日々の記録

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本(ミステリー中心)の感想とライブ(ジャズ&ロック)の感想,熱帯魚の飼育記録なども兼ねてます。ミステリーの場合にはネタばれもあるので,ご注意下さい。(スタイルシート可の設定のもとでは,ネタばれ部分の文字は見えないようになっています。マウスで選択し反転させると読めます。)

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2006年11月

スプラウト育成も続くが,とりあえずは月末の例の締め切りをどうにかしなくちゃ...月間。

11月20日(月)

三重での仕事も今日で終わり。最後のまとめ。Hさんとはシミュレーションで使うパラメータの値をすりあわせ。こういった合意形成(?)が重要なんですよね。いまだに顎の調子が悪いので,昼食はハンバーグ定食。担々麺に誘われたけど,口内炎がそれを許してくれないのだった。

5時半に仕事も終了。まだまだ帰ってから作業が必要だけど,締めきりの30日には間に合いそうだ。もちろん,これから後,サボらないでの話だけど(すぐに楽な仕事の方を先にやろうとするからねぇ)。

津の駅ビルで三重県の地ビールを探す。伊勢のやつとか伊賀のやつとか有名どころを探していたんだけれど,思いがけず地元・津の地ビールを見つける。ISE PORT BEER。そんなのあったんだ!という感じ(失礼しました)。しかも酵母入りのケルシュ(しかないのかな)。マイナーどころを突いてくるねえ。

近鉄特急の車中にて,村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み始める。恥ずかしながら,初・春樹だったりするんだが,予想してた以上になかなか面白い。最近の作家への影響というのもわかる気がする(伊坂幸太郎とか)。

名古屋で一休みして,今度は愛知県の地ビール探し。金しゃちビールの他に,なぜか飛騨高山ビ麦酒(岐阜県だってば)まで置いてあった。金しゃちビールの青ラベルと高山麦酒のヴァイツェン&ピルスナーの3つを購入。 新幹線の中で,柿の葉寿司(焼鯖)を食べながら高山麦酒のヴァイツェンを飲む。おいしい。焼鯖の柿の葉寿司てのも初めて食べたけど,よく合いますね。油っ濃さがあまり気にならない。疲れも貯まっているのか,アルコールがまわって車内で爆睡。

無事に家に到着。卓上の水草もスプラウトも乾燥せず無事。後始末をしていたら酔いが覚めてきたので,改めて寝酒に金しゃちビール青ラベル。ドイツ系のピルスナー。苦みがいいですね。

11月19日(日)

普段の土日はゆっくり休むのだが,せっかく津まで打ち合わせに来ているので,頑張りましょう。

昼食は,味噌煮込みうどんを食べに行く。名古屋が近いだけあって(それでも1時間かかるけど),やはり津でも味噌煮込みうどんや味噌カツが売られているようだ。ごぼう入りを頼んでみた。なかなか豪華。やっと旅先らしい食事でとてもうれしい。

上田のUさんより返事。本プロジェクトで得られたデータも反映させてみてほしいとのこと。データのタイプが違うので,ちょっと苦しいか。まあ,善処してみましょうということで,落ちつく。

Hさんに連れられ,服部龍生ベースソロ・ライブを観に(聴きに)行きました。ベースのソロってどうやってやるんだろうと思っていましたが,弾いたベースの音をシーケンサーでひろって三重四重に重ねていく演奏。なるほど,これならソロ演奏ができますねえ。あらかじめ打ち込んであるんじゃなくて,最初は基本となるリズムから始め,だんだん複雑に作り上げていくのは,見ていてもなかなか面白かったです。しかし,お客さんはおじさんおばさんが多かったので,彼らには何をやっているのかよくわからなかったでしょうね。ベース弾いてなくても音が出続けてるし(笑)。説明してあげてもよかったのでは(僕のような素人が口出す場合でもないでしょうが)。少しだけ不満だったのは,わりと似たような曲調(やパターン)の曲が多かったこと。もう少しガンガン来るハードなやつとかフリーっぽい訳分かんないのとかも混じっていると,もっとよかったのですが。客層に合わせたのかな?
 オープニングには若い女性(名前忘れた)によるピアノ弾き語りもありました。日本語の曲はまあよかったです。

演奏を待つ間に店で食べた茗荷と鮪のスパゲッティがおいしかったです。茗荷って子供の頃は大嫌いだったんだけど,今はけっこう好きです。何がどうダメだったんだろうなあ? 今となってみると不思議不思議。 そういえば,昨日予約を入れる際に,Hさんが「おっさん同士なのが残念」とメールに書いたようで。僕はとうぶん“おっさん”のつもりはないんだけどな。特に外見は(笑)。

11月18日(土)

10時40分に集合。土日に出てきてもらっているHさんに悪いので,少し遅めのスタート。とはいえ,こちらもなんとなく疲れている感じ。2日ほど前からどうも顎の状態がよくなくい。右の奥歯で物を噛めない状態。おまけに口内炎までできたようだ。昼食は生協に。どうってことのない普通の定食。来年からうちの部屋に来る(予定の)Mさんにやっと出会う。忘れられてなかったようで,よかったよかった。

午後は頭を使うのは止め,参考文献の整理や図表の作成などの軽めの仕事に。イラストレーターで作った図をパワーポイントに持っていくと画像になってしまうのはどうしてだろう?

夕食は11時から宿泊所近くのサイゼリアへ。旅先でファミレスかよ!などとも思うけど。鶏肉の料理のセットを頼む。わりと美味。牛丼にしなくてよかった(笑)。食事後,酒を売ってるコンビニを探す。なぜかなかなか売っておらず,3軒目でやっと発見。

帰りは裏道を通って戻る。途中,由緒正しげな松の木とかもあり,ここが旧伊勢街道なのかななどと妄想しながら。古そうな店(酒屋だったかな?)とかもあって,何となく古い道といったイメージ。 追記(11/24):本当に旧伊勢街道だったようです。僕の見る目もまんざらではなかったかと思うと,ちょっとうれしい。暗くてよくわからなかったけど,時間があったら昼間歩いてみたかったですな。(参考:http://www.pref.mie.jp/BUNKA/plan/rekisi/index/home/walkmap/ise/index.html 地図D 96番の見返りの松ってのか例の松ですね。そういえば常夜灯らしき物も確かにあったな。)

Hさんより「BSでピンクフロイドやってるよ」とのメールが入る。でも残念ながら,BS入らず。

米澤穂信さよなら妖精』を読みました。個人的に(と断る必要もないのだけど),久しぶりの大ヒット。−−「哲学的意味がありますか?」1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるやって来た少女、マーヤ。謎を解く鍵は記憶の中に…。余韻あふれる出会いと祈りの物語。−− “日常の謎”系ミステリと言ってしまえばそうなんだけど,そういう‘くくり’からは飛び出したような小説。捻くれてしまった僕ですが,ストレートに感動の一冊。大きな問題を持ち出してきた点で,単なるお勉強になってしまいそうなんですが,それもうまく回避(例えば登場人物が歴史に興味をもつ必然性が感じられない歴史ミステリとかってありますよね。そういうのじゃなくて,やっぱり勉強したいからするのです)。ストーリー東欧(特に旧ユーゴ)好きの僕としては,個人的には思い入れたっぷりに読ませていただきました。もちろんツルナゴ−ラモンテネグロの別名だってことも知っていたし,各共和国についての知識があったぶん最大の謎に関する(ミステリとしての)面白みは薄くなってしまったかもしれませんが,それでも十分に面白かった。ラストで明かされる事実だってまあ想像の範囲内ですが,そんなこともどうだってよいんです。しかし,本の紹介文にある「哲学的意味がありますか?」って言葉,中を読む前は何となく“変なヤツ”って感じでしたが,読み終わってから振り返るととっても印象的で心に残ります。

そんなわけで,ユーゴスラビアって国は,かなり好きだったんですよね。高校だったか中学だったか,先生が教えてくれた「7つの国と国境を接していて,中に6つの共和国があって,5つの民族が住んでいて,4つの言葉が話され,3つの宗教が信じられ,2つの文字が使われ,でも1つにまとまって(当時は)うまくやっている」という話が,なぜかとっても印象に残っていて。“多様性”を愛する僕としては本当に好きな国だったのですけどね(今は国自体が無くなっちゃいましたが,ヨーロッパ自体が「多様性」を持つ一つの国みたいなものになりつつ現在,何とかうまくやっていってほしいです)。そういえば,画家の原田泰治さんが娘さんとユーゴスラビアの素朴画を見に行くって特集を,テレビ(NHKではなかったと思う)で昔見たことがあるんですが,その時のユーゴの風景が今もかすかに印象に残っているんですね。あそこがねえ...。東と西(資本主義と社会主義&ヨーロッパとアジア)の入り交じり交流する場っていうのも当時のユーゴスラビアの特徴でしたかね(だからこそ逆に難しかしい面もあったんだろうけど)。そういうのもけっこう僕にとっては興味深かったんだろうな。

ちなみに僕にとっての“多様性”っていうのは,朝が和食だったら昼は中華で夜は洋食 って,そいうレベルの話であって,哲学的な深い意味とかはありません。あしからず。

11月17日(金)

8時起床。カプセルホテルは2回目だったけど,思っていたよりも清潔でよかった。カプセル部分に鍵がかけられないのが少し心配だったが(法律上しょうがないようだけど),特に困ることもなかった。Hさんとの約束時間は10時なので,ゆっくりと出かける準備(朝風呂入ってる余裕まではなかったけど)。残っているお客さんはだいぶ少なくなっていた。

近鉄特急で津に向かう。

西尾維新零崎軋識の人間ノック』を読了。−−「零崎一賊」―それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。二つの通り名を持ち、釘バット“愚神礼賛”ことシームレスバイアスの使い手、零崎軋識。次から次へと現れる“殺し名”の精鋭たち。そしてその死闘の行く末にあるものは一体!?−− 3話収録のうち最初の2話は『ファウスト』で読んでいたもので,昨夜のうちに復習済み。「請負人伝説」のみを車中で読む。オールキャストというほどでもないが,興味深いメンバーが続々と登場。そのぶん場面転換が多くなったけど,スピーディな展開でただただうまいなあという感想。登場人物が皆生き生きしているというか,まあ,これもいつものことか。おまけのカードもお遊びとしては上出来でしょう。

津駅からバスで出張先へ。午前中は打ち合わせ。報告書の内容が重ならないようにうまく分担すること。とりあえずのところ何とかうまくいきそう。でも,再計算は必要かな。午後は報告書に手を入れる。3つのテーマをうまく関連づけて,ストーリーがきちっと通るように。上田のUさんにも相談。ただし出張中で返事は明日になりそう。

けっきょく夜10時まで作業。時々盛況に買い出しに出かけた以外は,ほぼ部屋に缶詰状態。目が疲れた。今夜の宿は出張先の宿泊施設。宿泊者は僕だけっぽい。夕食は作業中にサンドイッチで軽くすましてしまったので,アルコールもなしで布団に入る。

夜中,下の階でガタガタ音がしているので目が覚める。誰かが風呂(共同)で何かやっているらしい。「大丈夫大丈夫」などと声がする。不審人物...などとちょっと心配になったりしてみたが,何のことはない。飲みに(たぶん)出かけていた客が帰ってきただけのこと。よく考えてみれば,靴がないからといって他に客がいないとは限らない。こちらの早とちり。

11月16日(木)

4日ほど出張で留守にするため,卓上の水草などに乾燥防止の処理。ナイロン袋を被せたり,多めに水を入れたり。

夕方,いったん家に帰り。荷物をまとめる。車中で読むための本もとりあえず4冊。どれを読むかは後で考えよう。職場に戻り,ノートパソコンとか紙の資料とか取り揃えて。

東京駅内の本屋をのぞく。ふーん。西澤保彦『ファンタズム』が文庫化ね(まあ,ノベルスで持ってるし)。西尾維新『零崎軋識の人間ノック』が1冊にまとまったと。講談社BOXもとうとう発売と...。小説からコミックまで,舞城王太郎に西尾維新に清涼院……えっ! こう来ましたか? 安達哲さくらの唄(上)』。文庫版も出ていたような気もするけど,講談社BOXっすか。 20歳を少し過ぎた当時の僕にとって,このマンガを読んだことはかなりの衝撃だった。その後何年かは,口に出しては言わないけど,“座右の書”のような位置づけもあったような気がする。 しかし,上巻だけ出すっていうのがセコイというか。まあいいけど。上巻を読んだだけで,わかったような感想を書く人がどれだけいるのか。ちょっと楽しみにしているのだけど...
 というわけで,講談社BOXには異常な熱気というか,意気込みみたいなものを感じつつ。今後に期待が持てるかな。

ついでに西尾維新『零崎軋識の人間ノック』,森博嗣『四季〜春』を購入。“チョーモンイン”シリーズも出てたはずだけど,なぜか記憶にない。

新幹線で名古屋まで。夜のひかり号は静岡だとか浜松だとか,何度も止まる。

車中にて鹿島田真希二匹』を読む。−−「堕落犬ジョンよ、生まれ変わりを信じるか?」 明と純一は落ちこぼれ男子高校生。何もできないがゆえに人気者の純一に明はやがて、聖痕を見出すようになるが……。<聖なる愚か者>を描き衝撃を与えた三島賞作家によるデビュ−作&第35回文藝賞受賞作。−− そういえば,狂犬病って助からない病気なんだっけ。何かの比喩? 薄いのでさくさくと。後半は意味不明だが,途中までは楽しい。そして,少しもの悲しいような感じのするラスト。救いがあるんだか無いんだかわからない終わり方ではある。でも何となく希望があるような印象を僕はもった。もちろん意味なんてわからない。でも,退屈しなかった。これがデビュー作(笙野頼子、松浦理英子絶賛!らしい)というのは,やっぱりすごいと思う。わからないなりに。

で,笙野頼子『金比羅』と松浦理英子『親指Pの修業時代』が積ん読状態のまま行方不明になっているのは,どうしましょう。

23時20分頃名古屋着。駅に近いサウナ付きカプセルホテルが今日の宿。っていうか,睡眠所付きのサウナ(もしくは銭湯)といったほうが正しいか。隣?のおっさんのいびきがちょいと気になるが,寝台車とかに比べたら,まあ静かと言ってもいいであろう。(でも寝台車のあのガタゴトいうのも風情があっていいものではあるが...)

11月15日(水)

残っているスプラウトを今日明日中に処理してしまおうということで、昼食時に4種類のスプラウト(カイワレ・ブロッコリ・ルッコラ・蕎麦)からなるサラダを食べました。

出張の準備。月末締めきりの報告書が,大筋まとまる。整合性とか細かい所は出張先でつめるとして,どっちみち再計算はしないといけないな。ストーリーは変更しなくてよいと思うんだが。

寝酒にHarvey's Imperial Extra Double Stout。インペリアル・スタウトってやつですね。ちょっと醤油みたいな発酵の匂いがする高アルコールビール。ものの本には“フルーティなバナナの匂い”と書いてあったりもしますが,まあ,どちらともとれますね。個人的にはあんまり得意じゃないんだけどね。でも豪華な感じのするビールだなと思います。9%はビールとしては高いとはいえ,ワインとかに比べればそう高くはないと思っていたんですが,1本飲み終わったら意外に酔いがまわってました。

11月14日(火)

ゼミに衛生管理。いつもの火曜日か。

ちょっとだけロシア語の勉強。っていうか,ロシア語のアルファベット(キリル文字)がローマ字のそれとどう対応してるのかを,Aさんから質問される。そんなん知るかい!wikiで調べたら...ってことで見てみると,やっぱり載ってる。Рは"ピー"じゃなくて"ロー"なんだね。ギリシア文字といっしょだ。科学論文なんかだとギリシア文字もよく使われる(特に統計学関係では)ので,馴染みがあるけど,そういうのに普段触れてない人だと何だかわからなくなるかもね。

11月13日(月)

夢日記:朝,珍しく社会的な夢をみて目が覚める。 バスの中でたまたまある議員さんと知り合いになり、なぜか自○党の会議に連れてかれる。会場は大学の階段教室みたいな部屋だった。教壇とかがある側にお偉いさんが並んでいて、僕が席を与えられたのは、その一番端っこに置かれたパイプ椅子。対面となる階段側には,100名ほどのどこかで顔を見た覚えがあるような議員さんがずらりと座っていた。(実際にはテレビとか見ないんで名前しか知らないんだけど,なぜか夢の中だとこれあの人とか分かっちゃうのが不思議といえば不思議だけど,まあ夢だしね。)しばらく待っているけど,みんな雑談をしてるだけで議事進行も何もあったもんでない。「いつもこんな感じですか?」連れてきてくれた議員さんに尋ねる。「うん,最初はね。ざっくばらんに,いろいろと考えたことを言い合ってね。その後で二・三のテーマに絞ってもう少し具体的な話をするんだ。」「ああ,それは分かりますよ。僕もいろいろな政党とか評論家とかの意見をネットで読んでいて,どの意見もそれなりに一理あるかなって。どの意見にも一長一短があるんだし,議論してもしなくても,どうせなるようになるってことですよね。」僕の(目が覚めてから思えば)失礼な感想に、議員さんは何か言いたそうにしてたけど,そのまま苦笑いしてるだけだった。 意外に真実をついていそうな話? それはそれで嫌かも(笑)。

11月12日(日)

うーん,その爪はやっぱり違うだろ。やらせってのはもう少し分からないようにやってほしいな。気持ちが萎えてしまい,急激に何だかんだする気をなくす。

週末から4日ほど出張するので,新しいスプラウトを育てるのは止めて,今あるものはその前に消費しようモード。まあ,多少飽きてきたってこともあるかな。

加納朋子コッペリア』を読みました。−−私とそっくり同じ顔をした人形が、じっと私を見つめている。 その人形は官能的な肌と壊れた心をもっていた。天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、人形になりきろうとする女優、そしてパトロン。人形に憑かれた人々が織りなす情念のアラベスク。新境地を拓く、初めての長編ミステリー。−− 初の長編ということですが、それほど違和感もなく読めました。元々短編作家といっても構成に懲った連作物が多かったので、章ごとに落ちをつけるかどうかだけの違いのような気もします。それでも大がかりな叙述トリックというのは加納作品では珍しいのかな。とはいえ、人間のいやな部分も見つめつつ、最終的に穏やかなハッピーエンドを迎えるというのは加納朋子らしいと思うし、エキセントリックな人間ばかりでどうなることかと思いましたが、主人公を含めてみんなうまく落ち着くべきところに落ち着いた気がします。題材を除けば、どちらかというと『掌の中の小鳥』タイプですかね。構成的な面ではまあ文句なしの名作になっていると思います。本のカバーも何となく澁澤龍彦(“人形愛”という言葉を最初に目にしたのは、たぶんこの人の本でだったと思う)風のイメージで、雰囲気がいいです。文庫版でも単行本とデザインを無理に変えなかったのは上出来です。 いかん!ついまた夜更かし。

11月11日(土)

森博嗣そして二人だけになった―Until Death Do Us Part』を読了。−−全長4000メートルの海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊。その内部に造られた「バルブ」と呼ばれる閉鎖空間に科学者、医師、建築家など6名が集まった。プログラムの異常により、海水に囲まれて完全な密室と化した「バルブ」内で、次々と起こる殺人。残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は…。反転する世界、衝撃の結末。−− 後半、ひっくり返りすぎだろう。途中まではすごいんですよね。第一の真相は読んでいて何となく(その可能性に)気がつきましたが、気がついてなおかつそれでも興奮するトリックではあったしね。やはりなどと思ってると、さらにもう一つの衝撃的な真相が...(こっちが本当の真相なんですよね。いやまだ騙されている気がしてならないのですが)。第一の真相に近づいていたぶん、余計にこちらはびっくりしましたが、でもちょっと納得がいかない。「すべてが○○を示している」ってのは、やっぱり言い過ぎでしょう。いくら主人公が頭の中で都合よく調整しているとはいえ。

夜になってから動き出す。でも,ちょっと疲れがたまっているのか,あまり動く気がしない。とりあえずは水分補給。職場にも顔を出してみたが,さすがに誰もいないねえ。

夜食にカップラーメンを食べながら,北村薫夜の蝉』を読む。−−呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たち―ふたりの友人、姉―を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開する契機となった第二作品集。−− 前に読んだような気もするんだけど、でも覚えていないし、などと迷いつつ買った本。読んでみたら、やっぱり前に一度読んでましたw。まあいいけど。で、感想ですが、うまいなと思うんだけど、何となく文章が僕にはあわない。古文とかやってる女子大生ってみんなこういう言葉のセンスしてるってわけじゃないですよね、もちろん。いやー実際に正しいんだろうけど“皆な”と書いて“みんな”と読ますのは今風じゃないと思うんだけどな。ってなところでいちいち引っかかる。単に相性の問題。何度も書くけど、話はうまいです。いい話ですし。主人公はまじめでいい子だと思うし。表紙イラストが高野文子ってのまでも含めて、とてもいいんだけどな。何でかな? ちょっとシリーズを変えて、次は『冬のオペラ』にでも期待しよう。


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