日記

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本(ミステリー中心)の感想とライブ(ジャズ&ロック)の感想が多いです。熱帯魚の飼育日記も兼ねてます。ミステリーの場合にはネタばれもあるので,ご注意下さい。(スタイルシート可の設定のもとでは,ネタばれ部分の文字は見えないようになっています。マウスで選択し反転させると読めます。)

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2005年9月

 秋

9月10日(土)

午前中,選挙の不在者投票へ。けっこう簡単。本人確認とかは...?

倉知淳猫丸先輩の空論』を読みました。講談社でのこのシリーズは,殺人事件とかおきないんですね(2話目で登場人物の一人があんなことになったのは,ちょっとビックリしましたが)。このシリーズ,いわゆる“日常の謎”ものではあるのですが,なんか違う。西澤保彦の作品とかによく出てくる「“推理”ではなく“空想”」だからでしょうかね。スイカ割りの話とかでも「ちょっと強引かな」と思うけど,それはそれで芸になっているから楽しいんでしょうね。作品数はそんなに多くないということもあるのか,今のところマンネリな印象もありません。次の短編集が出るのはいつになるか分かりませんが,楽しみに待ってます(出たばかりだというのに...)。

ちょっと奮発。聴きたいライブがあったので,新世界まで行ってきました。 『吉田達也の叩きっぱなし』,出演バンドは高円寺百景ルインズ波止場是巨人の3組。もちろんイベントタイトルのとおり,3組ともドラマーは吉田達也です。19:10に始まり終わったのが22:30頃でしたから,休憩を除いても2時間半以上は叩きまくっていたわけで,まあ凄かったです。最初の高円寺百景だけで1時間強の演奏。この前出たアルバムの曲を中心に10曲ほど。やっぱり「Tziidall Raszhisst」(アルバム1曲目),好きですね。で,今回の個人的な目玉はルインズ波止場。CDは持ってても生で聴いたのは初めてです。予想以上の激しい演奏。2つの曲を同時に演奏という色物(?)も聴けたのもよかったです。これを見に全国各地から来た人も多いのか!(どうかは知りません) でも主催者側としては最後の是巨人が今回のメインだったのかな(一応,是巨人ツアーの一環みたいだし...)。もちろん是巨人,ノリまくりでとてもよかったです。 ちなみに,大阪まで足を伸ばしたのは4年前の戸川純バンド&ロマンポルシェ。のライブ以来です(吉田達也のdsを聴いたのはこの時が最初)。やっぱりこちらでのライブは,観客の話し言葉も関西弁ばかりですね。隣にいた2人組のしゃべくり方が大学の時の先輩(八尾出身)にそっくりで,笑いそうになりました。

9月9日(金)

けっこう寝たはずなのに,今日も眠いです。ライブ行こうか,どうしよう。と迷って,けっきょくお休み。明日もあるし...。

9月8日(木)

何となく疲れがとれない。今日も夕食は幡ヶ谷方面に。久しぶりにハンバーガーですませてみる。近くの熱帯魚店をのぞいてから,昨日とは別の酒屋に寄ってみる。初めて入った店だったが,この店も外国産のビールが多かった。ベルギー(ランビック)は1本で,後は英伊豪が1本ずつ。

先日編集したCDを聴きながら,ビールを楽しむ。1本目がサミュエル・スミスのタディ・ポーター(ポーターというのはイギリスの上面発酵・黒ビールの一種らしいけど,種類ごとの違いがイマイチよくわかっていない...)。真っ黒だけどあまり苦くなく,わりと飲みやすいような。なぜかここら辺のビールは他の外国産より少し安い。2本目がローゼンバッハ・クラシック(ベルギーのレッドビール)。酸っぱいビールは最初違和感があったが,慣れるととても癖になる。

CDを2枚作ったうち,2枚目(1枚目に入れた曲の次に好きな曲を入れた)のほうが聴いていてかっこいい気がするのはどうして...。

9月7日(水)

風邪+寝方が悪かったためか,朝から具合悪い。早め早めで休養をとり,夜10時に起きて幡ヶ谷で食事。立ち寄った書店で倉知淳の短編集『猫丸先輩の空論』を見つけ,すずさま購入。大好きなシリーズなので,新刊が出て,とてもうれしい。元気が出たらさっそく読みたいな。ついでにベルギー・ビールの在庫がないため,酒屋に立ち寄る。ベルギーが3本,イギリスが1本)。グリゼット・ブランシュ(あっさり系ホワイトビール)を飲んで寝る。

9月6日(火)

風邪をひいたらしく,夜からクシャミと鼻水が止まらない。ブドワイゼ・バドヴァーを飲んでいる途中で,電気を付けたまま寝てしまう。

9月5日(月)

東京に戻る。実家に戻っている間に,中野・杉並区は大雨で大変だったらしい。ただしアパートの辺りは大丈夫。ちょっと涼しい。

芦辺拓赤死病の館の殺人』を読了しました。森江春策シリーズの短編集です。−−素人探偵・森江春策の助手、新島ともかが迷い込んだ屋敷は、ポーの「赤死病の仮面」を思わせる怪奇な館だった。同宿だったはずの女性・沙耶は失踪し代わりに無惨な死体が残されていた…。森江の前に立ちはだかる4つの難事件。−− わりとトリッキーな作品を集めていてネタとしては面白いのですが,演出の仕方がいまいちな印象があります。どれもバカミスっぽいのに,記述がマジメというか堅いのからでしょうか。バカミスっぽいっていうか,トリックが非リアルなんで,そんなのありって感じです。例えば,表題作だと,普段コンタクトを付けてない人がカラーコンタクトをはめられたらすぐ気付きそうだし,暗くなって色が分からなくなるのではないでしょうか。他の短編でも,「普通気が付くだろう」とか「そんなの現実にあるのか」っていうのが多いんですね。どう考えてもギャグにしかならないように思うのですが,もしかして狙ってやっているのでしょうか? というわけで次に読む時は,もっとコミカルっぽいのに挑戦してみましょう。『名探偵Z』とかってどう?

寝酒にリンデマンのファロ・ランビックを飲む。チーズとカビの香りがほのかにただよう甘いビール。500mlは少し量が多いかと思ったが,そうでもなかった。おいしくいただきました。

9月4日(日)

家族で戸隠に蕎麦を食べに行きました。で,けっきょく蕎麦を食べたのは隣の信濃町でしたが。さすがに標高が高いぶんだけ涼しかったので,温かい天ぷら蕎麦を食べました。長野出身としては,他の土地では普段冷たい蕎麦しか食べないのですが,地元に戻った時だけは別です。

北森鴻触身仏 蓮丈那智フィールドファイルK』を読みました。民俗学ミステリ・シリーズ短編集第2集。−−異端の民俗学者・蓮丈那智の元に「特殊な形状の神」の調査依頼がきた。調査に出かけた那智と助手の三国だが、手紙の差出人が失踪を遂げてしまい…。表題作をふくむ全5編。−− この手の作品は,民俗学ネタ部分と本格ミステリ部分とのバランスがけっこう難しいと思うんですが,本短編集の場合,短編ごとにいろいろあって全体としてバランスがとれている印象です。前作で少しだけ気になった文章の硬さも(まあその硬さも本シリーズの魅力の一部ではあるのですが)あまり目立たなくなり,こなれてきた感じです。短編中では「死満瓊」が一番本格ミステリしてますが,動機がちょっと弱いかなぁ。自分の学説が一つ否定されるぐらいで殺人をするもんなのか。「触身仏」の動機がちょうどよいくらいかな,などと思います。

それはともかく,本文とは直接関係ないのですが,私立大・文系における助手って“先生”じゃないんですか? 国立大・理系のそれとはちょっと立場が違うのですかねえ。僕は後者しか知りませんが,たいていの人は“先生”と呼ばれています。登場人物の一人である内藤三國も講師を狙っているみたいなのに,「先生じゃありません」と言っているのが不思議です。まあ,国立大の助手も今後は“助教”と“助手”に分けられるそうなのですが,何だか混乱していまいますね。

9月3日(土)

実家で今日はごろごろと。

終戦記念日は少し前に過ぎてしまいましたが,野坂昭如戦争童話集』を読みました。「昭和二十年、八月十五日」の一文から始まるあの童話集です。戦場で,焼け野原で,その日死んでいってしまう人々(&動物)を題材にしています。どれも悲劇的な結末を迎えるのですが,‘エグさ’の中にもなぜか温かいような余韻も感じさせる物語だと思います。野坂昭如といえば,初期の『火垂るの墓』等に見られるような“。”が極端に少ない文章が印象に残っていたのですが,この童話集での文章はとても読みやすかったです。12編中,教科書にも載ったことがある「凧になったお母さん」は感情のほとばしりの豊かな作品で,さもありなんといった感じです。個人的には,教科書用(?)に1編選ぶとしたら,「捕虜と女の子」(空襲で捕虜収容所から逃げ出したスティーブと一人になってしまった女の子との‘心’の交流)でしょうか(捕虜から見た戦争時の日本って視点が面白いかな,などと余計な部分を考えてしまうのは僕の欠点なのかどうなのか)。「年老いた雌狼と女の子の話」(満州で置き去りにされた小さい女の子が,年老いて群れから離れた雌狼のことを自分の家にいた犬だと思って“ベル”“ベル”って呼んでかわいがる)も載せたいな。そういえば,この2編には共通点がありますね。女の子が出てくるということの方じゃなくて,言葉が伝わらない両者間での‘心’の交流がテーマになっているところです。どことなくユーモラスな「小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話」も,両者の気持ちがすれ違っていながらも奇妙な交流が成り立ってしまう話で心に残ります。他にもオウム,象,油虫(ゴキブリ?),馬,なんか動物がいっぱい出てくるなあ。童話集だからでしょうか。

本当は野坂昭如といえば『骨餓身峠死人葛』という気持ちもあるのですが,あの作品の評価ってどうなっているのでしょうか。『火垂るの墓』に感動した学生が次に読む本じゃありえないし,教科書にはぜったい載らないよな。でも同じ作家の作品なんですよね。もちろん個人的には納得なのですが,世間一般的にはどうかな?ってちょっと思いました。

9月2日(金)

2時過ぎまで仕事をして,新幹線で長野へ。もっと涼しいかと期待していたのに,けっこう蒸し暑い。母によると「昨日までは涼しかった」とのこと。なんかそういうのが多い。

山田風太郎武蔵忍法旅』を読了。忍法帖短編全集の第7集。今回は1作を除いて未読だったのもうれしいです。忍法帖シリーズの中では後期の作品ということもあるのか,ちょっと切れ味が今一つな感じもしますが(作者本人曰く「マンネリ」),山風ならではの捻くれ度,独自の歴史に対する視点(みたいなもの)といった魅力は健在です。一番面白かったのは「ガリヴァー忍法島」,何となくほほえましいような...。「彦左衛門忍法盥」の人をくったような感じもいいですね(旗本組の名前が“呑堀組”に“下馬坊組”に“飛屁組”ですからね)。解説が言うところの「初期の傑作群と差がない」ってほどじゃないと思いますが(本を売るのが商売だから分からなくもないけど「初期の傑作群はさらに凄い」って書いた方が読者を引きつけると思うんですね),やはり忍法帖は面白いです。

しかし,いつもながら,山田風太郎の短編集の作品解説or外題(担当することが多いのはあの二人...)はピントがずれている感が漂いますね。おおまかな粗筋にちょっとした感想(「○○の○○が皮肉である」とか,それじゃ僕の感想と同レベル!)が付いているだけなんで,小学生向けの‘読書の手引き’みたい。それにどういう人を対象として書いているのかも疑問です。山風短編は‘捻りが勝負’みたいなところがあるので,粗筋を書くのもネタばれになっちゃうんで,本編を読む前に解説を読んではいけません。まあ解説なんて必要ないという意見もありますが,そういった解説を集めただけで本になっちゃう人だっているんだから,どうせだったらそういう解説を付けて欲しいな。本作ではさらに○○氏による解説も付いているんだけど,これも何となく暑苦しい感じ。「そういった江戸幕府の論理を嗤っているのだ」とかあるけど,それよりはエッセイ「忍法帖はなぜうけるか」で作者が書いてる「奇天烈な事によって凄惨美を表したかった」のほうがずっとピンと来ます。

携帯電話のアプリケーションサイトを見ていたら大戦略(昔パソコンで流行したシミュレーションゲーム)があったので,ついダウンロードしてしまいました。懐かしい。登場する兵器の種類が昔と変わっていたので,覚えるまでちょっと戸惑いました(F-22って何?みたいな...)。それはそうと,どっかに軍人将棋とかありませんかねえ。ああいうののプログラムをささっと作れるようになりたいな。言わずもがなのことをわざわざ言わせてもらえば,ゲームとして面白いというだけで別に戦争が好きなわけではありませんよ。

9月1日(木)

明日から帰省します。長野は涼しいだろうか?


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