4、  具 合 が 悪 い 女 性


 ある女性がいつも具合が悪いと嘆いていました。

 友人の一人がそれは霊魂のせいに違いないと言い、とある新興宗教に誘いました。
 二人はそこで宗教的な治療を受けました。ところが何の甲斐もなく、具合が悪いと嘆いていた人は、また病院通いに明け暮れることになりました。
 そんな時でした。それは心の問題に違いないという友人が現れ、その人は、今度は心理的な相談を受けることになりました。ところがどうでしょう。心は開放されるどころか、何かにつけて腹が立って、自分では止められなくなったのでした。

 その人はとうとう疲れてしまい、どうでも良くなってしまいました。そんな時でした。この人は別の知り合いに誘われ、除霊を受けたのです。
 どうせインチキだろうと思っていたその人は、リラックスしていました。
 正座して十分も経ったでしょうか。急に体が動き始めたのです。これにはびっくりしました。この人は腰が抜けるほどに驚いてしまい、もう二度と霊的な事には耳を貸さなくなりました。

 やがて、年をとり、他界することになりました。
 病院のベットの回りには家族の他に多数の霊魂がいました。この女性が地上に生きている間に縁を付けた霊魂たちが見にきていたのです。
 そこには、心理カウンセリングの建物の中で遭遇した霊魂や、新興宗教で出会った霊魂、それに病院で目を付けられた霊魂もいて、実に様々でした。
 霊魂たちが何か言い争っていました。どうやら、だれが他界後にその人を連れて行くかで議論しているようです。
 もちろん、守護霊も指導霊も側にはいません。集まった霊魂たちだけでは決着がつきませんでした。

 そのうち、とうとうその人の肉体から幽体が完全に出てしまい、肉との接点が切れてしまいました。
 その人は大勢の霊魂たちに囲まれ頂点になりました。どうやら、遠い先祖が迎えに来たと思ったらしいのです。
 
 それから、どれだけかの月日が流れました。新しく霊魂となった魂は、何と病院にいたのでした。そこで、患者たちにいたずらをする練習をさせられていたのです。
 何やら具合いが悪いと言ってうつむいていた女性の首に幽体の手を入れていました。

 新米の霊魂はつぶやきました。
 「もっと明るく霊魂を語ってくれたら、今ごろこんな事なんかしていなかったのに…。」


                                               −終わり−


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