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内容紹介― パンフレット「ブッシュ帝国の暴虐に怒りを!」 

このページの掲載記事一覧 執筆者名
巻頭のことば    困難にくじけることのない不屈の闘いを  森井 眞
「日米安保は絶対に必要だ」を信じてはならない 土屋公献
「自由は死もて守るべし」―日本国憲法の改悪絶対阻止! 弓削 達
何のために… ―― タテマエは「国際協力のため、国益のため」だが 池田龍雄
侵略者に対する抵抗闘争を闘うイラクの人々と連帯し
自衛隊の派遣を止めよう
  
森井 眞

巻頭のことば

困難にくじけることのない不屈の闘いを 
 
森井 眞  

 いま権力は意図的に朝鮮を敵に仕立て上げそして精神的に自立できないでいる多くの人を国家に寄りかからせて、公の名において国家権力のために自分を捨てさせようとしています。これはかつてのあの戦争のときと同じことです。
 人間は所詮一人ぼっちです。私たちは孤独をごまかさずそれに耐えて生きるべきです。しかしまた人間は一人ではない。人間は社会的な動物であり、人とともにあって人間なんです。
 第二次大戦のときに独仏の開戦後十ヵ月もたたないで、四十年六月にパリが陥落しました。ナチの勢いはあたるべからずものがあり、イギリスとソ連が倒れるのは時間の問題だと大抵の人が思っていた。そんなナチに抵抗しても何の意味もないと思われていた四十一年のその頃から、仮にそうであってもナチの理不尽な支配に私は耐えられない、世界で自分一人であってもなお私は黙っていられない、とあえて起ち上がった抵抗者が、あっちでもこっちでも同様に孤独な抵抗者が戦っていることに気づくのです。
 もし見つかれば何倍もの報復が与えられることを覚悟の上で、ある人はあえて銃を取り、ある人は抵抗の詩を書き、ある人はその詩を命がけで夜中に印刷し、ある人は命がけで持ち運んで配りました。またある女性たちは、一人は青、一人は白、一人は赤のセーターを着て、三色旗の禁じられているパリの街を三人が腕を組んで歩いたのです。めいめいがそれぞれ自分のできることをやって、抵抗の意志をはっきり表わしました。それが人々をどんなに励まし慰めたかわかりません。そしてレジスタンスの組織ができたのです。孤独な個人と個人との間に揺るぎない連帯が生まれました。
私たちは、自衛隊のイラク派遣や憲法改悪や民族排外主義に、他人が反対するから反対するのではない。私たち一人ひとりが絶対に許しがたいと自分で思うからこそ自分一人でも反対する。そしてその反対は人種や民族や国籍の違いを越えて人間の尊厳を守ろうとする普遍的な要求ですから、人類との連帯の闘い、全世界の人民との連帯の闘いになるのだと思います。状況がいかに絶望的に変わろうが、形勢がどんなに悪化しようが、そんなことで挫けたり、諦めたりするものではない。そう私は思います。それぞれに自分を確かめ深めながら、連帯の輪を着実に広げてしっかり闘ってまいりましょう。



「日米安保は絶対に必要だ」を信じてはならない

土屋公献

 私ども戦争を経験した年配者の義務として、次の世代に「絶対に戦争を許さない」ということをあくまで訴えつづけなければならない。これがわれわれの責務だと思っております。そのためには戦争の歴史を率直に学び、その過ちを絶対に繰り返さないことを誓いあうことが必要です。
 アジアの方々に異口同音に言われるのは、「私どもにさんざん迷惑をかけた日本は赦しを請うのが本当でしょう。それを再びアメリカと一緒になってアジアに対して矢を向けてきた。われわれは再び日本を警戒しなければならなくなっている」ということです。われわれ日本はアジアの一員です。アメリカの手先になって、アジア各国に脅威をあたえる必要はまったくない。「日米の軍事同盟は絶対にはずせない。アメリカに頼らなければ日本は危険だ」などということを信じこまされないように皆さんにお願いしたいと思います。

  罪を悔い赦しを請ふが道なるを 
    またもアジアに矢を向けんとは

  拉致を怒る正義の心そのままに
    過去の拉致をぞ省みるべき

  アメリカの「恩」
(おん)を唱ふる汝等よ
    アジアの「恨」
(はん)に如何に向き合ふ

  若し君に召集令の舞ひ込まば
    「この人殺し」と破り棄て去れ

  身を以て臨みし戦
(いくさ)忘れねば
    その愚かさと惨
(むご)さ伝へん

 平和を築くために闘ってまいりましょう。

(以下の短歌5首は裏表紙に掲載)
   声高(こわだか)に「悪の枢軸」呼ばはりて
     石油を奪う腹の黒さよ

   「正義」掲げ射つ弾音の激しさに
     童(わらべ)・女(おみな)の阿鼻は聞こえじ

   外国(とつくに)の僕(しもべ)となりてわが民を
     戦火に曝(さら)す汝(なんじ)公僕
   
   許すまじこの世界史を破り去る
     暴挙を我は永久(とは)に許さじ

   沈黙は大罪なるを知れよ君
     今叫ばずば千載(せんざい)の悔(くい)




「自由は死もて守るべし」―日本国憲法の改悪絶対阻止!

弓削 達

 「自由は死もて守るべし」――これは私の母校、当時の東京商科大学(現在の一橋大学)の豫科一橋寮の寮歌の最後の一節です。私には、昭和十年代にこの歌詞を作った先輩の悲痛な叫びが聞こえてきます。昭和十六年に私は、この寮に入り学友とともに肩を組み合ってこの歌を毎晩のように歌った感激を、未だに忘れることはできません。しかし共にこの寮歌を歌った学友の誰彼は、間もなく戦地に引き出され、二度と再びわれわれのもとには帰ってきませんでした。
 「自由」は感激的な合唱では守れないのです。しかし彼ら学友の多くの死が、今更のように自由は死によってしか守れない尊いものであることを教えているように、私には思えます。彼らの死によって、戦後のわれわれは基本的人権と自由の尊さを教えられました。日本国憲法は私たちの世代にとってはそのようなものであります。彼らが死をもってあがなってくれた自由を、われわれもまた死守しなければならない。自由こそ、人間が人間であることの証なのだから。
 小泉政権は、この日本国憲法の改定を公言しております。一刻の猶予もありません。日本国憲法の改悪絶対阻止! 
「パックス・アメリカーナ」を追い求めたブッシュ帝国は、あの古代ローマ帝国がそうであったように、没落をはじめています。イラクの人々、パレスチナや中東の人々が自由と独立のために命がけで戦っています。たとえ困難な道であろうとも、私たちは平和な世界を創造するために、日本を再び暗黒の戦争に導かせないために、戦ってまいりましょう。



何のために… ―― タテマエは「国際協力のため、国益のため」だが                 

池田龍雄

自衛隊のイラクへの派遣は、わが日本という「お国のため」などではなく、アメリカという「とつ国のため」なのだ。昔、日本との戦争に勝ち、今尚そのまま日本を支配している気になっており、こちらもまた卑屈にも――もしくは狡猾にも――ずーっと、手下になり下がっているその国のためである。世界一の親分になったつもりの(もしくは、なりたい)その国は、二年ほど前から「テロを撲滅するために」と称して、その「テロ」を遥かに上回る「報復戦争」を始めた。イラク攻撃に至っては明らかに侵略戦争である。そのような問違った国アメリカのためなのだ。
 かっての大戦のときのように、今われわれ国民は、騙されようたって騙されるわけにはいかない。にもかかわらず、「軽薄」とか「狡猾」とか、中身に相応しい烙印をその顔に黒々と押してやりたいわが国の首相は、同盟国アメリカとその同調者だけを、勝手に「国際」とみなし「国際協力のため、国益のため」と称して、あちらに要請されるまま戦争に協力し、金だけでなく兵まで送ろうとしている。タテマエは一応「戦後の復興支援」のため、となっているが、武器を片手にした侵略者の言う「復興」とは何なのか答を聞くまでもなく、また、どんなに甘く見ても、かの地の戦争が終わったとの判断はできない。そこは、只今も毎日、爆撃や銃撃の絶え間ない所だ。それ故、政府自らの手で、自らが守るべき大事な憲法を――全人類にとっての理想とも言える立派な平和憲法九条を――、狡猾にも別の法律を作って破り捨て、そこまで無理して派兵しようとしているのである。
 何のための戦争なのか。それをわれわれ一人ひとりが考え見抜いて、この戦争に反対することが大切ではないか。                 


侵略者に対する抵抗闘争を闘うイラクの人々と連帯し
自衛隊の派遣を止めよう
         

森井 眞  

 ブッシュは大義も小義もないイラク戦争を始め、小泉はそのケツの後を追いかけていまイラクに自衛隊を送ろうとしている。彼らは「テロに屈するな」と叫んでいますが、イラクの人々の闘いは「テロ」ではなくて、自分の国を不法に侵略され占領された人たちの、侵略者に対する抵抗の闘いです。
 今じつに多くの人が戦争について、人間が生きていることの重さについて、ひどく鈍感になっている。またもや戦争になだれこんでいきかねない今の日本の現状に私は深い危機感を覚えます。第一次大戦以来、そしてとくに、ただ無言で立ちすくむよりほかないアウシュビッツのガス室の悲惨、沖縄戦の悲惨、いっきに二十万を越える人間の命を無差別に奪い去った広島・長崎の悲惨を味わった第二次大戦以来、次には全人類の滅亡さえも招きかねない戦争を、われわれはもう絶対にやめなければいけないと堅く心に誓ったはずです。絶対にあの痛みを忘れ不戦の決意を裏切ってはならないと思います。
 ブッシュの戦争と自衛隊の派遣を何としても止めなくてはなりません。それぞれに自分を確かめ深めながら、励ましあってお互いにしっかり闘ってまいりましょう。