K 空間をつくる

映画には物語の舞台があります。そして役者が生きるための空間が必要です。「舞台」と「空間」。これらは必ずしも撮影所の美術セットを指す言葉ではありません。レンズ前に広がる空間すべてが、物語の「舞台」であり、映画の「空間」であることを忘れてはいけません。

「舞台」や「空間」は、決して単なる一場面の背景ではありません。それは、作品全体のカラーを決める大変重要な要素です。作品の世界観や登場人物の心理をいかにリアルに描ききることができるかは、この「舞台」と「空間」にかかっているといえます。

「舞台」や「空間」をつくるというのは優秀な美術スタッフが揃っている商業映画の現場に限った話しではありません。映画の劇空間は、演劇と異なりステージの上に縛られません。自主映画を製作している私たちにも、イメージに可能な限り近い「舞台」を、この現実世界から探し出し、そこにカメラを据えることができるのです。

もちろん完璧にイメージ通りの「舞台」を探し出すことは不可能に近いでしょう。それを補うのが自主映画の「美術」であり、「大道具」「小道具」です。そうした「大道具」「小道具」は、映画にとって役者に並ぶ重要な「出演者」であり、その洗練された存在感や役者との関係性が、作品の魅力的な「空間」をつくっているのです。

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