J 心の音をさがす

むかし映画に「音」はありませんでした。観客は、主人公のセリフも含めて、映像からさまざまな「音」を想像したのです。映画技術が進歩し、同時録音が可能になったことで、映像に音声があることは常識になりました。ところが、それによって作品の本質と無関係な「雑音」が映画にもたらされてしまったことも否定できません。

映画の「音」は、作品の意図を表現する「効果」のひとつです。自主映画を製作するにあたり同時録音の手法を選択するなら、必ずその「音」が本当に必要かどうか、よく考えることが大切です。映像を撮るのだから音声も必要だという常識は、「音」の表現の可能性を閉ざすものです。

「音」は映像よりも深みをもって、観客の心に直接的な感動をもたらします。必要なのは「現実の音」ではなく、人間の身体に刻まれた「記憶の音」です。「海の音」「風の音」「夏の音」…。あなたが表現する世界の「音」を、あなたがどれだけ「よみがえらせる」ことができるか。心に響く「記憶の音」を探し出すことができるか。それが映画の「音」づくりだと私たちは考えています。

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