鎌倉探訪-2

→ 鎌倉探訪:その1

扇ヶ谷

化粧坂切通し

「けわいざか」と呼びます(昔遊女がいたことから名が付いたようです)。切通しというのは,鎌倉は山に囲まれており物資の輸送が困難なため,山を切りけずって通路を作ったもので,7カ所あります(鎌倉七口)。本当にこんな所を馬やなんかが通れたのかと思うほど,急で細い下り坂でした。交通の要所らしく,新田義貞と北条軍が戦った激戦地でもあります。


化粧坂を上から,この先すぐ急坂に

化粧坂の切り落としを下ると,そこは扇ヶ谷(おうぎがやつ)です。室町時代に扇谷上杉氏が住んでいた所です。ここにも多くの寺があります。最初の計画ではまっすぐ寿福寺に向かう予定だったのですが,鎌倉十井のうち3つがあるということで,寄り道しました。

海蔵寺

まず扇ヶ谷の一番奥にある海蔵寺(臨済宗建長寺派)から廻ります。鎌倉幕府滅亡時に消失したのを,1394年に上杉氏が再建したものです。拝観料は無料ですが,境内にある十六井戸は見学料100円。観光客も少なく,穴場的な名所でしょうか。緑と水に囲まれたよい場所にあります。まず入り口の横に鎌倉十井の一つ・底抜の井,ここで水をくんだ禅尼が桶の底の抜けたのを見て悟りを開いたという話が伝わっています。境内もきれいで,なかなか絵になるお寺だと思いました。建物の裏にある庭園もよい雰囲気です。


海蔵寺境内

庭園(横からのぞく)

底抜の井

浄光明寺

5分ほど鎌倉駅に向かい,支流に沿って少し横道を登ると浄光明寺(古義真言宗泉湧寺派)があります。今まで寄ったお寺はすべて禅宗の臨済宗だったのですが,この寺だけは真言宗系ですね。開基は6代執権・北条長時で1251年に創建。この寺も拝観料は無料。緑が多く静かなお寺です。鎌倉の寺社はどこも基本的にはそうですけれど。裏山には綱引地蔵というのがあったようですが,時間がないので今回はパスします(さすがに山登りは少しきつくなってきました)。浄光明寺よりさらに川を遡った所には,十井の一つ・泉の井がありました。


浄光明寺入口

泉の井

英勝寺

元の道に戻り5分ほど南に歩くと,英勝寺が見えてきます。こちらは浄土宗。徳川家ゆかりの尼寺で創建は1634年。鎌倉で尼寺はここだけだそうですよ。もともとは戦国時代の有名な武将・太田道灌の屋敷跡。道灌は「道灌山」の「道灌」ですね(別説あり)。山門は修理中で閉鎖されているため,横にある通用門が現在の入り口です。境内には仏殿の他に唐門や鐘楼といった江戸時代からの建物も多く残っています。ここも植物が多く花の季節はよさそうです。


境内 奥に見えるのが仏殿

左が唐門,右が祠堂(共に県重文)

寿福寺

隣にあるのが寿福寺 (臨済宗建長寺派) です。鎌倉五山の第三位ですが,五山の中では最も古いお寺だそうです。創建は1200年。山門を抜け石畳の美しい参道を歩くと仏殿に至ります。そこから先は残念ながら拝観できないようです。創建当時はかなり大きいお寺だったそうですが,現在は一・二位である建長寺・円覚寺に比べて,それほど広くはないみたいですね。裏山にある墓地には,北条政子と源実朝の墓と伝えられるやぐらがあるはずですが,実朝の方はどういうわけか見つけることができませんでした。


山門から参道をのぞく

北条政子の墓

岩船地蔵堂,亀ヶ谷の切通し

元の道をしばらく戻ります。途中の岩船地蔵堂から横道に入り,亀ヶ谷(かめがやつ)の切り通しに向かいます。岩船地蔵堂は頼朝の娘である大姫を祀ってあります。近年再建されたようです。地蔵堂の近くには十井の一つ扇の井があったのですが,現在は見ることができません。さて,亀ヶ谷の切通しの急坂を登ります。ここを抜けると建長寺の近くに出るのですが,そろそろ足が疲れてきました。ここで予定コースの半分が過ぎました。時間も14時と,もう昼食には遅い時間です。でも,近くに食堂もないので,ここはもう少し頑張るとしましょう(後で考えるとここらで足を休めておくべきでした)。


新しい岩船地蔵堂

亀ヶ谷の切通し

北鎌倉(その2)

建長寺

また北鎌倉に戻ってきました(スタートの円覚寺には歩いて12分ほど)。次に行くのは鎌倉五山第一位の建長寺 (臨済宗建長寺派大本山) です。北条時頼が1253年に建立した日本で最初の禅寺(禅の専門道場)です。さすがに大きいお寺ですね。広い境内が観光客で賑わっています。山門・仏殿・法堂どれも大きくて立派です(すべて県重文)。逆に法堂の背後にある庭園はこぢんまりと小さくまとめられています。国宝の梵鐘は1255年に鋳造されたもの。その横には禅堂へ向かう門がありますが,ここから先は禅僧が修行している場ですから,一般客には未公開です。広い境内の奥から鷲峰山へと登る途中には鎮守の半僧坊大権現があります。これが最後の一頑張りと,歯を食いしばりながら階段を登りました。階段の途中には烏天狗の像がいくつも立っていて,何か不思議な感じがします。


山門

仏殿(右)と法堂(左)

梵鐘(右)と禅堂の山門(左)

鷲峰山山腹にある半僧坊

ここでやっと遅い昼食にありつけました。既に15時です。そばを食べました。最初の予定ではここでコースの半分だったのですが,途中いろいろとお寺を廻りましたからねえ。後は足の痛みと相談しながら行ける所まで行きましょう。(続く)

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