第二章 基本的権利と義務 

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 第二章 基本的権利と義務 
第八条 法の下の平等
すべてのチベット人は、法の下に平等であり、この章に明示する権利と自由の享受は、性別、種族、言語、宗教、社会的系統、財産、生まれ、その他地位など、いかなる理由によっても、差別されることなく、保証される
第九条 生命、自由、財産に関する権利
適正な法的手続きを経ずして、何人もその生命、自由、財産を奪われることはない
第十条 生活権
各人は生活権を有する。ただし、次のように規定する
  1. 不法な暴力から誰かを防衛する場合において
  2. 合法的逮捕を遂行するため、あるいは、合法的に留置された者の逃亡を防ぐため
  3. 暴動、または、反乱の鎮圧目的のためにとられる合法的処置において
絶対必要限に限定された力の行使の結果として、生活権が奪われることは本条項に違反しないものと見なす
第十一条 監禁されない自由の権利
  1. 逮捕された者は何人といえども、その逮捕の理由を、直ちに、告げられないで、拘置所に留置されることはない。また、彼が選ぶ法定弁護人と相談し、弁護される権利、および、彼自身の弁護準備のため、充分な時間と便宜を与えられる権利を否定されることはない
  2. 逮捕、拘留された者はすべて、逮捕の場所から、裁判所までの移送に必要な時間を除き、その逮捕から二十四時間以内に、裁判権を有する最寄りの法廷に出頭させねばならぬ。何人も判事の許可なくして、前記の期間以上拘置されることはない
  3. 本条項規定に違反して逮捕、拘留された者は、何人も補償の強制請求権を有する
第十二条 裁判手続に関する保護
  1. 何人も適当な時間内に、法によって設けられた公正かつ、独立した法廷で、公平な公開審理を受ける権利を有する。判決は公開で言い渡される。しかし、公衆道徳、公共の秩序、あるいは国家安全の利益などのため、少年少女の利益や当事者、利害関係者の私的生活を守る必要がある場合、あるいは、特別な状況下において、公表すれば裁判に不利益となるため、法廷が厳に必要な措置と判断した場合、報道陣および一般公衆を公判の総て、または、一部から締め出すことがある
  2. 犯罪行為で告発された者はすべて、法によって有罪が立証されるまで無罪と見なす
  3. 犯罪行為で告発された者はすべて、無料で次の援助を受けることができる
    1. 法定弁護人──裁判のため必要な場合、被告が充分な支払い手段を持たない瘍合
    2. 通訳──法廷で使用される言語を被告が理解できないか、または、話せない場合
第十三条 有罪判決に関する保護
  1. 何人も、告発された犯罪行為を犯した時点で、有効であった法律に対する違反行為以外の、如何なる罪も有罪とされることはない。また、犯罪行為をした時点で、有効だった法律によつて科せられたかも知れない刑罰以上の罰を受けることもない
  2. 何人も同一の犯罪行為について一度以上起訴され、罰されることはない
  3. 何かの犯罪行為で告発された者は、彼自身に対して不利益な証人となるよう強要されることはない
第十四条 非人道的処遇の禁止
何人も拷問や非人道的、品性を汚すような処遇、あるいは処罰を受けることはない
第十五条 奴裁制度と強制労勧の禁止
  1. 何人も奴隷にされることはない。または、強制的、義務づけられた労働を行う必要はない
  2. 本条項の目的のため、「強制された、または、義務づけられた労働」は次のものを含まない
    1. 法廷の判決による拘置期間の経過中に遂行する何らかの仕事
    2. 人命または共同体の安寧を脅かす緊急事態、または、災害時において必要とする何らかの勤め
    3. 軍事的性格の勤務
    4. 一般市民としての通常義務の一部を形成する何らかの務め
第十六条 児童使役の禁止
十四歳以下の児童は、いかなる工場、鉱山、または、その他危険の多い職業にも雇用できない
第十七条 信教の自由
  1. 法の下に、すべての宗教宗派は平等である
  2. すべてのチベット人は、思想、良心、信教の自由の権利を有する。その権利は、個人、または、集団で、いかなる宗教をも公然と信仰し、実賎し、礼拝し、祝う自由を含んでいる
  3. 宗教、または、信仰を表明する自由、および、個人もしくは集団で、宗教的目的、または、慈善目的関連の事柄を取り吸う自由は、公衆の安全の利益のため、公共の秩序、保健衛生、道穂を保護するため、あるいは、他の人々の権利と自由を守るために必要な、法律によって規定された、制約を受ける
第十八条 その他の基本的自由
国家の安全、公共の秩序、保健循生、または道徳の利益のために、適度の制限を課する法律を条件として、全市民は次の権利を有する
  1. 言論と表現の自由
  2. 平和的に武器を持たない集会
  3. 協会、組合の結成
  4. チベット全額土を通じて自由な移動
  5. 国外を族行するため旅券を得る権利
  6. チベットのどんな地域にも居住、定着できる
  7. 財産の取得、所有、処分
  8. あらゆる専門職、職業、貿易、商売の実躁と縦続
第十九条 財産権
何人も、その財産は、法律当局により、正当な補償の支払い下に、公共のため用いられる場合を除き、奪われることはない
第二十条 投票権
十八歳以上のチベット人男女はすべて投票権を有する。投票は直接、平等、自由、かつ秘密投票であり、その(投票権)行使は市民の義務と見なされる
第二十一条 投票権の剥奪
  1. 正当な権限を持つ裁判所によって精神異常であると宣告された者は投票権を失う
  2. 法律によつて資格を失った者は投票権を持たない
第二十二条 公職につく権利
すべてのチベット人は、男女共に、法律の必要条件に従い、選挙による、よらないにかかわらず、平等な条件下に、公職につく権利を有する
第二十三集 団民の義務
  1. チベット国家に対する真の忠誠心を持つこと
  2. 憲法、および、国家の法律を忠実に守ること
  3. 法に基づき、国家が課する税金を支払うこと
  4. 国家の安全に対する脅威、または、公共災害の場合には、法律によって課されるかも知れない義務を遂行すること
第二十四条 権利の実施
本章に述べる市民の権利と自由を侵害された者は、各自、最高裁判所、地方裁判所、およぴ、罠議会が法によって指定する他の裁判所に、本章に列挙した、これらの権利と自由の実施を求めて、提訴する権利を有する。そのため、裁判所は、これらの権利を保護するために必要な命令を可決する権限を有する


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