピンク 生物:グリーン 歴史:ブラウン

12月31日(金,大晦日

今日も朝から雪が降ってました。今夜はオールナイトのジャズのライブに行くので,午後まで布団の中でゆっくりしました。年賀状書きがなかなか進まないよ。

で,2年ぶりに新宿Pit-in(ジャズ系の有名ライブハウス)のAll Night Concertに行ってきました。夕方6時に,新宿の熱帯魚屋の前でM君と待ち合わせ,食事後Pit-inに。2年前はすごい人の数でしたが,今回は雪のせいか前回よりちょっと少なめ。7時半より開演,今回も7バンドが登場したので,後半はへとへとになりました。M君は2時に帰りましたが,僕は最後(5時)まで堪能して帰ってきました。渋谷毅オケと南博トリオが特によかった。さて,以下はそれぞれのバンドの感想。

まず登場したのは,3吉・仙波スペシャルセッション。どちらかというとフュージョン系かな。メンバーは5人だけど,メインとなるのはギターの三好功郎(3吉)とパーカッション仙波清彦。仙波さんは歌舞伎の大太鼓の家元だそうで,その道では有名な人。おもちゃみたいな物を使って音を出したりで観客から笑いも出たけれど,それ自体はそれほど珍しいわけでもない。まあソロとかで盛り上がるのはうまいなと思った。三好さんのギターもかっこいいのだけれど,ちょっと単調かな。曲の方も。トータルとしての音を重視しているのかソロ回しは少なめ。一緒に行ったM君はオーソドックスなジャズが好きなので,少し退屈していたっぽい。

うって変わって,次の辛島文雄BANDはオーソドックスなピアノ・クインテット。2年前に見た辛島文雄トリオは,ピアノトリオが苦手な僕には少し退屈だったのですが,管楽器が2人(池田 篤as, 岡崎好朗tp)増えただけでけっこう楽しくなるのが不思議ですね。安藤正則のドラムはパシパシという感じでいかにもジャズといった印象。こうやって続けて聴くことで比較できるのも面白いですね。たまにはこういうオーソドックスなジャズを聴くのもいいかな,と思いました。でもいつもだと飽きるだろうな。

3番目は渋谷毅オーケストラ。人気のあるバンドだけあって,ここら辺から急に観客も増え始めます。ジャズオーケストラと言っても,基本的に1つの楽器に1人の奏者というミニオーケストラです。聴くのは実は5回目です。今回はマルチリード奏者の松風鉱一がお休みのため,バリトンサックスの吉田隆一が代理参加。フロントには林栄一as, 津上研太ss,as, 峰厚介ts, 松本治tbと豪華なメンバーが並びます。うろ覚えだけど,例のごとくフリージャズっぽい「Great Type」で始まり,泣かせる「Ballad」やスタンダードナンバー(「Soon I Will Be Done With The Troubles Of This World」),デキシー・ジャズの曲などを経て,最後は「Brother」で締めという構成だったかな。古い曲をやる場合でも,ソロ回しなどやはり新しめの音ですね。ギターの石渡明廣が一人だけ端の方で壁に寄り掛かって引いているのと,ベースの上村勝正がやけにノリノリなのが,いつもながらで何となく楽しいです。

続いて酒井俊GROUP。今日唯一のヴォーカル物です。ハスキーボイス,ベテランの貫禄あり。演奏するメンバー(桜井芳樹g, 林栄一as, 関島岳郎tuba, 岡部洋一per)も渋すぎです。和物と洋物合わせていろいろと。途中で新年のカウントダウンがあるため,クラッカーが全員に配られます(毎年恒例みたい,2年前もやってた)。2年前と同じく,今回も多少ずれる。最後の「満月の夕(ゆうべ)」が素晴らしかったですね。

南博TRIOプレイズ スタンダード。基本的に僕はピアノトリオは苦手なのですが,これはとてもよかったです(期待どおり)。南さんにはBOZOのレコ発ライブでCDにサイン&握手をしてもらった思い出あり。ベース水谷浩章・ドラムス芳垣安洋の2人も,僕は好きでよく聴く人達です。南さんのピアノは始まり方と終わり方がとても印象的ですね(もちろん中が退屈って意味じゃありませんよ)。何というか粋な感じかな。立ち振る舞いとかも渋いんですが,それでいてMCが下ネタだったり投げやり風だったりで,キャラ的にも面白いですね。曲目は「マイ・ファニィ・バレンタイン」など。スタンダード曲中心ということで,一緒に行ったM君も気に入ったようです。スタンダード曲といっても,演奏自体はすごく新鮮な感じなので,僕も気に入る(笑)。

ここでM君が帰宅したので,後は1人でじっくり聴きこみます(もちろん横にいると邪魔というわけじゃないですよ)。

毎年,若い人達のバンドが1組は入るようですが,今年は佐藤帆セッションでした。何というかノリが凄かった。佐藤さんの演奏(テナーサックス)を聴くのは7回目なのですが,今回のように若い人達だけでの演奏は始めて聴きました。いつもと違うので,とてもビックリというか新鮮な印象を受けました。最後の曲なんてジミ・ヘンドリックスですからね。メンバーそれぞれ,これでもかって感じの熱演で,いいものを見せて(聴かせて)いただきました。こういうのはまた聴きたいな。

最後はこれまた例年どおり,板橋文夫GROUPがトリをつとめます。板橋さんの暴れるピアノ(文字どおり暴れながらの演奏)も健在でした。あれは初めて見るとビックリするよね。ほぼ1年ぶりということもあるけれど,今回は特にすごかったような気がします。彼のグループは既に7回目の鑑賞ですか(毎回メンバーが少しずつ異なるけれど)。田村夏樹tp, 片山広明ts, 吉田隆一bsのフロント陣にヴァイオリン太田恵資を交えたチェイスなど,相変わらずの迫力がありました。特に吉田さんのバリトンサックスはかっこいいなぁ。あんなでかい楽器,吹くのも大変でしょうにね。

終盤はさすがに,ちょっと疲れが溜まってきてたのですが,迫力ある熱演が最後続いたので,最後まで楽しめてよかったです。

12月30日(木)

昼間少しだけ仕事をして,後は読書デー。年賀状をちょっと書く。

まずは中原昌也あらゆる場所に花束が……』 三島由紀夫賞受賞作。選考委員の高樹のぶ子が選評で‘選考委員を辞めたくなったけれど,選考委員が怒って辞めた怪作とこの作品が脚光を浴びるのは気分がよくない’とか書いたのが有名ですね(『文学賞ぶった切り』より)。さて,読んだけれどやっぱりよく分からないです。とにかく登場する人みんな怒ってます。タイトルはさわやか(?)なんだけれどね。何だか分からないなりに一気に最後まで読んでしまったので,まあ文章には力があるって事でしょう。他の作品もこんななのかな? どっかの常套句でもないですが‘もう一作読んでみたい’といったとこですか。(エンタメじゃないのでもちろん満足度・評価点はなし。)

柄刀一火の神(アグニ)の熱い夏』 推理小説(本格ミステリー)です。ノベルスでなく光文社文庫書き下ろしなのは何故でしょう。この作家の書くミステリーはみな‘端正な本格’といったイメージですね。探偵役は『OZの迷宮』(連作短編集,名作です)にも登場した南 美希風。−−刺殺された上に部屋に火をつけられた実業家。6年前には妻が殺され未解決に。二つの事件は繋がっているのか? 死体の傍らに落ちていた鍵、焼け跡から見つかった「もう一本のナイフ」。バラバラに見えた手がかりがひとつに収束するとき、驚愕の真相が……。 アリバイの取り扱い(その時いなかった者こそが犯人)とか過去の事件の真相とか,心地よい驚きがあり面白かったのですが,総合的にはもうちょっとかなあ。警察の動きや,素人探偵である美希風が推理を始めるところなどが,何となく不自然な気がします。文章や設定がまじめなだけ目立つんだよね(竜之介シリーズや『シクラメンと、見えない密室』(これも名作)とかだと気にならないのだけれど)。というわけで,ちょっと辛めに満足度6+/10点。

12月29日(水,年末・年始休暇〜

起きたら東京は初雪でした。大粒の雪が降っています。さすがに寒い。


職場の屋上から新宿方面をながめる。いつもなら都庁のビルがドドーンと見えるのに今日は...

冬季休暇で人がほとんどいないので,FAIRCHILDの初期アルバム4枚(『YOURS』『FLOWER BURGER』『UKULELE』『せかいのうた』)をエンドレスでかけながら,データの打ち込み(単純作業)。FAIRCHILDといえば,今やバラエティタレントとして活躍中のYOUがボーカルやってたバンドですね。僕が大学生の時に,「探してるのにぃ」が“紅茶のお酒”のCMソングになったりで,そこそこ売れてはいたのだけど,もう覚えている人はほどんといないですか。15年前だものね(年がばれる)。うわ,ジャケット写真が若い! いえね,何となく昼間テレビを付けたらYOUが出てたので,急に久しぶりに聴きたくなったのであった。『FLOWER BURGER』がとてもよいですね。戸田誠二のベタ?なメロディセンスが泣かせます。ボーカルは『せかいのうた』のほうがうまくなってるけど。

数年前に戸川純にはまっていた時に,ここら辺のテクノポップ系(って言うの?)を集めたんですよ。ZELDAとか‘ちわきまゆみ’とかヒカシューとか,いろいろと。さすがに洋楽までは手が回らなかったのですが。懐かしいなあ。ちなみに今の戸川純のバンドYAPOOSには戸田誠二がギターで参加しておりますです。

12月28日(火)

何となく今日は土曜日のような気がしてました。最近こればっかり。まあ,仕事納めだし... だからというわけでもないが,今朝は久しぶりに記憶に残る夢を2つも見ました。起きた途端に忘れてしまう夢もあるのに,どこが違うのでしょうか。

1つ目は猫にちくわをやる夢。しかもこの猫?は人間の言葉を話せるのですね(前半は人間の子供だったような気もしますが)。最初は面白がってやっていたのですが,あまり“くれくれ”とうるさいので高い所にちくわを上げておくと,2mほど飛び上がって食べる。「ちょっと与えすぎましたかねえ」と飼い主に聞いたら,「運動になってるから大丈夫でしょう。でもこうやって高い所のを食べることを覚えちゃうと,これからが困るねえ」と言われてしまいました。“くれくれ”は止まりそうにありません。 −何となく川上弘美風

2つ目は川を歩く夢。川の流れのすぐそばまで,魚を見に行きます。なぜか祖母・母・弟も一緒に。「川に落ちたら危ないよ」と言われますが,近づきすぎた僕は泥で足を滑らせて,片足を川に突っ込んでしまいます。気がつくといつの間にか弟も川に入っており,浅瀬を川岸に沿って下流に歩いていくのです。「しょうがないなあ」と言って,僕らはついていきます。川はどこまでも続いいきます。 −こちらの方が内田百けん風ということで。(詳しくは思い出せないディテールがね。イメージとして。)

そうです。今日は仕事 お さ め 。 職場に来るまで気がつかなかったkedo,実はそうだったのですね。午前中で仕事は終わりということで,事務系の人などは昼過ぎから飲んでましたが,僕は技術系の仕事なのでぼちぼちと夕刻まで。まあ,既に帰省した人もいるし,そうでない人も早く帰ってしまいで,これまた...何というか . . . …やはり物寂しいやねぇ。

天気予報だと明日はが降るかもしれない。さてさて。さて どうだ。

12月27日(月)

昨日までの風邪の影響もあるし,たぶん胃に入らなそうな感じなので,昼食は抜き。やれやれ,もうすぐ1年が終わるね。でもほとんど僕には関係ないのだー。年が変わって何が変わるというのだろう? というか先月に帰省してしまったので,冬休み気分はもう終わってるし! まあ5日間ぼうっと過ごせるというのが利点と言えば利点かも。どうせ家でも論文書きとかするんだけれど,形だけと言えば形だけかも(笑)...って後少し頑張れよ!

昨日のスマトラ沖の地震も大変そうですね。何も師走のこんな時期にという気もするけれど,まあ季節は関係ないかな。インド洋は地震・津波対策がかなり遅れていたらしい。津波って実際に来るまで気がつかない物なのかな。学生の時は一人で海岸近くで調査をすることも多かったけれど,そんな時,津波とか来たらどうなっていただろう。増水で川の中州で取り残される事故とかも時々聞くけれど,やはり自然の脅威に対する知識ぐらいは持っていた方がいいよね。ちなみに僕は第二種安全管理者の資格持ってます(自然災害とはほとんど関係ないけど)。

Amazonで注文してた中原昌也の三島賞受賞作『あらゆる場所に花束が……』が届きました。タイトルからは想像できない怪しい表紙・内装の本です。『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』とどちらにするか迷って,けっきょくこちらに。冬休みに読もう。

今日はBGMとしてEric Dolphy『Out to Lunch』(1964年)を繰り返しかけました。このアルバムでDolphyはアルトサックス・フルート・バスクラリネットを演奏。彼のバスクラは“馬のいななき”と呼ばれていたそうです。ヴィブラフォンのBobby Hutchersonなどが参加しています。ヴィブラフォン(ジャズ・ヴァイブ)って音がとてもいい感じですね。欲しいなと思ったけれど,素人が買うよな楽器じゃないよなあ。子供用のおもちゃの木琴で我慢しようか。

そうそう,来年1/19に大友良英New Jazz Ensemble plays Eric Dolphy 「Out to Lunch」があるようです。これは行かないと。

世間は師走で(一部の人を除けば)忙しいようで,お疲れ様です。僕も最後の一踏ん張りですよ。

12月26日(日)

熱があったので,18時までお昼寝状態。夜に行きたいライブがあるので体力温存だー! 朦朧とした頭で,佐藤友哉(通称ユヤタン)の“クリテロ”と西尾維新の“きみぼく”を再読(というか,飛ばし読み)しました。

どうしたユヤタン! 文章上達しているではないか(今更だけどな)。『クリスマス・テロル』は一番最初に読んだ佐藤友哉の小説で,最初に読んだ時はちょっとだけ本を投げ出したくなりましたが,二度目はけっこう楽しめました。何となく彼の文章の面白みがわかってきたからなのかな。あのオチ(逆ギレ小説とでもいうべきか)も今となっては昔話でしょうが,リアルタイムで読んでいたらビックリしただろうな。意識的なパクリと引用が多い...らしい彼の作風ですが,トータルとして面白ければよし(“つまらないのがデフォルト”などとも言われているようですが)。ちなみに4冊出てるけれど,僕が読んだ順番は,クリテロ→エナメル→フリッカー→水没,某掲示板で誰かが推奨していた順番とまったく逆ですね。僕も逆の方がよいと思います(笑)。

で,『きみとぼくの壊れた世界』。これもクリテロとほぼ同時に読んで,やはりどこがいいのか分からなかったのですが,再読してみて新たな発見もありました。確かに“後期クィーン問題”の扱いや“登場人物みなが幸せに終わるけれど実は壊れている世界”といった試みには興味深いところがあります。でもやっぱり受け入れられない部分が残りますね。何がかは分からないのがもどかしいですが。けっきょくは主人公に感情移入できない事につきるのかも。あのイラストも好きではないし。

夜は三軒茶屋でモー*るし大忘年会ライブ。三部構成でまずはモーソフ(モーニング・マシーンとソフト娘。)が登場。某アイドルグループとは関係なくて,sax (+g), e-b, dsの3人組ジャズロックバンドです。名前からもわかるようにカンタベリー風(中期ソフトマシーンあたり)。音的にはけっこう好きなのですが,演奏は何となく,ちょっともたもたした感じかな。特にインプロパートって言うんですか,テーマ?が終わった後でソロ回しみたいのをやりますよね。あれがもう少し白熱してくれるとすごくよかったのでは。まあ,ギルガメッシュなんかも,フリーぽいところになるとあんな感じだったので,あのもたもた感も含めてのカンタブリーっぽさなのかもしれませんね。2曲演奏した後で,る*しろうの「ソレイユ」のサイケデリック風カバー。MCで「企画が決まってから,これは困ったことになったと…」などと言ってましたが,そんなことない。かっこよかったですよ。

第二部はる*しろう。高円寺百景にも参加の金澤美也子(エレキピアノ)率いる,ジャズロックみたいな訳のわからない曲をやるトリオです。CDではなぜか山下洋輔氏もご推薦。バンドとしては2回目の鑑賞でしたが,金澤さんが最高にかっこいいです。華があるというか存在感が違うような。タイプとしては何かが降りてくる(憑いてくる)系? いつ観ても(ゲストを入れると5回目)とても楽しそうなのも好印象です。「ソレイユ」から始まり「ドイツの医者」・「ドリル」(モーソフの曲のカバー)・「トルコの...」・「ヲーリーすーる」(コーラスが素敵すぎw)と白熱した演奏が続きます(最後の曲はわからなかった)。CDもすごいけれど,やっぱ生はもっとすごいなあ。3曲目ではベースで鈴木一奈美(Yojigenというバンドで金澤さん・モーソフの沢田さんと共演中)がゲスト参加。1曲しか聴けなかったのは残念でした。

第三部はモーソフ+ろ*しろうの合体バンドでモー*るし。モーソフの曲などを3曲演奏。第一部のモーソフがちょっと短めだったのはこのためか。ツインドラムで音に厚みが出て,とてもよかったです。福島幹夫のサックスがここでは印象的でした。

ちなみに今日で今年36回目のライブ鑑賞。しかし,11月から中身の濃いライブが続くなあ。

12月25日(土)

土曜日だというのに(クリスマスは関係ないよ),風邪で一日中寝込んでいます。とうとう冬物の毛布を用意しました。いろいろと考え事をしてたら,だんだんダウナーな気分に。これはいかん。とりあえず本など読むことにしましょう。

まずは西澤保彦方舟は冬の国へ』から。偽装家族物です。故あって失業中の主人公,和人は出会った男からある仕事を依頼されます。それは,初めてあった女性と少女と3人仲のよい家族を装って一ヶ月間別荘で暮らすこと。しかも別荘は盗聴器とカメラで常に監視されており,監視者にわからないように常に演じ続けなければいけません。何のために? 依頼者と監視者の正体は? やがて主人公達に不思議な現象が起こり始める…… 作者お得意のSFミステリーというよりは,ファンタジックロマン(あとがきより)なのですね。確かに,とてもベタな「あり得ない」話ではありますね。<少しずつ3人の間に家族としての感情が生まれてくる,でも与えられた期間はたった1ヶ月だけ>といったところでの描写は,ありきたりな言葉を使えば“甘くせつない”となるのでしょうが,常に冷静な視線をもつ作者の持ち味はここでも失われてはいません。ジャンルを超えて発展していくストーリーテリングは相変わらずうまいですし,ストーリーを通しての謎の他に,章ごとに簡単な謎の提出(主人公達の家族をテーマにした謎が多い)と謎解き(解釈?)があるところなど,いつもの西澤節も健在です。もちろん,自己中心的なイヤーな人間というのも例のごとく登場してきます。特に複雑なトリックが出てくるわけでもないので,ミステリー初心者にもお勧めできる作品だと思います。(7/10点)

2冊目はコミックです。乙一原作・大岩ケンヂ画『GOTH』をコンビニで買いました。この漫画家の絵は初めて見る(デビュー作らしい)のですが,けっこういい感じですね。そのうちに小説版(原作)のほうも読む予定なので,ストーリー的な感想は後日(風邪で考えるのがだんだん億劫に)。というわけで出版者側の紹介文を少しだけ。−−人間の暗黒部分に惹かれる主人公「僕」と森野夜。森野の死体を夢見る「僕」は彼女の禁断の過去へ遡る… ようするにサイコ・スリラー+本格ミステリといった内容ですね。ちなみに1話目の「リストカット事件」は『本格ミステリ03 本格短編ベストセレクション』で読んでいたのですが,どちらかというと小説版のほうが少し好きかな。乙一独特の乾いてるのか湿ってるのかよく分からないような(‘なにそれ?’って言うな!)文章が魅力的だったと思います。

12月24日(金)

昨日が休みだったので,今日は月曜日の気分。金曜で始まり月曜で終わる一週間ですか。今日休めば4連休になるのですね。まあ仕事仕事(と言いつつおそらくほとんどやらないけどね)。正月は実家に帰らずに頑張るつもりです。今朝はいつもより早く目が覚めたので,そろそろ作業を始めようという時に携帯の目覚ましがなりました。メロディはヤプーズ(戸川純)の「赤い花の満開の下」。タイムリーというか何というか... 僕はいろいろな人に生かされている。何だかね。

食欲がなくて,お昼を食べるのがきつかった。水で無理矢理流し込みました。食べないとパワーがでないからね。と言っても,けっきょくいつも土日はあまり食べないからなー。

どうも風邪をひいたみたいですね。喉が痛くなってきました。

今日のBGM:マイルス・デイビス『E.S.P.』(1965年) いやー,センスいいねえ(などとよく分からずも言ってみる)。もちろん僕がじゃなくてマイルスがですよ。頭いて。

12月23日(木,天皇誕生日)

今日もいろいろとあり。激動の12月かよ。これは終わりの始まりか,はてまた始まりの終わりか。あまり先の展望とか考えたくないのだけれど,かといっていつまでも過去に囚われている訳にもいかない。いずれにせよ自分自身にけじめを付ける時が来たようです。ちょっと気が早いですが,1月は新たな気持ちで始められるように祈ります。みんなにもそれぞれ幸せが訪れますように。

高野文緒の『ムジカ・マキーナ』を読了しました。19世紀末の欧州を舞台にした音楽SFです。ムジカ・マキーナ,つまりは音楽機械ですね。−−理想の音楽を追い求める主人公らは,音楽を絶対的な快楽に変える麻薬<魔笛>と<ムジカ・マキーナ>を巡る謀略に巻き込まれていきます。やがて明らかになる<ムジカ・マキーナ>とは.... 実はこの本を読み始めたのは1ヶ月ほど前からなんです。最初のほうはあまり盛り上がらず,毎回数ページ読んではなかなか先へ進めることができなかったのですが,謀略の姿が明らかになるにつれ一気に引き込まれ,後半は一日で読んでしまいました。少し難を言えば,19世紀末のロンドンにテクノだのDJブースだのマルチトラックだのという単語はかなり違和感を感じるのですが。それにいくら何でも(以下ネタばれ)脳のメモリー機能をデジタル信号代わりに使って”というのは無理なんじゃないかという気もします。まあストーリーとかがとても面白かったので,そんな細かい事はどうでもいいか。

明日は世間的にクリスマス・イブらしいですね。近年の風潮としては何でも前倒し(by久米田康治)なもので,たぶん祝日である前日の今日あたりから世の中は盛り上がっていることでしょう。で,クリスマスと言えば『クリスマス・テロル』! 週末にでも再読する予定です。水没もいいかな。気分的にもユヤの小説は似合いそう。

12月22日(水)

まだ水曜日だというのに,何となく疲れが溜まっています。データ打ち込みをしたので目と肩もおかしい。明日は祝日でよかった。で何の日でしたっけ?

毎日新聞のコラム“余録”に,新潟中越地震についての話が載っていました。昔から自然災害は天意と結びつけられることが多く,これは自然災害を為政者への譴責とみなす儒教思想に根ざしているようだ とありました。でも為政者の責任で一般の民衆が被害に遭うというのは,考えてみると変な話のような。そういう時はさっさと為政者が変わるべきだということなんでしょうかね。日本の政治もいろいろともめているようですが。儒教というのも知っているようで知らないことが多いのかなと思いました。とにかく,新潟はこれからまた大変でしょうね。特定の地域だけの問題ではないですよね。いろいろな意味で。

町内会の年末の見回り(火の用心?)が今年も始まったようです。カチカチという木を叩く音が聞こえてきます。引っ越してきて最初に聞いた時はまだそういうのがあるんだとビックリしましたが,10年近く住んでいる今となっては風物詩といった印象です。長野の実家のあたりでももうそういうのはやっていないのですが,東京でも古くからの住宅街が残っている土地だからでしょうか。ちなみに東京に大地震がおきた場合に最も火事による被害が多いと予想されている地区に住んでます。

今夜のBGM: 渋谷毅オーケストラ『ライブ '91』 僕もよく聴きに行く新宿ピットインでのライブです。 こうして聴いたCDを記録に残しておくと,1年間にどれくらい聴いたとかがわかりますね。だから何なのと言われればそれまでだけど。

12月21日(火)

朝はやっぱり寒いねえ。寒くて6時頃に目が覚め,そしてまた寝る。だから布団を増やせって。冬のシャワーは体が冷えるから嫌い。そろそろ銭湯にしようかな。

今日は職場の環境整備がありました。ほとんど落ち葉拾いばかりですが,落ち葉ってどうせ土になるんだから,必要最低限でいいような気もします。終了後,缶コーヒーが出ました。昔はビールが出たりしたのに,不景気??

今日のライブはラクダカルテット。ちょっとお洒落系が入ったポップ・アヴァンギャルド・ジャズですか(まあ,ジャンルなんてよくわかんないからどうでもいいや)。聴くのは今回で5回目。もうお馴染みの曲ばかりだったんですが,いやー,すごかったですよ。個人的に今年のベストライブかな。これは僕が思うだけじゃなくて,たぶん会場にいた人の何割かは確実にそう感じたと思いますよ。短い1曲目の後,いきなり2曲目の菊池成孔のテナーが,もう,ものすごすぎ。マジで涙が出そうになりました。その勢いそのままにゲストの今堀恒雄のテクニカルなギターに続いて,さらにアルトサックス林栄一へ,これまた渋い演奏です。菊池さんほど目立つ派手さはないですが悲鳴をあげるアルト健在ってやつですね。久しぶりに堪能しました。もう一人のテナー佐藤帆(最初に聴いた時はまだゲスト参加でした)も,2ndステージ2曲目「スクリーン」でのソロがかっこよかった。

ドラムスの外山明も久しぶりなんですが,やっぱりすごかった。この人はドラマーとしてはけして体が大きくはないと思うのですが,とにかく迫力あります。ノってきた時の立ち上がって上から叩きつけるドラミングは一見の価値あり。微妙なズレのある独特のリズムが癖になりそうです。ポリリズムっていうんですか? よくわからないけれど,とても複雑なリズムなのに心地よい。もう一人のドラム向山テツ(席の都合上演奏しているところが見えなかったので残念)とのコンビは今回初めて聴いたのですが,バッチリですね。リズム・セクションの要となるベースは水谷浩章。彼の演奏はいつも本当に楽しそうなので,観ているのがとても好きなんですよ。聴いていて,ああ頼りになりそうだなと思えるベーシストです。

リーダーはキーボードの水上聡。作るメロディーがとてもユニークでしかもかっこいいんですね。演奏もMCも,どちらも飄々としていてなんだか楽しそうな人です。うん,このバンドはいつ観ても本当に楽しそうです。休憩中も控え室のほうから笑い声がよく聞こえました。お客さんの反応もとてもよくて,2回目のアンコールまでありました。そう言えばバンド名は“カルテット”ですが,メンバーは7人ですね。まあそんなのはどうでもいいや! “今の気分をそのまま持ち帰りたい”と思って,気をつけて家に帰りました。いやー,楽しかった。


前の日記 後の日記