Syu アナプラ成立前夜と現在を比べて、変わったな、と思うところは?
氷河 そうだね。「書く」ということについてかなり真剣に考えるようになった、って言うのはあるね。
Syu それはあるかもしれないね。
氷河 前科……というかなんというか。前にも高校の文芸部で何がしかの事を書いてて、今それを読み返すと、破り捨てたくなるような者が結構あるのね。
Syu なるほど。
氷河 当時の私のベストがその文集に載ってるわけで、それを破りたくなる、っていうのは多少なりとも進歩したのかな、と。
Syu それは俺もあるね。昔のを見て、ホントに破り捨てたくなるんだけど、破り捨てられない、と。漫画家さんの間にはこういう言葉があるらしいね。「漫画家殺すにゃ刃物はいらぬ、昔の作品見せればいい」っていうのが(苦笑)。
氷河 よく聞くね、それは。まぁ、それはモノカキさん全体に言える事かも知れないよね。ま、この2年間で書くことの難しさも知ったし、楽しさも知った、ってところかも。
Syu それに、何ていうのかな。手法も変わってきたかな、というのもある。リレー小説をやってると、どうしても書いた人の個性が出てくるじゃない。で、一つの作品で傾向がコロコロ変わるのもどうなのかな、と思う部分があって、意識するしないにかかわらず、いつの間にか似てきた、というのがあった。まぁ、君と俺とではタイプが違うから、すみわけができた、というのもあったと思うけど。
氷河 そうだね。「桜の森」についてはさ、最初はね、リレー小説はリレー小説だけど、それはそれで1つの作品だ、ってことにこだわりすぎてた感があると思う。
Syu だね。
氷河 でね。こないだ「本を出す」って言ってたじゃないか。で、印刷所に出すときは紙に印字して、それを原稿用紙に貼り付けて、っていう作業があるから、印字用の原稿を整形してたんだよね。「訂正作業もあるし……」って。で、それをやると必然的に流し読みになってしまうんだけど、一応読み直すんだよね。すると、最初のほうはどっちが書いたのか分からない部分がある(笑)。
Syu それはあるね。自分で読んでてそれがある。一気に印刷したやつがあったから、読んでみると、どこからが自分なのかよく分からないところがある。
氷河 で、どこから分かれ始めたのか、っていうと、HPでの1話目の6ページから7ページ目くらいだよね。まぁ、キャラクターをつかみきれてなかった、っていうのもあると思うけど、そのあたりからおぼろげながら違いが出てきた。
Syu まぁ、あとはメインに使うキャラクターの違いも出てきたよね。
氷河 そうだね。まぁ、いいのか悪いのかはまた別の話になるけど、君が書く真君と私が書く真君はやっぱり少し違うじゃない。それは刃君にも言えるし、澪ちゃんにも言えるし、葛城さんにも言えるんだけどね。
Syu それは思ったね。まぁ、人というのは、同じ人でもさ、その人を見る人によって、ぜんぜん違う人になってしまうところがあると思う。そういうのから考えると面白いかもしれない。
氷河 だね。で、そういう風な感じで、「あ、調子が出てきたかな」って思ってきたところで1話目が終わってしまった(笑)。で、その1度盛り上がったテンションが下がった状態で書く羽目になったのが、2話目のプロローグから1ページ目あたりだよね。
Syu だね。
氷河 で、光秀が入ってくる、と。それと同時に彼のキャラクターも入ってくる。そこで悩んだ部分もあったとは思うけど、一番悩んだ部分っていうのは、私と君との間では、1話目を一緒に書いたことから、ある程度呼吸が読めてくる。でも光秀はそれが分からない。
Syu 初参加だったしね。
氷河 それもあるよね。でも、一番大きかったのは、彼の書いた文章を2話目が始まる直前まで知らなかった。
Syu だね。一応「闘鬼日記」が上がったけど、そこから分かる部分っていうのは限られてるからね。
氷河 だからさ、1話目のときも、私は君の文章を知らなかった。君は私の文章を知ってたけどね。で、2話目でそれと同じ事が起こった。光秀の詩は高校時代にある程度読んだことがあるけど、文章は読んだことがなかったんだよね。で、「闘鬼日記」で初めて彼の文章に接したんだけど、「こりゃぁかなり違うぞ」と思ったんだよね。
Syu それはあったね。「あぁ、こういう奴なんだな」と。読んでみて初めて分かって、リレーで何回かやって、ある程度つかめてきたかな、と思ったときにPCトラブル。これはやられた、と思ったね(笑)。
氷河 で、2話目が始まった頃に話を戻すとね、2話目はプロローグと1ページ目を私と君で書いて、光秀が2ページ目を書いたよね。で、2ページ目の原稿を読んだとき、かなり違和感があったんだよ。
Syu あ、それは俺もあった。
氷河 めちゃめちゃ違和感があって、「うわ、これどうしよう?」って思った(笑)。
Syu まぁ、全部が全部読めるわけじゃないけど、君だったら次はこうくるだろう、というのが俺と君の場合はある程度読めるじゃない。それがまったく通じなかったんだよね。で、彼の後は俺じゃないか。特にひどかったんだよね、それが。今となっては何とかつなげるようになってきたけど。
氷河 ホント、どうしよう、と思ったよね。で、私と君とでは言い回しとかにだいぶ似たところがあるじゃない。でも、彼の場合はぜんぜん違った。「これどうなるかなぁ……」と思ってた部分があるんだけどね。
Syu でもまぁ、1話目を終わって2話目にはいって痛感したことがあるね。書くのが早くなってしまった。
氷河 そうだね。まぁ、これは定期更新の導入が一枚巻出る部分があると思うけど、1話目のときはのったときにしか書いてなかった。でも2話目になると、いまいちノリが悪いときに書いた文章でもアップしなきゃいけない。で、後でみると「やり直しを要求する!」みたいなことになってしまう(苦笑)。
Syu で、光秀のPCがトラブって、また君と2人でまわすことになったじゃないか。となると、また昔のノリが復活してきてるんだけどね。
氷河 だね。で、ここにきて、もう2話目のラストシーンはある程度出来上がってるから、あとはそこに向かってそういうルートを引くか、という話になるよね。で、そこで光秀がいないのは結構痛い。お互いのパターンが読めるっていうのは、ある意味助かるんだけど、ある意味次の展開が読めて面白くないところがあるからね。
Syu それはあるね。光秀の場合はそれがないから、いい意味で期待を裏切ってくれる。もちろん、俺だっていい意味で期待を裏切ることができるようにはしているんだけどね。
氷河 個人的なメールとか、話したりしてる人とかでさ、「書くことが苦手だ」って言う人が、私の周りで結構多いのね。
Syu うん。
氷河 で、そのあおり食って、学科の機関紙から原稿の依頼が来たこともあるんだけどね。思うのは、そういう人たちに限って、書くということを必要以上に難しく考えてる人が多いね。
Syu あ、それはあるかもしれないね。まぁ、活字離れとかも関係してるとは思うけど。
氷河 まぁ、活字離れがどうこう、と言うつもりはないんだけど、そこまで難しいものでもない。難しいことは難しいかもしれないけど。
Syu 奥が深いけど、ただ単に書くということに関しては、ということだよね。でも、言葉っていうのは人間のコミュニケーションの基本だよね。文字は違うかもしれないけど。でも、その言葉を書き記す、という点ではどうかな、と思う。
氷河 これはとある人に返信した内容なんだけど、とにかく、難しく考えすぎとだ、と。で、書いてみると実はそんなに難しいことでもない、と。まぁ、頭をふっとよぎった呟きであるとか、何かに感動したこととか、まぁ、どんな些細なことでもいいから、広告のきれっぱしにでもいいから書いてみて、と。そうすると、モノカキさんっていうのは意外に近いところにいる、っていうのが分かるんでないかい? という内容で返信したんだけどね。
Syu だね。
氷河 でね、そういう人っていうのは、「書きたい」っていうのはあると思うんだ。でないと「難しい」なんてことは言わないはずだよね。
Syu そうなんだよ。書きたくないんだったら、「興味ない」になるからね。まぁ、1つの物語を書く、っていうのはそれなりに技術がいると思うんだけど、「終わらせる」という点だけを考えると実はそれほど難しいことじゃないと思う。要は結末だけを書いてしまえばいいんだし。
氷河 で、よく言われるのが、「あれだけ書けるなんて、すごいですね」って。でね、そこで思うんだ。丹波が書き始めたのは一体いつのことだったか?
Syu それを考えるとすごいな、って思うんだけどね。
氷河 彼が書き始めたのは、実は去年の夏ごろなんだよね。だから、「書き始めてみると実は結構簡単だよ」って言いたいわけさ。
Syu だよね。だから、何事もやってみなきゃわかんない。だから、どんなシーンでも書いてみればいい。アナプラのメンバーにしても、どういういきさつかは別として、一度書いてみて、それが面白かったからここまで続いてるわけだしね。
Syu 小説、というか、物語を書く上で否応なしに出てくるのはやっぱり「人」じゃないか。
氷河 だね。
Syu で、最初は何の色もついてない、「白紙の人間」だよね。で、いろいろシーンを書きついでいくうちにその「白紙の人間」に色がついてくるよね。まぁ、言ってみれば人間性かな。で、今では「桜の森」に出てくるキャラクターはそれぞれ人間性を持って、一人歩きを始めてるよね。
氷河 そうだね。そこまで行き着くまでが面白いよね。やっぱり、面白くないな、って思いながら書いてる人っていうのはあまりいないと思う。うちらだってそうだし。
Syu まぁ、俺らの場合は一読者、というのもあると思うけど(笑)。リレー小説の面白さっていうのは、そうだね、市販されてる作家さんの小説を読むのも面白いんだけど、あるシーンでこういう展開になれば面白いな、って思うことがあると思う。で、リレーはそれが可能になるんだよね。こうきたか、じゃぁ、次はこうしてやれ、みたいな(笑)。
氷河 言ってみれば、執筆陣の中でも駆け引きっていうのがあるよね(笑)。でも、そういうのは、ネット以外ではやれなかったかもしれないな、というのがあるかもね。アナプラの成立意義っていうのは、そこにもあったかもしれない。
Syu だね。
Syu 今、リレーの2話目を書いてるよね。
氷河 うん。
Syu で、アナプラの今後を考えると、やっぱりリレーがメインになっていくのかな、って思うよね。まぁ、これは俺らの中だけのことかもしれないけど、すでに3話目に向けて話が進んでるよね。執筆陣はまだ未定なところがあるけど。
氷河 まぁ、アナプラのメインに「桜の森」があるから、必然的にその話が出てきたから、ついでだけどね。
Syu うん。
氷河 やっぱり、キャラクターって大事だなぁ、って思うんだ。で、キャラクターって言うのは最初に設定があるじゃない。
Syu うん。
氷河 まぁ、例えばこういう生い立ちをしてて、こういういきさつで今現在ここにいる、という設定だね。最初は設定だけだよね。で、その設定に従って動かすわけだけど、キャラによって動かしやすかったり、動かしにくかったりするよね。だからそうだな、葛城さんとか澪ちゃんとかは結構動かしやすい部類に入ったと思うんだよね。
Syu そうだね。まぁ、自分の好みにぴったりだった、というか。で、逆に刃君と真君って意外と使いにくかったりするんだよね。
氷河 だね。で、なんで使いにくいのかなぁ、って考えると、「あ、ありふれたキャラだから逆に使いにくいんだ」と(笑)。
Syu それはあるね。でも、やっぱり中心に来るのは間違いない。
氷河 うん。で、親しみやすさとか、そういうのをまったく考えずに、こういうキャラがいいかなー、って感じで、周りを見たら同じようなのがいっぱいいた(笑)。
Syu だね。
氷河 でさ、使いやすさには関係なしに、キャラクターから感じるポテンシャル、というのがあるじゃないか。
Syu うん。
氷河 ポテンシャルの高さ、という点では澪ちゃんや葛城さんは言うまでもないんだけど、他にも唯ちゃんとか、伊藤君とか、深雪姉さんとかいっぱいいるんだよね。伊藤君も深雪姉さんも私がポン、と登場させたんだけど、まさかあそこまで行くとは思わなかった(笑)。
Syu そういうのもリレーの面白さだよね。 |